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2014年08月07日

【読書術大全】『大人のための読書の全技術』齋藤 孝


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大人のための読書の全技術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の『未読本・気になる本』の記事にて取り上げた読書本

実は既に結構な数をお買い上げ頂いているのですが、読書ブログを運営するものとしては、この本をレビューしない訳には参りませぬ。

アマゾンの内容紹介から。
他人の10倍速く読み、100倍深く理解するために。齋藤メソッドのすべてをこの一冊に詰め込みました。社会人が読んでおくべき50冊の必読リスト付き。

齋藤先生の「読書」をベースとした「知的生産術」が詰まりまくった1冊です!

(注:Kindle版も発売済みです)





High Speed Reading! Oder wie du deine Lesegeschwindigkeit in einer Woche um 400% erhohst?! / alexander_witt


【ポイント】

■1.読書で垂直次元思考力を高める
 自分と同じようなレべルの人とのやりとりは、水平的コミュニケーションと言えます。ネットを介してのコミュニケーションは、ほとんどがこの水平的コミュニケーションです。
 そして水平的コミュニケーションの中で交わされる会話は、平坦なものになりがちです。そのため、なかなか自分の人間性を深めることができません。いわゆるおしゃべりのレべルに留まってしまい、奥行きがないのです。
 それに対し、読書は垂直次元の思考を深める作業です。それは水平的コミュ二ケーションとはまったく異質の作業だと言えるでしょう。
 読書によって得た情報や思考を、咀嚼し、自分の中で再構築していくのです。その作業が、個々人の人間性に深み(奥行き)を培っていくことになります。


■2.読書は量が質に転化する
 たとえば、10冊しか読んだことのない人が1冊読むのには、たいへんな労力を必要とします。しかし、100冊も読めば徐々にコツがつかめるようになって、101冊目を読むのはずいぶん楽になります。(中略)
 なぜ読めば読むほど楽に、速く、正確になっていくかというと、本は知識で読んでいるものだからです。それゆえ、読書においては、知識の積み重ねがそのまま実質的な意味を持っており、量を重ねていくことで質的な変化を起す……いわゆる量質転化が起きるのです。


■3.速読の達人たちの2つの技術とは?
 1つ目は、目を速く動かしていく方法。均等にぺージをめくって、全部の文章をざっと見ていくのです。
 速読の達人は、この方法で、パッ、パッという感じでページをめくっていって、1冊を10〜20分で読み終えます。
 2つ目は、全体の中で、必要な部分だけをピックアップして、そこを集中的に読むという方法です。
 この方法で求められるのは、どこをピックアップするかというセレクトの技術ですから、速く読むための技術はとくに必要ありません。
 そして速読の達人たちは、この2つの技術をうまく組み合わせて活用しています。


■4.精読の基本は音読にあり
 精読の技術というのはいくつかありますが、たとえば「音読」は、精読のために欠かせない技術です。
 江戸時代の寺子屋では、「素読」、つまり「音読」が代表的な学習方法でした。(中略)
 また実は、素読の中には、正しい解釈のための読み方を学ぶということも含まれています。 
 文章を本当に理解するには、どこで切るか、イントネーヨンをどうするかも重要な要素であり、意味のとり方が読みの中に現れるからです。

 そのことは、たとえば英語などでやってみるとすごくわかりやすいです。
 発音は別にして、イントネーションや切り方を聞いているだけで、その人が本当に意味を理解して英語を読んでいるのか、意味がわからないままただ字面を読んでいるのか、すぐに判定できるものです。


■5.呼吸法で精読の技術をさらに高める
 呼吸法も、精読する際に役立つテクニックです。
 それほど難しいものではありません。鼻から息を吸って口から息を吐くのですが、そのとき、ゆっくりと、できるだけ長く吐くのです。これはブッダの呼吸法でもあるのですが、実は集中力を高めるのに最適な呼吸法なのです。
 具体的には、3秒間鼻から吸って、2秒止めて、15秒で口からゆるやかに吐いてください。息を吐いているときに、もっとも集中力が高まります。


■6.読書で「書き言葉」を仕入れる
 なにしろ、書き言葉と話し言葉では語彙が違います。書き言葉のほうが、語彙が圧倒的に多いのです。それに文体も違います。
 整った文体で、しかも書き言葉ならではの語彙をたくさん入れて書くことによって、はじめて、どこに出しても恥ずかしくない整った文章になるのです。
 それを普通にスラスラと書ける人は、仕事が速いと評価されることになるでしょう。およそ、送られてきた文書で、書いた人の知性は推し量れます。ですから要領の得ない下手な文章を送ると、たちまち、それなりの対応を受けることになってしまい、重要な仕事は任されなくなってしまいます。
 だから、本を読んで基礎力を上げていくことが大切なのです。基礎力を上げることにより、自分自身の仕事環境も快適になっていきます。


【感想】

◆「知的生産術」ネタを中心に、齋藤先生のご本はそれなりに読んでまいりましたが、それらが1冊にまとめられると、こんなにも濃厚になるのか、と改めて感じさせられた1冊でした。

まず序章と第1章では、読書の必要性や読書のあるライフスタイルについて。

この辺りは、そもそも当ブログのような「書評系ブログ」をご覧になっている方にしてみれば、当然といえば当然ですし、腑に落ちる内容かと。

それに続く第2章のテーマが「速読」なんですけど、当ブログでは大昔にこの本をご紹介済みです。

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齋藤孝の速読塾―これで頭がグングンよくなる!

参考記事:齋藤孝の速読塾(2006年11月01日)

結構前の作品なのに、単行本、文庫本ともに、ちゃんと値が付いてるのがスゴイです。

上記参考記事でも触れられているテクニックが本書でもちらほら……。


◆実は、この第2章の「速読ネタ」だけで、記事が1本書けそうだったのですが、折角本書はタイトルで「全技術」と言っているくらいですから、もうちょっと幅広くレビューしよう、と改心(?)した経緯がありました。

そこで、付箋を貼ったものの、割愛したテクニックをいくつか。

「逆算速読法」

「二割読書法」

「サーチライト方式」

「同時並行読書術」
……etc (詳細は本書にて)

一応、最後の「同時並行読書術」について念のために申しあげておくと、決してこの方のように、「同時に読む」という意味ではありませんのでw




◆第3章は、「速読」とはある意味真逆の「精読」について。

ここでは上記ポイントの4番目の「音読」について、かなりのページを割いています。

もっとも、齋藤先生の場合『声に出して読みたい日本語』シリーズでブレイクされたワケですから、それも当然ですか。

また、この章では、齋藤先生の作品ではお馴染みの「三色ボールペン方式」や、「引用ベストスリー方式」についても言及されていました。

この辺りは、既知の方も多いでしょうけど、本書は先生のメソッドの集大成ということで、ご理解頂きたく。


◆一方、第4章のテーマは「本選び」で、図書館や古本屋、ネット書店等の活用や、電子辞書、電子書籍に関する齋藤先生のご意見をお伺いすることができます。

基本的には上記の「三色ボールペン方式」で読書される齋藤先生ですから、図書館や電子書籍については、「使いわけ」を推奨。

そして続く第5章では、「知的生産術本」では必須の「アウトプット」がテーマです。

齋藤先生は、読書の時点で既にアウトプットを意識するだけでなく、読書をした上で良質なコミュニケーション(「雑談」「提案」等々)をも図ることを目的としている模様。

そもそも、上記ポイントの6番目のように、きちんと「仕入れ」をしていなければ、アウトプットもそれなりにしかならないのは、当然のことかと。

とは言え、私のように、わんさか仕入れていても、アウトプットが微妙なのは(ry


◆さらに最終章では、齋藤先生特選の「50冊の読書リスト」が!!

予想通りというか、ノウハウ本はほとんどなく、古典系や自伝本が目に付きました。

なお、今回齋藤先生に指摘を受けて、「確かに!」と思ったのがこの本。

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知の逆転 (NHK出版新書 395)

私はそうそうたる面子を見て、読まずに逃走しています(ダメじゃんw)が、この面子にインタビューを敢行して、「高水準の本」としてまとめあげた、インタビュアーの吉成真由美さんが、只者ではないぞ、と。

一応肩書きは「サイエンスライター」になっているものの、経歴を見たら「マサチューセッツ工科大学卒業(脳および認知科学学部)」「ハーバード大学大学院修士課程修了(心理学部脳科学専攻)」って、やはり器が違いましたw


◆以上長々と述べてきましたが、普通に読書好きの方なら、本書はオススメ!

ただし、ネックとなりそうなのが、ある程度齋藤先生の本、特に知的生産系の本を読まれてきた方にとっての「ネタかぶり」でしょうか。

下記「関連書籍&記事」にて、一部ネタがかぶってる、当ブログにてレビュー済みの齋藤先生の作品群を列挙しておきますので、それを見てご検討ください。

まー、先生の場合「三色ボールペン」なんて、何冊かぶってるんだ、って話ですけどw

それに、各作品の「キモ」とも言えるべき部分がまとまっている、と考えれば、逆にこれ1冊あれば、それだけでもいいんじゃないか、とも思います。


「読書の全技術」というタイトルも納得の1冊!

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大人のための読書の全技術
序章 社会人にこそ、読書術が必要な理由
第1章 読書のライフスタイルを確立する
第2章 読書の量を増やす―速読の全技術
第3章 読書の質を上げる―精読の全技術
第4章 読書の幅を広げる―本選びの全技術
第5章 読書を武器にする―アウトプットの全技術
終章 社会人が読んでおくべき50冊リスト


【関連書籍&記事】

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頭が鋭くなる齋藤レッスン

参考記事:【脳力UP!】『頭が鋭くなる齋藤レッスン』齋藤 孝(2014年06月26日)


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10分あれば書店に行きなさい (メディアファクトリー新書)

参考記事:【知的生産】『10分あれば書店に行きなさい』齋藤 孝(2012年10月27日)


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必ず覚える!1分間アウトプット勉強法 (PHP新書)

参考記事:いまさら聞けない「『必ず覚える!1分間アウトプット勉強法』」超入門(2011年02月18日)


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一瞬で伝える「わかりやすさ」の技術

参考記事:【知的生産】『一瞬で伝える「わかりやすさ」の技術』齋藤 孝(2010年05月29日)


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「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術

参考記事:【知的生産】『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』齋藤 孝(2009年09月02日)


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齋藤孝の速読塾―これで頭がグングンよくなる!

参考記事:齋藤孝の速読塾(2006年11月01日)


【編集後記】

◆久々にアマゾンのランキングをチェックしていたら、50位前後にこの本が!

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東大教授が教える独学勉強法

この手の本が100位以内に入るのは、何か理由というか原因があるものなのですが、良く分からず……?

参考記事:【真の勉強?】『東大教授が教える独学勉強法』柳川範之(2014年07月20日)


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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