2014年04月04日
【お笑い】『有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか 絶望を笑いに変える芸人たちの生き方』てれびのスキマ
有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか 絶望を笑いに変える芸人たちの生き方 (コア新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、はてな村ではお馴染みであるてれびのスキマさんのお笑い分析本。サブタイトルにもあるように、有吉弘行氏ほか、7組(人)の芸人さんたちの「生き方」を掘り下げています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
コンビ間の軋轢や家族との衝突……
みんな下積み時代の苦悩を乗り越えたからこそ、脚光を浴びる現在がある。
ダウンタウン、ナインティナイン、爆笑問題・太田光、マツコ・デラックス……、
浅草キッド・水道橋博士が編集長を務めるメールマガジン『水道橋博士のメルマ旬報』の人気連載「芸人ミステリーズ」配信分から 7篇を厳選の上、大幅に加筆修正して収録。
新書化にあたって『有吉弘行と猿岩石の地獄』『芸人・有吉弘行のウソ』の2篇を書き下ろし。
この書き下ろしの2篇だけでも全体の4割もあるので、有吉ファンなら「マスト」です!
【ポイント】
■1.オードリーのズレ漫才の誕生目的は明確だった。当時、ボケ=若林、ツッコミ=春日だった漫才のスタイルを見直さなければならない、と思っていたのだ。だから、トークの模様をビデオにすべて録画し、徹底して見返す。すると春日のツッコミがほとんど間違ったツッコミであることに気付いた。最もウケていたのが、春日の間違ったツッコミに若林がツッコミ返すときだった。
そして若林は「思いついた瞬間気持ち悪くなった」というほどの天啓を得る。ツッコミの場所が違う、ニュアンスが違うという、ツッコミができてないことをそのまま漫才でやればいいのではないか、と。その瞬間、「ズレ漫才」が誕生した。
■2.凋落現象を述懐するオリエンタルラジオ・中田
与えられたポジションに見合う実力がまだついていなかったオリエンタルラジオ。当然のように、次々と短期間で番組が打ち切られていった。(中略)
この「現象」を中田は「吉本興業の中での実験」だったと自分のなかで整理しているという。
「テクニックもキャリアもなくても、それで成立するんだったらビジネスモデルとしては正解じゃないですか。コストがかかってなくてパフォーマンスが得れるわけですから。これが成立したらこれをどんどんやっていくつもりだったんだと思うんです。だけど、それが出来なかった! 促成栽培が出来るもんじゃない。それが芸人なんだ、っていうのを逆説的に証明したのがオリエンタルラジオなんです!」(『ブラマヨとゆかいな仲間たち(2010/11/22)』)
■3.「お笑い芸」が消費されたわけではない有吉
「一発屋」ならぬ「二発屋」として再ブレイクを果たした有吉。それはテレビ界にとって異例中の異例とも言える出来事で、他の一発屋芸人たちのある種の希望となった。
だが、有吉は彼らとは少し自分の場合は違うのだと分析する。なぜなら、有吉の一発目は「芸人」としてではなく「アイドル」のような形でブレイクしたからだ。他の一発屋芸人たちと異なり「お笑い芸」が消費されたわけではないのだ。
「僕も一発屋芸人って同じようなくくりにされるけど、お笑いでは勝負してないんですよ。ヒッチハイクとか歌とかで潰されたけど芸人のほうでは潰されてないから」(『ロンドンハーツ(2013/11/19)』)
■4.トドメを刺した後に笑顔を見せる
「やっぱり(毒舌で)大事なのはトドメを刺すことだからね。のらりくらりやってトドメだけバシッと刺さないといけないから」(『怒り新党(2013/8/28)』)
さらにその後は、上島が最後に可愛げのある表情で笑いを誘うように、必ず「笑顔」を見せるのだ。有吉は自らの武器を「毒舌と笑顔のバランス」(『キカナイト(2012/8/24)』)と明かす。「毒を言ってるあいだは鬼のような形相でも、言ったあとは素敵な笑顔」(『内村さまあ〜ず(2010/4/15)』)だ。そうすれば言われたほうも思わず笑ってしまう。
今でも有吉はリアクション芸人の心と技を確実に受け継いでいるのだ。
■5.「他人が見た自分」が「本当の自分」
確かなことは「本当の自分」とか「本音」とかが何の役にも立たないことを有吉は実感として知っているということだ。「結局、相手が見た自分こそが『本当の自分』なんだから、そこに本音なんかいらない」(注8)のだ。昨今、「自分探しの旅」だとか「自分磨き」などということがもてはやされる。あたかもひとつの確立した「自分」があり、それにこそ価値があるというかのように。有吉はそんな「自分」を否定する。「泥団子みたいなもんだよね。どんなにキレイに磨いても中身は泥だよ」(『怒り新党(2012/4/11)』)と。「(インドとかに行って)人生観変わったとか言うヤツは、日本でたいした人生送ってないんですよ」(『アナザースカイ(2010/4/16)』)
注8 『嫌われない毒舌のすすめ』 有吉弘行:著
【感想】
◆明記しておりませんが、上記ポイントの最後の2つも有吉氏のパートである「終章 芸人・有吉弘行のウソ」からのもの。もう1つの「有吉パート」は序章で、子どもの頃から「猿岩石」での「一発目」のブレイク辺りを分析しています。
その絶頂期の後、どん底期を経て、『アメトーーク』での「おしゃべりクソ野郎」発言で、再度ブレイクしたのは、皆さんご存知の通り。
ただ、そのどん底期に関しては、てれびのスキマさんが、丁度昨日のブログ記事で言及されていましたね。
有吉の“どん底時代”とは何か? 「ミニ有吉弘行年表」 - てれびのスキマ
もっとも、仕事が途切れずあったかもしれませんが、絶頂期には「猿岩石」の2人で4000万円分ものギャラを手渡しされてたことを思えば、ある意味「どん底」でしょうけど。
◆ところで、上記ポイントをご覧頂ければお分かりのように、本書は各メディアや、書籍、DVD等からの発言を中心に構成されています。
テレビ番組等については、適宜その出典元を明記し、書籍等については「注」を付して、各章のおわりにまとめられているという仕様。
ホント、たまにいらっしゃる、出典元を明記しないビジネス書の著者さんに比べたら(ry
ただ逆に、直接本人や関係者にインタビューしたものではないのも事実です。
このことについて、てれびのスキマさんは、「それぞれのファンの方からすれば知っているエピソードばかりかもしれない」と前置きしつつ、「しかし、散りばめられたエピソードをまとめ、構成し直すことで見えてくるものがあるはずだ」と断言。
なるほど確かに!
◆本記事では断片的にしか引用していないため、ちょっと分かりにくいのですけれど、それが具体的に分かるものがありましたのでご紹介。
「書き下ろしが長くなったので、ページの都合上割愛された」中から、ブログ用に改変した「さまぁ〜ず」のエントリーです。
メルマ旬報「芸人ミステリーズ」再録 『いいライン上のさまぁ〜ず』 - てれびのスキマ
このエントリーは、最後の引用文献にあるように、5つの雑誌からの情報を構成しなおしたもの。
1つの方向性の元に、見事にまとめられていることがお分かり頂けると思います。
◆もともと、てれびのスキマさんは、昔からお笑い系のブログ記事をいくつも拝読させてもらっていました。
丁度、有吉ネタでもある、このエントリーがきっかけだったかと。
2009-03-06 - てれびのスキマ 「有吉弘行のブレイク論」
ブクマ560超スゲーww
この記事に触発されて(?)、私もその後、この本をレビューしましたっけ……。
竜兵会―僕たちいわばサラリーマンです。出世術のすべてがここに
参考記事:【人心掌握】有吉弘行の人心掌握術がスゴすぐる件(2009年04月18日)
その後、有吉氏の著作の多くをレビューすることになった私にとっては、今回の書き下ろしを含む本書を読むことは、たまらない喜びでした。
もちろん、有吉氏以外のパートも上記「さまぁ〜ず」並みに読み応えはありますので、ご安心を。
お笑い好きの方なら、読んで損ナシの1冊です!
有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか 絶望を笑いに変える芸人たちの生き方 (コア新書)
序章 有吉弘行と猿岩石の地獄
第一章 オードリーのズレ漫才と幸福論
第二章 オリエンタルラジオの証明
第三章 なぜダウンタウンはそんなにも客の出来を気にするのか?
第四章 なぜナイナイ・矢部浩之はいつもニヤニヤ笑っているのか?
第五章 爆笑問題・太田光の偏愛、あるいは太田光を変えたもう一人のタケシ
第六章 ダイノジ・大谷ノブ彦のどうかしている“熱"
第七章 マツコ・デラックスの贖罪
終章 芸人・有吉弘行のウソ
【関連記事】
【人心掌握】有吉弘行の人心掌握術がスゴすぐる件(2009年04月18日)【処世術】「お前なんかもう死んでいる ~プロ一発屋に学ぶ50の法則~」有吉弘行(2010年06月17日)
【人たらし】「嫌われない毒舌のすすめ」有吉弘行(2009年07月10日)
【戦略】『芸能人に学ぶビジネス力』山田隆道(2011年08月26日)
【99】ナイナイが売れるためにした7つの事(2012年11月15日)
【ビジネス書?】「THE 芸人学 スゴい!お笑い 戦国時代をサバイバルする30人の成功法則」ラリー遠田(2010年01月06日)
【編集後記】
◆そのてれびのスキマさんが、本名で書かれた作品。タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か?
1人、タモリ嫌いのレビュアーが星1つ付けたので、全体の評価は低めですが、星5つ付けたレビュアーの
巷に溢れるタモリ関連本の中で出色の著作です。樋口毅宏さんの『タモリ論』に辟易した人にこそ読んでほしい、真のタモリ論だと思います。というクダリにニンマリw
ご声援ありがとうございました!
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