2014年04月07日
【文章術】『30分で完成する全自動文章法―これ1冊で全部うまくいく!』今井健仁
30分で完成する全自動文章法―これ1冊で全部うまくいく!
【本の概要】
◆今日ご紹介するのも、昨日に続き、「未読本・気になる本」の記事で人気だった1冊。その時にも申しあげたように、著者の今井健仁さんは、以前『東大式決断術』を当ブログにてレビューしております。
現時点でもアマゾンに詳細がないので、版元サイトから。。
章の初心者が、就活、レポート、論文など幅広い場面で使える。東大法学部、司法試験、大手渉外法律事務所と難関試験を次々に突破した著者が贈る、短時間で自動的に文章を作る方法。
「全自動」という表現が適切かどうかはさておき、私自身も文章を書く上でのヒントを頂きました!
writing in the journal / erink_photography
【ポイント】
■1.対立する意見を書き、それをつぶしていくシンプルなメッセージを何度繰り返していても、自分の意見ばかりを主張しているように聞こえ、読んでいる人にはなかなか納得してもらえません。
そこで、「使える文章」は、
「自分のメッセージに対する反対意見もあらかじめ書き、その反対意見をつぷしておくことで説得力を上げる」
というルールにしたがって書かれることになります。
このルールのことを、「二項対立」と呼ぶことにします。
■2.例えを使って論理を補充する
何かを伝えたい時、適切な例えを使うと、自分のメッセージの説得力が上がる、ということは、日常的な感覚からもわかると思います。
詳しくいうならば、自分の伝えたいメッセージと矛盾しない例えがある、という事実を書くだけで、「『AはB』『BはC』よって『AはC』」の「『AはB』『BはC』」部分を補充することができる、というわけです。
したがって、自分のメッセージを三段論法で補強するためには、
「自分のメッセージの結論を書いた後に、その結論と矛盾しない例を書けばよい」
ということになります。
■3.最後を「二重否定」で締める
「二重否定」とは、「『反対意見』であることは、決してない」と書くことで、二項対立の構図を一文で表現しつつ、自分のメッセージを強調する方法です。
反対意見の否定形を書くことで、文章全体はこのような二項対立で書かれていた、ということを表し、改めて自分の立場を明らかにすることができる、というわけです。(中略)
ここで否定する「反対意見」は、反対意見そのものでも、もちろん構いません。
ただ、三段論法で使った反対意見の例を否定すると、さらに綺麗に締まる場合があるので、頭のどこかに置いておいてもらえれば幸いです。
■4.エントリーシートでの相手のメッセージを読み解く
まず、エントリーシートとは、応募者が会社の採用したい人材にマッチしているか、確かめる書類です。
ということは、エントリーシートが伝えようとしているメッセージは、
「あなたが、私たちが求めている人材か、説明してください」
というものとなります。
もう少し詳しくいうならば、
「あなたの性格・能力・経験が、私たちがしている仕事で活かされるか、説明してください」
ということが、会社側が伝えたいメッセージだといえます。
■5.就活で実績がなければ情熱や努力でアピールする
ここでの実績とは、(1)結果が人に誇れるもののどちらか、アピールできるものを選ぶことになります。
(2)結果に至るまでの努力・情熱が人に負けないもの(時間をかけた、集中して取り組んだ、多様なアプローチをした等)
(1)、(2)の両方を満たす実績や体験があれば最高ですが、素晴らしい結果がついてこなくとも、情熱や努力はアピールできます。
そして、情熱や努力をアピールすることで、「過去の自分」と「今の自分」という二項対立の軸を立てることができ、「あなたは、会社に入ってからも成長できる人材ですか」という企業からのメッセージに応えることができる、ということになります。
【感想】
◆ちょっと簡単ですが、この辺で。とにかく本書の場合、具体例を見ながらでないと、ピンとこないのではないか、という点が一番の懸念事項でして。
かといって、具体例の中心が、大学でのレポートや就活でのエントリーシートなので、全文を引用してまで事例紹介をすべきか少々迷いました。
結局、ボリューム的に、1つでも事例を引用すると、他のポイントの多くを削らねばならないので断念。
それら事例の多くは、第3章の「オートマティック・パターン」にありますので、気になる方はそちらでご確認下さい。
◆ちなみにそのパターン自体は、「はじめに」によると「東大生のレポートや答案、結果の出ているエントリーシートを1000通以上見た中で、共通する部分を集めて作られた」のだそう。
著者の今井さんは、このパターンを自分でも試してみた結果、「司法試験に合格」し、「法律事務所の就職活動でも負けなし」なことから、「実際に使える」と断言されています。
確かに、その第3章から抜き出した、上記ポイントの4番目、5番目は、いずれも納得できるものでした。
ただし、今井さんご自身の経験だけをもって、「ビジネスにも使える」かは、ちと微妙かな、と。
1つでもビジネスシーンでの事例が欲しかった、というのが、正直なところです。
◆なお、本書の中心的なテクニックでもある「二項対立」についてですが、私自身は、今まで「反対意見」といったものに留意したことはありませんでした。
ただし、ここでいう「反対意見」とは、必ずしも、第三者からの意見というのではなく、たとえば就活においては
・他の業種、競合企業ということになります。
・過去の自分
・現在の業務
実際、本書収録のエントリーシートの事例でも、「反対意見」として「過去の自分」の失敗や挫折を挙げて、「その反対意見をつぶす」文章として、「いかにそれを乗り越えたか」「何を学んだか」等を述べていました。
確かにこれなら、通常のビジネスユースでも使えそうな感じです。
◆ところで当ブログでは、今まで何冊もの文章術の本をご紹介して参りました。
ひと口に「文章術」と言っても、「てにをは」レベルから指導していくものから、成約率を上げるためのものまで多種多様。
本書はそれらの中では、「ある一定の用途」において、「少ない労力で、効果的な文章」を書くことを目的とするものかと。
特に、あまり文章を書き慣れていない方なら、本書の内容を丸呑みしてしまえば、かなり簡単に文章が書けるようになるのではないでしょうか?
就活生さんなら、要チェックで!
30分で完成する全自動文章法―これ1冊で全部うまくいく!
第1章 「使える文章」の超基本
第2章 「使える文章」のルール
第3章 オートマティック・パターン
第4章 スパイス
第5章 文章のボリュームアップ
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【編集後記】
◆『思考の整理学』でお馴染み、外山滋比古先生のご本が登場!乱読のセレンディピティ
これはチェックしておかないと……。
ご声援ありがとうございました!
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