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2014年05月29日

【マッキンゼー流思考術?】『思考を広げる まとめる 深める技術』太田薫正


思考を広げる まとめる 深める技術
思考を広げる まとめる 深める技術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、元マッキンゼーコンサルタントである太田薫正さんの思考術本。

それほど厚くない本でありながら、事例が豊富で読みやすかったです。

アマゾンの内容紹介から。
拡散、集約、検証。3つのステップで書き出せば、だれでも自分で考える力を伸ばせる! 33の考え方で、あなたのアイデアを増やし、情報を整理し、価値を生む!

なるほど、マッキンゼーでは、こんな風に考えていたのか……。





3D Employment Graph / StockMonkeys.com


【ポイント】

■1.思考の基本動作を身につける
 本書では、思考の基本動作を次の3つの分野で33項目に分類し、みなさんが個人トレーニングできるように構成しています。
○広げる=考え、案などを、ときにはゼロからさまざまな方向に伸ばしていく
○まとめる=バラバラな考えや情報を整理し、扱いやすくする
○深める=考えていることの正しさや価値を判断し、さらによくしていく
 この3つの分野で、考えることのかなりの範囲をカバーすることができます。
 そのためにはこの3つをバランスよく身につける必要があります。


■2.材料を集める
 思い浮かぶことを、どんどん書く。これが「材料を集める」です。
 方法ともいえないようなものですが、「広げる」の基本がここにあります。何かを考え始めるとき、考えたいこと(テーマ)に関することを、とにかく書いていきます。
 書くと、考えが進みます。2つでも3つでも何か言葉を書けば、最初の何もない地点からは考えが進んでいます。とにかく、スタートを切ることができます。
 書いてみると、頭の中でぼんやり考えていたことが少しずつ具体的になります。


■3.フォーカスする
 アイデアを出そうとすると、通常、意識を広く持とうとします。確かに、意識を広く持つと、さまざまな側面に目が届くことになります。しかし意識が拡散して、アイデアが結実する力は弱くなります。その結果、アイデアの密度はまだら模様になりがちです。そこでテーマのある部分に絞り、その中でより多くのアイデアを出すのが「フォーカスする」です。
 アイデアは、なんらかの制約を設けたほうが出やすくなる側面があります。そのため、テーマのある部分に意識の範囲を絞ってアイデアを出しやすくするのです。


■4.揃える
 自由に出したアイデアや情報は、状態がバラバラになっていることがあります。これを1つの基準に合わせて整えるのが「揃える」です。
 揃えるのは、大きく分けて「内容」と「形式」です。
 内容というのは、たとえば対象。旅行先ならパリ、ハワイ、べトナムでいいですが、日本への留学生数を比べるなら、国単位なのか、都市単位かなどを考慮する必要があります。(中略)
 一方、形式というのはアイデアや情報の書かれ方です。たとえば、単語と文章のアイデアが混ざっているとわかりにくいので、どちらかに統一します。発表資料で似た内容がグラフと文章になっているときなども、形式を揃えると見やすくなります。


■5.束ねる
 集まった雑多なアイデアや情報を、グループをつくって整理するのが「束ねる」です。
 クループをつくるという点では、第1章「(2)分ける」と似ています。しかし「分ける」は足りないものを見つけるため、「束ねる」はまとめて扱いやすくするためと、目的が異なります。
 方法から見ると、「分ける」では初めに必要なグループを想定し、そこに当てはまる項目を入れていきました。最初にグループありき、です。一方、「束ねる」は要素の共通点を見つけて、グループをつくりながら束ねていきます。


■6.反論を考える
 アイデアや命題について、それに対する反論を想定するのが「反論を考える」です。反論というのは、反対意見とその理由がセットになったものです。「〜は正しくない。なぜなら〜」が反論です。言いがかりに近いようなものでもいいのですが、本質的な間題点や自然な疑問について考えることがより大切です。
 反論が出たら、「元のアイデアや命題」と「反論」のどちらが正しいのかを判断し、そう判断した理由を考えます。反論を検証しても、どの反論にも妥当性がないケースがあります。この場合、自分の知見の範囲内ではそのアイデアや命題は正しいということになります。


【感想】

◆上記ポイントのうち、1番目の総論部分を除く2〜6番目が、それぞれ、「広げる」「まとめる」「深める」から抜き出したもの。

カテゴリ的には、2,3番目が「広げる」、4,5番目が「まとめる」、最後が「深める」からになっています。

「3つの分野で全33項目」というので、てっきり「1分野11項目」かと思いきや、「広げる」と「まとめる」は8つずつで、残りの17が「深める」でした。

……なのに、上記ポイントでは一番多い「深める」から1つしか選んでいないのですが。


◆さて、本書の大きな特徴として挙げられるのが、個々の項目における事例がしっかり掘り下げられていること。

1項目につき、平均して2つの事例を用いて、その項目の考え方や使い方をレクチャーしてくれています。

たとえば、上記ポイントの3番目の「フォーカスする」の事例の1つが「ファミリーレストランの新メニューを考える」というもの。

ここでフォーカスしないと、「とんかつ定食」「すきやき御膳」「ビーフシチュー」等々、アイデアがばらばらに出てきて、行き詰りかねません。

そこでまずは「カレー」にフォーカス。

すると「インドカレー」「タイカレー」「ブラックカレー」「欧州カレー」といった、さまざまなバリエーションが出てきます。

ここからさらに「欧州カレー」に絞ると、「イギリスの海軍カレー」「ドイツのカレーヴルスト」といったメニューが考案可能。

同じことを、「インドカレー」「タイカレー」と順番にやっていけば、かなりのアイデアが出せるハズです。


◆また、「まとめる」カテゴリから2つ選んでしまっていたので、泣く泣く割愛したのが「名付ける」という手法。

指摘されて「なるほど」と思ったのですが、一連の「タッチパネル式多機能携帯電話」を「スマートフォン」と名付けたことで、この分野は大きく発展しました。

もし、各社が別々の名前を付けていたら、スマホは今ほど人気を博していなかった可能性があるわけで、これは意外と侮れないな、と。

他には、「社内にあるパソコンの中で、処理速度が目に見えて遅くなっているものが目立ってきた」という状況を「PC速度問題」と名付けた事例が挙げられており、これも確かに名付けることによって、社員間で共有化がしやすくなっています。

こうして「概念としてまとめる」だけでも、各段に扱いやすくなるというのは、目からウロコでした。


◆なお、本書では最初の3章で、3つの分野をそれぞれ解説した後、最後の第4章では、それぞれの手法の組み合わせ例が紹介されています。

1つだけでも問題解決できることもありますが、組み合せれば、より総合的に考えを深めることができるという仕組み。

この辺りになると、とても当エントリーでもご紹介しきれないので、詳細は本書にてご確認下さい。

簡単なものなら、2つの組み合せで済みますが、最後の方は7つも組み合わせており、1つ1つ追っていかないと、何が何だか……。

むしろ個人的には、「どの問題にはどの手法を使うべきか」についての指標があると、もっとよかったと思うのですけどネw


33もの考え方のパターンを学べる1冊!

思考を広げる まとめる 深める技術
思考を広げる まとめる 深める技術
第1章 広げる

第2章 まとめる

第3章 深める

第4章 広げる+まとめる+深める


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【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

企画は、ひと言。
企画は、ひと言。

確かに「優れたアイデア」は「ひと言」で言えるのが多いですよね。


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