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2014年03月22日

【創造力】『アンシンク UNThink 眠れる創造力を生かす、考えない働き方』エリック・ウォール


アンシンク UNThink 眠れる創造力を生かす、考えない働き方
アンシンク UNThink 眠れる創造力を生かす、考えない働き方


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事で取り上げた作品。

ダニエル・ピンクやケン・ブランチャードが推薦文を寄せているという話題作です。

アマゾンの内容紹介から。
「ビジネスの論理性+アートの創造性」があなたの仕事と、これからを変える。TEDで話題をさらったグラフィティ・アーティストによる、クリエイティブなビジネス書。

私たち、ビジネスパーソンも「アーティスト」なんです!





General Session: The Art of Vision with Erik Wahl / IDEA4Industry


【ポイント】

■1.現代の教育は創造力を妨げている
 学年が進んでいくと、芸術分野は奨励されず、やっても報われない教科になっていきます。芸術の価値は徐々にないがしろにされ、科目として残されたとしても必修科目からは外されてしまいます。(中略)
 ビジネスの世界は、まさにこの傾向の延長線上にあります。生産性を上げるためのマニュアルが渡され、その通りにやることで報酬が与えられます。これでは学校で10年以上もの間、教えられてきた創造力を無視したやり方をますます強化してしまうことにしかなりません。


■2.苦手なことに向き合うと無意識の扉が開かれる
ウィザード,・アカデミーの設立者ロイ・ウィリアムズは、講演の契約を終えて飛行機で地元に戻るときにいつも、最高のアイデアが浮かんでくると、友人の心理学者に語りました。ところがこの友人は思ってもいなかった意見を述べてきました。
「そうとも、聴衆と繋がろうとして、感情を表に出すのは君にとって苦手なことだからね」
 それを聞いたウィリアムズが怪訝な顔をしているので、友人はこう説明しました。
「もっとも苦手なことに向き合うとき無意識の扉が開かれることが、心理学ではずっと前から知られているんだ」
 つまリウィリアムズは、講演という自分の苦手な状況を創ったことで、規則やシステムに縛られない創造力を解き放ち、その結果として、帰りの飛行機で素晴らしいアイデアを得ていたのです。


■3.不安なことでも引き受ける
 心のなかのアーティストを目覚めさせるには「不足していること」より「正しいこと」を選び取る能力が必要です。あなたはいつも快適さを求めているでしょう。それは自然なことです。しかし進歩は正しく、最善で、必要なことを実行するとき生まれます。それが「不安なこと」であったとしても。
 苦手な同僚に向き合うこと。締め切りがあと数時間に迫っているのに、新たな問題を指摘すること。そして失敗を「チームの失敗」ですませる代わりに、個人として引き受けること。これらはかならずしも楽なことではありませんし、安全な選択でもありません。
 それでも人間は、ただ快適さを楽しむより、危険な冒険に踏み出すほうがはるかに充実感を覚える生き物なのです。


■4.情報化時代には直感が必要
「あふれるほどたくさんデータがあるからこそ、新しい情報化社会のなかで直感の重要性はますます増していく」
 30年前、べストセラー『メガトレンド』のなかで、作家ジョン・ネイスビッツは書いています。現在の私たちの知識量を考えると、この言葉はいっそう当てはまるようになっているのです。
 直感のない知性は、賢いけれど影響力のない人間のようなものです。また、知性のない直感は、自発性があってもまったく進歩のない人間のようなものです。


■5.実行してこそ「ほんとうの思い」になる
 自分について人に知ってもらうために、これが自分の思いだと主張しているあらゆることを考えてみましょう。実は、ウェブ上で「自分の思いがある」と語っている人の大多数は、それを証明するために具体的に何かを実行に移したことは一度もありません。「人を救いたい思いがある」とツイートしても、実際はアフリカにも、中東にも、スラム街にも行った経験はないのです。多くの人は「他人の信念の仮面」をかぶっているにすぎません。自分でも気づかないままに。


■6.ジョブズは「生み出す人」ではなく「引き起す人」
 ジョブズの独創的才能は、iPhoneとして知られる革新的な装置を創り上げたことにはありません。アップルでもっとも利益を上げた製品をおびやかす問題に対して単純なアイデアを提供し、創造性を引き起こす最初の火をともしたことにあるのです。ジョブズは傑作を創り出したのではなく、彼が点火した火から傑作が現れてきた――ビジネスの世界では傑作はこうして創られます。
「スピーディに結果を出すこと、簡単なメッセージ、即効性」という3つのレンズを通して創造性の火が見え始めたなら、毎日が活気づきます。あなたは企業にもっと付加価値を与える人材になれます。


【感想】

◆少々引用量が多くなってしまったので、この辺で。

本書の著者であるエリック・ウォールは、グラフィティ・アーティスト(上記の画像は本人です)。

とはいえ、学生時代は優等生で、テストでもいい点数をもらえていたのだそう。

彼は大学を卒業後、「世間体の良い」職につき、良い給料と肩書きを得ます。

しかし、ITバブルの崩壊で、手を出していた株が暴落。

それにつれて本業も落ち目になり、30歳にして全てを失ってしまいました。


◆やがて彼は、その落ち込みからのリハビリとして絵を描き始め、地元のアーチストと交流を持ち始めます。

そこで気が付いたのが、出会ったアーチストの多くが、才能に恵まれているにもかかわらず、アートで食べていく手段を持っていなかったという現実。

彼らは「情熱やアイデアさえあれば仕事につながる」と思いこみ、売れない理由を「チャンスに恵まれていないから」と結論づけていました。

しかし、かつて会社勤めをしていたエリックは、実社会を知っていたため、彼らとは違い「アートとビジネスの両方を結びつけてみたらどうか」と考えます。

そして「今までには例のないタイプ」の講演者としてTEDの舞台へ。

Erik Wahl TED Presentation from The Art of Vision on Vimeo.



◆この動画に関連して(?)、割愛した中で興味深いものが、アインシュタインの業績のお話です。

作家のスコット・ソープによると、「アインシュタインの問題解決数を調べると、もっとも重要な大発見は、彼が職業に就いた最初の1年間に生まれている」のだとか。

つまり、「彼の問題解決能力は、知識が増えていくにつれて衰えていった」ということ。

実践!アインシュタインの論理思考法
実践!アインシュタインの論理思考法

要は「問題解決のための創造力にとって、素晴らしい知識は最大の障害になってしまう」可能性があるわけです。


◆ちなみにこの本、原題は『Unthink: Rediscover Your Creative Genius』というもの。

Unthink: Rediscover Your Creative Genius
Unthink: Rediscover Your Creative Genius

米国でもかなり高評価です。

Unthink: Rediscover Your Creative Genius: Erik Wahl: 9780770434007: Amazon.com: Books

その米国アマゾンのページにもあったCM動画がこちら。



まさに私たちひとりひとりが「創造力の源泉を完全に活用できる」存在であった頃を彷彿とさせてくれますね。


これからの時代に備えて読むべき1冊!

アンシンク UNThink 眠れる創造力を生かす、考えない働き方
アンシンク UNThink 眠れる創造力を生かす、考えない働き方
Chapter1 忘れた自分を取り戻す
Chapter2 「大人の殻」を脱ぎ捨てる
Chapter3 「あたりまえ」を挑発する
Chapter4 直感力を研ぎ澄ます
Chapter5 自分の信念に従う
Chapter6 スピーディに結果を出す
Chapter7 考えずに動く
Chapter8 やりたいことを夢中でやる
Chapter9 自分らしい自分を表現する
Chapter10 自分のピカソを見つける


【関連記事】

続「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)(2006年05月26日)

【オススメ】『小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密』ピーター・シムズ(2012年04月05日)

【名コンビ復活!】『IDEA HACKS!2.0』 小山龍介,原尻淳一(2011年12月11日)

【スゴ本】「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」(2010年04月06日)

【オススメ】「アイデアのちから」が予想以上に面白かった件(2008年11月25日)


【編集後記】

◆本書に関連してこの本を。

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

最近はちょっと作風が変わってきましたが、ダニエル・ピンクと言えば、やはりこの本だと思います。

レビューは上記関連記事にて。


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