2013年12月28日
【起業のウラ本?】『まだ「会社」にいるの? ~「独立前夜」にしておきたいこと~』山口揚平
まだ「会社」にいるの? ~「独立前夜」にしておきたいこと~
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、今年の初めごろに『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』(通称『そろ辞め』)が当ブログでブレイクした、山口揚平さんの最新作。『そろ辞め』で起業については語り尽くしたハズなので、ネタがかぶりまくるかと思いきやあにはからんや!
意外な方向からアプローチされています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
約50年前の日本は、会社に所属せずに働いていた独立事業者であふれていました。
つまり、「会社に所属せずに働く」という選択肢は、姿勢の問題にすぎないのです。
本書では、著者の独立・起業の体験をもとに、多角的なアプローチで「独立の及第点」を示します!
まだ起業前のビジネスパーソンなら要チェックです!
【ポイント】
■1.会社を辞めた孤独感は3ヶ月で解消できる僕自身、とても寂しがり屋ですので、会社を辞めた直後は、その孤独を癒やすのにとても時間がかかりました。
ただし、この孤独は、一般的には3〜6ヶ月で解消します。
なぜならば、独立した人には独立した人同士のコミュニティというものが生まれるからです。僕も、独立したての頃は、やることは違っていても「自分を生きる」と決めた同じ志を持った人たちに助けられました。
どんな世界でも「類は友を呼ぶ」というのは事実です。
■2.生活固定費を1/3にするシミュレーションをする
独立する人にとって、お金とはメンタルを左右する大きな要因です。
お金の不安があるといっまでたっても見えない緊張が続き、クリエイティブなアイデアも浮かばず、「なんとかしたい」という気持ちの焦りから、人とのコミュニケーションもギクシャクしがちです。
また、逆を言えば、お金が不安にならない程度に不足していなければ、リラックスでき、新しい考えも浮かびやすいといえます。
ですからなによりも、まずは、無理しない環境をセットすることです。
■3.専門知識は覚えるより、「聞くべき人」を探す
情報とは、なんとなく覚えているだけでいいのです。記憶をたどって、どの本を読み直し、誰に話を聞けばいいかを知っている、つまり「何を知っているか」よりも「どこに何があるか」を把握していることが重要だと思われます。(中略)
自分の頭の中にある知識も大切です。しかし、たとえ覚えられないことがあっても、不足分を補ってくれる人たちがいれば、自分が多くの知識を持っていることと同じ意味になるのです。
■4.スキルを高めるより、「期待値」を下げる
僕が、人生でもっとも大事にしているのは「余裕率」という考え方です。
次ぺージの図をご覧ください。これは独立してからはとても大切な図です。この図は縦軸が「期待・欲望・不安」といった感情を表し、横軸が「能力・金・愛」といったキャパシティを表しています。(中略)
多くの人は、縦軸を軽視し、横軸(特に能力)を高めようとします。ですが、僕は、縦軸(特に期待値)を下げることを勧めます。スキルを高めるごとに、自分への期待を下げていくのです。「まぁ、これでいいや」と納得する力、それこそが余裕率を高めるのです。
■5.「成功本」に影響されすぎない
僕たちにわかるのは、失敗につながるプロセスだけです。成功法則はありませんが、失敗のパターンはあります。そうした成功本から得るべきことは、成功を獲得する方法ではなく、失敗を減らす方法です。
べストを目指すのではなく、べターを積み上げる。それが独立の技法です。
あなたは、スティーブ・ジョブズでも孫正義でもありません。あなたには、あなた自身の方法と成功があります。成功者の本を読むことは、あなたの意識を、あなた自身の方法や成功から遠ざけてしまう危険性を持っているのです。
■6.才能やミッションを貢献に換えていく
そもそも「仕事」とは何か、その本質を考えたことはありますか?
サラリーマンであれば、目の前の業務を遂行することや、上司から言われたことを実行することかもしれません。
しかし、独立すると、そのような曖昧な定義では通用しません。それら業務は、「作業」ではあっても社会に対して価値を生み出している「仕事」ではありません。(中略)
仕事とは何か? それは、「才能やミッションを貢献に変換すること」です。つまり、仕事とは、自らが固有に持つ力を、他者への価値へと変換する営みのことなのです。
■7.優秀さとは、「能力と謙虚さの掛け算
優秀さは、有能さとイコールではありません。優秀さとは能力と謙虚さの掛け算です。ここでも次ぺージの図をご覧ください。
縦軸に能力、横軸に謙虚さをとっています。この掛け算の面積が本当の優秀さになっていきます。(中略)
組織の中にいて一定の価値観やルールの中でコミュニケーションしているサラリーマンにとっては、優秀さは、縦軸のいわゆる能力になります。
ですが、独立している場合、優秀さの指標は、コミュニケーションの柔軟性や謙虚さになるのです。
人は自分なりのものの見方を持っています。まず、その見方の違いを肯定して受け止める(受け入れなくてもいい)姿勢が、独立して後盾のないあなたが相手に受け入れられるための要素なのです。
【感想】
◆冒頭で申しあげたように、山口さんが起業の本を出されたと言うことで、まず最初に私が考えたのは『そろ辞め』との「ネタかぶり」のことでした。そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか
参考記事:【起業の心得】『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』山口揚平 (2013年01月31日)
しかし、これがまた、意外なまでに内容がかぶっておらず。
そしてその点について言及されているのが、本書の第1章にある「自分らしく生きるための3ステップ」というお話でした。
ここで、山口さんは「自分に素直に生きているか」を横軸に、「社会に合わせているか」を縦軸に、それぞれ「YES/NO」で2軸のマトリクス表を書かれています。
◆「理想像」は両軸とも「YES」であることですが、現実には多くの人は「社会には合わせている」ものの、「自分に素直には生きていない」という「会社員」という右上の象限にいる状態。
ここからまずは、両軸とも「NO」である「ニート」に移行し、次に「社会にはあわせず」に「自分に素直に生きる」という「自由人」へと変わります。
これは、具体的には「好きなことはやっているが、十分には食えない」状態にほかなりません。
こうしたステップを踏んでから、最終的に「理想像」である「好き」で「食べていく」を実現するわけです。
そして、上記『そろ辞め』で山口さんが描いたのは、この最後の矢印である「自由人から理想像へのステップ」であり、逆に本書で描かれているのがその前の2つのステップである、と。
なるほど、内容的に重複しないわけです。
◆個人的にうならされたのが、上記ポイントの4番目にある『スキルを高めるより、「期待値」を下げる』というお話。
文中に「図」とあるように、ここでも2軸の表が出てくるのですが、斜めの線が上手く描けないので、詳細は本書にてご確認下さい(すいません)。
要は、縦軸である期待値が、常に横軸であるキャパシティの範囲内であれば、精神的に健康である、ということ。
そしてより重要なのは、余裕率が上がれば上がるほど(図では右下にいけばいくほど)、より直感性が増して、クリエイティブで純度の高い行動ができるようになるということです。
山口さんは、こうした「自分や他者に対する高まった期待を定期的に下げて、解毒(デトックス)する」ことを「エゴデトックス」と命名。
結局のところ、「何をやるか」以上に、「どういう精神性でやるか」が結果に大きな影響を与えるそうです。
◆本書は「起業本」ではありますが、上記で触れたように、具体的な「起業のネタ」や「ビジネスモデル」のお話はほとんど出てきません。
むしろ、もっと大事な「メンタル」や「考え方」に言及している点で、多くの類書と一線を画すのではないか、と。
ただし、山口さんらしく随所随所に鋭いお話がちらほら。
例えば、「クックパッド」が、後発のヤフーや楽天のレシピポータルサイトを凌駕している理由を「承認欲求」にある、と言われている点には深く納得しました(詳細は本書を)。
「会社員」が「理想像」を目指すためには必読です!
まだ「会社」にいるの? ~「独立前夜」にしておきたいこと~
第1章 なかなか会社を辞める勇気がない人へ
第2章 独立は誰でもできる「技術」
第3章 独立は、メンタルマネジメントから始まる
第4章 人に「バリュー」を与える働き方
第5章 孤立しないための「お金」と「信用」の話
第6章 幸福な独立を手にするための未来への視点
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【編集後記】
◆ちょっと気になるムック本。人生が変わる!読書術 (Gakken Mook 仕事の教科書 VOL. 4)
最近、読書本を読んでなかったので、たまにはこういうのも読んでみたいな、とw
ご声援ありがとうございました!
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