2014年07月28日
【字幕付き】『TED 驚異のプレゼン』から選んだプレゼン10選
TED 驚異のプレゼン
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』が当ブログでも大ヒットした、カーマイン・ガロの最新刊。本書では、ジョブズの代わりに、「TED」に登場するプレゼンターやそのプレゼンのテクニックを分析しています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書では、インターネットで無料公開しているシェリル・サンドバーグ、ビル・ゲイツ、コリン・パウエル、アンソニー・ロビンズなど500以上のTEDプレゼンを分析し、TEDで大成功を収めた人たちを直接取材した結果、TEDプレゼンに共通するシンプルな法則を突きとめました。
それは大胆かつ新鮮、現代的で魅力的なスタイルであり、この法則を身につければ、聞き手を魅了できるようになります!
今回は、本書に登場するプレンゼンの中から、特に興味深いものを10個選んでみましたのでご覧ください!
注:本書は既にKindle版も出ております。
LeWeb11 @ Les Docks Paris / LeWeb13
【『TED 驚異のプレゼン』から選んだプレゼン10選】
★プレゼンの邦題は、本書記載のものを用いております。■1.ラリー・スミス「なぜあなたはすばらしいキャリアを手に入れられないのか」
スミスの主張はシンプルだ。世の中にはひどい仕事が山ほどある。「ストレスフルで、生気を奪い、魂を破壊するような仕事」だ。その対極にすばらしい仕事があるが、両者の中間というのは存在しない。素晴らしい仕事を手に入れたり、すばらしいキャリアを楽しんだりできない人が多いのは、自らの情熱に従うことを恐れるためだ、とスミスは語る。
◆インタビュー時点で、200万回以上(現時点で270万回超)視聴されていた人気プレゼン。
パワポ資料がなくとも、迫力満点で情熱的であり、ガロ曰く「私が出会った中でも特に感動を与えてくれるTEDスピーカーのひとり」とのこと。
■2.リチャード・セントジョン「成功の8つの法則」
リチャード・セントジョンがTEDカンファレンスに向かう飛行機に乗っていたとき、隣に座っていたティーンエイジャーにこう聞かれた。「成功ってどうしたらできるの?」
セントジョンはうまく返事ができなかったが、良いアイデアを思いついたという。TEDカンファレンスに集まる、成功しているリーダーに聞けばいいんだ。
◆その出来事から7年で500人の「TED屋(TEDster)」にインタビューをしてでき上がったのが、上記のプレゼン。
時間が3分30秒と短めなので、サクッとご覧アレ。
■3.ブライアン・スティーブンソン「司法の不公正について語ろう」
スティーブンソンはプレゼンテーションで、アメリカの刑務所に収容されている人の数、そのうち貧困者やアフリカ系アメリカ人が占める割合に関するデータを紹介したが、そこに至るまでの5分は別のストーリー話をしている。スティーブンソンの主張を裏づけるのはデータだが、プレゼンの最初の3分の1はストーリーテリングに充てたのだ。しかも、それはどこにでもあるようなストーリーではなかった。スティーブンソンは意図的に、聴衆と心が通うような物語を選んでいる。
◆本書によると「TED史上最も長いスタンディング・オベーションを受けた」プレゼン。
第2章のテーマである「ストーリーの技術をマスターする」を地で行くかのごとく、「自分の人生に影響を与えた3人」のストーリーを語り、聴衆の心を掴んでいます。
■4.ケン・ロビンソン「学校が創造性を殺す」
教育界とビジネス界におけるクリエイティビティやイノべーション研究の第一人者であるケン・ロビンソン博士は、学校教育がクリエイティビティを殺している、と訴える。この考えに惹かれる人は多く、2006年に博士がTEDで行った講演は何百万回も視聴され、シェアされている。本書執筆の時点で視聴回数は1500万回に達し、TED史上最も人気のある講演となっている。
◆珍しく(?)当ブログでもご紹介済みのこの動画の視聴回数は、2700万回(!?)超。
この動画で興味を持たれた方は、著作である『才能を磨く ~自分の素質の生かし方、殺し方~』も要チェックです!(当ブログでもレビュー済み)
■5.アマンダ・パーマー「お願いするワザ」
自然体で舞台に立てるようにをるには、相当な練習が必要だ。2013年のTEDで喝采を浴びたミュージシャンのアマンダ・パーマーは、それをよくわかっていたようだ。「お願いするワザ」と題したパーマーのプレゼンテーションは、TEDドットコムに公開されてからわずか数日で100万回以上視聴された。
プレゼンから1週間後のブログでパーマーは、一世一代のスピーチの構想、リハーサル、本番までに協力してくれた大勢の人たちに感謝する長い記事を書いた。TEDトークを完成させるには、たくさんの人の協力が必要なのだ。
◆本書では『「お願いするワザ」を練習するワザ』と題して、その長い準備期間について言及。
とにかく、あらゆる機会を活かして人前で練習し、フィードバックを得て完成したのがこの名作プレゼンというワケです。
■6.エイミー・カディ「ボディランゲージが人をつくる」
ボディランゲージによって、我々がどんな人間かが決まってしまう、とカディは言う。身体をどう使うか、すなわちどんな非言語的サインを使うかによって、周囲の受ける印象はがらりと変わる。だが、それだけではないのだ。身体の使い方を変えるだけで、自分が自分をどう思うかが変わる。自己評価が変われば、当然周囲の人たちがあなたを見る目も変わる。たとえ自信がなくても、自信があるように振る舞えば、成功する確率はぐっと高まる。
◆緊張しやすいスピーカーにはカディ曰く、「できるまで、できるフリをしなさい」とのこと(なぜそう考えるようになったかは、本書にてぜひご確認を!)。
2012年のプレゼンながら、すでに視聴回数1800万回超の人気ぶりです。
■7.ハンス・ロスリング「最高の統計」
ミュージシャンのピーター・ガブリエルは「とにかく驚くべきプレゼン」として、お気に入りのひとつに挙げている。俳優のべン・アフレックも同様で「ハンスはクリエイティブでおもしろい、人類最強の統計学者だ!」と語っている。AOLタイムワーナー元CE0のスティーブ・ケースは「忘れがたいTEDトークのトップスリー」にロスリングのプレゼンを挙げている。TEDにお気に入りのトークを選んでほしいと依頼されたビル・ゲイツは、たくさんありすぎて選べないが、ロスリングのはまちがいなく入ると語っている。
◆最近、日本でも統計学が話題ですが、統計ネタでここまでエンターテインメント性に溢れるプレゼンは、なかなかお目にかかれないかと。
なお、このプレゼンを支えるソフトウエアである「ギャップマインダー」は、ロスリング自らが開発に携わったものだそう。
■8.ケビン・アロッカ「バイラルビデオが生まれるメカニズム」
2001年のTEDxユースで、ユーチューブのトレンド・マネージャー、ケビン・アロッカが見せた3本の短いユーチューブ動画は、聴衆を笑いの渦に引き込んだ。虹を見て悦惚としている男性、「フライディ」という、覚えやすいがくだらない歌を歌っているティーンエイジャーの少女、そして「ニャンキャット」と呼ばれるとことんくだらないアニメだ。
とはいえ、アロッカのテーマはおよそくだらないものではなかった。「3本の動画がネット上で急速に拡散した(どれも何億回も視聴された)のは、流行の発信源、コミュニティ、意外感という3つの要素がそろっていたからである」と解き明かすプレゼンテーションは、新たな発見に満ちていた。
◆ちょっとネタ的に古いのは致し方ないものの、プレゼンにおける動画の使い方などは参考になるかと。
このプレゼンが登場するのは、第6章の「ユーモアで軽快に」なのですが、プレゼンター自身は面白いタイプでなくとも、使う動画が面白ければユーモアは補完できますね。
■9.マイケル・プリチャード「汚水を飲用水に変える」
プリチャードが発明した携帯型のろ過装置「LIFESAVERフィルター」は、汚水を飲用水に変える。プリチャードは2009年にTEDに登場し、自らの発明品について語った。そのプレゼンは300万回以上視聴されるなど、世界中の起業家がうらやむ成功を収めた。
◆サムネイルにもあるように、実際に壇上で汚水(テムズ川の水)をろ過して飲むパフォーマンスをするのですが、圧巻はトッピング(?)を加える4分辺りから。
最前列に座るTEDキュレーターのクリス・アンダーソンにまで薦めるのですが、果たして!?
■10.リサ・クリスティン「現代奴隷の目撃写真」
これまでたくさんのプレゼンテーションを見てきたが、クリスティンの最初の2分間ほど引き込まれたオープニングはない。文字がひとつもない写真だけのスライドと説得力のあるナレーション、そして考え抜かれた話し方。クリスティンの写真は聴衆の視覚をくぎづけにしたが、プレゼンを完璧なものにしたのは彼女の話し方だ。聞き手の聴覚を刺激すると、ビジュアルを使うのと同じくらい強烈なインパクトを与えられる。
◆他の多くのユーモアのあるプレゼンターと違い、非常に重いテーマを、写真とナレーションだけで淡々と進める写真家、リサ・クリスティンのパフォーマンスは圧巻でした。
本書では、写真と言葉の対批表を掲載し、そのテクニックを分析しています。
【感想】
◆以上、『TED 驚異のプレゼン』から10個のプレゼンを選んでみました。本書では70近く(一部かぶっています)のTEDプレゼンが登場しており、「その中から、個人的に気になったモノ」というくくりでセレクトしたので、どちらかというと、既に有名なモノや、有名人のプレゼンは除いてしまっております。
例えばアマゾンの内容紹介にもある、フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグ、マイクロソフトのビル・ゲイツ、元副大統領のアル・ゴア、U2のボノ、物理学者のスティーブン・ホーキング、ヴァージンのリチャード・ブランソン等々。
他にもセス・ゴーディン、マルコム・グラッドウェルといったビジネス書の著者陣や、映画監督のジェームズ・キャメロン、元米国国務長官のコリン・パウエル……ってこれだけでも別個にプレゼン10個選べましたねw
それぞれのプレゼンについての分析は、やはり本書にてご確認を。
なお、巻末で収録プレゼンのタイトルとURLがまとめられているのは、ポイント高いですw
◆ところで、一連の動画を見て思ったのが、プレゼンのスタイルは様々なんだな、ということ。
TEDでは比較的スライドが少ないようなのですが、確かにカラダ1つで壇上に登るプレゼンターもいれば、逆に7番目のハンス・ロスリングのように、スライドで魅了する人もいます。
また、スライドを使う場合でも、10番目のリサ・クリスティンのように、テキストがまったくなく写真だけ、というパターンもあるわけで、「これでないとダメ」「これが正解」という風には考えなくてもいい模様。
ただし、上記5番目のアマンダ・パーマーのように、ひたすらリハーサルを繰り返す、というのは、ある意味正解だとは思いますが(ジョブズもそうでしたし)。
◆本書は、個々のプレゼンの解説書ではなく、下記目次のように各章ごとにテクニックを設定し、それについてのTEDの人気スピーカーたちの事例、意見、インタビュー等をまとめるスタイルになっています。
ゆえに、冒頭でもご紹介した、ガロの『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』が、ジョブズ1人の複数のテクニックを分析したものであるのに対し、本書は複数の人の複数のテクニックということで、より多彩な内容になった感じ。
誰もがジョブズになれるワケではありませんが、本書のようにバラエティに富んだスタイルが紹介されていると、「これなら自分にも!」というものが見つかるのではないでしょうか。
……私は時間がある時にでも、残りの動画を含めて、各プレゼンをチェックし直せたら、と思っております。
「TED」系プレゼン本の真打登場!
TED 驚異のプレゼン
第1部 感情に訴える
1章 内なる達人を解き放つ
2章 ストーリーの技術をマスターする
3章 聴衆と会話する
第2部 目新しさを打ち出す
4章 みんなが知らないことを教える
5章 驚きの瞬間を演出する
6章 ユーモアで軽妙に
第3部 記憶に残る
7章 18分ルールを守る
8章 五感を刺激してイメージを鮮やかに
9章 自分らしく
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【編集後記】
◆こちらは当ブログでは未紹介のTEDプレゼン本。TEDパワー 世界と自分を変えるアイデア
これを読了したら、目ぼしいところは大体片づけたことになるかな、と。
ご声援ありがとうございました!
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