2014年01月22日
【科学的根性論?】『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある』山口真由
天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「東大主席弁護士」の肩書を持つ山口真由さんが、自らの「努力のヒミツ」を明かした1冊。「東大法学部を主席で卒業」「大学3年時に司法試験合格」「大学4年時に国家公務員第I種試験合格」という華々しい経歴でありながら、自らは「天才」ではなく「努力家」だと自負するだけあって、本書はその「努力の仕方」をまとめた内容となっています。
アマゾンの内容紹介から。
テレビで話題の東大首席弁護士が「努力が続くメソッド」を公開!
読書に時間をかけない、予定は立てないetc.
東大法学部を首席で卒業、財務省勤務を経て、現在は弁護士として活躍する著者が明かす、無理なく努力を続けられる37の秘訣。
努力とは、「抽象的なスポ根論」ではなく、「技術」なんです!
Be diligent / Charlotte90T
【ポイント】
■1.努力することを具体化する努力をするというのは、ある目的のために力を尽くすことを指します。
こう書いてしまうと、すごく抽象的な感じがしませんか。だから、「努力目標」というのは、なんとなく「絵に描いた餅」的な、果たさなくてもいい目標のようになってしまい、「努力義務」というのは、頑張ったと言いさえすれば許される義務のような気がしてきます。ここに重大な誤解があると私は思っています。
まずは、「努力すること」を具体的にとらえることが大事。「努力すること=○○をすること」と具体化することが一番重要なポイントです。
■2.基本書のネット注文はNG
まずは、街で一番大きな書店に行くことです。自分が知っているなかでもっとも参考書の類が充実している書店です。
そこで、各予備校が出している司法試験の参考書について、たとえば「憲法」とか「民法」とか、自分がそれなりによく知っている科目を並べてみます。さらに、昨日授業で習ったばかりの箇所を比較してみます。その結果、もっとも網羅的でもっとも詳細なものを選ぶようにします。
1冊しか読まないのだから、抜けがあっては絶対に困ります。英単語の単語帳を選ぶのならば、もっとも単語数の多いものを選ぶのが私の方法です。
■3.読むことへの負担を徹底的に軽くする
目標はとりあえず素通しで7回読んでしまうこと。これくらい読めば、見慣れた記述に、どんどん親近感が湧いてきて、読書が楽なものになっていきます。
もし読んでいる途中で飽きてしまった場合は、おそらく一生懸命読み過ぎです。もっとぺージをめくる行為そのものを目的にしてください。
そして、繰り返せば繰り返すほど、自分のなかに定着してくる感覚が味わえるはずです。
■4.できるだけ早く「知っていることが8割」の状態に持って行く
ビジネスや教育の現場で、何もわかっていない段階の人に「とりあえず自分の頭で考えて」という上司や教師がいます。彼らは何年も経験を債み、十分な知識を持っています。つまり、8割知っていて、2割を知らない状態です。だから、この2割を「自分の頭で考える」ことができるし、それをおもしろいと思えるのです。
けれど、考えるための枠組みさえない状態の人にとっては、「自分の頭で考える」ことは効率的でもないし、知的な面白みのある作業でも何でもありません。右も左もわからない状態で一から自分の頭で考えるなんて、ストレス以外のなにものでもないのです。
だからこそ、ストレスを感じずに、8対2まで持っていくことが重要です。それさえできればそこから先の反復作業において、ストレスはどんどん少なくなってくるのです。
■5.ハードルは定性的なものではなく定量的なものにする
「3時間で、集中してこのテキストを精読する」
こういった目標を立ててはいけません。この目標の駄目なところは「集中」「精読」というワードです。これは評価が入るので、ここの加減を自分の主観で途中で変えることができてしまいます。きつくなってきたら、自然とハードルを下げてしまうのが人間というものです。
■6.努力をする対象は常に1つにする
私は仕事に努力をして打ち込んでいるときは、甘いお菓子はいつでも・どれくらいでも食べてもいい、と決めています。(中略)
こういう方法をとるのは、努力をする対象は常にひとつにすべき、という考えからです。
仕事において、重要なプロジェクトが佳境で、それに努力を傾けるのであれば、それと同時にダイエットも頑張るといった器用なことは、私たち普通の人にできるわけがありません。ひとつの努力をすること以外は、とことん甘えてしまっていいのです。
そうでないと、努力を続けることは困難ですし、努力も中途半端に終わってしまいます。
■7.努力を「見える化」して実感する
たとえば、私はノートではなく、メモをするには、あえてリーガルパッドを使います。(中略)
ここに何かをメモしては、それを破っては捨てていくという作業に没頭します。
すると、どうでしょう。リーガルパッドが徐々に薄くなっていく、つまり減っていくことを実感できます。
もちろん、これはノートでもかまいません。肝心なのは、ひとつのアイテムにこだわって、それのみを使い続けて、減らし続けることです。減り続けるのを見ているだけで、自分がいままでどれくらい努力をしたか、実感することができます。
【感想】
◆上記ポイントの1番目にあるように、まず山口さんは「努力」を具体的な目的にすることを推奨しています。そして、山口さんにとって、あることのために努力することは、その何かを「反復・継続」することである、と。
今回、カテゴリーを「勉強」に設定したこともあって、その流れでその後のポイントも抜き出しましたが、もちろん、仕事でも応用は可能なハズ。
実際、山口さんは、弁護士事務所でも同じようなスタイルで努力をされてらっしゃるよう。
◆具体的な方法論については、本書の第2章以降で挙げられており、上記ポイントも第2&3章が中心となっています。
特に、ポイントの3番目は、宇都出雅巳さんの「高速大量回転法」に通じるもの。
宇都出さんの最近の著書でも改めて言及されていましたが。
なるほど! 合格勉強術
参考記事:【読者特典アリ!】『なるほど! 合格勉強術』宇都出雅巳(2013年10月31日)
それでも、上記の「途中で飽きてしまった場合は、おそらく一生懸命読み過ぎ」というクダリは、私には目からウロコでした。
◆また、ポイントの4番目の「8対2」の「黄金比」も、類書では確か目にしたことがないハズ。
山口さんの場合、「8対2」の割合に持って行くまでは、とにかくハードルを低くするのだそう。
例えば、数学の問題を解くのなら、「考えないですぐに解答を見る」。
この辺は、和田秀樹さんメソッドと言うか、多くの勉強本でも言われていることとも通じています。
◆さらにポイントの6番目の「努力をする対象は常に1つにする」というのは、最近のいくつかの「科学的自己啓発書」でも言われていたことに関係していそう。
つまり、「ヤル気」とか「集中力」というのは有限だ、というお話ですね。
そう言えば、この本によれば、ワーキングメモリも「有限」でした。
脳のワーキングメモリを鍛える! ―情報を選ぶ・つなぐ・活用する
参考記事:【オススメ!】『脳のワーキングメモリを鍛える! ―情報を選ぶ・つなぐ・活用する』トレーシー・アロウェイ,ロス・アロウェイ(2014年01月14日)
……私もブログ書く際には、間食するのを我慢してるんですが、しない方がいい記事が書けるのか?(違
◆なお、本書のまえがきには、山口さんが司法試験の口述試験の前の2週間、1日19時間30分勉強し続けたお話が収録されています。
挙句の果てには幻聴まで聞こえたそうですが、もともと、それだけ「意志の強い」タイプだったことは、本書を読む際に考慮すべきかと。
それでも、「ラクして受かる」タイプの勉強本よりは、私にとって説得力があるのも事実。
愚直に努力したい方なら、一読の価値はあると思います。
「科学的根性論」の神髄がここに!
天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある
第1章 正しい努力のための方法論
第2章 努力を始めるための方法論
第3章 努力を続けるための方法論
第4章 努力を完遂するための方法論
【関連記事】
【オススメ!】『脳のワーキングメモリを鍛える! ―情報を選ぶ・つなぐ・活用する』トレーシー・アロウェイ,ロス・アロウェイ(2014年01月14日)【読者特典アリ!】『なるほど! 合格勉強術』宇都出雅巳(2013年10月31日)
【オススメ!】『習慣の力 The Power of Habit』チャールズ・デュヒッグ(2013年04月26日)
【スゴ本!】『やってのける 〜意志力を使わずに自分を動かす〜』ハイディ・グラント・ハルバーソン(2013年09月24日)
【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)
【編集後記】
◆上記でちょろっとお名前が出た和田さんが、ディスカヴァーさんからこんな本を!?大学受験の神様が教える 記憶法大全 (マジビジPRO)
さまざまな記憶法が列挙されているようなので、これは要チェックですね。
ご声援ありがとうございました!
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