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2014年08月20日

【資料作成】『外資系コンサルが実践する 資料作成の基本 パワーポイント、ワード、エクセルを使い分けて「伝える」→「動かす」王道70』吉澤準特


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外資系コンサルが実践する 資料作成の基本 パワーポイント、ワード、エクセルを使い分けて「伝える」→「動かす」王道70


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも好評だった1冊。

当ブログでも『外資系コンサルの仕事を片づける技術』が人気だった吉澤準特さんの最新作は、今年流行の「資料作成本」です!

アマゾンの内容紹介から。
プレゼンや商談、企画提案、上司への報告など、ビジネスのあらゆる場面で必要になる「資料作成」のスキル。
本書は、資料作成のプロでもある外資系コンサルタントが日々実践している、無駄なく、完成度の高い資料を作成するための王道のスキル、テクニックを網羅的に70項目にまとめました。
「あたりまえ」だけどなかなか実践できない大切な基本スキルやテクニックを、作成ステップごとに図解を交えてわかりやすく説明します。

類書が数多くある中、分かりやすさではピカイチかも!?





Wrapping one's head around the data / Unhindered by Talent


【ポイント】

■1.2つのスタイル×6つの発想で案を示す
 相手にあなたの主張を伝えるに当たって、当事者もしくは専門家のいずれの立場で臨むとしても、押えておくべき定石があります。
 それは一般的に6つの発想パターンとして知られています。(中略)
(1) つみあげ確認型(演繹法:ロジカルシンキング)
(2) 論より証拠型(帰納法:同上)
(3) ひらめき発見型(類推思考:ラテラルシンキング)
(4) トライ&エラー型(仮説思考:同上)
(5) 1+1=3型(弁証法:クリティカルシンキング)
(6) ひかえめ誘導型(背理法:同上)
(詳細は本書を)


■2.3種類だけに文字サイズの統一ルールを設ける
 文字サイズに標準ルールを設けることで、見た目の安定感が増します。見た目の安定感が増すと、資料の内容に対する信頼感も増すこともしばしばあり、軽視すべきではありません。
 記載する箇所や内容に応じてルールを使い分けることが望ましいのですが、あまり細かくルールを設けると更新しづらくなってしまいます。そこで「表題文字」「本文文字」「注釈文字」の3種類だけに文字サイズの統一ルールを設け、それ以外は制限しないやり方を推奨します。
[表題文字] 16〜24pt
[本文文字] 10〜12pt
[注釈文字] 本文×80%


■3.セル結合は使用しない
 エクセル表には2つ以上のセルを結合して1つのセルに見せる機能がありますが、ワークシート上でこれを使ってはいけません。
 これは、結合されたセルを範囲指定に含めたときに、想定しない別のセルまで範囲が広がってしまうことを防ぐためです。ワークシート上では何度も各セルの内容を参照し直す編集が行われるため、そのたびにいちいち結合セルを避けて個別に範囲指定していては、作業が大変煩雑になってしまいます。
 これを避けるため、結合して見せたいセルは[図2-4-E]のように、「セルの書式設定」から「選択範囲内で中央」を使って、疑似的に単一のセルであるように扱うことをおすすめします。


■4.3タイプ8種類の基本チャートを使って図解する
●縦と横の2軸で整理した「タテヨコタイプ」
基本的な構成は評価軸を2つ用いた整理になりますが、奥行きやアイコンの変更を使って3つめ以降の要素を扱うこともできます。該当する図には「象限図」「マトリクス図」があります。
●要素間の結び付きを整理した「関係性タイプ」
タテヨコタイプが要素間の対比によって整理していたのに対し、このタイプは要素間結び付きを表現します。矢印の種類や要素の形に意味を持たせることもあります。該当する図には「階層図」「集合図」「相関図」があります。
●時間軸で要素関係を整理した「時系列タイプ」
関係性夕イプに時間軸を加えて起点と終点を示し、ものごとの流れを表現するために用います。左から右、または、上から下へ流すだけでなく、逆の流れを示してプロセスの手戻りを表現することもできます。該当する図には「段階図」「プロセス図」「循環図」があります。


■5.変更時に手間が生じない図形を使う
 たとえば、段差のある四角形同士の関係線を「直線」だけで構成すると、四角形をずらしたときに関係線も1つずつ直す必要がありますが、すべて「カギ線コネクタ」で接続していれば、線も合わせて動きます。
 他にも、マトリクス図を作るなら、直線を格子状に並べるのではなく、四角形を縦横に並べて作ると、図の拡大縮小によるズレを避けられます。
 文字を含む図形の場合、図形とテキストボックスを重ね合わせていると、図形の移動に合わせて2倍の修正が必要になります。ですが、図形の中にテキストを入力しておけば、手間は半分になります。


■6.相手に合わせてべースカラーを使い分ける
 たとえば、銀行というカテゴリーで眺めてみると、みずほ銀行のコーポレートカラーは青ですし、三菱東京UFJ銀行は赤、一方で、三井住友銀行は緑が設定されています。これらの企業は、社内資料のへッダー部分の色使いもコーポレートカラーで統一されています。
 コーポレートカラーを持っている組織、または会社ロゴに特定の色が印象的に使われている組織に対しては、それらの色をべースカラーとした資料を示すことで、同調効果による相手からの共感が期待できます。
 最初に心理的な共感を持たせることで、内容にも好意的な目線を持つ人は実は少なくありません。ですから、相手の組織がテーマカラーを持っているなら、それをべースカラーにすべきです。


【感想】

◆本書はまず初っ端に「資料作成レベル診断」なるものが。

ここで22個の問いに答えることによって、読者は「4つのタイプ」に分類され、オススメの「王道」TIPSを提示されます。

具体的には、縦軸に「考える力」、横軸に「魅せる力」を配し、以下の4つの象限に当てはめられるのですが……。
「箇条書き一辺倒タイプ」(考える力△、魅せる力△)

「タテヨコ整理タイプ」(考える力○、魅せる力△)

「イメージ共有タイプ」(考える力△、魅せる力○)

「イメージ図解タイプ」(考える力○、魅せる力○)
私の場合、ぶっちゃけ脱サラしてからまともに資料すら作ったことがないので、「箇条書き一辺倒タイプ」で涙目の巻。

……ど、どうせ全部のTIPS読むから関係ないし(震え声)。


◆その「王道」ですが、書名にもあるように全部で70あり、内容もさまざま。

上記ポイントの1番目や4番目のように、「枠組み」的なものもあれば、3番目のように「エクセルの小ネタ」的なものも収録されています。

ちなみに、この3番目の「セル結合」に関しては、私は思いっきりやってしまっており、「疑似結合」なるものは全く知らず(恥)。

そこで試しにエクセルでやってみました。



上の黄色い方が通常の「セル結合」で、下の赤青の方が「疑似結合」。

「疑似結合」の文字が、セル2つの真ん中に来ていることからもお分かりのように、確かに「セル結合」と同じ効果が得られていますね。

ただし、2つのセルが独立していることは、色が違うことからも明らかです。


◆なお、こうした小ネタの解説を含め、エクセルやワード、パワーポイントの操作画面の画像もふんだんに使われているのが、本書の特長かと。

上記ポイントの4番目でも、テキストで
「セルの書式設定」から「選択範囲内で中央」を使って
という部分を読んだ時点ではピンと来ませんでしたが、本書には実際の操作画面があったので、難なく作成することができました。

「テキストボックス」や「インデントマーカー」の設定のような「鬼門」(私にとってのw)についても、本書さえあれば何とななりそうな。

もちろん、ただの「使い方」なら、ソフトの取説なり解説書を読む方がいいのでしょうけど、「資料作成」に必要なTIPSとそのやり方であれば、本書の方に軍配が上がると思います。


◆また、本書は基本的には「2色刷り」なのですが、上記ポイントの6番目のような「色」ネタの部分については、フルカラーを使用。

巻末では付録として、「本書サマリーの資料(第1章のみ)」や、パワーポイントの「クイックアクセスツールバー」や、さらには「コンサル御用達のエクセル関数」の使いこなし方等まで付されています。

多くの類書がある中、本書は比較的テクニカルなコンテンツが多い(技評さんが出すような?)のも、個人的にはツボでした。

タイトルが若干煽り気味(?)ですが、普通に資料作成をなさる方なら、きっとお役に立つハズです。


外資系コンサルでなくとも「使える」1冊!

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外資系コンサルが実践する 資料作成の基本 パワーポイント、ワード、エクセルを使い分けて「伝える」→「動かす」王道70
I章 スケルトン作成

II章 ドラフト作成(文・表)~読んでわかる資料を作る

III章 ドラフト作成(図)~見てわかる資料を作る

IV章 フィックス作成~魅せる資料に仕上げる


【関連記事】

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【スライド作成】『研究発表のためのスライドデザイン』宮野公樹(2013年05月06日)

【資料作成】『「伝わる」「通る」ビジネス資料作成術』渡辺克之(2013年05月03日)

もしものときのための『ウォールストリート・ジャーナル式図解表現のルール』6選(2011年04月13日)


【編集後記】

◆昨日覗いた、有楽町駅前の三省堂書店でビジネス書のランキング1位だったのがこちら。

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ビジネスExcel実践術 (日経BPムック)

こちらはフルカラーで、今日のご本よりさらに図解が豊富だったのですが、逆に図解が多すぎるとレビューしにくいというジレンマ……。


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