スポンサーリンク

       

2014年01月23日

【スライド作成術】『論理が伝わる 世界標準の「プレゼン術」』倉島保美


論理が伝わる 世界標準の「プレゼン術」 (ブルーバックス 1847)
論理が伝わる 世界標準の「プレゼン術」 (ブルーバックス 1847)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、『論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』が当ブログでも人気だった、倉島保美さん(念のために言っておきますと男性ですw)の最新作。

タイトルでは「プレゼン術」とありますが、本書の内容は、そのほとんどが「スライド作成術」であり、例えプレゼンをなさらない方でも、会議の資料作り等に活かせること必至です!

アマゾンの内容紹介から。
一流のプレゼンは、ロジックで感動させる。
グローバル競争の世界で、プレゼンに最も求められるのは「論理的」であることです。分かりやすいストーリーの組み立て方、データの分類・整理法、問題の本質への斬り込み方、合理的に結論へと導く手法──思考を整理し、正しくロジックを組み立てれば、あなたの主張は驚くほどパワフルになります。これまで誰も教えてくれなかった、聞く人を納得させる効果抜群のノウハウを基本から応用まで詳しく紹介。グローバル社会で通用する本物のプレゼン力=一生モノの「説得技法」が身につきます。大好評『論理が伝わる世界標準の「書く技術」』に続くシリーズ第2弾!

なるほど「論理的なスライド」とは、こういうモノを言うのだな、と。





First presentation / ivanlanin


【ポイント】

■1.情報を縦接続、横並び、包含のいずれかで接続する
 情報をただ羅列したのでは論理性は生まれません。(中略)
 論理性を生むためには、情報を縦接続、横並び、包含のいずれかで接続しなければなりません(下記参照)。
縦接続:原因−結果のように、論理的なつながりがある状態
横並び:原因1、原因2のように、同じ種類だが論理的なつながりが       ない状態
包含  :原因と原因1、原因2のように、一方が他方を含むつながり      がある状態


■2.接続関係が分かるように表記する
 接続関係を見出したら、その関係が分かるように表記します。横並びなら、羅列してかまいません。しかし、横並びの情報の中に、縦接続や包含の関係の情報があるなら、これらの情報を、横並びの情報と一緒に羅列はできません。縦接続や包含の関係の情報は、その関係が分かるように表記しなければなりません。


■3.横並びの情報を互いに揃える
 横に並ぶ情報は、同じ種類で、かつ、独立しているだけではなく、さらに他の情報と揃っていなければなりません。以下のような不揃いに気をつけましょう。
 ・主語・主体の不揃い
 ・構成の不揃い
 ・抽象度の不揃い
 ・比較対象の不揃い
 ・時間や場所の不揃い


■4.スライドはポイントで始める
 各スライドは、ポイントから説明を始めます。つまり、スライド1枚の説明においても、プレゼンテーション全体の構成である「総論−各論−結論」を守ります。まずスライドの先頭でポイントを述べ、次にそのポイントをグラフや図解を使って詳しく説明し、最後にポイントを繰り返します。


■5.目次スライドの代わりにイラストを活用する
 目次スライドを何度も見せるのはくどいと感じる場合は、イラストを使うのも効果的です。短いプレゼンテーションでは、そう何度も目次スライドを出しなおすわけにはきません。そこで、ロジックの流れをイラスト化し、スライドの右上など、邪魔にならない位置に配置します。ロジックの流れに合わせて、ロジックと対応するイラスト部分をハイライトします(下図参照)。


■6.ロジックを図に落とす
 ロジックを図に落とすには、情報間の関係を明確にします。その上で、その関係を示すのに適した基本図解を選びましょう。
 まず、情報が縦接続、横並び、包含のどの接続関係にあるかを確認します。
縦接続:情報間を矢印で結べるような関係
横並び:情報間を線で結べても、矢印では結べない関係
包含  :ある情報がある情報の中に含まれる関係


■7.伝達効率を高めるためにアニメ−ションを使う
 アニメーションが効果的なのは、余計な情報を見せなくて済むからです。話す順にアニメーション表示すれば、まだ話していない情報を聴衆に見せずに済みます。(中略)
 また、アニメーションを使えば、ポイントを強調できます。(中略)
ポインターでポインティングする必要はありません。
 さらに、アニメーションでは、流れを表現できます。フローチャートやサイクルを示す図解など、動きのある内容は、それに合わせてアニメーションします。すると、その動きが聴衆にはっきりと伝わります。


【感想】

◆上記記事からは分かりえませんが、本書はスライド作成がメインだけあって、図解が大変豊富です。

それも「左ページ⇒失敗例」「右ページ⇒改善例」で全体を統一。

その図解も、よくある(?)意味もなく1ページ丸々使うものではなく、文章の合間に効果的に挿入されており、理解をより深めてくれます……というか、「図解あってこそ」の構成の気が。

となると、上記ポイントは、枝葉末節なのかと言うとそうでもなくて、私が「ここだけで元取った!」と思えた点が2つありました。


◆まずは、繰り返し登場する「縦接続」「横並び」「包含」という概念。

初っ端のポイントの1番目でも言われているように、情報はただ羅列しただけではダメで、上記3つのいずれかで接続しなければなりません。

例えば、何らかの問題点があったとして、それを「問題点」と題して、やみくもに列挙しただけではダメということ。

ただそれも、今回この概念を知って初めて理解できたことであり、知らないで失敗例のスライドをパッと見せられて、どこに問題があるか、と問われても私には絶対に分からなかったと思います。

……ちなみに本書のスライド例は、全てパワーポイントで仕上げられており、見た目的には極めてキレイということはあるのですがw


◆もう1つが上記ポイントの3番目にある「横並びの情報を互いに揃える」というお話。

横並びであれば、他の2つのように情報間のつながりを意識しなくても良いのですが、その代わりに、それぞれの情報を揃える必要があります。

たとえば「構成を揃える」というのは、「原因+結果」で構成した情報を横に並べるのならば、すべての情報で「原因+結果」という構成にするということ。

「抽象度を揃える」というのは、数量を数値で示した情報を横に並べるのなら、すべての情報で同じようにするということ。

なお、これらは必ずしも完全に揃えられなくても良い(というか、かなり難しい)ものの、こうした点を意識するだけでも、より論理的なスライドが出来るであろうことは理解できました。


◆ところで、リアル書店で本書を実際に手に取った場合、第1章の初めから、ほとんど説明ナシのスライドのみのページ「よくある失敗例と改善例」が延々と30ページほど登場して、ちょっと面食らうかもしれません。

一応、問題点や改善点が付されてはいるものの、ずいぶん説明不足だな、と思われて当然のこのページ、実は第4部の「複雑な状況で活用する」にて、しっかり解説されていますので、ご安心を(私は最初、ここを必死に読み取ろうとして涙目になったのですが)。

また、本書は非常に多くのスライドを収録しているにもかかわらず、カラーは一切使われていません。

同じブルーバックスのスライド本でも、こちらは全ページフルカラーなのに、えらい違いw

研究発表のためのスライドデザイン (ブルーバックス)
研究発表のためのスライドデザイン (ブルーバックス)

参考記事:【スライド作成】『研究発表のためのスライドデザイン』宮野公樹(2013年05月06日)

ただし実際のプレゼン資料は、白黒コピーで取っても問題がないように濃淡にも差をつけるべきであり、本書はそれをしっかりと実践しており、流石の出来。

これはもう、すべてのビジネスパーソンにオススメしたいところです。


ワンランク上のスライドを作りたい方なら必読!

論理が伝わる 世界標準の「プレゼン術」 (ブルーバックス 1847)
論理が伝わる 世界標準の「プレゼン術」 (ブルーバックス 1847)
第1部 論理的なプレゼンには何が必要か
第2部 ロジックを組む
第3部 ロジックを表現する
第4部 複雑な状況で活用する


【関連記事】

【文章術】『論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』倉島保美(2012年12月04日)

【スライド作成】『研究発表のためのスライドデザイン』宮野公樹(2013年05月06日)

【資料作成】『「伝わる」「通る」ビジネス資料作成術』渡辺克之(2013年05月03日)

【プレゼン】『絶対!伝わる図解 面白いほど通るプレゼン作成術』池田千恵(2012年11月21日)

【オススメ!】『外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック』山口 周(2012年10月22日)

もしものときのための『ウォールストリート・ジャーナル式図解表現のルール』6選(2011年04月13日)


【編集後記】

◆本書の著書の倉島さんの前作。

論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス)
論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス)

こちらも「論理」にこだわっていてオススメです(レビューは上記関連記事にて)。


ご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「プレゼンテーション」へ

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。