2014年02月05日
【オススメ!】『カリスマは誰でもなれる』オリビア・フォックス・カバン
カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨年暮れの「未読本・気になる本」の記事で取り上げたものの、そのままになっていた1冊。最近、とある筋から猛烈に薦められて読んだところ、確かにかなり濃厚な作品でした。
アマゾンの内容紹介から。
米国で話題のカリスマ論のバイブル、ついに上陸。リーダーシップの専門家として、スタンフォード大学、イェール大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、国連などで講演を続けてきた著者。今、世界が求める「影響力」の源泉を明らかにする―。
思わず付箋も貼りまくり!
【ポイント】
■1.会話の中でカリスマを高める3つのポイントカリスマになる訓練では、カリスマらしい態度を身につけ、アイコンタクトを駆使し、声を調整して、注目を集める方法を学ぶ。たとえば、会話の中で簡単にカリスマを高めるポイントは3つある。1 文章の終わりでイントネーションを低くする。
2 うなずく動作を遅くして、頻度を減らす。
3 話す前に2秒の間をおく。
■2.「天使の羽根」のイメージトレーニング
これは神経科学者のプリヴァヒニ・ブラドゥ博士が考案した。誠意と幸福感を発散しているカリスマ性の高い人で、私はかねてから慕っている。そんな彼女がある秘密を教えてくれた――自分が話している相手や、自分の周りにいる全員が、目に見えない天使の羽を持っていると想像するといい。
このイメージトレーニングは、人に対する見方を変える。ほんの一瞬でも、誰かのことを本当はいい人だと見ることができれば、相手に対する感情が和らいで温かくなり、あなたのボディランゲージが根本から変わる。さっそく挑戦してみよう。
■3.場面に応じた音楽を聴く
アスリートが大きな試合の朝に集中力を保つように、カリスマを最大限に発揮しなければならないときは、心の中に入ってくるものに気をつけること。音楽を聴くだけでも、感情や精神状態に影響を与えかねない。(中略)
私は、音楽を聴く際はテンポと歌詞を考えて曲を決める。重要な場面に備えるときは、自分がなろうとしている精神状態にふさわしい歌を慎重に選ぶ。「自信」「誠意」「共感」「忍耐」など、それぞれのプレイリストを作ってある。実際、聴く音楽によって変化が生じるのだ。ほかにも「講演の前」「目覚め」「家族の集まりの前」といったプレイリストがある。
■4.カリスマの4つのスタイル
リーダーシップや個性にさまざまなスタイルがあるように、カリスマにもさまざまなスタイルがある。マドンナもローマ教皇もダライ・ラマも、群衆を惹きつけるカリスマだが、彼らがカリスマたる理由はそれぞれ異なる。
この章では4種類のカリスマ――集中力のカリスマ、ビジョンのあるカリスマ、優しさのカリスマ、権威のカリスマ――について説明する。それぞれのカリスマがどのように受け止められ、どのように高めることができ、どのような場面で活用できるかを学ぶ。
(詳細は本書を)
■5.相手の話に上の空にならないテクニック
相手が話しているあいだも、自分が話す番を待ちながら考えごとをしていたら、たとえ自分が次に話す内容を考えているとしても、プレゼンスが欠けていることは顔に出る。(中略)
たとえば、次のように集中力を修正する。・話を聞きながらぼんやりしてしまうなら、呼吸や足のつま先など肉体的な感覚に一瞬だけ意識を集中させてから、会話への集中力を取り戻す。
・いらいらしていて集中できないなら、些細なことでもその肉体的な感覚と向き合ってから、目の前にいる相手に再び意識を集中させる。
■6.電話のカリスマになるコツ
コミュニケーションの専門家で作家のレイル・ラウンデスによると、電話がかかってきたら、いきなり好意的で親しげな応対をしないこと。最初は手短に、事務的に返事をする。かけてきた相手がわかって初めて、声に親しみを込め、喜びをあふれさせる。簡単なテクニックだが、相手に自分は特別なのだと思わせる。私はこのテクニックを、顧客サービスを柱とする企業で働くクライアントに必ずすすめている。顧客の満足度が著しく向上するだろう。
■7.壇上を支配するテクニック
まず、立つときは足を大きく開き、両足でバランスを取る。自分が自信を感じるだけでなく、聴衆から見ても、片足に重心をかけて立つより自信があって安定しているように見える。仁王立ちするゴリラになったつもりで!
次に、演壇や書見台を使わずに練習する。台の後ろでしゃべっていると、不安で前に出られず、安全なところに隠れていたいのだろうという印象を与える。プレゼンテーションにも動きが出ない。(中略)
最後に、自信を伝えるのにふさわしい声の大きさを見つける。これは当日のマイクや音響によるところが大きいので難しい。確実な方法の1つは、会場の後方に座る人に頼んで、声のボリュームを変える必要があれば手で合図をしてもらうことだ。
【感想】
◆冒頭の画像でもお分かりのように、とにかく付箋を貼りまくりました。本書は、ページ数的にはそれほどないものの(翻訳書としては)、スゴイことになっておりますw
その分、泣く泣くカットした部分も多かったこと!
ホントは他にも、身だしなみ等、いかにも「カリスマ」的なネタもあったのですが、とりあえず割愛(一応簡単に言うと「その状況に適した範囲で最高級の服装を選ぶ」とのこと)。
◆それよりも、まずは上記のポイントの4番目にある「カリスマの4つのスタイル」を理解しておくのが先決ではないか、と。
引用では紹介しきれなかったので、本書をもとに、4つのスタイルを簡単に説明してみます。
●集中力のカリスマ
相手のそばにいて、相手の言葉を聞き、すべてを吸収していると思わせる能力(「プレゼンス」)に基づくもの。
ペイパルの共同創業者で、現在はテスラ・モーターズのCEOである、イーロン・マスクが代表的。
●ビジョンのあるカリスマ
周囲を鼓舞し、この人を信じようという気持ちにさせる。
スティーブ・ジョブズ、マーティン・ルーサー・キング牧師等。
●優しさのカリスマ
誠意に基づき、相手を受容し、相手が愛されていると感じる。
ダライ・ラマが代表的。
●権威のカリスマ
自分のパワーを周囲に感じさせる。
コリン・パウエル、マイケル・ジョーダン等。
◆ちなみに、これらのスタイルは、必ずしも独立しているとは限らず、同じ人が別のカリスマに切り替えたり、いくつかを取り混ぜたりすることもできます。
たとえば、オプラ・ウィンフリーは、同じインタビューの中で、集中力と優しさのカリスマを両方発揮し、さらにビジョンのあるカリスマを加えたりできる、とのこと。
また、クリントン元大統領とオバマ大統領は、ともにビジョンのあるカリスマであり、かつ権威のあるカリスマでもあるのですが、オバマ大統領の方が、集中力のカリスマとして優れているのだそう。
一方、クリントン元大統領は「優しさのカリスマの達人」であり、「途方もない共感力」の持ち主として知られているのだとか。
◆本書では、このクリントン元大統領のエピソードがいくつか紹介されているのですが、これがどれも、なかなかに秀逸です。
たとえば、彼がグーグルの本部を見学した際、著者の友人が彼を直接褒めた(「この国のために尽くしてくれて、ありがとうございます」と声をかけた)ときのこと。
クリントン元大統領は、「そんなふうに思ったことは一度もなかったかのように」少し考え、「その言葉をじっくり噛みしめているように」見え、「自分はそんな大それた人間ではないというような笑顔を見せ」て、「とても光栄です」と言ったのだそう。
それを聞いた友人は、クリントン元大統領がカブスカウトの少年で、自分が大統領にでもなった気がした、とのこと。
これに関連した効果的なテクニックとして、「誰かと話をしているとき、自分は映画を見ていて、相手はその主役だと想像する」ことを本書では奨励してました。
なるほど、これなら私たちにもできそうな。
◆「カリスマ」というと、どうしてもスティーブ・ジョブズのような強烈な個性や、強いリーダーシップが必要な気でいましたが、本書を読むと必ずしもそうでもないことが分かります。
ただし、ビジネスの上では「自信にあふれるカリスマ的なリーダー」の方が評価は高いわけで、本書ではそうなるためのテクニックも多数収録。
実際、本書の終章では、「仕事はできるけれど、カリスマとは程遠い」印象の男性が、著者の訓練によって生まれ変わったエピソードが紹介されています。
本書には、その男性のようになるための、また、本書の内容を習得するための、いくつもの「エクササイズ」がありますので、こちらも要チェック!
これはオススメせざるを得ません!
カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)
第1章 カリスマは神秘ではない
第2章 カリスマ的な振る舞いプレゼンス、パワー、誠意
第3章 カリスマを邪魔するもの
第4章 障害を克服する
第5章 カリスマ的な精神状態をつくりだす
第6章 カリスマのスタイル
第7章 カリスマ的な第一印象
第8章 カリスマは聞き上手で話し上手
第9章 カリスマ的なボディランゲージ
第10章 困難な状況こそカリスマらしく
第11章 カリスマのプレゼンテーション
第12章 危機的状況とカリスマ
第13章 カリスマ的な人生―困難に立ち向かう
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「パーソナルブランディング」 ピーター・モトンヤ (著) 本田直之 (訳)(2005年06月09日)
【編集後記】
◆上記「集中力のカリスマ」である、イーロン・マスクに関するご本。イーロン・マスクの野望 未来を変える天才経営者
ちょっと読んでみたくなりました。
ご声援ありがとうございました!
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