2014年01月20日
【衝撃!?】『コンサルタントの危ない流儀 集金マシーンの赤裸々な内幕を語る』デイヴィド・クレイグ
コンサルタントの危ない流儀 集金マシーンの赤裸々な内幕を語る
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、ホッテントリ入りした自分の記事のはてブページで目にして、思わず買ってしまった1冊。確か関連エントリーだったのだと思うのですが、スゴ本のDainさんのレビューを読んで、これは買わねば、と思った次第です。
アマゾンの内容紹介から。
モービル、シェル、デュポン、ロッシュ、アストラゼネカ、ディズニーのコンサルティングを務めた男の告白。彼らを会社のドアから招き入れるということは、「目の玉の飛び出るようなカネを払って、餓えた狼を雇い、大事な鶏小屋の管理を任せるようなもの」。近年の情報技術の革新が、彼らに経営/ITシステム・コンサルティングという新たな“活躍の場”を与えた。
知られざる「コンサルタントの手口」(?)を垣間見たいならぜひ!
297 of 366 / mjtmail (tiggy)
【ポイント】
■1.旅費の払い戻しはだんまり筆者が接触したあるコンサルタントによれば、彼の会社では旅費の年末キックバックの手法で、たった1つのクライアントからだまし取った金額だけで3000万ドル以上に上るという。「我が社はホテルや航空運賃をものすごい率でディスカウントしてもらっていた。宿泊料金で言えば、66パーセントの割引だ。だが、クライアントには通常の宿泊料金と管理費を請求する(そして、忘れてはならないのは、2年の間に24ヵ国のホテルに泊まった社員は何百人もいたってことだ)」。
■2.早く終わっても報酬をもらえる「フロント・ローディング」
これはつまり、プロジェクトの前半に大規模なチームを投入し、販売した人日のほとんどを前半だけで使い切ってしまうという手口だ。こうしてプロジェクトの3分の2が終わる頃には、人日の9割まで請求できるようにしておくのである。かくして<解体屋>は、たとえプロジェクトが予定より早く終わっても、もともと予定していた額のほとんど全額を確保できてしまうというカラクリだ。
■3.幹部たちはコンサルタントの「時間」を売らねばならない
まず第一に、多くのコンサルタント会社において、幹部たちのボーナスは彼らが特定の「稼働目標」を達成したかどうかによって決まる――たいていは70パーセント程度だ。つまり、ボーナスをいただくためには、自分の担当するコンサルタントの勤務時間の70パーセントを、何が何でもクライアントに売らなきゃならないってことである。クライアントが解決すべき問題を抱えているか否かはこの際、どうでもいい。この稼働目標を達成できないと、コンサルタント会社の役員たちは何十万ユーロかのボーナスをもらい損ねるハメになる。
■4.ほとんどの会社はITシステムの購入法を知らない
恐ろしい数の大企業が、大規模コンピューター・システム開発の購入方法や、それにかかる経費などを全く知らない。それゆえに彼らはいとも簡単に、巨大プログラムをクライアントに売り込もうと血眼になっている大手システム会社のエジキになってしまうのである。先頃筆者は、世界最大級のシステム・コンサルティング会社のプロジェクト・マネジャーであるオーストリー人と話す機会があった。彼はシステムの入れ替えを希望するドイツのさる大銀行の仕事をしていたのが、その銀行はシステム・プロバイダー相手の取引の仕方ってものを根本的にわかっていなかったという。新式ITシステムの購入の仕方を知らないばっかりに、数百万というカネをみすみすドブに捨てるところだったのである。
■5.業界知識を必要とせず売り込めた「BPR」
それまでは、コンサルティングでクライアントの信頼を獲得してプロジェクトを売りつけるためには、クライアントのビジネス(国民医療とか、製薬とか国防とか、あるいは金融とか)についていささかなりとも知っているふりをする必要があった。だが、BPRでは大学を出たてのヤツだろうが、あるいはその辺を歩いている若僧を適当に連れて来て、簡単な工程分析の仕方を教え、これを「リエンジニアリング」と呼べば、どんな業種のクライアントに対してもこの「即席コンサルタント」を週7000から1万ユーロで売りつけることができる。
■6.短期間で弱点を見抜く殺しネタ「DILO」
「DILO」とは、Day in the Life Of の略で、適当な部署に1人のコンサルタントを送り込み、数時間にわたって張り付かせるという手法だ。もしもその部署の運営に何らかの弱点があれば、その数時間のうちにそれは自ずと浮かび上がってくるものなのである。あまり科学的とは言えないかもしれないが、プレゼンテーションで幹部連中の感情を揺さぶるには非常に有効だ。(中略)
「DILO」型アプローチの素晴らしい点は、ほんの短い期間で、あるいはクライアントの事業のほんの一部を見るだけで、従業員に対する相手の自信を粉々に打ち砕く殺しネタを引っ張り出すことができるということだ。
■7.訴えられたら損害賠償訴訟を起こす
プロジェクトが惨たんたる大失敗に終わっても、有り難いことにうちには有能な弁護士がいて、クライアントが我々の無能さを天下に公表しないようにしてくれていた。例えば先に挙げた例では、我々の失敗をクライアントが訴えたどころか、うちの弁護士の方が守秘義務違反でクライアントを訴えると脅迫したらしい。当然ながら、そんなふうに脅された慈善団体の方は我々が提供したくその役にも立たないシステムを弁償させるという考えを破棄した。つまり、うちは何の役にも立たない(と相手が判断した)システムを売りつけて1200万ドルを取ったのみならず、うちのやったことを外に漏らしたら損害賠償訴訟を起こすと脅したのである。
【感想】
◆冒頭のDainさんのエントリーによれば、実際にはコンサルタントは「こんなに酷くない」とのこと。「コンサルタント・ファームの中の人だった」(そうとは知りませんでした!)というDainさんが言われるのですから、きっとそうなのでしょう。
確かに本書は、コンサルタント業界の内幕を暴く本である以上、必要以上に盛っている可能性は否定できません。
また、最近の話だけでなく(というかそれ以上に)昔話が多いため、現在はまったく異なっている可能性もあります。
さらに、コンサルタント会社もピンからキリまであるようで、最初に著者のクレイグ氏が勤めたコンサルタント会社は、「解体屋」と呼ばれる、かなりアコギな手法を用いていたのだそう。
その手法の1つが、上記ポイントの2番目の「フロント・ローディング」であり、本書ではそれ以外の「解体屋」の手口を4つ紹介しています(詳細は本書を)。
◆ただ、もっと一般的な手口の方が、より切実な問題でしょうから、まずは本書の第1章に収録されている、コンサルタント(一部の)たちの「詐欺手法」をご確認頂きたく。
上記ポイントの1番目の旅費の払い戻しの件を初っ端に、
・社員の異動の実態と盛りだくさん(?)です。
・海外進出資金のカラクリ
・パートナーの勤務時間の真実
・問答無用の管理間接費と必要経費の請求
・定額経費制のうま味
・王道としての"水増し請求"
ちなみに、その旅費のキックバックについて訴えられたコンサルタント会社は、「払い戻し前の金額を請求していた」ことは認めたものの、不正でも何でもないと主張。
いわく「その収益によって、もしもそれがなければクライアントに請求されていたはずの金額が相殺されたのだ」とのこと……。
◆この件は、まだコンサルタントの言わんとすることは分かりますが、プロジェクトの中には、明らかな大失敗というか大失態もあり、そういう場合でも、上記ポイントの7番目のように、弁護士がカバー。
特にITシステムが絡んでくると、受注金額が跳ね上がりますから、コケた場合の損失額も半端ありません。
しかも、モタモタしているうちに、システム自体が時代遅れになってしまい、本来稼働できたものもお払い箱に。
本書の第11章「壮大なるシステム詐欺」では、著者が経験した、そんな「大失態」が描かれています。
……クライアントの銀行口座から、4年間に3000万ユーロ以上をかすめ取ったものの、目に見える成果は何1つ導入できず。
一方、その間に競合他社は、新式のITシステムを使って顧客サービスと競争力を向上させている。
経営陣は、カネを可能な限りつかんでおきたいのは当然のこととして、それとは別に、悪評をかぶることなく、このクライアントから手を引く「別の理由」がありました。
果たして、その「別の理由とは」?
そして著者は、このピンチをどう切り抜けたのか?……とこれまた詳細は本書にて。
◆なお、本書の「はじめに」によると、この本は「1度でもコンサルタントを雇おうなんて考えを起こしたことのある人、あるいは今後、コンサルタント相手に仕事をする可能性のある人全員に対する警告の書である」のだとか。
守秘義務があるので詳しくは言えないものの、数年前に私の顧問先の1つが、コンサルタントの指導のもと、大規模な経営改革を行ったことがありました。
そのコンサル業務の中には、当時使っていたシステムの再構築も含まれていたのですが、どうもそれが未だに上手くいっていないらしく。
もちろん、そのコンサル会社だけの問題、ないしは、顧問先の問題かもしれませんが、もし本書を顧問先が事前に読んでいたら、もうちょっとやりようもあった気がするワタクシ。
……ちなみに、今ならマーケットプレイスにてお手額価格で入手可能ですw
「話し半分」だとしても読んでおきたい1冊!
コンサルタントの危ない流儀 集金マシーンの赤裸々な内幕を語る
はじめに――そろそろコンサルタントの真実を語るべきときだ
第1章 高性能型集金マシーンの真相
第2章 なぜ常に30%の削減率になるのか?
第3章 この世界に素晴らしき変革をもたらせ
第4章 失敗は、果てしない刑罰のごとく
第5章 サルでも売れる100万ドル・プロジェクト
第6章 門外不出の5つの詐術を公開する
第7章 なぜこんなに皆が買いたがるんだろう
第8章 仰天の極東ビジネスの裏側
第9章 eチャンスが来た。破裂した。そして、…
第10章 天国から地獄へ
第11章 壮大なるシステム詐欺
第12章 大崩壊
結語 コンサルタントに食いものにされないための9カ条
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【編集後記】
◆コンサルタントと言えば、これも避けては通れない気が。マッキンゼー―――世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・ファームの秘密
今日ご紹介した本の著者であるクレイグ氏は、プレゼン等ではマッキンゼーと相対することが多かったのだそうです。
ご声援ありがとうございました!
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