2014年05月16日
【決断力】『早く正しく決める技術』出口治明

早く正しく決める技術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、ライフネット生命代表取締役会長兼CEOの出口治明さんの最新刊。装丁が地味(失礼w)なので、リアル書店でスルーしていたのですが、いざ読んでみたらかなり深くて、思わずゲットしてしまいました。
アマゾンの内容紹介から。
「数字」「ファクト」「ロジック」の世界共通ルールで物事は誰にでもシンプルに決められる。「何をどう考えて決めればよいのか」誰も教えてくれなかったルールを紹介!
丁度昨日掲載したばかりなので画像は省略しますが、付箋を貼りまくりました!

Lifenet INSURANCE. / MIKI Yoshihito (´・ω・)
【ポイント】
■1.「どちらのほうがベネフィットが高いか」で選ぶどのような商品を開発するか、どういうサービスが必要かといったことから、会議を設定するとか会社の備品を買うといった日常の仕事で必要なことまで、それぞれに明確な目的があります。迷ったらその目的に照らし合わせて、どちらがより効果が高いか、合理的かを純粋に考えればそれでいいのです。
「迷ったら、どちらのほうがべネフィット(便益)が高いかを考える」のは仕事の鉄則です。事業にとってマイナスのものを選ぶ理由は何ひとつありません。
■2.意思決定と提案を通すことを一緒に考えない
意思決定をしたからといって、決めた通りに動くとは限りません。Aという提案に決めたということと、その提案が上司や取引先に受け入れられることとは別の話です。意思決定をしたあとに、今度は「どうやってこの案を通そうか?」という方法について考える必要が生じてきます。でも、これを考えるのは意思決定の「あと」の話です。一緒に考えてしまうから、混乱するのです。
決断ができないと思っている人は、意思決定と、提案を通すこととの区別がついていません。
大切なのは、正しい提案(決断)をすることと、提案を通すこととはまったく別の領域の話だということを理解しておくことです。問題を切り分けて考えることが必要なのです。
■3.数字・ファクト・ロジックで考える
僕はライフネット生命の社員に常々「国語でなく算数で考えろ」、すなわち、「数字・ファクト・ロジックで考えろ」と言い続けています。(中略)
「数字・ファクト・ロジック」の数字とは、まず元データにあたることです。
仕事でも日常でも、何か気になることがあれば元データを探してみましょう。(中略)
数字を見たら、次はファクトです。
ファクトとは、主として数字やデータから導き出せる客観的な事実のことです。(中略)
最後がロジックです。数字、ファクトをもとに論理を組み立てていくことです。
(詳細は本書を)
■4.最初の計画部分をしっかり考え抜く
たとえば「売上10億円」という目標に対して、結果が7億円だとすると、3億円足りなかったことはわかりますが、これだけでは何をどう改善すればいいのかわかりません。しかし、商品Aを500個、商品Bを1000個、商品Cを300個販売することで売上10億円を作る目標になっており、それぞれ販売方法も商品Aはネットで200個、卸売で300個というようにブレイクダウンされていれば、検証は簡単です。実際の数字と突き合わせていき、「ネットでの販売が思ったほど伸びなかった」などと原因を探ることができるでしょう。
「各部門がもっと頑張れば、昨年より10%は売上が上がるはずだ」といった「根拠なき精神論」で計画を立てているから、PDCAサイクルが回らないのです。
■5.小さく産んで大きく育てる
部下が面白いアイデアを持ってきたら、できるだけ小さくはじめるようにアドパイスします。
たとえば、「予算10万円で千代田区だけでやってごらん、うまくいったら予算を10倍にして、東京中に広げていいよ」と。
そうすれば、部下は「よし、頑張って成功させるぞ」という気になるでしょう。うまくいかなかったとしても、別のところで挽回をしようと考えるでしょう。
いきなり身の丈以上のチャレンジをさせて、失敗してしまい、人生の終わりのように意識させてしまったら、うまくいくものもうまくいかなくなるのです。
■6.思考のプロセスに注目する
これも僕が日本生命時代に先輩から教わったことですが、「人の話を聞く」とは、その人がある意見に賛成か反対かなどの考えを知るために耳を傾けることではありません。その人の考え(結論)を知るだけなら1分で済みますが、それでは意味がありません。ある人がA案に賛成だというなら、どのように考えてA案に賛成という結論を導き出したのか、その人の思考のプロセス、思考のパターンを知ることが大切なのです。それが「人の話を聞く」という本当の意味なのです。
【感想】
◆冒頭で申しあげたように、本書には付箋を貼りまくりました。貼るだけ貼ってから、今度は絞り込むのですが、一応私が読んだ過去の出口さんのご本で触れられていたことは、まず最初に割愛しております(本の選び方等)。
ですから、初めて出口さんの著作を読まれる方にとっては、必ずしもベストの抽出内容だとは限らないので、その辺はご留意頂きたく。
さすが、あの切込隊長(山本一郎さん)が「ライフネット生命というより、出口社長というオヤジが凄かった」と言われただけのことはありますw
◆さて、割愛した中でも、一番大胆に(?)カットしたのが、本書のキモである「数字・ファクト・ロジック」のお話。
上記ポイントの3番目で「サワリ」だけ触れていますが、とにかく一番ページ数の多い第2章を丸々使って掘り下げられているので、正面から取り上げたら、ここだけで記事が終わってしまうと言う。
中でもツボだったのが、出口さんがデイリーポータルZの「ハトが食べた豆で保険を決める」という企画を認めたいきさつ。
当初、その企画を提案した社員に内容を聞いた出口さんは「そんなふざけた企画をやるなんて、お前はアホか!」と一喝します。
ところが、その社員に「数字・ファクト・ロジック」で平然と言い返され、自分の負けを認め、撮影に立ち会うことに。
@nifty:デイリーポータルZ:ハトが選んだ生命保険に入る
見事にホッテントリ入りワロタw
それにしても、出口さん、何してはるんや……w
◆また、面白いのは、出口さんだけではありません(違)。
本書を読んで知ったのですが、社員ブログにも「数字・ファクト・ロジックで考える」を実践したこんな記事が。
おやじの背中はどれくらい大きいか? | ライフネット生命保険社員ブログ
なるほど、ライフネット生命社内では、「数字・ファクト・ロジック」が社員間にも浸透していることが分かりますw
出口さんが、そのことをどうやって実現したかについては、本書にてご確認を。
◆上記ではたまたま(?)ネタ的なエピソードを選んでしまいましたが、本書は基本的には「至って真っ当な」思考術本だと思われ。
シンプルながらも効果的な考え方が多数紹介されています。
特に、自分の考え方がロジカルでないかも、と感じている方(って私じゃんw)なら一読の価値アリ。
内容の割に読みやすいのは、出口さんならではないでしょうか。
久々に出口さんの作品読みましたが、これは「当たり」でした!

早く正しく決める技術
序章 決められる人が物事を進められる―自分のアタマで考えた人が評価される時代に
1 なぜ、正しく決断できないのか―80%のどうでもいいことが「決断」を鈍らせる
2 「数字」「ファクト」「ロジック」で物事を組み立てる―世界共通の「決める」仕組み
3 チームで決めるためのルールの作り方―決められない人を「決められる人」に変えるために
4 動きながら完成させる―トライ&エラーで修正しながら進める
5 1%の直感に従うために―大切な瞬間ほど直感は閃く
終章 人生の30%に過ぎない仕事で、どう決断していくか―よく生きるために
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【編集後記】
◆その出口さんの本で、最近話題になっていたのがこちら。
仕事に効く 教養としての「世界史」
附属高校上がりの私は、世界史が苦手だったりするのですが……w

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