2014年04月09日
【言い回し】『この「言い回し」で10倍差をつける』金田一秀穂
この「言い回し」で10倍差をつける (小学館新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事のトップで取り上げたコミュニケーション本。著者の金田一秀穂先生は、あの国語学者の金田一春彦氏を父に、言語学者の金田一京介氏を祖父に持つと言う「日本語学一家」の出身だけに、本書も説得力がありました。
アマゾンの内容紹介から。
「相手を言葉で敬うこと」―これが人間関係を築き、物事を円滑に進めるために必要なことだ。言葉はなかなか難しい。同じ内容のことを伝えるにしても、言葉の使い方一つで相手を不快にさせてしまうこともあれば、気分良くさせることもできる。言葉を言い換えるだけで自分の評価を左右させてしまうことにもつながるのだ。本書はよくあるシーンごとに、具体的な例を多数紹介している。相手や状況によって使い分ける術を身に付けることによって、周囲の目も変わるはずだ。
本書を読めば、スマートで礼を失さない言い回しがきっとできるはず!
Words. / Nina J. G.
【ポイント】
■1.「協力して下さい」より「お力添えをお願いします」まず、「ご協力ください」ですが、これはシンプルすぎて熱意が感じられませんし、「ご〜」は自分側の謙譲表現ですから、相手の行為に対して使うのは誤りになります。また、協力やお手伝いといったフレーズは社外の人、目上の人に対して使うのは失礼に当たります。ここは「お力添えをお願いします」「お骨折りお願いできますでしょうか」といった表現にあらためましょう。
■2.ビシッと断るなら「ご容赦ください」
一方、角が少々立ってもいいのでビシッと後を引かないように断りたい、という時は「ご容赦ください」が効果を発揮します。これは「許してください、大目に見てください」という意味の文句ですが、ビジネスでは「それは(要望されたことでも)できません」というニュアンスで用いられます。ビジネスライクに聞こえますが、「ご容赦いただきたく存じます」などの形にすれば、あらたまった言い方にもなるでしょう。
■3.同意するなら「なるほどです」より「おっしゃる通りです」
相手の言葉に「その通りです」と同意していることを示しますので、非常にスマートなあいづちだと思います。
ちょっとフォーマルな会話にも使えますし、たとえばあなたが上司からおしかり、指導を受けている時など、どう考えても反論の余地がまるでない場合などにも有効だと思います。そうそう、あいづちを打つ際は、相手の顔をしっかり見て言うこと。できればメモを取りながら真剣に耳を傾けているほうが好感度は高いですね。
■4.体育会的な「頑張ります」よりも、具体的な事項を挙げる
体育会系的な絶叫も気合が入ってよろしいでしょうが、「何をどう頑張るか」がまったく不透明なままでは、それこそ頑張り甲斐がありません。仕事上で上司に気概を伝えたいなら、「今回のプロジェクト、進行管理に指名して頂いた課長のご期待に沿えるように頑張らせていただきます」といったように、具体的な事項を挙げるように「頑張り」ましょう。気合、やる気はしっかり伝わるでしょうし、相手の言わんとするところ、要求ポイントをしっかり踏まえていますよ、というアピールにもなります。
■5.「取り込んでおりまして」はNG!
「○○はただ今取り込んでおりまして」などと伝える人もいますが、これは相手にとっては大変失礼な応対になってしまいます。前もってアポを取り、その時間に合わせて来社している相手を待たせるわけですから。「取り込んでおりまして」は営業電話やセールスを断る際の常套句。大切なビジネスの相手に使う言葉ではありません。少々ぞんざいです。(中略)
このような場合、「大変申し訳ないないのですが、○○は会議が長引いてしまっておりまして、15分ほどお待ちいたたけませんでしょうか」といった言い回しを使いましょう。ポイントは待たせる理由を伝えることと、「お願いできませんでしょうか」と、依頼、懇願のニュアンスをにじませることです。
■6.「お世話様です」はあまり使わない方がよい
そして、気をつけたいのは「お世話様です」という表現です。「様」と「です」が続いていますから、丁重な表現のように思っている人が多いかもしれませんが、実は「お世話様」は目上から目下の人に対して使う表現なのです。私などは特段気にしませんが、年配の人の中には「若年層からそのように言われると不快だ」という方も少なくありません。社外、特にお得意先などへのメールではあまり使わないようにするのが無難だと思います。
【感想】
◆私の場合、この手の言い回しの本を読むたびに、最低でも1つや2つは「やってもた」案件が発見されてしまいます。今回は、最後の2つ、5番目と6番目をやらかしておりました。
「取り込んでおります」の方は、そういう状況にならない限り、言う事はまずなかったですが、「お世話様です」は、何の疑問もなく使っていた自分。
一応、「お世話になっております」と書く方が多いのと、私の場合「アラフィフ」であり、周りのほとんどが目下なので、お許し頂きたく。
ちなみにこれに関連して本書では、初めてメールを出す相手にも「お世話になっております」と書くのはいかがなものかと、と指摘していました。
オススメの書き出しは「初めてご連絡差し上げます」だそうなので、これは私も取り入れようかと。
◆また、類書でも1度取り上げたことがあるので上記ポイントでは割愛しましたが、「了解しました」も実は目上の人には好ましくない表現です。
ここでの正解は「承りました」「承知しました」「かしこまりました」等々。
「承る」は引き受ける、承諾するの謙譲語なので、「了解しました」よりもへりくだった表現。
「かしこまる」は「謹んで承る」と言う意味なので、「承りました」よりもさらに相手を立てています。
いずれにせよ、上司やお得意先などには「了解しました」を封印した方が宜しいかと。
◆一方、やはり滅多に使わない言い回しなので割愛したのが「身内に不幸がありまして」というフレーズ。
この表現は、実はオールマイティではなく、「おめでたい席を断る場合には適当ではない」のだとか。
ただしその場合でも、不幸があったことを、相手にストレートに伝えてはいけません。
ここでの正解は「よんどころない事情がありまして」「よんどころない急用ができまして」。
また、言われた方は、それ以上詮索しないのがマナーなのだそう(知らなんだ)。
◆ところで、本書の「はじめに」で、著者の金田一先生曰く「言い回しはより良いコミュニケーションをするための戦略であり、戦術になり得るのです」とのこと。
確かにこれらの言い回しは、仕事上で「減点される事を防ぐ」ためには、かなり有用でしょう。
もちろん、コミュニケーション力をアップすることで、営業成績が上がっても不思議ではありません。
タイトルの「10倍」は、何を持ってそう判断するのか微妙ではありますが、少なくとも読んでない場合に比べたら、相手から好かれる可能性はかなり高いと思います。
若いうちから読んでおきたい1冊!
この「言い回し」で10倍差をつける (小学館新書)
第1章 うまく頼み事をするにはコツがある
第2章 言い訳も言葉次第で変わります
第3章 リアクションに困ったら
第4章 お詫びも挨拶も言い方一つでガラリと変わる
第5章 心をくすぐるほめ言葉に気づかい術
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【編集後記】
◆これまた気になる本。ツカむ! 話術 (角川oneテーマ21)
著者のパトリック・ハーラン氏は「ハーバード大卒芸人」なのだそう。
これは個人的には要チェックです!
ご声援ありがとうございました!
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