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2014年08月21日

【ライフハック?】『HELP!―最強知的“お助け”本』オリバー・バークマン


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HELP!―最強知的“お助け”本


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、ちょっと変わった自己啓発本

書影では表示されていませんが、本書の帯には「これまでの自己啓発本で幸せになれた人は読まないで下さい!!!」という文言があり、どんなものかと読んでみたところ、「想定外」な内容でした。

アマゾンの内容紹介から。
「幸せになる思考」を紹介した人気連載から、自分らしさ、完璧主義、恋愛、孤独感など、誰しもが悩む96のテーマを収録。自己啓発の最前線を取材してきた著者が説く、知的自己啓発のススメ。

本書はある意味、「"非"自己啓発本」なのではないかと……。





Dawa's Designed To-do list / juhansonin


【ポイント】

■1.「情熱探し」は逆効果
 ニューポートは言う。「そうした学生たちにとっての情熱とは、もともとどこか、そのあたりに存在していて、『神秘的でプラトニックで、誰かに発見されるのを待っているもの』であり、それは間違った危険な思い込みである」と。彼が言いたいのは、情熱とは何らかの技能を修得したときに感じるもので、苦労せずに得る魔法のようなものではない、つまり、情熱は自ら創り出すものであって、「見つける」ものではない、ということだ。仮に今の仕事が大嫌いだとする。もしも情熱が「どこか、そのあたり」にあって発見されるのを待っているものなら、今の仕事を辞め、ほかの仕事を探すしかない。しかし、もし情熱が創り出されるものであれば、今の仕事を別の方法でやってみるというのも有力な案の1つとして考えられるのである。


■2.手ごわい仕事は5分間だけ集中してやる
 優柔不断の原因のひとつは恐怖心だ。ひとつの仕事が長引きそうだとそれだけ恐怖も増大する。そこで、生産性の専門家マーク・フォースターは「Get Everything Done(すべてをやり切る)」と、いうブログの中で、そんなに手ごわい仕事なら5分という時間に限って「集中攻撃」してみてはどうか、と勧めている。5分というわずかな時間なら怖がることもない。なにより良いのは仕事の進行度や完成度に対する脅迫的な意識を和らげる効果があるということで、「どうしても立派に仕上げなければならない」といった意識から「5分間にできるだけのことをやってみよう」という気持ちに切り替えてくれるだろう。


■3.すきま時間における行動の3条件
 ブロガーのマーリン・マンは、編み物の効用を称賛している。編み物は、すき間時間に行える行動の3条件を満たしているからだ。まず、どこへでも持っていけること。次に、どんなに気の散る環境下でも集中してできる作業であること。そして、たとえ数秒の作業であってもきちんと結果を残せること、である。これから行うことについて、この編み物の3条件を満たすものであるかどうかを見極める必要がある。本を読んだり、何かを書き留めたりするのは、この3条件を満たす好例だろう。あるいは、実際に編み物をしてみるのもいいのではないか。


■4.優先順位は付けても意味がない?
われわれは誰もが忙しい毎日を送っていて、緊急だが重要ではない物事の処理に時間を浪費している。それゆえ、重要度に従って物事を処理するという考え方に惹かれるのだ。(中略)
 結局、優先順位や格付け制度というものは、システムが正しければ何とか余裕の時間を捻出することかできる、などという幻想に焚きつけられた考えなのだ。本当のところは、もしあなたが忙しすぎるなら、「やることリスト」の中味をあれこれいじくって再編するのではなく、仕事の全体量を減らす方策を考えなければならない。


■5.すばやく決断する方法【5-3-1】
 2人の間でレストランや映画を選択する際に頼りになる方法がこれだ。まず、1人が5つの選択肢を選び、もう1人がそれを3つに絞る。そして最初に選んだ人が3つの中から最後の1つを選ぶ、というものだ。「おかげで、私と友だちは2つ以上のチャンスがありながら、最後の1つが選べないために餓死するという事態から免れることができました」と、実践者は感謝を述べている。ちなみに2人はこのルールを使うことに前もって同意していなければならない。そうすることで、「5-3-1」の使用がジレンマにならなくて済む。


■6.「実践的成功法則」のカラクリ
一般に良い助言と言われているようなものは闇素で、年季の入った陳腐なものである。
 これに対して、金儲けになる実践的法則は複雑で意図的に新しいものでなければならず、それにはブランド設定が重要になってくる。例えば、「感謝はあなたを幸せにする」などという表現は、それ自体大きな潜在的洞察力を持っているものの、それに大金を払う人はあまりいない。そこで、複雑な手順やたくさんの専門用語を駆使して「実践的感謝の法則」をでっち上げてみるとどうだろう。人々はそれにお金を払うだけでなく、後になって『実践的感謝の法則、感謝のワークブック』などと題する本が出版され、大量の金を消費してくれるはずだ。たとえそれが派手な表紙でメモ帳のような安っぽい代物であっても。


【感想】

◆上記では、できるだけ読者さんの「役に立つ」「有意義な」TIPSを優先しておりますが、本書の「実態」(?)は、もうちょっとビターなもの。

冒頭で「"非"自己啓発本」と申し上げたように、実は数多くの「自己啓発本」の「矛盾や欺瞞性を摘発」しています。

例えばあのデール・カーネギーを初めとして、ナポレオン・ヒル、ブライアン・トレーシー、アンソニー・ロビンス、ジョン・C・マクスウェル、ロンダ・バーン(『ザ・シークレット』)等々。

……このうち当ブログでも、何人かはご登場頂いておりますね。

なるほど、「これまでの自己啓発本で幸せになれた人」が本書を読んだら、それは「カチン」ときます罠。


◆たとえば、カーネギーの『人を動かす』について、「残念なことに、カーネギーの挙げた事例は実のないものばかりで、どれも『そのふりをしている』にすぎない」、とバッサリ。

また、ジョン・C・マクスウェルは、リーダーシップに関する「知ったかぶりをした『一家言の持ち主』の典型」であるとのこと。

こ、こんなこと商業本で言っちゃっていいんでしょうかね(その他については自重)?

ただし、ロンダ・バーンのパートでの
プラトン、ダ・ヴィンチ、シェイクスピア、ニュートン、ベートーベン、アインシュタインときてオーストラリアのお昼のテレビ・プロデューサー、ロンダ・バーンへと繋がるわけだが、この中に1人だけ相応しくない人物が混じっているように思えるのだが、どうだろう?
というクダリにはワロイましたがw


◆その一方で著者のバークマンは、いわゆる「ライフハック」には肯定的です。

というのも「時間管理システム」や「やることリスト」「自己管理手帳」といったものが、彼の「オタク趣味の対象だったから」。

結果的に本書は、「幸せの研究」のような「壮大なテーマ」をバッサバッサと斬りつつ、上記ポイントの2,3,5番目のような「小ネタ」が収録されている、というあまり類書でも見かけない構成になっております。

もっとも、こうした「ライフハック」好きな方は、『ザ・シークレット』とかは読んでなさそうですが(実は私も読んでいません)。


◆ちなみに、多くの「幸せ研究本」とも「ライフハック本」とも違い、ぶっちゃけ本書は「言い回しが難しい」というか、「読みにくい」タイプの本でした。

かといって、訳者さんが下手というのではなく、原書の時点から難解だった模様。

巻末の「訳者あとがき」によると、「反語や逆接はもとより、皮肉や比喩や言い換え、突き放した表現、思いつきで挿入された文章」を「分かりやすい日本語に翻訳するのに、通常の何倍もの時間をかけることになった」のだそう。

もともと300ページ超の作品ですし、「自己啓発系のエッセイを軽く読む」つもりで手を出すと、苦戦すること必至かと(←私のことw)。

ただし「全英ベストセラー」だというので、イギリスのアマゾンを見てみたところ、評判は良さげでしたので、クオリティ的には悪くないのだと思います。


「将来の幸せ」より「目の前のタスク」を何とかしたい方に!?

4809411796
HELP!―最強知的“お助け”本
第1章 今すぐに改めよ!―大げさな決まり文句に惑わされるな
第2章 心の機微を知ること―幸せになる思考
第3章 良い友だち、良い人間関係―現代的エッセンスを学ぶ
第4章 職場と自身の環境改善―余計なストレスを排除する
第5章 仕事をはかどらせる方法―生産性の向上
第6章 健康な精神生活を送るための智恵と工夫―もっと頭を使おう
第7章 日々の疎ましい思いとの付き合い方―心の平穏のために
第8章 私について来い!―大物、超人、その他いかがわしい人物
第9章 そこにある幸せに気付くこと―まさかと思われる幸福への道


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【編集後記】

◆本書で紹介されていた「逃げ回る」目覚まし時計。

B001989WIS
NANDACLOCKY〔ナンダクロッキー〕アラームクロック 目覚まし時計  クロム

YouTubeに動画(音声が出るので注意!)があるのですが、ある程度部屋が広くないと使えないようなw


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