2014年03月07日
【暗記術】『試験は暗記が9割』碓井孝介

試験は暗記が9割
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、司法書士実務に携わりながら資格スクールの講師も務める碓井孝介さんの勉強本。今回は特に、資格試験で必須の「暗記術」について述べられています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「暗記は悪い勉強法」「暗記するより理解が大事」は真っ赤なウソ。
結局はテキストや問題集の内容を覚えてしまえば試験に合格する。
理解は後からついてくる。
偏差値35から公認会計士試験に合格した著者がオリジナルの暗記テクニックを伝授する。
暗記TIPSの豊富さが魅力の1冊です!

Memory Maps: Touch Screen Multi-touch Interactive / unifiedfieldinc
【ポイント】
■1.理解よりもとにかく暗記理解は二の次で、とにかく暗記をするという学習スタイルに、疑問を感じた人もいるでしょう。
これについては、私は自信を持ってこう言えます。
「理解することは大切だけど、覚え続ければ理解はあとからついてくる」
誤解を恐れずに言うと、暗記をしているうちにわかってくるということです。「知識がないから理解ができない、知識があれば埋解ができる」、この事実を見落としてはいけないのです。
■2.頭文字を並べて覚える
社会人の常識として、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)が大切」とよくいわれますが、「報告、連絡、相談の3つが大切」という情報をすぐに思い出せるのは、冒頭の文字を並べて覚えているからにほかなりません。この覚え方によると、頭文字が各情報を思い出すきっかけとなり「思い出しやすい!」というメリットがあるのです。(中略)
試験中に情報を思い出したいときは、問題用紙の余白に、冒頭の文字を並べて書くといいでしょう。たとえ緊張していても、冒頭の情報である「思い出すきっかけ」さえ紙に書き出してしまえば、あとはすらすら解答できるのです。
■3.全体像は「目次、見出し、太字」をチェック
まずは、取り組む前に目次を確認してください。目次は、まさにテキストの全体像であり、「どこに、何が、どれくらいの分量で」記載されているかがわかります。(中略)
次に、勉強する単元のページを開き、見出しをざっと確認してください。見出しには、テキストの作成者が受験生に伝えたい情報が端的に示されています。これは、受験生の側からすれば「キャッチすべき情報(覚えるべき情報)の大枠」なのです。
さらに、テキストによっては重要な箇所が太字やカラーで示されていることがあるでしょう。見出しを確認した後は、この太字やカラーで示されている部分を拾い読みしてください。
■4.変えやすいところを覚える
「コピペ+変則」が基本的な作問の仕方であれば、暗記すべき情報はおのずと絞られます。原典を読んで、言葉を変えやすいところを徹底的に覚えればいいのです。つまり「ココを変えても日本語として意味が通る! ココを変えても文章になる!」という部分をピックァップして、集中的に暗記すればいいということ。これを、私は「ピンポイント暗記法」と呼んでいます。(中略)
なお、原典以外のテキストなどを読み込むときも、同じように勉強するといいでしょう。大切なのは、出題される箇所に照準を合わせて覚えることなのです。
■5.余白には「思い出すきっかけ」をメモする
思い出すきっかけを増やすことは、問題演習においても意識すべきです。問題を解くときは、覚えた知識をあとから思い出せるように、記憶の入リ口を増やす形でメモをします。
まず、問題の余白に「思考回路」をメモしましょう。(中略)
また、問題を解いたときは「感想」もメモするといいでしょう。(中略)
さらに、直接の関係がなくても、関連知識で気づいたことがあればメモをしておきましょう。
(詳細は本書を)
■6.量の多い情報を一問一答にして暗記する
この覚え方のメリットは、なんといっても情報を絞れるということ。情報を覚えるときは要点を絞る、これは暗記の鉄則でした。一問一答にすることは、暗記するターゲットを絞ることそのものであり、意識を向ける対象を特定できるのです。
また、一問一答にすべき箇所を考えること自体、要点を覚えることにつながります。出ないところを問題としてピックアップしても意味がないので、出題される箇所はどこか、出題されるとしたらどのような問われ方をするのか、自然とこれらを意識するようになるのです。
■7.情報を一元化するときに注意すべき3点
(1)情報を集約させる対象は、「問題集」であること
(2)集約させるべき情報は、「他の問題集で取り上げられていた情報」「他の分野の関連キーワード」「基本書・テキストの参考ぺージ」の3点
(3)難関試験であれば本試験3ヵ月前までに(2)までを終わらせる
【感想】
◆初っ端に「理解よりもとにかく暗記」というフレーズが出てきて、若干抵抗がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?ただ、当ブログでは何度もお伝えしているように、こと「受験」においては、理解していても答案が書けなければ意味がありません。
逆に理解していなくても(もちろん理解できていれば当然良いのですが)、答案が書けるようになるために必要なことは「暗記」。
この意味において、広義の勉強本(特に受験を前提としていない勉強を扱った本)と、狭義の勉強本とは大きく異なっていると思います。
◆というワケで、本書は暗記法がてんこ盛り。
もちろん、類書に掲載されていたり、昔から「王道」と呼ばれている方法等もちらほら散見されるので、その点では「オリジナルの暗記テクニック」だけということではありません。
ただ、これも勉強法全般について言えることなのですが、どの方法が自分に適しているかは、実際に試してみる必要があります。
ゆえに本書のように暗記法が列挙されている本は、勉強の最初のとっかかりとして有益ではないか、と。
◆たとえば、割愛した暗記法の中で、上記ポイントの2番目の「頭文字を並べて覚える」を応用した「文章ぶった切り! 頭文字インプット法」というものがあります(名称はアレですがw)。
これは条文のような複数の長文を暗記するのに、「適切な長さでスラッシュを引いて、その先頭の頭文字を暗記し、それをとっかかりにして全文を覚える」というもの。
長文を覚えるのに、スラッシュで区切る方法や、ぐるぐる丸で囲む方法は見たことがありましたが、区切った上で頭文字を覚えるというのは、確か初見だったと思います。
私は税理士の理論を暗記するのに、何色も使ってマーキングして覚える方法で立ち向かったのですが、もし最初からこの方法を知っていたら、試してみていたカモ。
◆また上記ポイントの5番目の余白にメモするやり方も、「目からウロコ」でした。
ここでいう「思考回路」とは、たとえば「東京ドームの最寄駅を答えなさい」という問いがあった場合に、飯田橋か水道橋かで迷ったなら、「飯田橋? 水道橋?」とメモすること。
「感想」とは、実際に自分が思ったことや感じたこと。
「関連知識」とは、たとえば何かしらの事件について問われたときに、同じ年に起きた別の事件など。
こうした事柄は、問題を解く過程で「脳内では」存在しているのですが、そのままでは問題を解いた後では消えてしまいます。
それを問題の余白に「見える化」することで、記憶のとっかかりになるわけですね。
◆ちなみに、本書の著者の碓井さんの本としては、以前こちらをご紹介しております。

偏差値35から公認会計士に受かる記憶術 (講談社プラスアルファ新書)
参考記事:【記憶術】『偏差値35から公認会計士に受かる記憶術』碓井孝介(2012年08月23日)
上記レビューをご覧頂ければお分かりのように、この本は「日常生活の記憶」までカバーする「広義の勉強本」。
新書だけに幅広い層を狙ったのかもしれませんが、受験用のテクニックとしてはちょっと弱いものでした。
その点、本書は初めから受験を前提としており、出てくる具体例・問題例も資格試験仕様でぬかりなし!
ただ、唯一残念だったのが、横書きの左開きだったことで、数式や英文が出てこない以上、縦書き右開きにして欲しかったかな、と(ブツブツ)。
それでも暗記が苦手な方には、オススメせざるを得ません!

試験は暗記が9割
【関連記事】
【記憶術】『偏差値35から公認会計士に受かる記憶術』碓井孝介(2012年08月23日)知らないと損する『記憶法大全』活用法(2014年01月29日)
【勉強法】『速読暗記勉強法』牛山恭範(2013年09月27日)
最新脳科学が教える『記憶力を磨く方法』(2013年02月16日)
【スゴ本?】『即戦力をつくる記憶術』渡辺剛彰(2012年07月14日)
【記憶術】『世界一の記憶術』に学ぶ達人のワザ7選(2012年02月26日)
【編集後記】
◆昨日見かけて気になった本。
世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法
チラ見したところ、結構面白そうだったのですが、私のような英語やってない人間がレビューして良いものか……。

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