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2014年08月04日

友達には秘密にしておきたい『東大生が捨てた勉強法』


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東大生が捨てた勉強法 (PHP文庫)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、以前取り上げたことのある『東大生が選んだ勉強法』の続編とも言える1冊。

今回は、前回の「選んだ」のとは逆に、「捨てた」勉強法にフォーカスしています。

アマゾンの内容紹介から。
「単語帳を使った暗記は、実は超非効率! 」など、「使える」とされていた勉強法が「実はNG」ということを現役東大生が鋭く解説!

もちろん、単に「捨てた」だけではなく、その結果「選び直した」勉強法についても触れられていますので、ご安心を!

なお、タイトルがちょっとシンプルなので、「ホッテントリメーカー」のお世話になってみましたw





Tokyo University;Yasuda Auditorium / sir.Kir


【ポイント】

■1.赤シートで単純に暗記しない

◆文科1類2年生の坂本さんは、初めは「赤シート」(俗に言う「チェックシート」の赤い方)で、隠された部分だけ覚えるやり方を取っていたものの、やがてその問題点に気が付いたそう。
「でも、それでは反対の質問に対応できないことに気づいた。例えば、エジプトの首都はカイロ、というのは答えられても、"カイロはどこの国の首都?"という質問には答えられない。そこで、赤シートで隠しながらも、その部分を暗記するときは、逆の質問も頭の中で意識するようにしました」。
具体的には「赤ぺンで書かれた事柄を暗記する際、それを見ながらほかの記述もスラスラと答えられるか、常に頭の中でイメージした」とのこと。

また、このように「逆の質問」を意識してみることで、「赤ペンで書かれた事柄との因果関係がしっかり理解できた」とのことなので、ワンランク上の学習が可能になったと言えるでしょうね。


■2.「まとめノート」を作らない

◆いったん授業で聞いた内容を、別のノートに整理してまとめ直す「まとめノート」を「捨てた」のは教養学部3年の木村さん。
「私自身、まとめノートを作っていた時期がありました。ノートをまとめていると、"勉強している感"が感じられたし、当時は結構時間をかけて作っていましたね。気合いを入れて、色ぺンを使って見やすいようにきれいに仕上げたりして。でも、ノートをきれいに仕上げることばかりに意識が向いちやって、時間をかける割には、効果があんまり得られないことに気づいたんです」
そこで木村さんが取った方法は、「授業のノートを直接活用する」というもの。
「それまでは、先生の授業はノートにぎっしり詰めて書き留めていましたが、まず、余白を多めに取るようにしたんです」
さらにその余白には、教科書や参考書を見て補足説明を書き足したり、あるいは「重要!」「テストに出る!」などの目印を付けるようにしたのだとか。

そして、こうした目印が付いている部分は、参考書や教科書を見たり、先生に聞いたりして、補足説明を追加。

結果的に「授業内容がきちんと整理されて、頭の中に入った」のだそうです。


■3.勉強計画は細かく立てない

◆これは「誰」というのではなくて、「1日に○ぺージ進めていく」といった毎日のノルマを決め、きちんとした計画に基づいて勉強していたという東大生は、実は少ないのだそう。

一般的な話として
「必ずしも計画通りには進まないので、臨機応変に対応できるような計画を立てた方がいい」として、大半の東大生は、「○月までにこの参考書を終わらせる」「×月までに基礎問題は解けるようにする」といった大体の計画を立て、勉強を進めていたようだ。
とのこと。

勉強本によっては、その「勉強計画の細かさ」が一番のキモなものもありますが、少なくとも東大生は、そういう戦略は立てないみたいですね。


■4.暗記モノは長時間やらない

◆文科3類2年の鶴田さんは「暗記モノを机に向かって長時間やるのは違うと思う」という意見。
「私の場合、暗記モノはほかの勉強とセットにしてこなしていくことにしていました。例えば、数学をやっていてちょっと気分転換をしたいときに英単語の暗記をする、といった具合に、違う教科の勉強の合間に、暗記モノを挟んでいたんです
ただし鶴田さんの場合、行き当たりばったりで挟んでいたのではなく、あらかじめメインの教科とセットにしていたのが特徴です。
「"火曜日の午後4時〜6時は数学+英単語20語暗記、夜9時〜11時は英語の問題集+地理用語集4ぺージ暗記"といったように、暗記モノは全部、ほかの教科とセットで考えていました」
ちなみに鶴田さんによると、英単語や古文単語、社会教科の用語などの暗記モノは、1コ1コの要素が独立しているため、こま切れに覚えられるのが特徴、とのこと。

私たちも必要に応じて、そういった「こま切れネタ」をセットにして勉強に組み込むと良さそうです。


■5.弱点はノートにまとめない

◆ノート作りをしなかった私でさえ、「間違ったところ」だけは1冊のノートにまとめたというのに、それも否定されてしまいましたw

理学系研究科修士1年の岡野さんのお言葉から。
「苦手なところやどうしても覚えづらい内容は、何度も見て復習することが重要です。そこで、まずは解けなかった問題や苦手な箇所をその都度メモ書きし、それをその日の内に、A4のコピー用紙にシンプルにまとめ直しました。苦手内容をまとめ直すのは、勉強したその日中にやっておかないと、見返すのがイヤになっちゃいますから(苦笑)。そして、まとめ直したA4用紙を、家の中の自然と目に飛び込んでくる場所に貼り出しておくことにしたんです
なるほど、「ノート」だと貼り出すことは不可能ですから、これは納得です。

実際に岡野さんが貼り出したのは、自分の部屋やトイレ、廊下の曲がり角等々。

「そこを通るときにはイヤでも目に飛び込んでくるので、自然と何度も見直す」ことになり、比較的スムーズに頭に入ってきた、とのことでした。


■6.根本から流れを理解するやり方を取らない

◆基本的に東大入試の論述問題は、「知識を深く理解」するために、教科書を読み込んだり、参考書を分析しながら勉強するのが王道なのだそう。

しかし、これを真っ向から否定(?)したのが、経済学部4年の田村さん。
「地理と日本史の社会教科は特に、最低限の知識だけ得られればいい、ぐらいの気持ちでいたので、初めの段階からいきなり、過去問や問題集にある論述問題の解答をすべて丸暗記することにしたんです。論述問題の解答というのは、各問題の文字m数制限に沿って、30〜150字ぐらいでまとめられているので、要点がつかみやすいし、丸暗記には比較的向いていましたよ」。
もっとも、初期段階から過去問や問題集を丸暗記するやり方は、資格試験を中心に、幅広く知られつつあります。

東大入試をしたことのない私が言うのもなんですが、これに関しては、田村さんに同意ですね。


【感想】

◆本書に関しては、個人的には「タイトルの勝利かなー」と思う部分がありますw

というのも、この手の「合格者に勉強法を聞く本」の場合、その勉強法の変遷までヒアリングするのが普通なので、今までも「実践した勉強法」がユニークだったりすると、ほぼ必ず「今までやっていた勉強法」も聞いていました。

つまり従来の本でも「捨てた」勉強法は記載されていたでしょうから、やってることはあまり変わらないと言いますか。

本書でも、冒頭で触れたように「選び直した」勉強法がまずあって、その人が今までやっていた勉強法が「捨てた勉強法」扱いになっている感じです。

まぁ、結局のところ、その「選び直した」方が効果的なら、全然問題はないワケですが。


◆また、この「捨てた」という表現が、誤解を招かないといいな、と思ってみたり。

実際、上記で「〜しない」と言われた勉強法で、しっかり東大に受かったり、東大以外でも志望校や、資格試験に合格している人も普通にいるハズですから、単純に鵜呑みにしない方が良いかと。

一番典型的な例としては、「書いて覚える」か「見て覚える」か。

これは私が税理士試験の受験生時代から意識していたことなのですが、どの人も、大抵どちらかのスタイルの方が自分にあっていて、そうでない方だと全く効果がないのが普通です。

私の場合は、当初税法理論を書いて覚えようとしたものの、書いている最中に全然別の事を考え出したりして、まったく覚えられず、その後合格するまで、暗記は全て「見て」行っていました。

もちろん、漢字が正しく書けるか、等のチェックは行っていましたが、それはあくまで「インプット」というよりは「アウトプット」の話ですし。

ちなみに本書では、「書いて暗記」派と「書かずに暗記」派の調査結果が出ていて、東大生では、それぞれ●対●とのことでした(ネタバレ自重)。


◆1点、上記ポイントの5番目で「弱点をメモ書き」して、貼り出す、という勉強法がありましたが、これって、付箋を使えば便利かな、と。

実は、どの本か忘れましたが、以前読んだ勉強本で「間違いノートを大きのポストイットで作る」というのがありました。

これは、白紙のノートにそのポストイットをペタペタ貼っていき、見直す過程で、できたモノについてはどんどん剥がしていくことにより量を減らし、見直す回転を上げていく、というもの。

ただ、ノートに貼る前に、上記ポイントのように部屋に貼り出せば、より一層記憶に残りそうな。

あまり貼ったり剥がしたりしてると、粘着力が落ちそうですけど、今後受験する機会があれば、私は試してみたいところです。


◆本書では上記のように、「自分に向いていない」ために「捨てた」勉強法が沢山収録されているため、中には「マーカーを引かない」とか「わからない単語は辞書で調べない」なんてTIPSもありました(大丈夫か??)。

また各人の特性もさることながら、勉強法によっては「東大に受かるレベルの頭だから捨てられた」可能性があるモノもちらほら?

本書を読んで理解して頂きたいのは、「勉強法も人によって向き不向きがある事を理解する」ということと、「自分に合った勉強法を早く見つける」ことでしょうか。

自分にとって「アリエナイ」と思った勉強法も、試してみたら意外と効果があるかもしれませんし、本書の一番の目的も、その辺にあるのだと思います。


東大生の「ナマの声」がここに!

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東大生が捨てた勉強法 (PHP文庫)
第1章 東大生の「記憶テク」
第2章 東大生の「ノートの裏ワザ」
第3章 東大生の「時間活用術」
第4章 東大生の「ユニーク勉強法」
第5章 東大生の「教材活用戦略」
第6章 東大生の「勉強を続けるコツ」


【関連記事】

【東大流】東大生が選んだ勉強法(2008年08月06日)

【記憶術】『東大生が選んだ「英語」勉強法』東大家庭教師友の会(2014年01月31日)

【勉強法】『現役東大生がこっそりやっている、頭がよくなる勉強法』清水章弘(2013年04月13日)

【東大式】4倍効率がよくなる勉強法(2012年03月01日)

【暗記の真実】『東大の先生が実践する「ロジカル」暗記術』に学ぶ5つのポイント(2009年08月28日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

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読書が「知識」と「行動」に変わる本

字が小さくて見えにくいのですが、「マインドマップ」「記憶術」「セルフコーチング」といったフレーズが……!?


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