2013年12月23日
【ファッション】『できる人はなぜ「白シャツ」を選ぶのか』唐澤理恵
できる人はなぜ「白シャツ」を選ぶのか (PHP新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、珍しい「新書でのファッション本」。著者の唐澤理恵さんは、「首相をはじめ政治家や財界人、企業役員から就活生、婚活中の社会人まで」の見た目をサポートされてきた、というお方です。
アマゾンの内容紹介から。
「顔は男の企画書」と思って、毎朝鏡を見る。服装は武器であり、言葉よりも多くを語る。サイズの合ったスーツは、交渉上手の証。髪型は、その人の生き様を表す。あなたの時計・財布を見て、女性が想像すること。3,000人の人生を変えた著者が、ノウハウを公開。
ファッション本と言うと、モテ要素が含まれることが多かったですが、本書は「PHPビジネス新書」だけあって、ほとんど「ビジネスシーン対応」ですので、その点はご留意を!
【ポイント】
■1.スーツの前ボタンは、立ったら留めるMN: Obama in LaCrosse - IUPAT / aflcio
アメリカのオバマ大統領の演説場面。椅子に腰かけていたオバマ大統領が立ちあがり、演台に向かう途中、おもむろにスーツの前ボタンを掛けるしぐさは、いつ見ても心にくいほどスマートな印象です。
座っているときは、前ボタンをはずしていたほうがリラックスできます。しかし、国民の前でスピーチする場面できちんと前ボタンを掛けることは、聴衆に敬意を表す意味で重要なマナーです。
その当然のマナーをさりげなくやってのけるしぐさが、日本のリーダーにはなかなか見られないことが残念でなりません。記者会見や株主総会、選挙などのコンサルティングにおいても、前ボタンを掛ける習慣を徹底して指導させていただきます。
■2.スーツのパンツはダブルが基本
Dennis Howlett in clean shoes / david_terrar
乗馬をする際にジャケットの裾がまくれ上がらないように切れ目を入れたのがセンターべントの始まりだということは、前述のとおりです。
そこから、フォーマル用のスーツは「裾がシングルのパンツに、べントのないノーべントジャケット」がマナーである一方、ビジネス用のスーツは「裾がダブルのパンツに、センターべントかダブルべンツのジャケット」が一般化したという歴史です。
その流れを汲んで、私は、ビジネススーツのパンツの裾はダブルをおすすめしています。もちろん、素材や、その方のポジションなど、着る場面を想定してシングルにする場合もありますが、稀だといえます。
■3.Vゾーンはシャツとネクタイのバランスを考える
白シャツの場合は、比較的簡単です。レジメンタルと呼ばれるストライプのネクタイは、若々しいフレッシュな印象になります。小紋柄を選べば落ち着いた印象です。(中略)
ストライプのシャツに合わせる場合は、無地か小紋柄が無難かもしれません。レジメンタルを選ぶなら、シャツのストライプの幅よりも太いものであれば収まりはいいでしよう。このバランスがいいと、とてもおしゃれな印象になります。
■4.靴下の色はパンツか靴に合わせる
Down to Business / zayzayem
靴下の色は、パンツか靴の色のどちらかに合わせましょう。ダークグレイのスーツとダークブラウンの靴なら、パンツと同色のダークグレイの靴下をはくことで足長効果が得られます。ライトグレイのパンツにダークブラウンの靴ならば、チャコールグレイの靴下を合わせることで、パンツと靴とをグラデーションでつなぐ役割を果たしてくれます。
生地選びも重要なポイントです。ビジネススーツのパンツやスマートカジュアルのパンツはウール生地です。その場合、やはり靴下もウールを合わせるのが基本です。
■5.腕時計はファッションセンスだけでなくヒューマンセンスが問われる
ROLEX WATCHES PICS SHOW / foeock
宝石と同じく、顔の印象や服装、体格と合っているかどうか、それを身につける中身、つまり経験や収入、そして職種や性格とマッチしているかどうかで腕時計を選ぶことが重要です。(中略)
デザインももちろん重要です。へッドの形は自分の体格に合わせます。細い体型であれば長方形、がっちり体型であれぱ丸形が適当です。へッドの大きさはからだの大きさに合わせます。小柄な人があまりに大きなへッドでは滑稽な印象になりかねません。
■6.素材の質感も意識する
いかにも安売リショップで買ったと思われる質感のゴワゴワしたたダッフルコートは、20代から30代前半の男性であればカジュアルの場合を条件に仕方ないと思います。
しかし、いくらカジュアルの場であっても、30歳を過ぎた男性がごわごわ質感のダッフルコートを着用していると、年収を慮ってしまいます。
一転して、一目でカシミアとわかる質感のよいダッフルコートは、年齢関係なく着ていただきたいアイテムです。取引先と会うことがなければ、ビジネス通勤用としてもチャーミングです。
■7.最大のポイントは姿勢
見た目の印象を決める最大のポイント、それは姿勢です。
冗談交じりに、"安いスーツを高く見せる姿勢と歩き方"と題して研修を実施することもありますが、これはまぎれもない真実なのです。逆に、たとえ100万円のスーツを着ても、姿勢次第で100万円を溝に捨てることになりかねません。(中略)
たとえばあなたが採用担当の面接官なら、同じような経歴で姿勢がものすごくきれいな人と、姿勢のよくない人のどちらをとるか、想像してみてください。
【感想】
◆スーツの着こなし本は、当ブログでは今までそれなりにご紹介しておりました。よって、たとえ新刊を取り上げたとしても、基本的に既知のお話が多いものなのですが、本書を読んで新たに知ったことがいくつか。
まず、ビジネススーツの裾は「ダブルがデフォルトである」ということ。
確かにフォーマルスーツを仕立てる際は、必ず裾をシングルにはしていましたが、だからといって、普通のスーツの裾はダブルにすべき、とは思ってもみなかったワタクシ。
今般、アマゾンで画像を拝借するのに、色々単語を変えて検索かけたものの、とうとうパンツの裾がダブルになっているものは1つも見つからなかったという……。
うーん、やはり世間的にはシングルの方が普通なんでしょうか?
もっとも、ダブルにするなら、今度は「何cmにすべきか」という問題が出てくるワケですが。
◆また、腕時計に関しても、華奢な腕の人がゴツいタイプの腕時計をするとアンバランスだとは思っていましたが、体型で形も変えるべきだったとは。
私の場合、がっちり体型ではないのに丸型をしているので、本来はアンマッチなのかも。
というか、そもそも腕時計で長方形のタイプって、極端に少ないような気がしてるんですけどね。
さらに、上記で言う「ヒューマンセンス」とは、身分相応のものを選ぶということ。
本書で挙げられているのがパティック・フィリップで、これは貴族が身につけるとされているものゆえ、働き盛りの30〜40代のビジネスマンがつけるのは、ちぐはぐな印象である、とのことです。
<参考画像:パティック・フィリップ>
◆また、割愛した中でなるほど、と思ったのがスーツで「3つボタンを選ぶか、2つボタンを選ぶか」というお話。
単純に、「昔は3つボタンが流行りだったけど、今の主流は2つボタンだよね」と思っていたところ、「自分の顔や体型に合わせるべきである」、と。
たとえば「顔にインパクトがある人」だと2つボタン、「シンプルな顔立ちの人」には3つボタン段返り。
「身長の高い人」が3つボタンだと、ウエストの位置が高すぎるので「2つボタン」、かといって「身長が低くても、恰幅よい人」なら同じく「2つボタン」で、「痩せていれば3つボタン段返り」、といった具合です。
要は、「Vゾーンの長さと面積が選択のポイント」なのだそう。
◆なお、今回は「着こなし中心」ということで、上記ポイントのほとんどが、下記目次の第1章から引用しました。
とはいえ、第2章以降も、「顔」「ボディ」「色」等、イメージ戦略の上では大事な要素ばかり。
特に第2章の「顔編」では、眉毛や薄毛、白髪やヒゲといった、身だしなみでのポイントが多数詰まっております(割愛しちゃいましたが)。
新書ゆえに、イラストやカラーがないのが残念ではありますが、マナーを押える、という意味では、その目的は果たせているかと思われ。
ちなみに、タイトルにある「できる人がなぜ『白シャツ』を選ぶのか」については、モロにネタバレになりますので、本書にてご確認を。
「3000人の人生を変えた」著者の教えに学ぶべし!
できる人はなぜ「白シャツ」を選ぶのか (PHP新書)
第1章 スーツ編―スーツを変えれば、仕事の成果が変わる
第2章 顔編―顔は男の“企画書”である
第3章 ボディ編―モデル体型など必要ない、あなたの体型を活かす技術
第4章 色編―できる男は色使いでわかる
第5章 番外編―万全の容姿でも、落とし穴はある
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【編集後記】
◆当ブログでは何冊も著作をご紹介している森岡弘さんの新作が登場。男のファッション練習帖 (講談社の実用BOOK)
ページ数やサイズからしてムックっぽいので、ご紹介できるか微妙なのですが、チェックしておきたいところです。
ご声援ありがとうございました!
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