2014年07月03日
【オススメ!】『頭のよさとは「ヤマを張る技術」のことである』鬼頭政人
頭のよさとは「ヤマを張る技術」のことである
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「開成⇒東大⇒司法試験一発合格」の経歴を誇る鬼頭政人さんの勉強本。当初タイトルを見た時は、「不労所得」的なぁゃιぃ内容かとも思ったのですが、実は「過去問を重視」して「重要部分をあぶり出す」理にかなった勉強法が展開されていました。
アマゾンの内容紹介から。
試験は出る場所=ヤマが決まっている。9割の人がこの「秘密」を知らず、余計な努力をしています。ヤマは勘ではなく「技術」で見つけられます。本書の方法論を実践すれば、試験の合格率は10倍アップします!
他のどんな勉強本をお持ちの方でも、「一読の価値アリ」だと思われ。
思わず付箋を貼りまくりました!
Exam / albertogp123
【ポイント】
■1.過去問は「5度見」する1回目は、基本的な事項について学習する前に実施します。この段階では、過去問を解こうとしてはいけません。まずはひと通り読んで、「どのような問題が出て、何を間われるのか」を知れれば十分。目的は、本試験で目指すゴールのレべル(出題範囲の広さと難易度)を把握することです。
2〜4回目は、ひと通り出題範囲のインプットを終えた段階でチャレンジします。
過去問を範囲別に解き、間違えた部分については、次の日、1週間後と何度もできるようになるまで復習します。この段階での目的は、本試験特有の問題の出し方、問題文の中に潜むヒントの見つけ方を身につけることです。(中略)
最後の5回目は、試験直前期に行います。最終的に試験に対する感覚を研ぎ澄ますために、直近年度の過去問を年度ごとに解いていきます。
■2.「厳選過去問題集」は買ってはいけない
範囲別の過去問集のメリットとは、「範囲ごとに過去問のボリュームがどれくらいあるかわかり、試験に出る重要な2割の部分が一気に浮き彫りになる」ことです。
たとえば、「ある範囲については、過去問が100問掲載されているのに、ある範囲については過去問が10問しか掲載されていない」というケースはざらにあります。
5年分、10年分の過去問を範囲別にまとめるだけで、「どの分野がよく出題されていて、どの分野はあまり出題されないか」が一目瞭然になります。ヤマを張るべき分野が見えてくるわけです。
一方、「厳選過去問集」は無駄を排除して網羅性を重視するあまり、全範囲についてひと通り掲載しているので、重要な分野がわかりにくくなってしまうのです。
■3.択一試験で「正しい」と判断するのは難しい
「AはBである」という単純な文章が選択肢として並んでおり、それらの「○」「×」を判定する問題があるとします。選択肢の中から誤っているものを選ぶ場合、1つでも誤っている選択肢を見つければ、それが正解です。この場合、たとえほかの選択肢が正しいかどうか自信がなくても、あきらかに間違っている選択肢を1つ見つければ正解にたどりつけます。
しかし、複数の選択肢の中から正しいものを選ぶ場合、「ほかの選択肢がすべて間違っている」という判定をする必要があります。誤っているものを選ぶ場合に比ぺて「間違いを見つける」作業を格段に多く求められるのです。
■4.「100点」ではなく「80点」を目指す
「80点を取る勉強と100点を取る勉強は全然違う」などとよく言われたりしますが、これは的を射ています。私の感覚では、100点を取るには80点を取る場合に比べて2倍程度の勉強量が必要です。(中略)
最も重要なの80%を到達目標点と定めて、そこに最速で到達することです。80%から100%へと引き上げる道のりについては、残念ながら「ヤマを張る」ことではスピードアップはできず、地道な努力が必要になります。
一方で、80%に到達するスピードは人によってまちまちであり、「ヤマを張る」ことで相当なスピードアップが可能です。
したがって、100点でなく80点を目指すことによって、最も効率的に合格を勝ち取ることができます。
■5.「苦手科目」と「投資効果の高い科目」に時間をかける
まず重要なのは、苦手科目(その科目で取りたい点数と現状とのギャップが一番大きい科目)を重点的に勉強することです。(中略)
投資効果の高い科目に時間を配分(BET)するのも有効です。
一番のおすすめは、自分がまだ体系的に理解できていないと感じるような理論科目があれば、急に理解度が高まるレべルに達するまで集中的に勉強する方法です。
また、自分がまだ合格レべルに到達していない暗記科目があれば、単語や表現を覚えるのも有効です。計算科目の解法パターンを覚えていくのもいいでしょう。
逆に、すでに合格レべルに到達してしまった科目や感性科目については、勉強しても点数に結びつきにくく、点数を上げるのに多くの時間を要するので、勉強してもあまり意味がありません。
■6.ヤマ以外の部分についても最低限の内容は答えられるようにしておく
具体的には、ある分野について「捨てる」という戦略は取らず、「手薄にする」という戦略を取ります。「手薄にする」程度であれば、「まったく何もわからない」という事態は回避できます。(中略)
また、論述式でも最低限の答案を書いておけば、平均以下の得点であっても、ほかの問題で巻き返しが可能になります。(中略)
問題文に「最低○文字以上」という指定がないかぎりは、「短い答案だから点が取れない」ということはありません。採点基準上、点数になる記述があれば得点になります。
【感想】
◆タイトルにデカデカと「ヤマを張る技術」とあるにもかかわらず、本エントリーではその具体的な張り方について、ほとんど触れておらず申し訳ございません。下記目次にもあるように、第2章や第4章はモロにそのテーマなのですが、ぶっちゃけ「それ以外の部分」だけでもこの濃厚さ。
特に第3章の「過去問」ネタについては、上記ポイントの1,2番目のほか、ここだけでも1本記事が書けるほどの付箋の量でした。
実際、どの勉強本でも「過去問大事」とは言ってはいるものの、「具体的に何をどれだけやるべきか」まで掘り下げているものは少ない気が。
その点本書は、章まで設けている位ですから、その力の入れ具合は半端ありません。
なお、著者の鬼頭さんは、司法試験を受験する際、40年分以上の過去問が収録された問題集を取り寄せたのだとか(スゲー)。
◆また、上記ポイントの2番目を補足すると、択一式の問題は大雑把に言って、次の4つのレベルがある、と。
(1)穴埋めになっていて、穴に入る言葉、またはその組み合わせを選択肢から選ぶ
(2)選択肢の中から誤っているものを選ぶ
(3)選択肢の中から正しいものを選ぶ
(4)選択肢のうち、正しいもの、または誤っているものの個数を選ぶ
(1)と(4)のレベルの差を意識している方(私は(4)の問題自体解いたことがありませんでしたが)でも、(2)と(3)の難易度の違いについては、意外と気づいていないもの。
さらに選択肢が「AはBであるが、CはDである」という文章だと、正しいものを選ぶ場合、「○・○」「○・×」「×・○」「×・×」という4パターンのうち、「○・○」だけしか正解になりません。
間違っているものを選ぶのであれば、「AはBである」の正否だけでいいものが、正しいものを選ぶのだと、両方とも知らないと解けないワケです。
言われてみれば、なるほど確かに!
◆一方、上記ポイントの5番目についても、若干説明が必要かと。
鬼頭さんは、科目ごとの「投資対効果」を意識しており、カテゴライズすると次の4つになるのだそう。
・暗記科目(英語・古文・漢文など)
・計算科目(数学・簿記など)
・理論科目(法律学・会計学など)
・感性科目(現代文・小論文など)
本書には、それぞれの科目の特徴や、「効用(理解度・点数)/勉強時間」のグラフが収録されているのですが、詳しくは本書にてご確認を。
いずれにせよ、理論科目は、「ある分野の知識をほかの分野に応用できる幅が広い」のですが、「分野間の関係がわからないと理解が進まない」ため、ある時点までは、なかなか点数が伸びません。
そこで理論科目は、ポイントの5番目にもあるように、「その伸びる時点まで集中して勉強をすべき」ということになるわけです。
◆さらに上記ポイントの6番目は、「ヤマを張る」こととはある意味逆説的なのですが、ヤマが外れた場合についても対策をとるべし、というお話。
これについては、私自身、税理士試験で思い出すことがありました。
とある税法で、滅多に出ない範囲の問題がポロっと出た年の翌年に、私は初めてその税法を受験したのですが、年末の合格発表以後、他校から移ってきた生徒さんが結構いて。
どうもその他校では、出題された「ノーマーク」の部分を授業で触れもしなかったそうなのですが、私が通った資格試験の専門学校では、その部分について「もし出題されたら、キチンと解答できなくてもいいですから、解答の柱だけでも書いて下さい」と指導していたのだそうです。
結果的に、その年の法人税法の合格者は、他校はボロボロ(一説によると、かけもち受講の生徒以外全滅だったとか?)だったらしく、「何も書けない」ことがどんなに危険かを痛感した次第。
まさにポイントの6番目の「最低限の答案を書く」のは大事だな、と。
◆ちなみに、私はスルーしてしまいましたが、資格試験を受験する方なら、第2&第4章の「ヤマの張り方」も、要チェックです!
インターネットで出題者の特徴(得意分野や論文、著作等)を調べるのはもちろんのこと、法律が変わる場合に「出されるケース」もあれば「逆に出されないケース」もあるなんて(詳細は本書を)!
それにしても、「試験委員が出版した書籍の改訂版が、ちょうど試験問題作成時期に出版される場合、改訂部分にヤマを張る」なんて、マニアック過ぎるw
この辺の作業は、受験予備校に任せておけばいいや、と思っていると、「本試験の作成前に行われる有名予備校の予想問題は当たらない」という衝撃的な指摘もアリ!?
何でなのかは、これまた本書を読んで頂くとして、「予想問題が的中!」という予備校の宣伝を思い出すと、確かにその傾向がありましたw
ホントに受験される方なら、一読すべし!
頭のよさとは「ヤマを張る技術」のことである
1.「ヤマ張り」が合格への最短ルート
2.出題者を知れば、「ヤマ」が見えてくる
3.最強の参考書「過去問」をやり尽くす
4.「試験形式」と「出題サイクル」からヤマを張る
5.最速で合格する「ヤマ」の登り方
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【資格試験】「大人のための最短・最速勉強法」中村一樹(2007年07月30日)
【編集後記】
◆これまた気になる勉強本が。難関資格に確実に合格する勉強法
こちらは、公認会計士試験を乗り切った著者さんによる勉強本ということですし、チェックしなくては!
ご声援ありがとうございました!
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