2014年07月26日
【仕事術】『マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣』大嶋祥誉
マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、1年ちょっと前に『マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書』をレビューしている大嶋祥誉さんの新作。大嶋祥誉さんの作品は、過去2冊とも「マッキンゼー」と入っていたのですが、本書はさらに「エリート」まで加わっていたため、ビジネス書オタクとしてはスルーすることができませんでしたw
アマゾンの内容紹介がまだないので、版元さんのサイトから。
成功したければ今すぐ習慣を変えよ!
世界最強コンサルティングファームで実践されている「今日からできる」シンプル習慣。
これで人生が変わる!
さすがに「世界のマッキンゼー」なだけあって、類書等で既知のTIPSもありましたが、あらためてまとめてもらうと、なかなか勉強になりました!
McKinsey & Company / Fortune Live Media
【ポイント】
■1.つねに「ゼロ発想」をするチラシを配っているのに、一向にお客さんが来ないとします。
そのとき、もっとチラシを受け取ってもらうには?
もっと声を大きくしたほうがいいのでは?
チラシのデザインを変えたほうがいいのでは?
と考えるだけでは不十分です。
本当はチラシよりも新聞広告のほうが適しているかもしれませんし、もしかすると、その場所に出店したこと自体が失敗かもしれないのです。
上司やお客さんから頼まれた仕事に対しても、そもそも何が問題なのか、そもそも何が課題なのか、そもそも、そもそも……と考えてみてください。何が問題なのかを取り違えると、その後、いくら努力してもむくわれません。
■2.つねに「PMA(ポジティブ・メンタル・アティテュード)」の姿勢で
PMAとは、つねに「前向きに仕事に取り組む」ということです。できない理由を考えるのではなく、どうしたらできるか、自分は何ができるかという視点で、与えられた仕事を仕上げることに集中してください。つねに、PMAの姿勢で仕事をすることが大切なのです。
マッキンゼーでも、与えられた仕事に対して、全力で成果を上げる人が評価されていました。そういう人は、目の前の仕事に純粋に集中していました。仕事をやり遂げていくその混じりけのないピュアさにまさるものはない、と感じたことを覚えています。
■3.「事実」に基づき、そこに自分の「意見」をプラスする
リサーチや報告で、まず大切なのは「事実」です。
何となくガラガラに見えた、何となく混んでいた、コーヒーがおいしかった、といった「意見」ではなく、数字に基づいた「事実」を上司は求めているのです。そうでなければ、上司も正確な状況判断ができません。
その「事実」に基づいた上で、自分の「意見」をプラスすればいいのです。
「事実」を報告すると、たいていの上司は「で、きみはどう思う?」と聞いてくれるものです。「意見」を言うのはそれからでいいわけです。
さらに、このときに、その事実に基づいた自分なりの「仮説」を言えると、信頼される可能性大です。
■4.古い成果物は迷わず捨てる
終わった仕事、完結したプロジェクトの資料は、最終的な報告書(成果物)を除いて、一律的に、例外なく処分するようにします。(中略)
こんなとき落とし穴になるのは、「せっかく苦労して仕上げた仕事だから、この資料だけは残しておきたい」とか、「この資料はあとで何かの役に立つかもしれない」などといった気持ちです。
私の経験上、そうした資料があとから役に立ったケースは、ほぼゼロです。
その時点でのデータやリサーチの成果など、1〜2年も経過してしまえば無価値です。むしろ流用するようなやり方があってはなりません。「ゼロ発想」の邪魔になってしまうこともあります。
■5.対面、メール、電話をうまく使い分ける
ビジネスシーンで相手にものを伝えるときには、おもに3つの手段があります。対面、メール、電話です。この3つを適切に使い分けることで、仕事のクオリティーとスピードはアップします。
まず、ネガティブなことは電話やメールで済ますのではなく、かならず対面で話をしましょう。緊急な要件も対面(場合によっては電話)にしたほうがいいでしょう。メールでは、緊迫感や切迫感はうまく伝えることができません。
誰かと連絡をとるときに、若い人ほどメールに頼りすぎ、べテランほど電話に頼りすぎる、という傾向があるように感じます。
キャリアが浅い人も、ある程度のべテランも、特に「電話の使い方」に無頓着な人が少なくありません。
■6.会議は4種類に分ける
1 報告これから行うべき会議が、右記の4つのどれなのかをきちんと意識してください。
2 レビュー(仕事の進捗確認、振り返り・反省会、人事考課など)、問題解決
3 アイデア出しなどのブレーンストーミング
4 共感や共有を高めるチームビルディング
このうち、最も不要なのは1です。報告事項はできるだけ簡潔にし、メールで済むことは済ませ、2と3に時間を割くようにします。
そして、必要に応じて4を行います。チームの共感、共有を高めるための会議は、日本企業ではあまり行われませんが、非常に有効です。
マッキンゼーでは、チーム内でのキックオフディナー、マネージャー主催のホームパーティー、さらにクライアントを交えたディナーや飲み会を行っていました。このような機会をつくって、チームビルディングを行うのです。
【感想】
◆冒頭で「既知のTIPS」と書きましたが、そもそもマッキンゼー出身の著者さんは、数多くいらっしゃいますし、その面々も複数冊著作を出されている方がほとんどですから、作品を合計すればかなりのもの。下記関連記事では、試しにマッキンゼー出身の方の本だけ挙げてみたのですが、これでも大幅にカットしています。
さらに、一般的なビジネススキルと思っていたのが、実はマッキンゼー発祥のTIPSだったりすると、もう何をもって「マッキンゼーの仕事術」と言っていいのやら。
逆に、割愛した習慣の中に、「メールの件名に【】と書く」(【】には「ご相談」等が入ります)というのがあったのですが、これって特にマッキンゼー固有とかではないハズ。
ただし、この【】には「緊急!」とか「重要!」等の文言を入れてはいけない、と言う指摘はは「目からウロコ」でした。
理由は、「重要」かどうかは、本来上司が決めるものですし、それ以前に緊急なことや重要なことは、口頭で伝えるべきだから。
安易にこれらのフレーズを使っていた方はご留意ください。
◆さて、上記ポイントの1番目の「ゼロ発想」について補足しておくと、その取得のために習慣にすべきなのが「俯瞰視点」とのこと。
これはその名前通り「一段高いところから見渡す"鳥の目"を持つ、ということです。
事例として挙げられていたのが「休日の朝、どうしても起きられないため、日曜の夜は眠れなくなって、月曜も起きられずに遅刻してしまう」という相談。
こんな時、「わかるわかる!」と相手に同意したり、「休日だって普段と同じ時間に起きるべし」「休日こそ目覚まし時計をかけるべし」と説教(?)するのは、いずれもNGである、と。
なぜなら「休日に寝すぎて月曜の朝が眠い」と訴えている相手に対して「自分視点」で評価しているから。
ここで俯瞰視点で捉え直すと「どうして休日に寝すぎてしまうんだろう?」「そもそも会社に行きたくないんじゃないか?」「会社の人たちはどう思っているだろう?」等、自分視点だけでなく、相手やさらに別の角度からの視点が加わります。
ここから導き出された、「真の問題」とは……?(ネタバレ自重w)
◆もう1つ興味深いお話として「メンターを持つ」というものがありました。
確か今まで読んだマッキンゼー本では、「メンター」なんて出てこなかった記憶がw
「メンター」という言葉自体、どちらかというと、スピリチュアル系、自己啓発系の作品でよく登場するものですし。
詳細は本書に譲るとして、ここで「メンターの3つの条件」なるものだけご紹介。
1 一般論を言わない人
2 直感が鋭い人
3 専門性が高い人
ここで、なるほど、と思ったのが、上記3番目の条件のところで「ゴルフのスコアが100を切れない人に、ゴルフを教えてもらってもうまくならない」という指摘です。
……確かに勝間和代さんも、ゴルフにせよ、麻雀にせよ、スカッシュにせよ、プロなり相当の実力者に習っていますもんねw
◆繰り返しになりますが、本書は奇をてらった作品ではなく、マッキンゼーで普通に使われているTIPSを中心にまとめられたものなので、ビジネス書を読み込んでこられた方には、多少なりとも既読感がぬぐえないと思います。
ちなみに「習慣6」のタイトルは「イシューからはじめる」ですしw
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
参考記事:【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)
ただ、過去2作の書名に、いずれも「入社1年目」と入っている大嶋さんだけあって、本書も分かりやすさが光っていました。
「マッキンゼー」というフレーズにアレルギーでもない限り、ビジネスパーソンなら一読の価値はあると思います。
意外と(?)真っ当な1冊!
マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣
第1章 「バリュー」にこだわる
第2章 要点は3つに分ける
第3章 「タスク」を視覚化する
第4章 自分の主張は「質問」に込める
第5章 認める! 共感する! インスパイアする!
第6章 感情をコントロールする
【関連記事】
【問題解決】『マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書』大嶋祥誉(2013年04月30日)【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)
【マッキンゼー流思考術?】『思考を広げる まとめる 深める技術』太田薫正(2014年05月29日)
【大前流】『稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方』大前研一(2013年09月08日)
【オススメ!】『僕は君たちに武器を配りたい』瀧本哲史(2011年09月23日)
【オススメ】『自分のアタマで考えよう』ちきりん(2011年10月29日)
【個人ブランディング】「抜擢される人の人脈力」岡島悦子(2008年12月18日)
【強力!】「勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力」勝間和代(2008年06月15日)
【編集後記】
◆ちょっと気になる本。10年後も見た目が変わらない食べ方のルール (PHP新書)
わ、若く見られたいからじゃないんだからねっ!
ご声援ありがとうございました!
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