スポンサーリンク

       

2014年04月26日

【スゴ本!】『東大に2回合格した医者が教える 脳を一番効率よく使う勉強法』福井一成


東大に2回合格した医者が教える 脳を一番効率よく使う勉強法
東大に2回合格した医者が教える 脳を一番効率よく使う勉強法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった1冊。

著者の福井先生は、東大医学部卒業だけあって、類書とはひと味違う「医学的に正しい勉強法」が目白押しでした!

相変わらずアマゾンのページに内容紹介がないので、Kindle版の方から。
東大文II&理IIIと、東大に2度合格した医学博士が実践した勉強法を大公開! 最新脳科学に基づいた勉強法を紹介します。「やる気が出ない」「覚えらない」などの素朴だけど根が深い悩みも解決できます!

池谷裕二さん系の「脳科学的」勉強法がお好きな方なら「マスト」のスゴ本です!





Study From a [KHz] Brain / [Marco...]


【ポイント】

■1.五感を使って集中力を高める
 それでは、まず「視覚」を利用してみましょう。これは簡単で、勉強部屋の机の上にマンガやゲームを置かないことです。
 ぞれらが目の前にあると気が散ってしまい、勉強に集中できません。マンガやゲームは、視界からシャットアウトすること。
 次に、「聴覚」です。周囲の雑音が耳から入ってくると勉強に集中できなくなりますから、雑音対策に効果的な耳栓をおすすめします。(中略)
「触覚」については、手の指の感覚を利用して集中力をつけます。やり方は簡単で、読んでいる参考書の文章を指でなぞっていくだけです。


■2.マンガを使って右脳で記憶する
 日本史や世界史のような歴史にはストーリー性があるので、「マンガ参考書」が適しています。歴史上の人物や事件をマンガで見て、右脳にイメージ(=新タンパク質)を作ります。このイメージに、歴史用語(=登場人物のセリフ)をくっつけて覚えるのです。
 記憶力のよい右脳で軸を作り、その軸の周りに左脳が知識をくっつけていくという、綿アメの棒(=右脳のイメージ)と綿アメ(=左脳の知識)みたいな関係です。


■3.音楽を取り入れて、右脳を活性化する
具体的には、好きな歌のカラオケのメロディに合わせて参考書の本文を音読し、ICレコーダーなどに録音する。それを何度も再生して聴くと、本文を暗記できます。
 最初のうちは、参考書の本文(=まだ暗記していない段階では意味不明の文)が雑音として右脳に記憶されます。しかし、何度もくり返して聴いているうちに、意味不明の雑音が、意味のある言語として認識され、左脳に記憶されるのです。
 ちなみに、なぜ参考書の音読ではなくカラオケかというと、メロディに合わせて文章が「高く・低く」「強く・弱く」「長く・短く」読めるので、それが記憶の手がかりになり、覚えやすくなるからです。


■4.忘れかかった頃に復習する
 では、具体的な日程を挙げておきましょう。最初に暗記(=1回目の勉強)したことが、再認可能レべル(ヒントがあれば思い出せるレベル)になるのが1週間後なので、このときに1回目の復習(=2回目の勉強)をやります。そしてその1ヶ月後には再認可能レべルになるので、そのときに2回目の復習(=3回目の勉強)をやる。
 つまり、「最初に勉強→1週間後に復習→1ヶ月後に復習」となります。海馬に記憶が存在するのは最初の1ヶ月間なので、この1ヶ月間に勉強を3回して、長期記憶を作るのです。これが、再認可能理論に基づいた勉強スケジュールとなります。


■5.暗記ものは歩きながら覚える
まず、イスに座ったまま教科書や参考書の1ページを読みます。次に、部屋の中を歩き回りながら、頭の中で暗記事項をくり返すのです。
 もし忘れている部分があったら、イスに座って教科書や参考書で再度確認しましょう。それから、また歩き回りながら暗記します。(中略)
 高校や予備校への行き・帰りなど、電車やバスの席が空いていても座らないで、両耳にへッドホンをつけ、立って聴きましょう。電車やバスが揺れたり曲がったりするときに足を踏ん張るので、脳幹網様体が刺激されるからです。(中略)
歩いて通うときは、へッドホンは片耳だけでOKです。左耳ではなく右耳で聴いてください。右脳の海馬に音として記憶されると同時に、左脳の海馬にも言語として記憶されるからです。


■6.英語の長文速読に必要な3つの読み方

(1)スピード・アップ
 精読するスピードを速くすること。英文をじっくり精読するのではなく、短時間でパパッと精読するわけです。このとき、左脳の言語野は高速でフル回転しています。人間の細胞は不思議なもので、高速で動こうとすればするほど、そのスピードについていこうとして、それに適した細胞が作られるのです。
(2)スラッシュ・リーディング
 英語の語順といっても、実際は「意味の固まり」(=センス・グループ)、日本語でいうと「文節」に区切って読んでいきます。文節と文節の境目に斜線(スラッシュ)を入れて読むため、スラッシュ・リーディングというのです。
(3)パラグラフ・リーディング
 左脳の海馬や側頭葉で、but、however、yet、never the less、on the contraryなどの否定語や逆接語を暗記しておき、長文のなかから上記の単語を見つけるのです。もし見つけたら、そのうしろを見れば、筆者の考えが書いてあるはず。つまり、左脳の前頭葉で書かれた長文には、海馬や側頭葉の知識で立ち向かう。これが(3)パラグラフ・リーディングの本質です。


【感想】

◆冒頭で「池谷裕二さん系」と申し上げましたが、本書の内容のほぼすべてが「脳科学的」な根拠に基づくもの。

ただし、池谷さんが一般的な「脳ネタの本」を出されているのに比べると、この福井先生は、ガチで「受験対策本」を出されているのが特徴です。

福井先生が2年連続で東大に合格(東大文II&理III)したのは、冒頭の内容紹介の通りなのですが、あとがきによると、当時は東大合格者の全員の氏名と出身校が週刊誌に掲載されたため、その事実は広く知られるところとなり、週刊誌や出版社から取材や原稿依頼があったのだとか。

それがキッカケとなって、先生は勉強本を書かれることに。

とはいえ、当時は現在ほど脳科学が発達していなかったため、医学的なことは書けなかったのだそうです。


◆結果的に、当時は「体験談」が中心だったものが、今般、本書では「医学的に正しい根拠」が明記。

例えば、「黙読より音読の方が効果がある」という「経験」も、本書では「脳の断面が撮影できる機能的MRI」という機械によって明らかにされています。



写りが悪くて見にくいですが(スイマセン)、色がついている部分が、脳が働いている場所とのこと。

もちろん、上が黙読で下が音読をしている時の画像になります。

ちなみに、声の大きさはあまり関係ないため、周りに人がいる時は、声を出さず「口パク」でもいいのだそう。


◆なお、今回は当ブログの読者層を考えて、第0章並びに第1章を中心に抜き出しました。

続く第2章は「英語の脳科学的勉強法」ということで、実はここの付箋を貼りまくり。

割愛した中で、興味深かったところを少々紹介してみると、こんな感じです。

●単語・熟語は基礎レベルと受験レベルがあって、それによって脳の使い方が違う(前者は左脳の言語野で扱い、後者は左脳の海馬と側頭葉で暗記)

●「単語や熟語を英文の中で覚えろ」というのは、意味記憶ではなくエピソード記憶を使うということ

●単語・熟語は「同意語句」「反意語句」「派生語」「関連熟語」と一緒に覚えた方が、結果的に時間の節約

●英文は精読すればするほど、脳神経回路のネットワークが強く密接になり、高速で動くようになる


……ここだけで記事が書けるぢゃないですか!

私は今は英語を勉強していないので活用できませんが、TOEICやTOEFLを受験される方なら、この章は要チェックで!


◆一方、第3章以降は、下記目次にあるように、国語や地歴、数学、理科になります。

個別の論点については、確かに直接は使えないものの、良く読むと見逃せないポイントがちらほら……。

●マークシート方式などの客観式試験と、記述式試験とでは、脳の使う場所が違う

●音読する際、声の強弱や高低をつけて読むと、記憶が海馬によく定着する

●ゴロ合わせは、内容のイラスト(なければ自分で描く!)をまず右脳で覚えてから
 etc...

ホント、油断も隙もありませぬ!

さらに、実際にに受験される方には、現在の参考書や問題集での勉強法もレクチャーしてくれている点もありがたいかと。


◆今まで福井先生のお名前は聞いていた(一応「勉強本オタク」なので)ものの、ここまでロジカルに展開されている方だとは存じませんでした。

1点だけ言うなら、「縦書きの右開きにして頂きたかった」というのが、正直なところ。

……まぁ数式や英文は少ないものの、科目として数学や英語があるので、しょうがないですか。

もちろん、内容の大半は大学受験向けなので、直接的に使えない部分が多いというのはご了承頂きたく。

それでも、勉強本オタクなら、「避けては通れない」作品だと思います。


これはもう、オススメせざるを得ません!

東大に2回合格した医者が教える 脳を一番効率よく使う勉強法
東大に2回合格した医者が教える 脳を一番効率よく使う勉強法
第0章 「受験生の悩み」の脳科学的解決法
第1章 脳科学的勉強法の基礎
第2章 英語の脳科学的勉強法
第3章 国語の脳科学的勉強法
第4章 地歴の脳科学的勉強法
第5章 数学の脳科学的勉強法
第6章 理科の脳科学的勉強法


【関連記事】

【オススメ!】『脳のワーキングメモリを鍛える! ―情報を選ぶ・つなぐ・活用する』トレーシー・アロウェイ,ロス・アロウェイ(2014年01月14日)

友達には秘密にしておきたい『最強! 科学的勉強法』(2013年06月21日)

【オススメ】『受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法』池谷裕二(2011年12月09日)

【オススメ】『つねに結果を出す人の「勉強脳」のつくり方』に学ぶ7つのポイント(2012年12月29日)

【脳】「記憶力をのばしたい!」キャスリン・ジェイコブソン・ミラン(2008年07月23日)


【編集後記】

◆同じく勉強本で、ちょっと気になる1冊。

実験心理学が見つけた 超効率的勉強法: ~復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!~
実験心理学が見つけた 超効率的勉強法: ~復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!~

これまたロジカルな予感……w


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「私と100冊の勉強本」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。