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2014年07月18日

意外と知られていない『情報を捨てるセンス 選ぶ技術』のテクニック10選


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情報を捨てるセンス 選ぶ技術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、私たちが意思決定する際に起こりうるさまざまな問題について掘り下げた1冊。

さすが翻訳本だけあって、実験や研究結果でしっかり裏付けされた内容でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
2008年に私たちが消費した情報量は1960年代の3倍。それが、2020年には現在の44倍になる見通し。
あふれる情報の海の中で、いかに正しい決断を下すべきか?
英国の、気鋭の経済学者が、エビデンスをもとに書き下ろした話題作!

思わず付箋も貼りまくり!?



なお、記事タイトルは久しぶりに「ホッテントリメーカー」のお世話になっておりますので、テクニックは10個も(ry。





【ポイント】

■1.職場の「雑音」が生産性を低くする
マイクロソフトリサーチが従業員のパソコンを使った活動状況を2000時間以上追跡調査した結果、一度メールの受信音で作業を中断されると、やりかけの作業に対して元の集中レべルまで戻すのに平均22分かかることがわかった。このうち27パーセントのケースでは、最初に行っていた作業に戻るのに2時間以上かかっている。より最近の調査では、作業がメールによって中断されると、その作業時間は、中断されなかった場合の3分の1ほど長くかかることが判明した。コミュニケーション会社であるポーター・ノベリ社が従業員に対して行った調査では、ひっきりなしの電話とメールによって、人のIQは一時的に10ポイントも低下することがわかった。これはかなり驚くべき数字だ。


■2.人は言葉の影響力に支配されている
 履歴書にどんな言葉を使うかが採用の際の受けとめられ方にどう影響するかに注目した、最近の研究の結果も気になるところではないだろうか。履歴書に「海外のお客さまとコミュニケーションが取れる」「大きな部署を管理していた」といったぐあいに、自分のセールスポイントを三人称で記した志願者は、「私は海外のお客さまとコミュニケーションが取れます」とか「私は大きな部署を管理していました」などと一人称で記した志願者よりも、信頼できる、自慢をあまりしない、チームでの作業に向いている有力な候補者と評価されたことがわかっている。どちらも書かれていた内容は同じであるにもかかわらず。


■3.「もし……だったら」と自分に問いかける
 たとえば、住宅物件を見に行った際、焼きたてのパンのにおいがしてきたら、無理やりこう考えるようにしてみよう。もしこんないいにおいがしなかったら、この家をそれほど気に入らなかったのではないだろうか?(中略)
 研究によると、たんに「もし……だったら」と自分に問いかけてみるだけで、別の解釈や違ったとらえ方ができるようになり、判断に影響を及ぼしかねない枠組みや暗示、アンカリング効果、レトリックから距離を置くことができる。こうした錯覚や誘発作用から解放されることによって、感情とは切り離された、ニュートラルで分析的、なおかつ微妙な違いがわかるレンズを通して、情報を検討できる。


■4.相手の利害関係を意識する
スポーツドリンクの飲用を推奨する科学的"真理"――脱水症状を起こさないためにつねに水分を補給するべきだ。喉が渇いても脳は気づかない。スポーツドリンクは水中毒のリスクを軽減する。など――は、あなたが考えているほど中立的ではないかもしれない。
 ロンドンオリンピックに合わせて実施され、「イギリス医学会会報」に発表された調査から、こうした効能のすべてが、ゲータレード、パワーエイド、ルコゼードなどのスポーツ飲料メーカーが資金提供する、きわめて選択的な研究に基づいていることがわかった。
 重大な"客観的"アドバイスを専門家に求めようと思っているなら、あらかじめその専門家がどこから資金提供を受けているか、どんな利益相反が起こり得るのかを調べるべきだ。


■5.自分の感情を意識すると優れた意思決定ができる
 セオとバーレットが見いだしたのは、意思決定でもっとも重要な考察は、自分がどんな感情を抱いているかを認識し、それに応えているかどうかだということ。つまり内省ができて、「OK、病院の検査結果を待っている私はとってもナーバスになってる。これなら無意識のうちに用心深くなっているだろう。それを頭に入れておかなきゃ」と考えられることだ。
 自分の感情に気づくだけで優れた意思決定ができるなんて、ちょっと出来すぎていてにわかに信じられないかもしれないが、多くの研究もこれがまさしく事実であることを示している。


■6.低血糖か否かで判断は変わる
 イスラエルでなされた仮釈放手続きに関する最近の調査で、判事が仮釈放を認めるかどうかを決定づけた主要因は、受刑者の性別でもなく、人種でもなく、犯罪の重大さですらなく、判事が法廷に入る前に何か食べたかどうかだったことが判明した。
 受刑者が判事の前に現れたとき、判事が午前10時のおやつ(サンドイッチやフルーツ)を食べる前で血糖値が低かったら、それは最悪のタイミングだ。そんなタイミングなら、受刑者が仮釈放を認められる可能性は非常に低い――ほとんどゼロパーセントだ。おやつを食べた直後なら、その可能性は65パーセントになる。昼食直前というもうひとつの最悪タイミングなら、仮釈放の可能性は10パーセント。昼食直後なら、ふたたび65パーセントに跳ね上がる。


【感想】

◆これだけ厚く、かつ冒頭の画像にあるように付箋を貼りまくっている以上、抜粋できなかった部分が多く、茫然としたワタクシ。

そもそも、アマゾンの内容紹介に、ネタの一部が列挙されているのですが、このうち本エントリーで取り扱ったのは、上記ポイントの4番目の利害関係の話のみという。

「ひょっとして抜きどころ間違えたんじゃないのか?」という不安を抱えたまま、さらにアマゾンでも触れられてなかったいくつかのネタをご紹介していきますw

まずは「脳は"自分にとっていい話"を好む」というお話。

たとえば、不妊症になる確率が予想より低いと分かった場合、新たに知った「望ましい」情報は受け入れる一方で、逆に「悪い出来事」が高い確率で起こるという情報は、脳が無視するのだそうです。

ここにおける問題は、これが意識的なものではなく、無意識下で起こるということ。

つまり、「悪いことが自分に起こる」という情報は、常に適切に処理されないワケです。


◆また、上記ポイントの2番目の「言葉の影響力」に関連して、「比率とパーセンテージで意思決定が変わる」というお話を。

精神病院の患者である「ジョーンズ氏と同様の患者が100人いたら、20人は他人に暴力を振るうだろうと判定されている」という言い方と、「ジョーンズ氏と同様の患者については、20%が他人に暴力を振るうだろうと判定されている」という言い方とでは、それを聞いた専門家(犯罪心理学者&医師)の考えには違いが出るのか否か?

これが何と、言ってる内容は全く同じでも、明らかな違いがありました。

比率(100人中20人)で言われた専門家の41%が退院を許可しないよう勧めた一方、パーセンテージで言われた専門家が退院許可をしないよう勧めた割合は21%だけだったとのこと。

……これはキャッチコピーを考える場合にも意識した方が良さそうですねw


◆それと、これは大昔に友野先生の『行動経済学 経済は「感情」で動いている』で読んだネタなんですけど、大事なことなのでもう1度。

いわゆる「条件付き確率」と呼ばれるお話です。

「100人に1人」で乳がんにかかると仮定した場合に、マンモグラフィーの結果「陽性」反応が出て、この検査は90%の確率で正しいとすると、乳がんにかかっていない確率はどのくらいなのか?

多くの人は「10パーセント」だと考えるのですが、正解は「およそ91パーセント」(詳細は本書を)。

これは無意識下というより、確率の計算の問題なのですが、直感とずいぶん違うものだな、と。


◆本書はこのように、「誤りがちな意思決定」のケースを多数収録。

ただし、列挙するだけでなく、上記ポイントの3番目や5番目のように、実際にできるTIPSについても触れられていました。

特に後者については「感情を書き出す」ことが本書では推奨されているんですが、まさに昨日ご紹介したこの本では別の理由から勧められていて。

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絶対的な自信をつくる方法---「OKライン」で、弱い自分のまま強くなる

参考記事:【正しい目標設定とは?】『絶対的な自信をつくる方法---「OKライン」で、弱い自分のまま強くなる』森川陽太郎(2014年07月17日)

私自身、意思決定等する際には「感情は押し殺すもの」と思っていたのですが、むしろ「逆」だったんですね(知らなんだ)。


正しく意思決定をしたいなら、必読です!

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情報を捨てるセンス 選ぶ技術
Chapter1 この決断が人生を変える
Step1 めまぐるしく変化する世界とどう取り組むか?
Chapter2 目を見開いて世界を見る
Step2 正しい情報を見落としていないか?
Step3 言葉の力にあやつられていないか?
Chapter3 “真実の管理人”になる
Step4 専門家に服従していないか?
Step5 素人専門家を見逃していないか?
Step6 誰もが“市民ジャーナリスト”になり得るのか?
Step7 成りすましとやらせを選別する
Chapter4 サバイバルスキルを磨く
Step8 数学から逃げていないか?
Step9 “自分という受信機”をチェックしているか?
Chapter5 いまこそ変革を起こす
Step10 “みんなの判断”に同調していないか?


【関連記事】

【痛快!?】『お金と感情と意思決定の白熱教室: 楽しい行動経済学』ダン・アリエリー(2014年07月08日)

【スゴ本!】『決定力! :正解を導く4つのプロセス』チップ・ハース,ダン・ハース(2013年09月20日)

【ヒューリスティック】『思い違いの法則: じぶんの脳にだまされない20の法則』レイ・ハーバート(2012年04月24日)

【意思決定】「まさか!?―自信がある人ほど陥る意思決定8つの罠」マイケル・J・モーブッサン(2010年04月16日)

【決断】本田直之さんの「意思決定力」から学んだ6つのポイント(2009年10月17日)


【編集後記】

◆私が好きな著者さんの1人である楠木 建さん。

その新刊のKindle版が、今見たらほぼ半値になっていました。

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「好き嫌い」と経営

滅多にKindleを読まない私ですが、これは心惹かれる……w


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