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2014年01月06日

【課金モデル?】『課金ポイントを変える 利益モデルの方程式』川上昌直


課金ポイントを変える 利益モデルの方程式
課金ポイントを変える 利益モデルの方程式


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、正月休み中にリアル書店でゲットした1冊。

著者の川上さんは経営学博士でいらっしゃるのですが、本書はとても分かりやすく、サクサク読んでしまいました。

アマゾンの内容紹介から。
残り99%のチャレンジャーが一人勝ちするためのビジネスモデルの発展型。「誰から」「どの商品で」「どんなタイミングで」儲けたらいいのか、8つのタイプに分け徹底解説。

ここで言う「99%のチャレンジャー」とは、中小企業+個人事業主のこと。

大企業流の経営学とはひと味違う、「ビジネスモデルのイノベーション」とは!?




【ポイント】

■1.中身が同じ「じゃがりこ」の2倍以上の値段の「ポテトサラダできちゃいます。」

カルビーポテト ポテトサラダできちゃいます。 35g×10袋

内容の微調整やパッケージの変更などはあるでしょうが、素人目にみれば提供するものはほとんど変わりがありません。
 しかし、顧客セグメントと価値提案を変更したことで、35gで130円程度の製品提案ができるようになりました。使っているのは同じくじゃがいもです。子どものお菓子の場合には1gあたり1.67円のものが、大人の料理になるとlgあたり3.71円に変化したのです。実に2.2倍の価値の増大です。


■2.Amazonの利益モデルのポイントは、家電を安く売ること


Books from amazon / Aurelijus Valeiša

最近では、家電製品を購入する際、リアル店舗に出向く消費者でも、ネットの価格を参考にし、価格交渉をします。代表例が「価格ドットコム」というWEBサイトです。(中略)
 Amazonはここに着目し、デジタル製品を含む家電を極力安くするようにしています。それにより、価格ドットコムなどでも安さをアピールできています。家電量販店よりも家電を安くし、自社のサイト上でもかなりの安さを演出しているのです。


■3.タイガー コペンハーゲンは北欧系デザインと「マージン・ミックス」の合わせ技

Flying Tiger Copenhagen (e-MOOK 宝島社ブランドムック)

この会社は、いわゆる均一価格を打ち出している雑貨店とほぼ同じ形態のショップなのです。値段は100円と200円が大半で、一部に300円や400円のものもあるという段階的な設定になっています。
 2012年当時の円高差益による儲けもあったものの、単品での利益よりも、あらかじめ儲けるものと儲けないものを設定し、目玉商品によって顧客を誘引する「マージン・ミックス」による同時併売型の儲け方をしています。
 ひとつ買うと他にも欲しくなるような商品ラインナップで構成していることから、顧客がついついたくさん買ってしまうことで、儲けを得ているのです。


■4.ネスカフェ バリスタはインスタントコーヒーで利益を得る

ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ ホワイト PM9631

 本体価格は原価ギリギリであるため、当然、バリスタ単体では十分な利益を生むことはできません。バリスタの利益モデルで興味深い点は、バリスタ本体では儲けず、インスタントコーヒーの消費によって時間差で儲けるという利益設計を採用していること。
 しかも、詰め替え用パックは専用のものなので、「プリンタとインク」や「カミソリと刃」と同じ、インストール型の利益パターン(本体を導入してもらえればあとは消耗品が利益を生む仕組み)を採用しています。利益の側面からみれば、「バリスタ」は単に製品ではなく、インスタントコーヒーを消費してもらうまでの「プロジェクト」なのです。


■5.CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)はビッグデータを活用


Bangkok : 30 Oct - 2 Nov 2008 / chinnian

 CCCは一見、レンタル業のように見えますが、実はその背後で会員の購買行動を収集しており、そのデータをもとにさまざまなマーケティングを行っています。もちろん、当初は自社のマーケティング活動に役立つものだったでしょうが、それをB2Bとして外販することで、外部企業のコンサルティングを行うほどになっています。


■6.コカ・コーラは買う人によってマージンを変える


Walmart NCAA soda (pop) display / LornaWatt

 たとえば、自販機で販売する場合、スーパーで販売する場合、レストランに販売する場合、取引相手からもらうコーラのマージンはすべて異なります。
 最もマージンが低いのがスーパーやディスカウントストアです。しかし、こうした取引先との取引をやめません。売上の拡大が目的でなくても、です。
 実は、スーパーなどでは売り場で大きく露出させてくれます。飲料メーカーという、消費者のライフスタイルをマルチに支える業種では、商品を毎日目にしてもらうことが重要なのです。露出を増やすことでブランド認知を高めて、レストランなどで消費してもらえればいいのです。


■7.Spotifyは会費によってサービスが異なる


Spotify / magerleagues

 このサービスを利用した顧客は、当初無料で好きな音楽を聴くことができます。しかし、そこには途中で広告が入ります。同時に利用時間に制限もあり、視聴方法もPCによるインターネット経由という制限があります。
 これに月額4.99ドル支払う(Unlimited) ことで、広告がなくなり、利用時間も無制限になります。
ワンランク上のサービスとして月額9.99ドル支払う(Premium)ことで、スマートフォンでの視聴も可能になり、さらに、ネット環境にいなくてもオフラインで使用でき、音質も向上します。


【感想】

◆「分かりやすい」という理由から、上記では具体例に終始してしまいましたが、本書は必ずしも具体例を列挙しているだけではなく、タイプごとに掘り下げているのが特長です。

まず、冒頭の内容紹介にもあるように、儲け方のタイプは8つ。

「誰に」「何を」「どのように」という要素のそれぞれについて、選択肢が2つずつあり、「2×2×2」で、合計8つということになります。

選択肢について言及するなら、最初の「誰に」は「全員から儲ける」か「儲ける相手と儲けない相手がいる」か。

具体的には、「有料会員と無料会員」「男性と女性」「大人と子供」のようなパターンが考えられます。


◆次の「何を」についても同様に「全商品から儲ける」か「儲ける商品と儲けない商品がある」のどちらか。

これについては、上記ポイントの3番目のタイガーのように、儲けが出る商品とそうでないものが混在しているものですとか、4番目のネスカフェ バリスタのように、本体では利益が出ない分、コーヒーで利益を出す、というものが該当します。

それに関して本書では、「商品ごとに利益を管理しない」ことを推奨。

なぜなら、こういう考え方で勝てるのは、スケールメリットを使って、原価を大幅に節約できる大企業だけだから。

そこで本書で言うところの「残り99%のチャレンジャー」は、トータルで管理せよ、とのことです(詳細は本書を)。


◆最後の「どのように」は、タイミングのお話で、「同時に儲ける」か「時間差で儲ける」か。

同時に儲けるというのは、普通の売り切りで、時間差というのは、商品やサービスを長期契約してもらったり、消耗品を継続的に購入してもらう等になります。

ちなみに、これらの組み合せのうちで一番シンプルなのが、「全員に」「全商品で」「同時に」儲けるパターンで、これこそが普通の「単品売り切り型」。

大企業やブランド企業ならではの、「差別化戦略」ができているからこそのやり方と言えます。

つまり、こうした大企業ではないプレーヤーなら、「これ以外の組み合せを検討せよ」ということ。

ただし、本書では8つのパターンについて、すべて具体例を挙げていますので、ご安心を。


◆今回は特に、この8つのパターンと、収録された具体例のみ触れてしまいましたが、実際にはもうちょっと広範囲なお話が展開されています。

具体的には、アマゾンのページから「目次欄」をご確認頂きたく。

以前、山口揚平さんの『そろ辞め』を読んだときも、同じようなビジネスモデルのお話でも『ザ・プロフィット』に比べて分かりやすい、と思ったものですが、それは本書も同様です。

ビジネスモデルのみならず、商品開発をお考えの方にも、ぜひご一読頂ければ。


儲けのパターンは、色々あるんです!

課金ポイントを変える 利益モデルの方程式
課金ポイントを変える 利益モデルの方程式
はじめに
第1章 儲ける仕組みに変わる
第2章 業界のルールを変えた新しい利益モデルを徹底解剖
第3章 ビジネスモデルを変える利益ロジック
第4章 顧客の活動にシンクロさせて課金ポイントを仕込む
第5章ブレイクスルーの鍵は「サービス業的思考」にあり


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【編集後記】

◆本書の著者である川上さんの前著。

儲ける仕組みをつくるフレームワークの教科書
儲ける仕組みをつくるフレームワークの教科書

この本で登場する「9セルメソッド」は、本書にも引き継がれており、こちらも機会があれば読んでおきたいところです。


ご声援ありがとうございました!

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