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2014年03月08日

すぐに使える『交渉術・究極のスキル』テクニック5選


交渉術・究極のスキルブライアン・トレーシーの「成功するビジネス」 (角川SSC新書)
交渉術・究極のスキルブライアン・トレーシーの「成功するビジネス」 (角川SSC新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、お馴染みブライアン・トレーシー氏の「交渉術」の本。

氏の本にしては珍しく新書なんですが、それにもかかわらず、書影に本人が載りまくっており、版元さんの気合が伺われます。

アマゾンの内容紹介から。
交渉術は、ビジネスはもとより、人が生きていくうえで、また他人とコミュニケーションを図るうえで欠かせない技術である。だが、交渉に黄金のルールはなく、各々が実践を通じて自力で習得しなければならない。そのとき心強い味方となるのが、先人たちが経験から編み出したスキルだ。交渉下手を嘆く人へ、なぜかいつも相手の言いなりになってしまう人へ、「営業の神様」と称されるブライアン・トレーシーが、豊富な実体験で身につけた、誰も教えてくれない実戦的なノウハウを惜しまず伝授する!

監訳が本田直之さん、ということで、あの『フォーカル・ポイント』と同じコンビ(ただしあちらでは「監修」)が再現した結果は!?

なお、タイトルは「ホッテントリメーカー」のお世話になっておりますw





Prof Mnookin at the CMR No.008F / U.S. Embassy Tel Aviv


【ポイント】

■1.交渉人のように考える
 たとえラべルに記載されていたり印刷されていたりしても、価格や取引条件が固定された商品というのはごくわずかしかない。価格や取引条件がどれほど固定されていて、変えられないように見えても、すべては交渉可能なのだ。それを忘れてはならない。あなたがやるべきことは、どこに行けば、そしてどうすれば、今提示されているより有利な条件で取引できるのかを考えることだ。


■2.拒絶を個人的に受け止めてはいけない
 そんなある日、私は経験豊富な販売員に尋ねた。あなたは、ひっきりなしにつきつけられる拒絶にどう対処しているのかと。すると、彼はこんな魔法のことばをかけてくれた――「拒絶は個人に向けたものではないのですよ」
 拒絶を個人的に受けとめてはいけないのだ。交渉の場で、あなたの要求に対してだれかが"ノー"と言うとき、その"ノー"は、あなた自身やあなた個人の価値を反映したものではないということを覚えておかなければならない。


■3.切迫感に注意する
 販売員はこう言う。「今日お決めにならなければ、明日の朝には価格が変わってしまいます」あるいは、「この商品だけの特別価格です。でも、今日の5時までです。それ以降は正規の価格に戻ります」と言うかもしれない。
 このテクニックに対抗するには、すぐに決断しなければ特別な取引条件をふいにしてしまいますよ、と言われたときに、こう言い返せばいい。「今すぐ決めなきゃならないなら、答えはノーです。でも、そちらのオファーをじっくり考える機会をもらえるなら、答えは変わるかもしれません」


■4.状況を逆転させて考える
 ロースクールでは、相手方の代理人になったつもりで、相手の立場でその案件の事実に基づいた主張をつくり上げるよう教えられる。相手方の主張を組み立て終えてから、学生たちは自分の主張の組み立てを始める。
 これはやる気満々の弁護士や交渉者が使う、相手の強みと弱みを客観的に把握するためのテクニックだが、同じ手法を使えば、あなたもこれから交渉の場で話し合う内容をさらに明確に把握することができ、相手が要求してきそうなことを予測したり、相手の主張の強みに備えたりできるようになる。


■5.問題をいったん先送りする
 交渉でさまざまな問題を検証していて、相手が同意しなかったり、譲らなかったりする場面に出くわしたときは、すぐにこう言うといい。「それについては、またあとで話し合いましょう」
 素早く先送りをすればするほど、のちのち相手の拒絶にあったり、抵抗されたりする確率が低くなる。はじめに多くの問題で合意しておけば、それだけあとで出てくる間題についても相手の同意を得やすくなるものなのだ。出だしから話し合いを円滑に気持ちよく進めておくことで、相手を、あとから出てくる問題も円滑に気持ちよく処理してあなたに報いたいという気にさせるのが楽になる。


■6.社会的な証拠を集める
 たとえば、新しい車を買う場合、販売員はよくこんなことを言う。「お客様のようなお仕事をされている方は、この車を購入されるときはかならず、GPS機能をおつけになります」
 "あなたに似た人"がすでにこれを買うと決めて、契約を結んだと言われたら、だれでもガードを下げるにちがいない。精神的、感情的な抵抗感が弱まっているはずだ。
 同じ決定や譲歩をした"同じような状況の同じような人"のことを教えるのだ。同様の契約を結んだほかの人のことを次々と引き合いに出せば、あなたが要求していることの合理性と公平性が証明される。相手は納得してくれるはずだ。


■7.どんな交渉にも立ち去る覚悟でのぞむ
 私は交渉にのぞむ際、あらゆる手を尽くして、いつでも「立ち去れる」態勢をととのえておく。そうすれば、非常に強い立場に立っていられる。選択肢を用意せず、"引き金を引く"覚悟をしていなかったときと比べて、ほぼ確実に有利な取引ができるようになる。
 できるだけ安い値段で買いたかったり、高い値段で売りたかったりするとき、この立ち去り型の交渉術を使うといい。私は交渉でよくこんなことを言う。「あなたにできる精一杯の価格を教えてください。1回でいいです。それを聞いて、買うか買わないかを、イエスかノーで答えますから」


【感想】

◆私自身、今までブライアン・トレーシー氏の作品を何冊か読んできましたが、そのほとんどが冒頭の『フォーカル・ポイント』のように自己啓発系だったため、まさか氏が「営業の神様」などと呼ばれているとは知りませんでした。

……って、ご本人の日本語サイトを見たら、確かに写真の下に「営業の神様」って書かれてますね。

≫ About BrianTracy :ブライアン・トレーシー日本公式サイト

というわけで、今回はテーマが「交渉術」ということで、本領発揮しまくりw

収録されたエピソードも、トレーシー氏自身が実際に経験したものが多く、その意味では説得力がありました。


◆たとえば、初っ端の第1章(本書では実際には章の表示はなく番号だけですが)では、賃借しているオフィスビルのオーナーが変わった際に、新たな契約を結び直す話が出てきます。

新オーナー(不動産会社)曰く、「元の契約と概ね同じで、小さな変更点が2、3あるだけ」とのこと。

しかし、受け取った署名用の契約書が、元のものより10ページほど厚くなっていたため、トレーシー氏は友人の専門家に依頼して内容を確認してもらったところ、変更点が52箇所にものぼることが判明します。

しかも、そのどれもが氏に不利な内容、もしくは不利になる可能性のあるもの。

そこで、トレーシー氏たちは、その52箇所すべてを修正して送り返すと、それらの修正が反映された契約書が返送されてきたのだそう。

なるほど、「いかなる売買契約であっても、提示された条件におじけづいてはならない」んですね。


◆また、トレーシー夫人に車を買う際に、販売店と交渉したエピソードも、興味深いものでした。

気に入った車を試乗した後、トーレーシー氏は、自分が自動車業界のことに詳しいことを明かし、いきなり販売員に「提示できる精一杯の価格」を明かすよう要請します。

その金額は3万ドルで、氏が試算した「この金額で売ってもまだ儲けがでる」ハズの2万5千ドルとは大きな開きがありました。

しかし、販売員に重ねて「3万ドルが精一杯」と言われると、ホントに席を立って、駐車場へ行ってしまいます。

まさに上記ポイントの7番目の通りワロタww


◆すると販売員が後から追いかけてきて、責任者に話さないといけないので、少し待って欲しい、とのこと。

結果「ほんとうにほんとうの精一杯の価格」として、「28,995ドル」に値下がりします。

めでたしめでたし……とはならず、再度店を出るトレーシーチーム容赦なしww

こうして「出たり戻ったり」を3,4回繰り返し、そのたびに「精一杯の価格」を提示され、最後の最後に2万5千ドルで購入できたのだそう。

私はさすがに、ここまでできる自信はありませんが……。


◆なお本書は、途中で『ハーバード流交渉術』が紹介される等、普通の交渉テクニックの話もひと通りおさえています。

ハーバード流交渉術 (知的生きかた文庫)
ハーバード流交渉術 (知的生きかた文庫)

交渉術の本ではお馴染みの『Win-Win型交渉』や、「こちらの時間的制限を明かさないこと」「相手のことを徹底的に調べること」「価格と取引条件を分けて考えること」といったお話も、もちろん収録済み。

「営業」というと、何となくスルーされる方もいらっしゃると思いますが、そもそも『影響力の武器』(本書でも第16章で紹介されています)をもっとも活用しているのが「営業」部隊だと思うと、本書も身近に感じられるのではないでしょうか?

ちなみに原本が出たのが去年で、評価もなかなかなようです。

Negotiation (Brian Tracy Success Library)
Negotiation (Brian Tracy Success Library)


交渉力をアップさせたいならぜひ!

交渉術・究極のスキルブライアン・トレーシーの「成功するビジネス」 (角川SSC新書)
交渉術・究極のスキルブライアン・トレーシーの「成功するビジネス」 (角川SSC新書)
1.すべては交渉可能である
2.交渉の恐怖に打ち克つ
3.交渉のタイプ
4.長期にわたる取引関係
5.六つの交渉スタイル
6.交渉における力の活用法
7.力と認知
8.感情が交渉に与える影響
9.決定における時間の要素
10.自分のほしいものを知る
11.ハーバード交渉プロジェクト
12.準備が決め手
13.自分と相手の立場を明らかにする
14.4の法則
15.交渉における暗示の力
16.「返報性」を利用した説得
17.「社会的証明」による説得
18.価格の交渉戦術
19.立ち去り型交渉術
20.交渉に終わりはない
21.交渉の達人とは


【関連記事】

【成功本】「フォーカル・ポイント」が中身濃すぎな件(2009年10月04日)

【自己啓発】『まずは、自信をつけてしまえ!』ブライアン トレーシー(2013年09月14日)

【交渉学】『ハーバード×慶應流 交渉学入門』田村次朗(2014年01月18日)

【交渉術】『最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術』島田久仁彦(2013年08月08日)

【交渉術】『プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法』石井琢磨(2013年07月29日)

【裏ワザ?】『弁護士に学ぶ!交渉のゴールデンルール』奥山倫行(2013年01月13日)

【速報!】最強のビジネス本「影響力の武器」の[第二版]がいよいよ登場!!(2007年08月18日)


【編集後記】

◆今日の作品に登場したということで、改めてこの本もご紹介しておかねば。

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか
影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

レビューは上記関連記事の最後にて。


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