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2014年03月13日

【好意のヒミツ?】『なぜ、それを好きになるのか?脳をその気にさせる錯覚の心理学』竹内龍人


なぜ、それを好きになるのか?脳をその気にさせる錯覚の心理学 (角川SSC新書)
なぜ、それを好きになるのか?脳をその気にさせる錯覚の心理学 (角川SSC新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、心理学博士・竹内龍人さんによる、脳ネタ本

相手から「好意」をもってもらうための秘策(?)を、実験心理学を通じて探っていきます。

アマゾンの内容紹介から。
なぜ何かを好きになるのか、どうすれば好きになってもらえるのか。好きになることは、そのほとんどが無意識のプロセスで起きる。この脳の秘密がわかれば、それを逆手にとり、他者から好きになってもらうこともできる―媚びたり自分の信念を曲げたりする処世術ではない。脳をうまく騙すことで、相手の心をこちらに引き寄せるということなのだ。好きになること、好きになってもらうことは人生の幅を劇的に広げる。実験心理学から「好き」の秘密にせまる。

「好きになってもらいたい」方なら、要チェックです!





[365p] Every breath you take / sarok


【ポイント】

■1.「好き」と「欲しい」は別
 おもに動物を使った研究から、「好きになること」と「欲しくなること」は脳内では別のプロセスだということがわかっています。これまで「好きになったから欲しくなり、手に入れた後は幸福感を抱く」といった一連の感情に関係していると思われた脳の神経ネットワークは、実は「欲しがること」だけに関係しており、一方で、「好きになること」には「欲しがること」とは別の脳の神経ネットワークが関係している、ということなのです。


■2.処理の流暢性による誤帰属
何回も見ることによって、ある対象への脳内の処理が滑らかになった時、「これだけスムースに処理できるのは、私はこれが好きだからに違いない!(だって好きなことはスラスラできるから)」という意識、より正確に言えば、後者の「これが好きだ!」という感情のみが意識として表れてくるのです。自分の行動や認知の理由を何かのせいにすることを帰属と呼びます。人間の面白いところは、この帰属が常に正しいというわけではないところです。何かを「流暢に処理できる/できない」ということと、「それが好き/嫌い」ということの間に論理的なつながりはありません。「誤帰属」、つまり誤った帰属と呼ぶのは、処理の流暢性の原因を、対象そのものを何回も見たことに正しく帰属するのではなくて、対象そのものへのポジティブ感情に誤って帰属してしまうからです。


■3.プロダクトプレイスメントの効果
ブランドを埋め込む広告スタイルはプロダクトプレイスメントと呼ばれ、日本でも頻繁に使われています。サブリミナル広告とは違い、視聴者は注意すれば気がつくことができますから、規制に反しているわけではありません。(中略)
「牛の品評会」実験結果は明らかでした。視聴者が広告に気がつかない場合は、埋め込まれているブランド名の数が増えれぱ増えるほど、その(架空の)ブランドに対する好感度が増していました。一方で、視聴者が埋め込まれているブランド広告に気がついた場合は、埋め込み数が増えれば増えるほど、残念なことに、そのブランドへの好感度が減少していったのです。


■4.感情プライミングで好感度を操作
笑顔の画像を見ると、たとえ意識はしていなくても、それを見ている人の頬や目尻の筋肉がゆるみ、笑顔に近い状況になることはよく知られています。反対に、怒り顔の写真を見ると、自分では意識していなくても顔はこわばってきます。笑顔をサブリミナルで見た時、(たとえ意識していなくても)その情報は脳で処理されるために、自分の顔もほころんできます。その時に漢字を見たとします。自分の顔がなぜほころんでいるかはわからないため(赤ちやんの笑顔の写真はサブリミナル提示されたからです)、「自分の気分がいいのは、この漢字が好ましいからに違いない」というように、気分を漢字に誤帰属してしまうからです。


■5.顔の左側を見せると効果的
 感情を表に出すといった処理については、右脳における働きのほうが左脳よりも優位であることがわかっています。右脳は顔の左側の筋肉を制御し、一方で左脳は顔の右側の筋肉を制御しています。右脳は感情の処理をおもに行っていることから、感情は顔の左半分に出やすいということになります。ですから、相手にちょっと気に入ってもらうためには、笑顔にプラスして自分の顔の左側を見せると効果的なのです。通常の写真であれば、笑顔の左側を多めに見せるようにポーズをとると、これも効果的、好感度向上が期待できます。


■6.第一印象をよくする行動・悪くする行動
受講学生による「授業評価」と、6秒見ただけのボランティア学生による評定結果は高く相関していました。この研究でのポイントは、音声を消している、という点にあります。つまり、6秒のビデオだけを見た学生たちは、教員の表情変化や体の動きといった行動に基づいて評定を行っていたのです。ですから、よい評点をとっている教員の行動を解析すれば、ボジティブな第一印象を勝ち取る方程式が見えてきます。(中略)
●第一印象を悪くする行動。
モノ(本、資料、指し棒など)をいじくる/自分の手をいじくる/眉をひそめたり、しかめ面をする/座る
●第一印象をよくする行動
うなずく/笑顔を見せる/大きく笑う


【感想】

◆ちょっと長くなってしまったのでこの辺で。

それにしても本書の内容のいくつかは、個人的には「目からウロコ」モノでした。

まず初っ端の、「好き」と「欲しい」は違う、というお話。

これに関して本書で指摘されているのが、「ストーカー行為」です。

「好き」という気持ちと、「殺す」という行動が、どうして結びつくのか私も分かりませんでしたが、「『好き』という気持ちが完全に消失している一方で、『欲しい』という、きわめてプリミティブな気持ちだけが暴走している」という指摘には深く納得。

それを踏まえて、本書ではこの曲の事が紹介されていました。

)

くれぐれも、披露宴等で歌ったりしないように……。

衝撃! あの大ヒットラブソングはストーカーの歌だった(エキサイトレビュー) - エキサイトニュース(1/3)


◆また、ポイントの2番目の「処理の流暢性による誤帰属」というお話も、興味深かったです。

要は「私たちは脳が処理しやすいものが好き」ということ。

この事に関連して、「平均的な(バランスの取れた)顔を持つ人が好かれるのは、健康である可能性が高く、将来のパートナーとして適しているから」という仮説が間違っている件が説明されていました。

……というか、私もその仮説を今まで信じてきたんですがw

ところが最近の研究によると、「私たちは平均顔のみならず、平均時計や平均イヌ、平均トリにまで魅力を感じる」のだそうです。

人間以外のものにパートナーとしての健康を求めることはないので、この仮説はかなり疑わしいものに。

それよりは、「平均的なものは能が処理しやすいから好かれる」と考えた方が、確かに自然ですよね。


◆さらには、サブリミナル効果に関する一連の指摘も、知らないことが多かったです。

サブリミナル効果 - Wikipedia

この件に関しては、映画のスクリーン上に「コーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」というスライドを超短時間に何度も見せることによって、売上が伸びた、という実験の逸話があって。

その結果(?)、日本や米国を含めた多くの国では、テレビ放送におけるサブリミナル広告が禁止されています。

ただし、本当はその「実験」すら行なわれてなかったのだそう。

しかし、サブリミナル効果というものがまったくないかというと、そうではないことが、上記ポイントの4番目のお話からも分かります。

つまり、サブリミナル的な手法は「なんとなく好き」レベルならば、十分効果があるということ。

本書ではさらに、「なんとなく好き」レベルを超えて、実際の行動にまで移させるお話も出ていますので、気になる方は本書にてご確認を。


◆また、上記ポイントの5,6番目は、コミュニケーションというか、モテネタにも通じるものです。

今回は割愛してしまいましたが、男女別の「異性に好まれる表情」のお話も押さえておきたいところ。
「笑顔」
「プライドを示している表情とガッツポーズ」
「恥を感じている表情とうつむいたポーズ」
「すました表情」
この4つの中で異性に最も好かれたのはどれか……って言われたら気になりますよね?

私はてっきり「男女とも笑顔」とオモタら違いました(詳細は本書で)。


「好き」に関する理解と知識が深まる1冊!

なぜ、それを好きになるのか?脳をその気にさせる錯覚の心理学 (角川SSC新書)
なぜ、それを好きになるのか?脳をその気にさせる錯覚の心理学 (角川SSC新書)
第1章 「すこし愛して、ながく愛して。」
第2章 見た目の情報で「好ましさ」が決まる
第3章 なんとなく好きにさせる王道テクニック―誤帰属・サブリミナル・ポジティブマインド
第4章 遺伝により決められた「好み」
第5章 すぐに使えるなんとなく好かれるテクニック
第6章 自分からちょっとは好きになる:勉強


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「心脳コントロール社会」小森陽一(著)(2006年08月03日)

【脳科学】「最新脳科学で読み解く 脳のしくみ」サンドラ・アーモット,サム・ワン(2009年05月02日)

【脳】「なぜいい女はパッとしない男に惚れるのか?」澤口俊之(2007年07月28日)


【編集後記】

◆上記のPOLICEの曲の件の元ネタとなったご本。

本当はこんな歌
本当はこんな歌

私も知らないで口ずさんでいた曲がありそうです……。


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