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2014年07月01日

【思考法】『実践型クリティカルシンキング』佐々木裕子


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実践型クリティカルシンキング (次の10年にプロフェッショナルであり続ける人の教科書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「東大法学部〜日銀〜マッキンゼー」という華麗な経歴を持つ佐々木裕子さんの最新刊。

ディスカヴァーさんの新シリーズである「21世紀を生き抜くビジネススキルを提供する『21世紀スキルシリーズ』創刊第1弾! 」なのだそう。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
クリティカルシンキングをするのは、難しいことではありません。
しかし、とことん考え、何度もやり直し、なんとかして自分の納得する答えにたどり着く、「自ら考える力」を鍛え抜くことが必要です。そして、その考える筋力こそが絶対的な正解のない激動の21世紀を生き抜いていくために必要なスキルなのです。
本書は、パラパラと読んでなんとなく賢くなった気がして終わり、という本ではありません。
明日から実践するためのテキストです。
ぜひ、あなたも生徒の1人になり、自分で考え、手を動かして授業に参加してください。

なるほど、本書は実際に行われた講義をもとに編集されただけあって、「クリティカルシンキング」を体感することができました!





3D Employment Graph / StockMonkeys.com


【ポイント】

■1.クリティカルシンキングの必要性とは?
 ロジカルシンキングは、物事を構造的に整理するにはとても有効ですが、今のような絶対的な正解のない時代において、それだけでは結果は出せません。自ら目指すものを設定し、その目標を戦略的に達成していくことが求められ、そのための思考技術がクリティカルシンキングなのです。(中略)
 つまり実践型クリティカルシンキングとは、
・「目指すもの」を選成するために、
・「自分の頭」で考え、行動し、
・「周りを動かす」ための実践的な思考技術

なのです。


■2.クリティカルシンカーが答えられる3つの問い
 ですから、つねに自分に問いかけてください。自分の将来でも、会議でも、何か始めようとするとき。
(1)目指すものは何か?(いつまでに、どのくらいのレべルで?)
(2)今と目指す姿のギャップ(=課題)は?
(3)ギャップを埋めるための具体的なアクションは何か?
 これらすべてにちゃんとに自分で説明できれば、その実現性はかなり高いといえるでしょう。
 シンプルな話なのですが、これを具体的に考えて徹底してやるということが、実はとても難しいんです。


■3.「なぜ?」「ホント?」「具体的には?」を繰り返す
 ズームイン、ズームアウトをするために、よく私がする3つの質問をご紹介します。
「なぜ?」「ホント?」「具体的には?」
なぜ、みんな残業をしているのか?
ほんとうに絶対にやらなければならない仕事がそんなに多いのか?
・じゃ具体的に「絶対に今よりも効率化できない仕事」とは何か?
なぜ、もっと効率化できないのか?
・絶対に効率化できない仕事は具体的にどれくらい量あるのか?(中略)
 これにずっと答え続けられるのカクリティカルシンカーなのてす。


■4.ピラミッドストラクチャーが大事な理由
 ロジカルシンキングやクリティカルシンキングの世界では、すべての課題の構造は「ピラミッドストラクチャー」だと言われています。
 選択肢や理由などを分解していくとき、どれか1つを選ぶと、捨てた選択肢はもう検討しなくていい。これがピラミッドストラクチャーの最大のメリットです。
 たとえばAさんの、原因は「面談件数×成約率×1成約当たりの単価」のように分解されました。調べると「1成約当たりの単価」が問題だということに絞り込めた。そうすると、もう「面談件数」と「成約率」の枝は掘らなくていい。もう「面談件数」はなぜ少ないのか? っていう情報収集をしなくていい。アポイントメントを取るトークスキルが低いのかな? とか「捨てた枝」の情報収集をしなくてよくなるわけです。


■5.問題の本質を理解するための3つのポイント
 罠に陥らないための3つのチェックポイントを紹介します。
(1)言葉の定義は明確か?
(2)どんな課題解決にリソースを集中するか、具体的に判断できるか?
(3)解決策がアクションレべルで透けて見えるか?
 フレームワークなどを使って整理してみたら、最後に自分で問うてください。
 このチェックポイントを満たす構造化ができているか? ズームインができているか?


■6.紙と鉛筆を湯水のように使う
 図解してくださいとか、分解してくださいというと、パワーポイントやエクセルなどで図やグラフをつくる人が多いですよね。たしかに見た目はきれいに整います。
 でも、これらを使うと、思考をどんどん狭めていく傾向があります。なぜかというと、いろいろな機能を使うとか、コピぺをするとかの「作業」がそこに入るんですね。私の経験上のことなので、あまり論理的に説明できないんですが。
 でも、紙と鉛筆って思ったことをそのまま自由に書けますよね。ほとんどストレスなく自由に書ける。修正もすぐできるし、何回も書き直すことができるんです。最初からきれいな構造化ができるわけがありませんから、まずは汚くて自分にしかわからないものでいいので紙と鉛筆でやってみてください。


【感想】

◆一部(ポイントの4番目)を除いて、事例や演習問題の内容が出てこないような部分に絞って選んでみました。

ゆえに、今度は逆に「具体的にはどういうことなの?」という部分が欠落することに。

本書の場合、事例や演習問題を、各々が自分で考え、解答していく過程において、クリティカルシンキングが身につく仕様です。

ですから、上記ポイントで「何言ってるのか良く分からない」方でも、おそらく本書を読めば腑に落ちまくることウケアイかと……って言っちゃうと、このエントリーの意味がないんですがw


◆一応、用語の補足をしておくと、上記ポイントの3番目に出てくる「ズームイン・ズームアウト」。

これは簡単に言うと、前者は「細かく砕いて、核心に迫る力」で、後者は「思考や発想の枠を広げる力」になります。

ちなみに、このポイント3番目での事例は「残業をゼロにすべきかどうかを決める」というもの。

具体的に「残業をゼロにしたい」という目的が定義されたとして「なんでゼロじゃないのか?」「どうしたらゼロになるのか?」を考えていく過程において使うのが、この「ズームイン・ズームアウト」なワケです。

この例だと、「ズームイン」は「平均何時間残業しているのか?」「なぜ長時間残業しているのか?」等々。

「ズームアウト」は「そもそも、残業しなきゃならないほどの仕事量が本当にあるのか」みたいな話になります。

そこで、ポイントの3番目で言うように「なぜ?」「ホント?」「具体的には?」を繰り返すベシ!


◆一方、その「一部」が登場している上記ポイントの4番目の演習とは、「年金営業マンのAさんは、なぜパフォーマンスが悪いのか?」というケース。

自分が年金営業所の所長である、という設定で、部下のAさんの営業成績が思わしくない場合に、どうすればAさんの売上があがるかを考えます。

「訪問数が少ない」「顧客設定が悪い」「単価が低いものしか売ってない」等々、色々な要因が考えられますが、ここでは「ズームイン」することで、売上高を分析。

売上高とは、ポイントの4番目にもあるように「面談件数×成約率×1成約当たりの単価」で表すことができます。

そこで、それぞれの項目ごとに、原因を探っていけばいいわけですね。


◆この演習は比較的分かりやすかったのですが、続く「『女性リーダー育成チャレンジプログラム』の課題を特定する」というのはひと苦労!?

簡単に言うと、「過去20年間男女同数の新卒採用をしてきた」にもかかわらず、「課長以上の管理職は95%が男性」であるというA社では、この状態を改善するため、「課長候補の女性10名を1年間子会社に派遣して、1つ上のマネジャー職にトライアルさせる」プログラムを始めたものの、あまり成果が出ない、という現状において、課題を特定する、というものです(全然簡単じゃないですがw)。

みな、MECEに分けて分析していくのですが、どうもしっくりきません。

実はこの演習は、「一定のデータがあるところから全体像をとらえ直す」ズームアウトをしていく必要がありました。

本書内では、講師の佐々木さんが模範解答を示すのですが、それでも5回くらい書き直されたのだとか。

このように「しっくりくるまで」繰り返し思考する必要があるのだな、と……。


◆本書では、他にも興味深い演習が登場しています。

・日本の人口を10年後に1.2倍にするには?

・21歳の大学生がエベレストに登るには?

・自分の目標を達成するための打ち手を考える
etc...

特に真ん中のエベレストのお話は、実際にモデルがいるのですが、そのアプローチは「目からウロコ」でした(詳細は本書を)。

ちなみに、解答とは直接関係ないんですが、日本でいちばんたくさんエベレストに登っているのは誰か、というのもワロイましたがw


「クリティカルシンキング」を実践できる1冊!

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実践型クリティカルシンキング (次の10年にプロフェッショナルであり続ける人の教科書)
1時間目 実践型クリティカルシンキングとは
2時間目 目指すものを定義する
3時間目 何が問題なのかクリアにする
4時間目 「ギャップをどのように埋めるのか?」打ち手を考える


【関連記事】

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【編集後記】

◆佐々木さんは、この「次の10年にプロフェッショナルであり続ける人の教科書」シリーズからもう1冊出されています。

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数字で考える力 (次の10年にプロフェッショナルであり続ける人の教科書)

こちらもなかなか、面白そうな。


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