2014年06月27日
友達には秘密にしておきたい『敵を味方に変える技術』
敵を味方に変える技術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった1冊。「影響力の行使に関する第一人者」であるボブ・バーグが、対人関係の秘訣を指南してくれています。
帯に書いてあるフレーズが版元サイトにあったので、そちらを。
人生の成功は対人関係が9割! 「21世紀のデール・カーネギー」と呼ばれる人気コンサルタントが明かす、職場、学校、家庭で今日から使える驚異の技術。『影響力の武器』チャルディーニ、『7つの習慣』コヴィー推薦!
ロバート・チャルディーニとスティーブン・R・コヴィーが推しているとあらば、読まざるを得ないでしょう!?
……なお、記事タイトルは「ホッテントリメーカー」のお世話になっております。
Businessmen shaking hands / reynermedia
【ポイント】
■1.一瞬考えてから口を開く言葉を発する前によく考えることを方針にしよう。一瞬、口を閉じることがカギだ。しかし、ほとんどの人にとって、それは自然にできることではない。だから、日ごろそういう事態を想定して練習しておかなければならない。場合によっては、何も言わないこと(少なくともしばらくは)が最も賢明な選択肢である。(中略)
誰かがあなたを批判したり侮辱したりしたとき、あなたは言葉を発する前によく考えるべきだ。取り消すことができない言葉の弾丸を発する前に、いくつかの選択肢を入念に検討する必要がある。
一瞬、口を閉じて冷静に判断し、問題解決につながる利口なことを言おう。あなたは必ず優位に立てるはずだ。
■2.まず「そうですね」と同意する
相手が明らかに間違っていることを言った場合、あなたはどうすべきか。
まず、「なるほど、そうですね」と言って賛同することだ。これは相手の警戒心を取り除く効果的な方法である。相手からすると、当然、あなたが反論すると予想していたのに賛同してくれていることに意表を突かれるのだ。(中略)
しかし、あなたはそこでやめてはいけない。相手への賛同を表明したからといって、自分の主張を放棄すべきだということにはならないからだ。
これまで紹介した説得の手法のいくつかを活用しよう。たとえば、「私はもしかしたらこうではないかと思うのです」とか「じつは、私はこんなふうに思っています」といった前置きの言葉を使って相手の心理的抵抗をやわらげるのだ。
■3.敵対的な相手には「どうすれば力になれるか?」とたずねる
難しい相手と対面すると、交渉の達人は「○○さん、この話し合いによってどんな成果を上げたいですか?」と問いかけるのだ。
交渉の達人によるこの冷静な質問は相手の意表を突き、どんなやりにくい人に対しても取り乱さず、お互いの利益になるような話し合いをする姿勢を伝えるのに役立つ。
人を動かすときは、自分の感情をコントロールして冷静な態度で「どうすればおカになれるでしょうか?」と質問しよう。
そうすれは、相手は前向きな姿勢でその質問に答えようとするから、双方に利益をもたらす対話が成立しやすくなる。
■4.相手に賛同している部分を指摘する
意見が対立している相手の警戒心をやさしく解いて味方につける最も効果的な方法のひとつは、まず相手の言い分を指摘することである。
相手に賛同している部分を発見して指摘しよう。相手の気持ちを理解しているだけでなく、相手の意見が理にかなっていることを示すのだ。そして、「あなたは理にかなった議論をしていて、それは一考に値します」と言うといい。
これで相手は安心するから身構えなくなる。あなたに論戦を挑まれて間違いを指摘されるという不安から解放されるのだ。
相手はあなたに敬意を抱き、あなたの意見に心を開く。実際、相手はあなたの主張を擁護してくれるはずだ。当然だろう。あなたは相手に敬意を示し、相互理解の精神にもとづく親切な態度をとっているのだから。
■5.批判者を好意的に評価する
誰かがあなたを批判しているという噂を聞きつけたら、批判者を称賛し、「あの人がそう言っているのなら、指摘された点を考慮しようと思います」と言おう。
そうすれば、その噂を伝えてきた人の気持ちを落ち着かせることができる。その人はあなたと議論することができなくなる。なぜなら、あなたは礼儀正しく議論を拒否したからだ。しかも、その人は批判者を含めて誰にもあなたの反論を伝えることができない。なぜなら、あなたはひと言も反論していないからだ。
できればリンカーンのように、最初に「私はその人を尊敬しています」と言うといい。そうすれば、あなたの立場はよりよくなる。
■6.親切心と感謝の気持ちを表現しながら断る
いいことを教えよう。あなたは「ノー」と言うことができる。しかも、相手に気配りをしながら親切かつ丁寧にそれをして、相手に気分をよくしてもらう方法がある。
具体的にどうすればいいか。ある委貝会の役員になってほしいと頼まれたが、なんらかの理由でそれをしたくないという状況を例にとってみよう。たんに「ご親切な提案をいただきまして、ありがとうございます。私はそれをやってみたいとは思いませんが、ご依頼をいただいたことはたいへん光栄です」と言えばいいのだ。
要は、親切心と感謝の気持ちを表現しながら断るということだ。
【感想】
◆冒頭の内容紹介で、「『影響力の武器』チャルディーニ、『7つの習慣』コヴィー推薦!」とあった割には、「はじめに」にも「おわりに」にもその件については一切記述がなく、かつ、翻訳の弓場さんの解説等もなかったため、ちょっと気になったワタクシ。仕方がないので、原本のサイトをチェックしてみました。
Adversaries into Allies: Win People Over Without Manipulation or Coercion: Bob Burg: 9781591846369: Amazon.com: Books
ほう、確かにチャルディーニとコヴィーの名前が出ていますね(他にも、初っ端が『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』のアダム・グラント)。
しかも、アマゾンレビューもおおむね好評のよう。
さすが「21世紀のデール・カーネギー」と呼ばれるだけのことはあります。
◆そもそも本書が目指すのは、単純に「人に好かれる」という行為よりも、さらに難易度の高いもの。
「敵対している相手を味方にする」のですから、類書と比較しても、そのTIPSは、やや「変化球」が多い気がします。
たとえば上記ポイントの4番目の話に関しては、本書の方では具体例としてリンカーン大統領のエピソードが登場。
何でもリンカーンは、大統領になる前には弁護士として大変成功しており、その秘訣は「冒頭陳述でまず相手側の言い分を要約する」ことにあったのだとか。
「相手の立場の有利な部分を指摘し、それが一考に値することを主張した」のだそうですから、それは裁判官や陪審団の信頼を確保できます罠。
◆続くポイントの5番目の最後にも「リンカーン」と出てきますが、これまたやはりリンカーン大統領のお話。
ある役人が大統領の決定を激しく批判した際、リンカーンは記者の質問に対して「私はその人を尊敬していますから、もしその人が私について発言するなら、一理あるに違いないと思っています」と答えたのだそう。
これは確かに「敵をも味方に変える」威力がありそうです。
ちなみに、どうしても心情的にできないなら、「私はそう思いませんが、ご意見は真摯に受け止めます」と言えばいい、とのこと。
また、直接批判された場合には、同じように「一理あるかもしれませんので、考慮させて頂きます」と言うべきであり、さらに「ご指摘いただきまして、たいへんありがとうございます」とお礼を言う事が推奨されていました。
……いざ面と向かって批判されたら「カーッ」となって、実践するのは難しそうですが、その時こそ、上記ポイントの1番目の「一瞬考えてから口を開く」ですよ!!
◆なお、この辺りを読んでいて、「あー、これってフランクリンが本を借りた話に似てるかも」と思ったら、その後に「自分から友好的な姿勢を見せる」というタイトルで、フランクリンのエピソードも出てきました。
ちょっとした頼みごとで昨日の敵が今日の友に? 「ベンジャミン・フランクリン効果」とは? : ライフハッカー[日本版]
フランクリンについては、「相手に恥をかかせない」というところで「からかうことによって敵を味方に変えることはできない。それどころか、味方を敵に変えてしまうおそれがある」という戒めも掲載されていましたので、こちらもご留意下さい。
他にも泣く泣く割愛しまくっているのですが、詳細は本書にてご確認を。
そのいくつかをご紹介しておくと、こんな感じです。
・「ありがとう」だけでなく、気の利いた短い言葉を添える
・自分ではなく相手の利益を優先しているという姿勢を見せる
・ライバルを称賛して見込み客に好印象を与える
・相手のために逃げ道をつくっておく
……なかなか面白そうでしょw?
対人関係が好転することウケアイの1冊!
敵を味方に変える技術
はじめに 究極の成功法則を伝授しよう
序章 人を動かす5つの原理
第1の原理 自分の感情をコントロールする
第2の原理 お互いの信念の違いを理解する
第3の原理 相手のプライドを尊重する
第4の原理 適切な雰囲気をつくる
第5の原理 共感を示して気配りを心がける
終章 人格を磨く
おわりに 自分のやり方を絶えず修正しよう
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【編集後記】
◆こちらは、今日の本の著者であるボブ・バーグの「世界的名著」。あたえる人があたえられる
マーケットプレイスでも値崩れしてませんし、確かに名著の予感!?
ご声援ありがとうございました!
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