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2014年06月14日

【文章術】『読むだけであなたの仕事が変わる 「強い文章力」養成講座』川上徹也


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読むだけであなたの仕事が変わる 「強い文章力」養成講座


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた1冊。

コピーライター&クリエイティブディレクターである川上徹也さんが、「人を動かす」文章の書き方を指南して下さっています。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
なぜあなたの文章はスルーされるのか?
なぜ、あなたの仕事は前に進まないのか?
それは、「相手を動かすこと」を考えていないからだったのです。
情報があふれるこの時代、「相手を動かす文章力」は必携のビジネススキルになってきました。
本書は「確実に目にとまり、相手を本気にさせる文章つくり方と伝え方」を実況講座形式で学んでいきます。

魅力的なフレーズを書きたい方なら要チェックです!





Writing / dotmatchbox


【ポイント】

■1.メリットとベネフィットは違う
 メリットは一般的な利点なので、お客さんがどんな人でも同じことを語っていればよかったのです。
 でも、べネフィットはお客さんによってハッピーが違うので、テンプレートのように語るだけでは、まったく響かないという可能性も大きいのです。
 ベネフィットは、相手の気持ち(=本音)を理解しないと語れません。


■2.できるだけ具体的に書く
原文
当店ではくつろぎの空間でおいしい料理をおもてなしの心で提供しています。
 ↓
改善 
お座敷に掘ごたつで完全個室。名物「イワシのつみれ」が自慢のちゃんこ鍋をみんなでハウハウしながら召し上がれ。
 抽象的な常套句に比べてイメージが湧き、断然食べに行きたくなるのではないでしょうか?
 このように抽象的な常套句を具体的な言葉にするだけでも、言葉は力強くなります。


■3.疑問を投げかけて相手の興味を引き出す
 下記は"女性の幸せを追求する"雑誌『婦人公論』(中央公論新社)の表紙にあった特集コピーです。
夫はなぜ、私をイラつかせるのか
 大きな疑問というよりも、読者が「共感」できる疑問になっていることが特徴です。想定読者である40代以上の女性が普段なんとなく思っていることを、うまく言葉にすることで共感を獲得し、中身まで読みたくさせているのです。


■4.ターゲットをぐっと絞って呼びかける
 以下の見本は雑誌『SPA!』(扶桑社)の見出しです。年齢という属性でターゲットを絞ったものです。
普通 クビにしたい社員の共通点
 ↓
見本 クビにしたい40代の共通点
 もし自分が40代の会社員だとしたら、どちらがドキッとする見出しかは明白ですよね。『SPA!』の読者層は40代以上がメインになってきているので、ターゲットを絞っているようで実は絞っていないです。それでいて「自分のことかな?」と思わせるのに成功しています。


■5.具体的な数字を入れる6つの方法
(1)かかる時間を数字にする
(2)調査データを詳しい数字にする
(3)抽象的な言葉を具体的な数字にする
(4)数字の単位を変える
(5)ランキングにする
(6)法則化してまとめる

(詳細は本書を)


■6.何を言ったかより、誰が言ったかの方が重要
 ビジネス文章ではロゴス、すなわち論理が優先されがちです。確かにロゴスは重要です。しかし、論理だけでは人は動きません。パトス、すなわち熱意が必要になってきます。ところが困ったことに、パトスだけでは空回りしてしまいます。
 つまり、ロゴスとパトスがバランスよく含まれた上で、エトス(=信頼)が必須なのです。どんないいことを言ってもエトスがないと相手は本気になってはくれません。
 ビジネスにおいては、文章や発言の内容もさることながら、誰が言った言葉かの方が重要視されることが多いのです。


【感想】

◆本書の冒頭には、こんなフレーズがありました。
この本には「主語と述語」「接続詞」「てにをは」「ら抜き言葉」などの項目は一切でてきません。そのような知識が欲しい方は、書店の同じ棚にある、別の文章術の本の方が向いています。
著者の川上さん曰く、「本書は、『正しい文章力』ではなく『強い文章力』に特化した」とのこと。

なるほど確かに、形式的に「正しいか、正しくないか」という話は本書では出てきません。

代わりに出てくるのが、上記ポイントで挙げたような、読者にアクションを取らせるような工夫の数々。

見覚えのあるフレーズも、改めてその意図するところを分かりやすく指摘されると、「だから食いついてしまったのか」と思うワケなのですが。


◆ところで、冒頭の内容紹介にあった「実況講座形式」という記述について。

これは、1つの文章に対して「こういうパターンを使って書き換えましょう」といった具合に例題が出され、それに対して4名ほどの「受講生」の方の回答が、その都度挙げられていることを指しているのだと思います。

ちなみに、川上さんご自身の回答も掲載されていますが、決して「模範解答」という言い方はしていません。

川上さんはプロだけあって、「なるほど」と思わせられるものが多かったものの、読む人によってはちょっとエゲツナイと感じる(その分反応も大きい可能性が高い)であろうものも見受けられたと言いますか。

個人的には「言い切り」のところでの回答は、ちょっとエッジが効きすぎていたと感じました(詳細は本書を)。


◆また、本書で興味深かったのは、1つの「例題」に対する、複数のパターンによるアプローチに挑戦していること。

たとえば「デスクの上が散らかっている人が多いので、社内整理整頓キャンペーンを実施します。ご協力お願いします」というテーマが、「ターゲットを絞り込む」「問いかけて心の中で答えさせる」「びしっと言い切る」「具体的な数字を魅力的に入れる」「心の底から真剣にお願いする」といったパターンのそれぞれで登場しています。

もちろん、そのパターンのみの例題も当然あるのですが、同じテーマで違ったパターンを試みる、というのは、おそらく類書でも試みていなかったハズ。

パターンごとの効果の違いを比較できる、という点で、非常に有り難かったです。


◆なお、巻末の付録が充実しているのも、本書の「お買い得ポイント」かと。

下記目次では「特別巻末付録」とサラッとかかれていますが、この部分だけで50ページ以上ありますから、本来なら独立した章として扱ってもいいくらいです。

参考までに見出しだけあげておくとこんな感じ。
・How to say(どう伝えるか)の表現の型 厳選36

・思わず買いたくなるセールス文章7つの型

・「心を動かす文章」を書きたい時の7つの型
それぞれ単独で記事を書いても、ブクマが付き巻くりそうな感じですねw


人を動かす文章を書くために!

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読むだけであなたの仕事が変わる 「強い文章力」養成講座
1限目 その文章は人を動かせるか?知っておくべき3つのポイント
2限目 ここを間違えると意味がない! 「何を伝えるか?」を探し当てる方法
3限目 相手をゆさぶる「伝え方」は、5つの型だけ覚えればOK
4限目 仕事の成否は「この違い」で決まる ~実況添削講座の時間
5限目 ストーリーで更に深く伝える
*特別巻末付録


【関連記事】

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【ブロガー必読?】『「ひと言」力。サッと書いて、グッとくる99の方法』中谷彰宏(2013年06月04日)

【文章術】『書くことが思いつかない人のための文章教室』近藤勝重(2011年10月02日)

【スゴ本】『いますぐ書け、の文章法』堀井憲一郎(2011年09月09日)


【編集後記】

◆昨日のお買いもの。

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これ1冊で! もっと好かれる「大人のマナー・常識」辞典 (だいわ文庫)

……アマゾンのタイトルが間違ってるんですがw


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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