2014年02月01日
【Amazonキャンペーン有】『すべてのJ-POPはパクリである (~現代ポップス論考) 』マキタスポーツ
すべてのJ-POPはパクリである (~現代ポップス論考)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、ミュージシャン、芸人、俳優、コラムニスト、と多彩な才能をお持ちのマキタスポーツさんの音楽論。タイトルは少々釣り気味(?)ですが、中身はかなりガチで、数々のアーチスト&楽曲の「ヒットの秘訣」を明らかにしています。
アマゾンの内容紹介から。
カノン進行、J‐POP頻出ワード「ツバサ」「サクラ」「トビラ」「キセキ」、楽曲構成など、「ヒット曲に共通する要素」を徹底分析・分解!
なお、Amazonキャンペーンもございますので、そちらもお忘れなく!
J-pop section at Sofmap Akiba / kalleboo
【ポイント】
■ヒット曲の法則 その1「カノン進行」ずばり、これさえ覚えれば、ヒット曲っぽい感じになるというコード進行が存在します。その名は「カノン進行」。
というのも、日本のポップスのヒット曲で使われているコード進行にはカノン進行をべースにしたものが多いのです。(中略)
カノン進行をべースに作られたヒット曲は無数に存在しています。1990年代にビーイングやエイベックスを始めとするプロデューサー主導の音楽が流行した際の「工業製品的な楽曲作り」の手法としてよく使われ、また、Dragon Ashのブレイク以降、2000年代の歌謡曲化されたヒップホップスタイルの楽曲にもよく使われていました。
■2.今、アイドルがウケている理由
AKB48の握手券や投票権付きCDのように、アイドルの歌声を聴きたいからCDを買うというのではなく、イべントに参加するためのファングッズとしてCDを売るという販売戦略が功を奏したという面は大いにあります。(中略)
しかし、音楽的に考えると、先にヒャダインさんの例を挙げたようにアイドルが今一番、「音楽的に面白いこと」を楽曲面でも実践しているから、今までアイドルの曲など聴いたことがない人たちにもウケているのではないかと思います。もっと言えば、「面白いこと」も「つまらないこと」も両方できる、その振り幅を持っているからこそ、ウケているのです。
■3.「終わりを愛でる芸能」としてのアイドル
日本のアイドルは「卒業」していく存在です。少女たちが歌と踊りを覚えてアイドルになり、ある一定の年齢や人気に達すると、演技を覚えたりバラエティー番組でのスキルを身に着けて女優やタレントへと「アイドルを卒業」していきます。
つまり、日本のアイドルはいつまでもアイドルではいられないのです。このようなことから、私はアイドルとは「終わりを愛でる芸能」であると定義しています。
■4.CDをアイテム化したAKB48
AKB48はCDも「多くあるグッヴズのうちの1つ」という考え方を発明したわけです。歌手だったらCDを売ってなんぼという考え方よりも、もっと世の中の関心を引く楽しいことはイべントである、という方針を打ち出していきました。極端に言えば、仮にいい曲だったとしても曲の良さが優先ではない、ということをいち早くやっていたのがAKB48だったのです。
この割り切りは秋元さんが作詞のみで作曲まではしない人である、ということが影響しているのではないかと私は考えています。
■5.アミューズメント性を確信犯的に提供しているももクロ
つまり、1つの曲というよりはパフォーマンスであり、物語なのです。再びプロレスに例えるならば、「ガソリンポイント」を増やすというのはいきなり必殺技が出てしまう「ハイスパートレスリング」と同じだといえるでしょう。最初から掟破りのラリアットが出てしまう。スタン・ハンセンの頃だったら一番最後に「出るぞ、出るぞ」といって出す締めの大技が繋ぎ技となってしまっているのです。
ももクロの場合は、本来は60分のステージで「盛り上がる曲も歌えば、バラードもあり、MCやミニコントなども挟みつつ構成する」ことを、すべて1曲の中に演出として詰め込んでいるわけです。
■6.アニメソングの「様式美」度チェックシート(抜粋)
□サビ出し(もはや定番です)
□転調(2回以上が望ましいです)
□BPM (160以上が好ましいです)
□Sus4コード(サビ末にマイナコードへ進行するとよりドラマチックです)
□高カロリー歌唱(コクをいかに強調できるか考えてみましょう)
(詳細は本書を)
■7.ビジュアル系バンドのボーカルが歌に専念する理由
ビジュアル系バンドの多くのボーカルは、ボーカルにのみ専念していて「ボーカル&ギター」というようなパートは担っていません。LUNA SEAのドラマーである真矢さんとお話をする機会があり、実際にそのことについて尋ねてみたところ、「ボーカルがギターを弾くというのは現実をお客さんに思い起こさせて醒めさせてしまう行為です。ビジュアル系のバンドというのは夢を見させなければいけない」と言っていました。
つまりビジュアル系バンドは、お客さんを非日常の世界に連れて行かなければいけないし、そのためにボーカルは常にお客さんのほうに顔を見せて疑似恋愛を楽しませているのです。もしボーカルがギターを持っていたとして、一瞬でも演奏を気にして目線を観客からギターの指のポジションへと外したら、それだけでお客さんは醒めてしまうのです。
【感想】
◆今では滅多に買わないものの、家の押入れには四半世紀前から買い貯めたCDが1000枚超あるワタクシ。とはいえ、その95%以上が洋盤ということで、ぶっちゃけJ-POPについては、耳にしたことはあるものの、知識としてはほとんどありませんw
ですから本書で言われていることも、「なるほど、そうなんだー」的に受け入れてはいるものの、その真偽については正直なところ不明。
とはいえ、事例をふくめて、なかなかに説得力のある説だと思いました。
◆たとえば初っ端の「カノン進行」。
リンク先にも具体的な楽曲がありましたけど、こんなミックスを聞くと、そりゃ似たような曲が多いと感じてのもしょうがないな、と。
なお、この「カノン進行」含め、マキタスポーツさんの「ヒット曲の法則」なるものは、全部で4つあります。
もう1つだけご紹介しておくと、アマゾンの内容紹介でも軽く触れられている「歌詞」もそう。
この20年ほどのヒット曲に使われていたフレーズをランダムに集めてみたところ、「翼」「桜」「扉」「奇跡」という4つが最頻出だったのだとか(その他の法則は、本書にて)。
◆そして、このようなヒット曲の要素をちりばめて、マキタスポーツさんが作られた曲が、「十年目のプロポーズ」です。
……歌詞にしっかり上記の4フレーズが含まれていますねw
十年目のプロポーズ - マキタ学級 - 歌詞 : 歌ネット
本書ではこの曲を分析することによって、J-POPのヒット曲の構造が分かる仕様になっており、非常に勉強になりました。
なんでサビが「ラララ〜」なのか等、よく考えて作られていることが分かりますw
上記のYouTube動画はフルバージョンではないので、しっかり分析したい方は、アルバムをお買い上げ頂ければ(アサマシw)。
推定無罪
◆ところで、本書の第4章では「日本のポップスはすべてノベルティー・ソングだ」と題して、まさにサブタイトルにあるような「現代ポップス論考」が行われています。
もともとこの「日本のポップス=ノベルティソング」説は、音楽評論家の萩原健太さんが言われたことなのだとか。
さらにそこから発展して、先日亡くなられた大瀧詠一さんの「分子分母論」の「発想」を借用し、マキタスポーツさんなりの「ノベルティー・ソング論」が展開されているという……。
分かりやすく書こうとすると、ここだけでもかなりのボリュームになりそうなので、今回は割愛しましたが、本書をお読みの際には、ぜひこちらもご確認頂きたく。
◆実は私にとってマキタスポーツさんとは、「歌マネ」(?)の芸人さんでした。
この動画も、以前見た時は、ただ笑っていただけなのですが、今般本書を読んでから改めて見ると、何がそのアーチストたらしめているのかが分かり、「なるほどそういうことだったのか」と深く納得ww
また、本書の「おわりに」によると、大瀧詠一さんからも、直々に「久々に期待してるんだよ、マキタくんには」とまで言われたそうですから、やはり「芸人」の域を超えていると思います。
冒頭でも触れたように、タイトルは釣っていますが、特定のアーチストをDisったりはしていませんので、ご安心を。
J-POPファンならマストな1冊!
すべてのJ-POPはパクリである (~現代ポップス論考)
第1章 ヒット曲の法則
第2章 なぜCDが売れなくなったのか?
第3章 モノマネから発するオリジナリティー
第4章 日本のポップスはすべてノベルティー・ソングだ
【アマゾンキャンペーンのお知らせ】
◆本書の発売を記念して、現在アマゾンキャンペーンが行われております。マキタスポーツ『すべてのJ-POPはパクリである〜現代ポップス論考』amazon予約・購入特典キャンペーン | 日刊SPA!
■キャンペーン&音声ファイル配布期間
●2014年2月28日(金)23時59分まで
■特典
●マキタスポーツ本人が実演とともに語る特典音源
<音声データ内容>
・ヒット曲に多様されているカノン進行を、ギター実演とともに紹介
・ビジュアル系バンドの演奏の「味付け」を、ギター実演とともに紹介
・アーティストの「のど癖」を、モノマネ実演を交え紹介
……などなど
なお、詳細並びに、申し込みフォームは、上記キャンペーンサイトをご覧ください!
【関連記事】
【ボケ推奨!?】『一億総ツッコミ時代』槙田雄司(2012年10月03日)【AOR】『ぼくだけの東京ドライブ』から選んだAOR名盤15枚(2011年11月06日)
【謎解き】「真実のビートルズ・サウンド」川瀬泰雄(2008年12月09日)
「タイアップの歌謡史」速水健朗(2007年01月28日)
【編集後記】
◆そのマキタスポーツさんが本名で書かれた新書がこちら。一億総ツッコミ時代 (星海社新書 24)
レビューは上記関連記事にて。
ご声援ありがとうございました!
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