2014年07月24日
【7つの超思考法?】『合格(ウカ)る思考』宇都出 雅巳
合格(ウカ)る思考
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、当ブログでは『速読勉強術』がスマッシュヒットとなった宇都出雅巳さんの最新刊。下記でも言及されているように、本書は宇都出さんの『合格(ウカ)る技術』の続編、という位置づけになっています。
アマゾンの内容紹介から。
2011年に刊行し、多くの難関資格試験合格者を生み出した『合格(ウカ)る技術』待望の続編! 前著が「技術」というように、主に〈テクニック〉について解説されていたのに対し、本書は、短期で合格するための試験勉強の〈考え方〉について説明しています。
「時間がない」「やる気が出ない」「勉強が続かない」など、社会人の勉強を阻害する要因を、〈そもそも起こりえない〉ことにしてしまう画期的な思考法で、あなたも『合格(ウカ)る人』になれます!
何となくわかっていたつもりでも、改めて指摘されると、「なるほど確かに!」と腑に落ちることばかりでした!
Studying / rhodesj
【ポイント】
■1.「点」が足がかりになり「線」になるたとえば、新たな分野のテキストや難しい問題集に取り組もうとした時、知らない言葉や難しい文章ばかりで、ただべージをめくるだけのことにも抵抗があるかもしれません。
あなたの興味に引っかかり、読む気になる言葉や文章はほんの少しかもしれません。
しかし、「これだけでは意味がない……」なんて思う必要はないのです。
そのちょっとした言葉、文章が点となり、それが繰り返していく中でほかの点とつながって線となり、それがまた線と組み合わさって面となり、だんだんと、最初は縁遠い存在だったテキストが身近で記憶・理解できる存在になっていくのです。
■2.ざっくりでいいので「分けて」いく
たとえば、あなたが試験勉強のために新しい分野の過去問やテキストのぺージをめくったとき、「ウッ」と圧倒された体験はありませんか?
日本語だから読めるはずなのに、見たこともない専門用語や言い回しが目に入ると圧倒され、よくよく見れば読める言葉や文章も含めて、「うわあ、無茶苦茶難しい」「ぜんぜんわかんないや」という一般思考にはまって、分けることを放棄してしまうのです。
しかし、ここで止まってしまうと、勉強も止まってしまいます。
つい目をそらし。「一般思考」のワナにはまって「ぜんぜんわからない」「まったくできない」という言葉を使ってしまいそうになるところを、グッと踏みとどまることが大事です。
本当にざっくりでもいいので、わかるところ、わからないところ、さらに具体的に言えば、わかる言葉・わからない言葉、わかる文章・わからない文章を分けていくのです。
■3.全体を見ながら、わかるところからやる
さて、あなたはジグソーパズルを組み上げようとする時、どうやりますか? たとえば左上端から順番に組み合わせようとするでしょうか?
しませんよね。おそらく、わかりやすいところ、わかるところから組み合わせていくと思います。(中略)
こうやって、部分にはまり込むことなく、全体を見ながら、とりあえずわかるとこるから組み合わせていくということを、自然に行っています。つまり、部分思考ではなく全体思考で考えられているわけです。
これと同じように、試験勉強や本を読む時にも行えばいいだけなのです。
■4.試験勉強は、わかるところを見つけるゲーム
試験勉強も、「わからないところをがんばってわかるゲーム」から、「とりあえずわかるとこるを見つけるゲーム」と捉え直したらどうでしょう?
そうすると、試験勉強はトランプのカードの山からエースかエースでないかをただ分けるように、わかるところとわからないところを分ける作業になっていきます。(中略)
あなたも、テキスト、問題集の「わからないところ」を見つけてそれをわかろうとがんばるのではなく、その中に少しは含まれている「わかるところ」を見つけること、つまり「わかるところ」と「わからないところ」を分けていけばいいのです。
そして、過去問やテキストの多くのぺージ、文章、言葉とコンタクトをとり、わかるところを増やしていけばいいのです。
■5.仕組みを活用して、習慣化する
歯磨きなどを思い浮かべてもらえばわかるように、習慣になれば、「○○やるぞ!」というがんばりは不要です。
やることが当たり前になり、そこにはほとんど意志力が必要なくなるのです。
なので、仕組みを活用して、習慣化してしまうのが最も楽です。そして、習慣化しやすいための仕組みというのがまたあります。
それは、「○○したら」という、すでに習慣となっていたり、必ず行う行動と組み合わせて、その行動をすることです。
これは「条件型計画」と呼ばれるものですが、こうしておくと、行動するのにあまリエネルギーがかからず習慣化しやすいのです。
■6.どんどん行動して、そこから学ぶ
この意味記憶とエピソード記憶についてですが、大人になるほど、意味記憶を記憶する能力が低下し、エピソード記憶を記憶する能力が高まることが知られています。
つまり、小さい子は本などに書かれた情報・知識そのものを記憶することが得意であるのに対して、大人は自分自身が関わった経験として記憶することが得意なのです。
ですから、試験勉強においても、どんどん行動していく、とにかく過去問やテキストを読む、思い出す、語るなど、それが、仮にわからなかった体験などの、いわゆる失敗体験であったとしても、経験することがなにより大事です。
このように、どんどん行動して、そこから学んでいくことが、記憶にも残りやすくオススメなのです。
【感想】
◆本書の「はじめに」には、宇都出さんが本書を書くに至った経緯が記されています。そもそも、宇都出さんの過去の著作を読んで合格する人がいる一方で、同じ本を読んでも合格できない人がいるのは、何故か、という疑問が出発点だったとのこと。
ブログで「2ヶ月で行政書士試験に合格する」ための勉強の模様を実況中継したり、そこで読者の質問に答えたり。
さらには、それまで開いていなかった講座や懇親会を2013年の夏から頻繁に開催して、読者の方と直接やりとりを行なったり。
こうした中でわかってきたのが、実は勉強するための「技術」以外のものが大事だったということ。
それが、本書のテーマである「思考」、つまり考え方でした。
◆その思考法は、具体的には、下記目次にもあるように7つ。
本書では、それぞれの思考法について、「合格(ウカ)る思考」と呼んで、相反する「スベる思考」と対比させて説明しています。
・加点思考 ⇔ ・原点思考ただし、上記ポイントでは、私自身が「なるほど」と思ったところが中心なので、語句の説明以外の部分がほとんどな気が。
・具体思考 ⇔ ・一般思考
・全体思考 ⇔ ・部分思考
・確率思考 ⇔ ・個別思考
・質問思考 ⇔ ・解答思考
・仕組思考 ⇔ ・努力思考
・行動思考 ⇔ ・計画思考
詳しくお知りになりたい方は、やはり本書にてご確認頂いた方が良いと思われ。
◆ちなみに、一般的に「勉強本」(受験を目的とした「狭義の勉強本」という前提ですが)と呼ばれる本は、3つくらいに分類されると個人的には考えています。
(1)テクニック中心の本
(2)モチベーション中心の本
(3)スケジュール中心の本
もちろん、それ単独だけでなく、これらのうちの複数のテーマを扱う本も多いのですが、ざっくり分けるとこんなところかと。
ところが本書はそのどれにも当てはまらず、しいて言うなら(1)の「テクニック」の前提となる感じです。
つまり「テクニック」がアプリケーションなら、「OS」に当たるものではないか、と……って、こういう比喩をどこかで見た記憶がw
◆なお、本書には具体的な勉強のテクニックはほとんど登場しません。
宇都出さんの過去の著作に収録されている「三菱プロッキーを用いて、テキストや過去問の見出しやキーワードを○で囲む」話や、「過去問をバラして持ち歩く」話が、必要に応じてちょこっと顔を出す程度。
その一方で、「高速大量回転法」や「テキストまるごと記憶法」といった勉強法の名称が普通に出てくるので、宇都出さんの過去の著作、せめて前作にあたる『合格る技術』は読んでいないと、ピンと来ない可能性はあります。
それでも、資格試験等を受験される方の中で、「スベる思考」にハマっている人なら、本書を読んで「目からウロコが落ちる」ことウケアイかと。
「なぜか合格(ウカ)らない人」に捧げる1冊!
合格(ウカ)る思考
はじめに 〈がんばりたい〉人お断り!
第1章 合格る思考(1)〈加点思考〉
第2章 合格る思考(2)〈具体思考〉
第3章 合格る思考(3)〈全体思考〉
第4章 合格る思考(4)〈確率思考〉
第5章 合格る思考(5)〈仕組思考〉
第6章 合格る思考(6)〈質問思考〉
第7章 合格る思考(7)〈行動思考〉
【関連記事】
【力作!】『合格(ウカ)る技術』宇都出雅巳(2011年02月24日)【読者特典アリ!】『なるほど! 合格勉強術』宇都出雅巳(2013年10月31日)
【勉強法】『「1分スピード記憶」勉強法』宇都出雅巳(2012年04月06日)
「速読勉強術」宇都出雅巳(2007年02月03日)
【編集後記】
今日のご本はまだなんですが、こちらは既にKindle版が出ています。合格る技術
紙版の中古本が値崩れしていないので、こっちの方がお得ですね!
ご声援ありがとうございました!
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