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2014年02月03日

【名著復活】『元祖プロ・コーチが教える 育てる技術』ジョン・ウッデン,スティーブ・ジェイミソン


元祖プロ・コーチが教える 育てる技術
元祖プロ・コーチが教える 育てる技術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった1冊。

一度は絶版になっていたものの、土井英司さんがメルマガで激賞されたことにより、新たに「新装版」として生まれ変わったいわくつきの作品です。

アマゾンの内容紹介から。
米国大学バスケット史上最高のコーチといわれるジョン・ウッデンは、どのように名選手たちを育ててきたのか? 高潔な人格をもって知られ、広くアメリカ人の尊敬を集めたウッデンが語る育成と指導の要諦は、上司や教育者にとって役立つだけでなく、すべての人に、人生いかに生きるべきかを示してくれる。

帯にはその土井さんの「この名著に気づかなかったことを最も後悔しています」の文字が躍っていますが、果たして!?





Next28 John Wooden Quote / thenext28days


【ポイント】

■1.自分の指導下にある人たちに敬意を払う
 指導者の最も基本的な条件は、自分の指導下にある人たちの尊敬を得ることである。それには、みずからがまず彼らに敬意を示すことだ。
 あなたはまず、自分の指導下にある人たちは、あなたのために働いているのではなく、あなたといっしょに働いているのだということをしかと肝に銘じておく必要がある。あなたとあなたの部下は、共通の目標によって結ばれているのだ。(中略)
 指導者は、自分の指導下にある人たちに敬意を抱かなければならない。敬意とは愛の一種である。指導者が彼らに敬意を抱けば、彼らは指導者から頼まれたことをするものだ。


■2.恐怖心ではなく誇りで人を動かす
 恐怖心をあおれば、短期的には人びとに何かをやらせることができるかもしれない。しかし、長期的な視点から見ると、人びとにやる気を起こさせるには、誇りを持たせるほうがずっと効果的だと私は確信している。そのほうが、ずっと長い期間にわたってはるかによい結果が得られるのだ。
 誇りを持っている人物か、罰を恐れている人物か、私ならどっちの人物といっしょに仕事をするだろう。私にとって、それは簡単な選択だ。
 相手に敬意を示してはじめて相手は誇りを持つ。このことを忘れてはいけない。


■3.平等ではなく公平に扱う
 公平さとは、誰に対してもその人に値する接し方で接することだ。といっても、誰に対しても同じように接するという意味ではない。それはむしろ不公平である。すべての人が同じ接し方に値するのではないのだから。
 以上の理由から、私はすべての選手を同じように扱いはしなかった。意外に思うかもしれないが、そうすることによってチームワークが向上した。ほとんどどの選手も自分が公平に扱われていること、自分に値する扱い方をされていることを感じとっていたからだ。その結果、彼らはより一層努力するようになった。
 これはスポーツにも人生にも当てはまる。


■4.批判にも称賛にも惑わされない
 この指導の原点は,私の父の教えにある。父はよく、「自分がどうにもできないことに惑わされると、自分がどうにかできることに悪影響を及ぼす」と言っていた。
 外部の人たちからの批判や称賛は自分ではほとんどどうしようもない。だから、それらはすべて差し引いて受けとる必要がある。
 他人の意見に惑わされるのは、対戦相手にまかせておこう。自分が惑わされてはいけない。


■5.最善の努力をする限り、それは失敗ではない
 私は数多くの間違いを犯してきたが、失敗を犯したことは一度もない。全米学生選手権に毎年優勝することはなかったし、試合には何度も負けている。しかし、失敗を犯したことはない。
 自分にできる限りのことをしたと確信できるなら、決して失敗ではない。私はべストを尽くした。それが私にできるすべてだった。
 あなたはこれから間違いを犯すだろうか? 当然だろう。しかし、最善の努力をする限り、それは失敗ではない。


■6.成し遂げられたはずのことを基準に自分を測る
 実際に成し遂げたことで人を測ってはいけない。それぞれが自身の能力を駆使すれば成し遂げられたはずのことを基準にすべきだ。能力をいかんなく発揮して最善を尽くすために努力する。それ以上のことができる人がいるだろうか?


■7.目標を達成したあとに真価が問われる
 人はいったん目標を達成すると、安易な気持ちで手を抜き、気をゆるめ、準備をろくにしなくても自動的に成功をおさめられると考える。しかし、大切なのは、頂点にたどり着いたあとなのだ。それまでと同じくらいか、それ以上に一生懸命に努力しつづけるには、真の人格が必要になる。
 何度も何度も勝ちつづけるスポーツ選手やチームは、能力以上に人格が優れている。
 明日は、今日よりもさらにやらなければならないことが多い。昨日いくらか成功したからといって、そこに安住していると、必ず失敗が待ち受けている。明日は再び、今まで以上に懸命に努力しなければならない。


【感想】

◆冒頭の土井さんのメルマガでも書かれているように、私も本書の著者であるウッデン氏のことを知ったのは、この本によってでした。

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール
成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

参考記事:これは凄い! 『成功する練習の法則』を便利にする8つのツール(2013年07月22日)

上記の参考記事でも、ウッデン氏の練習方法をいくつか取り上げていますが、本当にこの本には、氏が何度も登場しております。

そしてこの本の内容に照らし合わせてみても、氏のスタイルは理に適ったものであるということ。

ただし私もこの本は読んだものの、当時すでに結構なプレミア(確か)が付いていた本書の前版を買おうとまでは思いませんでした。

……さすが土井さん、嗅覚がスゴイですw


◆ところで本書は、素材をバスケットボールに求めてはいるものの、そのほとんどが人生訓とでもべき言うもの。

特に下記目次にもあるように、「人」や「チーム」(=組織)を育てる立場にいる方なら、必読とも言える内容です。

ちなみに私には、部下もチームもありませんが、むしろ「子育て」に実践したい金言がわんさかあって、うなずきながら読んでいました。

中でも上記ポイントの2番目は、個人的に「グサッ」と来ております。

うーん、宿題さぼるムスメに敬意ですか……(涙目)。


◆一方、本書のPart 3では、ウッデン氏の考える「成功の資質」から構成される、「成功のピラミッド」なるものが紹介されています。

これは、「勤勉」や「情熱」を土台に、「自制心」「技術」「平常心」……と必要な資質を積み重ねていき、頂点で「成功」を手にするというもの。

「育てる」うんぬんは関係なく、まさに読者さんそれぞれが、自分自身に問うて頂きたいところです。

ウッデン氏は14年かけてこのピラミッドを完成し、常勝を誇ったUCLAでは、シーズン開始前に選手たちと一緒に、その意味を学び、チームと自分への応用の仕方を検討したのだそう。

UCLAでのウッデン氏の教え子で、プロバスケットボール界のスーパースターだった、カリーム・アブドゥル・ジャバーも、この「成功のピラミッド」に大きな影響を受けたのだとか。

このPart 3は、自己啓発書好きの方なら、要チェックではないか、と。


◆なお、ウッデン氏の考える「成功」とは、「自分がなれるベストの状態になるために最善をつくしたと自覚し、満足することによって得られる心の平和のこと」なのだそう。

確かに上記ポイントの5番目あたりからも、その方向性が伺えます。

その分、ひたすら結果を追い求めるタイプの方には、少々微妙かもしれませんが、率いたUCLAは全米チャンピオンに10回輝き、自身も選手としてオール・アメリカンに3度選ばれたこともある、というウッデン氏の経歴を鑑みると、その教えを無視はできませぬ。

また、翻訳本の割に、薄くて結構読みやすい点もポイント高し。


新装版としてお求めやすくなった分、オススメです!

元祖プロ・コーチが教える 育てる技術
元祖プロ・コーチが教える 育てる技術
Part 1 人を育てる

Part 2 チームを育てる

Part 3 成功のピラミッド


【関連記事】

これは凄い! 『成功する練習の法則』を便利にする8つのツール(2013年07月22日)

【成長法則】『勝負論 ウメハラの流儀』梅原大吾(2013年10月04日)

【スゴ本!】『やってのける 〜意志力を使わずに自分を動かす〜』ハイディ・グラント・ハルバーソン(2013年09月24日)

【スゴ本!】『才能を伸ばすシンプルな本』ダニエル・コイル(2013年06月08日)

【サッカー】『必ず成果を出す! サッカー名監督のすごい言葉』桑原晃弥(2013年01月07日)

【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)


【編集後記】

◆なにやらウッデン氏の書かれた自己啓発書がもう1冊あるようで。

まじめに生きるのを恥じることはない
まじめに生きるのを恥じることはない

版元さんといい、帯に書かれたフレーズといい、今日の本の前版のさらに前のバージョンのような感じもするのですが、その割にはページ数が多いんですよね……(謎)。


ご声援ありがとうございました!

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