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2013年12月19日

【外資あるある】『外資1年目の教科書』福留浩太郎


外資1年目の教科書 (ノンフィクション単行本)
外資1年目の教科書 (ノンフィクション単行本)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、外資で働きたい方にはお薦めの1冊。

著者の福留浩太郎さんは、15年超もの間、外資金融の最前線で活躍されていたという方です。

アマゾンの内容紹介から。
JPモルガン・ドイツ証券で経営陣を務めてわかった実績・スキルに勝るものとは。外資で活躍できる人だけが知っている50のこと。

今回は特に「外資らしい」エピソードを中心に拾ってみましたので、ご覧ください。




【ポイント】

■1.数字をあげないと、ボーナスはあっという間に下がる
 翌年の実績は、その年の約6割程度に急降下しました。その状況が続けば、雇用継続の心配をしなけれればならないほどの落ち込みでした。
 当然、ボーナスも激減しました。5割減でした。5割減とは、「この数字が気に入らないなら辞めてもいいよ」というメッセージが込められた数字です。つまり、私が辞めても会社は何も困らないという意思表示なのです。


■2.緊張感の欠如がクビにつながる
 このセールスは、約定後に顧客と取引内容を再確認している際に、「売り」と「買い」の間違いを顧客から指摘されました。その後、マネジャーが顧客に確認したところ、その取引は、「顧客の売り=証券会社の買い」でした。それは通話記録でも確認されました。セールスの間違いだったのです。(中略)
 間違いを犯したセールスはきっと生きた心地がしなかったに違いありません。電話による諾成契約の怖さを痛感した出来事でした。このセールスは他の事もあり、しばらくしてクビになりました。


■3.隣の部署から売込みがある
「福留さん、ちょっと相談があるのですが……」
 ある時、隣の部署の若手から声を掛けられました。彼の言いにくそうな感じから真剣な話だろうと思い、夕食に誘いました。(中略)
「福留さんのチームに空きはないかと思いまして。実は、今のチームでは『できない社員』の烙印を押されてしまい、このまま残っても先はないかなと思っているのです。福留さんのチームに入ることができれば死ぬ気で頑張ります。お願いできないでしょうか」


■4.信頼している同僚に手柄を横取りされる
 毎晩のように一緒に仕事をしてきて、信頼しきっている相棒にこんな仕打ちを受けようとはショックでした。
「どういうつもりなんだ!」と気色ばんだ私に、彼は平然とこう言いました。
「福留さん、僕はいずれロンドン本社に戻りたいのです。少しくらい実績を譲ってくれてもいいじゃないですか。見逃してくださいよ」


■5.外出から戻ると、人がいなくなっている
 その日も普段と変わらない平凡な1日でした。夕方、顧客訪問が終わって私が帰社すると、両隣の女性セールスの席をアシスタントが整理していました。
「どうしたのですか?」と聞く私に、そのアシスタントはまだ涙が乾ききっていない顔を向けました。それだけで何が起こったかを説明するには十分でした。両隣のセールスがクビになったのです。顧客訪問に行く際に「行ってらっしゃい!」と声をかけてくれた先輩セールスはもういないと思うと、ぞっとしました。


■6.「お客様や社員のことを第一に」と言っていた役員が先に転職する
 実は当時、私がいた会社は存亡の危機にありました。業績不振が続き、マーケットでも今後を危ぶむ声が日ごとに増していました。(中略)
 しかし、彼も含めた経営幹部の間では「最悪の場合はお客様や社員のことを第一に考えて行動しよう」と話し合っていたこともあり、彼の転職には正直驚きました。
 後日談によると、いよいよ会社に危機が迫ってきたタイミングで他社から好条件の誘いがあったようです。最初は躊躇したのですが、自身のキャリアを長期的に考慮し決断したと聞きました。


■7.泣く泣く自分の部下をクビにする
「この決定には福留さんも関与されたのですか」
「はい、私がすべてを決めました」(中略)
 その夜は家に帰って泣きました。本当につらい夜でした。今でも思い出すと胸が締め付けられます。しかし、マネジャーとして逃げてはいけなかったのです。残ったチームメンバーへの責任が残っているからです。
 結局、部下をクビにしないためには、本社ですら文句を言えない突出した業績をチームとして上げるしかない。これは当たり前のことのようですが、実践するのは大変なことです。しかし、何としてもやり遂げなければならないと心の中で誓いました。
 私はそれ以降「鬼」になりました。それが外資なのです。


【感想】

◆今さらですが、本書を読んで改めて「外資こえー」という思いを強くしました。

特に「クビ」については容赦ありません。

上記ポイントの2番目のようなチョンボ(本書によると、このミスでの損失は億単位だったそう)ならまだしも、上記ポイントの最後で福留さんがクビにしたのは、自身も信頼している部下でした。

なぜなら、例えば業績悪化によって人員削減する場合、一律どのチームも同じ比率で削減するから。

本社から「20%削減せよ」と指示があれば、5人のチームでは必ず1人が対象となるワケです。


◆一方で、人事部によるクビ切りは、淡々と行われます。

ポイントの5番目にあるように、「午後3時に市場が引けた後から顧客訪問をし、夕方帰ってきたら、もう人がいない」とか。

しかも、福留さんが帰ってきて、その事実を知った直後に、福留さんの席から2列ほど離れたところにいた「くつろいでバナナを食べていた米国人セールス」が人事部に呼ばれ、クビになったという。

何でも、当時の外資では、クビになった社員は席に戻ることは許されず、人事部から直接社外に出されて、私物はアシスタントが整理し、後日郵送で自宅に送られるというフローだったそう。

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |   ( ●)(●)  <そんなの外資以前の問題だろ、常識的に考えて…
. |     (__人__)____
  |     ` ⌒/ ─' 'ー\
.  |       /( ○)  (○)\
.  ヽ     /  ⌒(n_人__)⌒ \ <引き出しに入ってるエロDVD ムググ
   ヽ   |、    (  ヨ    |
   /    `ー─−  厂   /
   |   、 _   __,,/     \



◆また、割愛した中で興味深かったのが、上司は部下の人事権を握っている反面、優秀な部下に他社に逃げられるというリスクを常に抱えている、というお話。

優秀な部下が辞めてしまうことは、会社にとって大きな損失です。

特に外資の場合、会社ではなく「社員にお客さんが付く」ことも多々。

すると、会社としては、その部下だけでなく、お客さんまで失うことになります。

それを補うべく新たに人材を採用しても、業績改善の目途が立たないと、マネジャー自身の立場も危うくなるのだとか。

結果的に上司と部下の関係は、福留さん曰く「タテ」の上下関係ではなく、「ナナメ」や「ヨコ」、場合によっては逆転していることもあるのだそう。


◆なお、今回はエピソード中心にしてしまいましたが、本書は単なる読み物ではなく、キチンと「ビジネス書仕様」となっております。

ただし、そこから得られる気づきは、普遍的なモノもあるものの、基本的には「外資ならでは」ではないか、と。

それだけに、冒頭でも触れたように「外資で働きたい方」や「今、外資で働いている人」なら、一読の価値アリ。

ぜひとも「国内第1位、世界第2位という突出した実績を挙げ、現在でも伝説のセールスとして外資金融業界で語られている」(アマゾンの著者略歴より)という福留さんのお言葉をかみしめて頂きたく。


外資で活躍するために!

外資1年目の教科書 (ノンフィクション単行本)
外資1年目の教科書 (ノンフィクション単行本)
外資の給料はなぜ高いのか
お客様の期待を裏切れ
高いボーナスこそ落とし穴
会議で発言しなければ去れ
自ら退路を断つな
社内政治に加わってはいけない
メモ一つが仕事人生を決める
上司の飲みの誘いを断るな
目標を達成した時こそさらにアクセルを踏み込め
間接部門を大切にせよ〔ほか〕


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【編集後記】

◆こちらはもうちょっと「読み物寄り」な外資本。

外資系金融マンのリストラ日記
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レビューは上記関連記事にて。


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