2014年05月31日
【出世の秘訣?】『人事部だけが知っている あなたの評価を上げる方法』高野美佳
人事部だけが知っている あなたの評価を上げる方法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日に続いて前回の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた1冊。著者の高野美佳さんは、外資系化粧品会社で29年間人事に関わってこられた方なのだとか。
アマゾンの内容紹介から。
経営者と現場の声の橋渡しをする人事部だけに見えてくる「できる社員」と「できない社員」。「ちょっと時間ある?」と人事部に言われたら、昇格、異動、解雇のいずれかである。社員の評価について大公開。
新刊でありながら、すでにKindle版も出ているのも、ポイント高いです!
Human Resources department / cote
【ポイント】
■1.人事評価の7割は「上司」で決まる序章の中で、人事評価は、「上司の評価」と「まわりの評判」で決まるという話をしました。とはいえ、この2つは5:5の割合で人事評価に影響を与えるわけではありません。現実的なことをいえば、「上司の評価」が人事評価の大部分を占めます。
私が人事部で29年間、人事評価を見てきた経験からいえば、人事評価の7割は「上司の評価」で決まるといっていいでしょう。
■2.上司が困ってるケースで手を貸す
上司が「助かった」と感謝してくれるような場面で「私がやります」と手を挙げることによって、初めて上司は「頼りになる」と感謝してくれます。
たとえば、トラブル対応などの緊急事態に率先して動いたり、急な残業を引き受けたり、売上目標が未達になりそうなときに手を尽くしたり……そうしたピンチのときこそ、心理的な貸しをつくることができるのです。
反対に、上司が困っていないことをいくら率先して引き受けても、評価の面ではたいして効果はありませんし、ムダに仕事が増えるだけです。
汚れ役を引き受ける際は、「貸し」になるかどうかを基準にメリハリをつけることが重要です。
■3.上司の指示通りなだけではダメ
終身雇用や年功序列が当たり前の時代であれば、上司の指示通りに仕事をしているだけでも評価されました。
しかし、日本のビジネス社会がグローバル化し、激しい企業間競争にさらされている今の時代には、そうした社員は通用しません。
上司から指示された仕事にプラスアルファの価値を加えたり、指示を先読みして率先して仕事に取り組んだりするような社員でなければ、評価されない時代になっているのです。
■4.若いうちは、目の前の仕事に打ち込む
若くて経験もスキルもないうちは、自分の市場価値は低いと認識し、ひたすら社内で自分の能力やスキルを磨くことに専念することをおすすめします。
どんな仕事でも、必ず学べることがあり、それらを身につけておくと、将来役立つ機会がきっとやって来ます。
「自分のやりたい仕事とは違う」「もっと自分は大きな仕事ができる」と不満を言っている暇があったら、今の仕事から学べるものをすべて吸収したほうが、いいでしょう。
■5.スペシャリストで満足しない
専門分野のスキルは高いけれど、戦略的思考に欠ける人を「スペシャリスト」と私は呼んでいます。
スぺシャリストでも一定の評価を得ることはできますが、いずれ上司の評価や出世は頭打ちになります。スぺシャリストができることは、他の得意な人でも代替が利きますし、仕事やスキルの内客しだいでは、派遣社員やアウトソーシングで賄うことも可能だからです。
つまり、スぺシャリスト止まりでは、高い評価を得るどころか、リストラの対象になる可能性もあると、私の経験からいえます。
■6.褒め言葉は直接、本人に伝える
伝聞情報は、どのような形で上司や人事部に伝わるかわかりません。
本人がいないところでは、たとえ褒め言葉であっても、その人を評するような発言は口にしないほうが身のためです。
たとえば、ランチの席で社長のファッションセンスについて、こう発言したとします。
「社長は、いつもオシャレに気を遣ってハる。今日の明るい色のネクタイも個性的でステキだった」
発言した本人は、褒めているつもりでも、それを聞いている人が、言葉通りに解釈するとはかぎりません。発言した人や社長に対して悪意をもっている人だったら、次のように解釈して、言いふらしてしまうかもしれません。
「社長は、いつも格好つけている。今日の明るい色のネクタイも派手で、センスが悪かった」
このように伝聞の途中で捻じ曲げられた発言が、社長の耳に入る可能性もゼロではありません。
【感想】
◆こうした「出世本」は、通常「評価」を上げることばかり腐心して、「評判」を上げる方は疎かになりがちです。その点本書では、第3章にて「評判」の上げ方を指南……と書いたものの、上記ポイントでは全てカットしておりました(ダメじゃんw)。
そこでいくつか、こちらでご紹介。
まず「なるほどー」と思ったのが、社内で「特定のグループに所属しない」というもの。
そもそも、こうしたインフォーマルなグループは、社内で権力のない人たちが自分の身を守るために徒党を組んでいるという性格があります。
そのため、どうしても上司や経営側とは敵対関係になりがちであり、所属している、というだけで必然的に評価が下がる、とのこと(クワバラクワバラ)。
◆もう1つ、心に刻んでおきたいのが「会社の正義を優先する」というもの。
正義はひとつだけではなく、100人いれば100通りの正義が存在します。
そして会社の立場と社員の立場とでは正義の定義が異なりますが、基本的には、会社という組織の中では、会社の正義を最優先にすべきである、と。
たとえば、同僚を救うために会社や上司と戦っても、評価は上がらないどころか、同僚からも感謝されずに、いざとなったら裏切られるのがオチ。
本書の例であったのが、ある社員が「残業ばかりでうんざりする」と愚痴っていた友人のために、上司にかけあったところ、その友人はなぜか迷惑顔。
なぜなら、実はその友人は「忙しい自慢」をしていただけで、自ら好んで残業をしていたという……。
◆また、記事タイトルの頭には【出世の秘訣?】と付けたものの、どちらかと言うと、「抜擢される話」よりも「リストラされる話」の方が多かった気が。
というのも、著者の高野さんは29年間の在籍中に「1300人ものリストラ」に関与されていたから。
この辺は、勤められていたのが外資系だったことが大きいとは思いますが、外資系でなければ、リストラはされなくとも、出世などおぼつかなかったハズ。
一応本書には「リストラの対象になりやすい人」として、次のようなケースが挙げられていました。
・仕事での成長が止まってしまった人確かに国内企業だったら、リストラまではされなさそうな。
・言われたことしかやらない人
・愚痴や不満ばかり言ってる人
・チームワークより自分の成果を上げることばかり考えている人
(詳細は本書を)
◆ちなみに、ある程度は「出世のため!」と割り切る必要はあるのでしょうけど、個人的に受け入れにくいTIPSもいくつかありました。
たとえば「朝いちばんに上司を褒める」なんてのは、勘弁こうむりたいところ。
逆に、私が上司だったら、そんなことをする部下は、ただの「おべっか使い」だと決めつけちゃいそうなんですケド。
それに、どうせ褒めるのだったら、本人のいないところで……やったら、上記ポイントの最後にあるように「ダメ」なんですね。
……だから私は出世しなかったのか?(と言うほど会社にいませんでしたがw)
社内処世術が学べる1冊!
人事部だけが知っている あなたの評価を上げる方法
Prologue 人事部はどこまで評価に関わっているか?
1 あなたの評価は、どうやって決まるのか?
2 「評価」を上げる人がやっていること
3 「評判」の高い人がやっていること
4 それでも評価されないあなたへ
【関連記事】
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【出世の秘訣?】『人事部は見ている』に学ぶ出世の6つのポイント(2011年07月10日)
【編集後記】
◆本書の中で言及されていた本。あなたの仕事も人生も一瞬で変える 評判の科学
参考記事:お前らもっと『評判の科学』の凄さを知るべき(2013年05月08日)
なるほど、「評判」について知るには、うってつけの1冊です。
ご声援ありがとうございました!
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