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2013年12月15日

【モテ?】『一瞬で人に好かれる6つの秘密』――なぜ、あの人の周りにだけ人が集まるのか?』オリ・ブラフマン,ロム・ブラフマン


一瞬で人に好かれる6つの秘密――なぜ、あの人の周りにだけ人が集まるのか?
一瞬で人に好かれる6つの秘密――なぜ、あの人の周りにだけ人が集まるのか?


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、舶来モノのコミュニケーション本

装丁はスピリチュアル系(?)っぽいですが、版元がフォレストさんだけあって、内容は抜かりがありません。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書原題「Click(クリック)」は、日本人にとってはパソコン用語ですが、英語圏では2つのものがカチッとハマる音を指す言葉として用いられています。
転じて、ビビッとくるような恋愛体験、すべてが上手くはまっているというコントロール感覚を示します。
本書では、そんな「人が他人や雰囲気に一瞬ではまり、溶け込むとき」の不思議なメカニズムを解き明かします。

一般的なコミュニケーション本を読んでも、なかかな取引先と良好な関係が築けない営業マンをはじめとしたビジネスパーソン、 そして気になるあの人と懇意になりたいと願う恋する人に、お役立ちする情報が満載です!

今回は特に、当ブログの傾向を考えて、「モテ」の観点からアプローチしてみました!





【ポイント】

■1.自分をさらけ出す


◆これは単に「ぶっちゃける」ということではなくて、適切に自己開示するということ。
 はじめて会う人との人間関係に関して、ラトガース大学コミュニケーション学科のジェニファー・ギブズ教授がこんな研究をしている。
 婚活サイトのマッチドットコムを調べたところ、プロフィールに個人的な情報を多く載せていたり、メールのやり取りで自分の情報を進んで開示したりする人のほうが、デートにこぎつける可能性が高かった。
 どうやら、進んで自分をさらけ出してくれる相手に、自分も同じように返して関係を深めていく、というのは人間に備わった特性らしい。
モテネタではないですが、これをうまく利用したのがクリントン元大統領。

そもそも大統領就任以前からスキャンダルまみれだったところ、テレビ出演の際に自分の生い立ちについて包み隠さず披露しました。

すると有権者の共感を得て、1992年6月のはじめ頃には33%だった支持率も、その月の終わりには77%まで跳ね上がったのだそう。



■2.距離を近くする


◆先日ご紹介した『まじめなのに結果が出ない人は、「まわりと同じ考え方をしている」という法則』でも言及されていた、MITの校舎の狭さ。

参考記事:【自己啓発】『まじめなのに結果が出ない人は、「まわりと同じ考え方をしている」という法則』カスピアン・ウッズ(2013年12月13日)

実はここの学生寮も古い建物群で、それほど住み心地は良くないものの、ある1つの特徴がありました。

それは寮のどの建物であっても、「中央に住む者が人気者である確率が高い」ということ。

「そんなの人気者が中央に住んでるだけでは?」と思ったらあにはからんや。

寮生には部屋を選ぶ権利は一切ありませんでした。

つまり、他人と接触する機会が多いほど、人気者になれるということ。
我々は物理的に近くにいる人と友情を育みやすいということだ。たとえ「受動的コンタクト」でであっても大きな影響力を持つことになるのだ。「慣れすぎは軽蔑を生む」という諺は正しくないようだ。逆に「慣れすぎは注目を生む」もののようだ。
 研究で明らかになったことを踏まえると、我々はなんでも電話やメールで終わらせるのでなく、極力顔を突き合わせて話すことが大切なようだ。
 パーティで気になる人があれば、遠巻きに眺めているだけでなく、できるだけその人の近くに行くべきなのだ。
パーティで「壁の花」になりがちな方は、ご留意を。


■3.共感・共鳴する


◆これはむしろ、「共感・共鳴させる」と言った方が良さそうな。
 我々が共鳴を体験するとき、その感覚は相手にも広がっていく。共鳴は伝染するからだ。
 我々にはもともと周りの感情に合わせていくという傾向がある。
 たとえば、周りが疲れていると、自分も同じような疲労感に襲われたことはないだろうか。 
 同じように周りが笑えば、我々の気分も上がるものだ。心理学には、他人がいっしょにいるときには、1人でいるときよりも30倍も笑いやすくなる、という研究さえある。
 これと同じことが共鳴にも起きる。我々は共鳴を感じている人といっしょにいると、その感覚を共有しやすくなるようだ。
具体例として挙げられていたのが、女流シェフのリディア・バスティアニッチ。

ローマ教皇ベネディクト16世がアメリカを訪問した際にもてなしたりしているくらいですから、かなり有名な人のよう(スイマセン、知りませんでした)。


◆しかしそれより彼女のテレビ番組で一番特徴的なのは、「自閉症の子どもたちの親から、たくさんの手紙をもらう」ということかと。

なんでも彼らは、彼女の料理番組を食い入るように見るのだとか。



これは、彼女が料理に没頭してる姿が、それを見ているこちら側にも「同じような間隔を呼び覚ましている」から。

彼女自身は意図的ではないにせよ、「一体感」を作り出しているわけですね。



■4.共通点を探す


◆これは初対面時のテクニックとしてよく用いられるもの。

趣味が同じ、好きな料理が同じ、出身地が同じ……。

極端な話、名前が同じと言う理由で結婚するカップルもいます。

米SNSの検索で同姓同名の異性を発見、互いに一目惚れして結婚へ。 | Narinari.com

いかにもこれなどは、ネット全盛の時代だからこそ起こりうるお話。
 類似性には何か我々に訴えかけるものがある。それが取るに足らぬことのように見えても、我々の心に引っかかるものがあるのだ。(中略)
 ポイントは、どんな些細なことであれ類似性はもちろん、共通点であっても相手に対して大きな好意を持つことにつながるということだ。
本書では様々な共通点での実験例が挙げられているのですが、面白かったのが、「指紋のタイプが同じだった」というでっち上げの共通点でも、人は親近感を覚えるというお話。

……ナンパ師の皆さんが、どうでもいいようなことを女性から聞きだして「俺と同じじゃん!」と強調するのも、間違ってはいないということのようw



■5.場の力を利用する


◆本書で初めて知ったのが、「スウェット・ロッジ」という、ネイティブアメリカンに伝わる儀式。

スウェット・ロッジ - Wikipedia
 スウェット・ロッジには決められた順序がある。まず30分ほど中に入る。その後、小屋のドアを開けて換気をし、次の30分がはじまるという具合だ。中の熱気は凄く、参加者たちが熱中症で具合が悪くなる、というのも珍しいことではない。しかし、ここにはそんなつらさを補って余りあるものがあるという。
これは基本的には「体の浄化」が目的なようです。
 そしてもう1つ、この儀式がもたらすものに、参加者の間の強い絆がある。
 ワペパはこんなことを教えてくれた。
「何年か前、僕の友人の男性がこれに参加してね。参加者の中にある女性がいたんだ。そこで2人ははじめて出会ったんだが、車座になってお互いの顔を見たとたんに惹かれ合ったんだね。彼らが惹かれ合ったことは、他の参加者たちにも一目瞭然だった。その後、たった24時間で彼らは婚約してしまったんだ」
婚約は極端な例ですけど、実際「困難や逆境が大きければ大きいほど、それを共に経験した者たちの絆は深まる」という傾向はあります。

恋愛で言うなら、映画『スピード』のラストみたいなものですか。



スピード [DVD]
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■6.空気を読む


◆本書の第7章では「天性の人たらし」について研究がなされています。

パーティで1度か2度会っただけの人から、結婚式の招待状がわんさか送られてくる起業家。

容姿端麗な女性モデルたちに囲まれているモデルエージェンシーの代表が認める「人間力」のある女性。

彼らが人々を惹きつける理由は何か?
 簡単に言うと、人々の中にはその場の空気を読むことがうまく、それに合わせて自分の行動と見せ方を調節できる者がいるということだ。
スタンフォード大学博士課程のマーク・スナイダーは、こうした人々を「高モニターの人」と呼びました。
 想像してみてほしい。あなたはキャンドルが置かれたテーブルで、カップルたちがささやきあっているようなロマンチックなレストランにいる。
 低モニターの人であれば、うまくその場に合うように、話し方を調整することができないだろう。職場で話すのと同じような無粋な声を出して、周囲から白い目で見られるかもしれない。
 一方、高モニターの人は、声のトーンを周囲に合わせるだけではない。レストランの雰囲気やいっしょに食事をとる人の空気を完璧に読んで、それに合わせるだろう。
ちなみに本書には、自分が高モニターか否かを測るための質問が収録されていましたので、気になる方は本書にてご確認を。


【感想】

◆以上本書のポイントを簡単にまとめてみました。

なお、本書は本質的にはモテ本というより、むしろ同性・異性関係ないコミュニケーション本なので、冒頭にもあるように「営業」にも十分活用できると思います。

初対面のセールスマンが、「自分をさらけ出して」「比較的近くにいて」「共感・共鳴するところがあって」「共通点もあって」「特定の場で話す」……って、変な絵●販売みたいなのに連れてかれたら困りますがw

ただ、むしろ恋愛もビジネスも関係なく、本質的に「人として好かれる」ためにも、上記で挙げたポイントは押えておくと良いかと。


◆また、今回は記事のボリュームの関係で少なめになっていますが、本書では各章とも事例がかなり豊富でした。

それも実験や研究の結果が多いので、たとえば上記ポイントの4番目の「共通点を探す」のようなTIPSは、話としては知っていても、実際に「これでもか」と数値的に検証されたモノを出されると、ストーンと腑に落ちるハズ。

加えて、翻訳本らしく、巻末には注釈と索引まで収録しているのもありがたいところ。

まさに「可愛らしい装丁とはうらはらな」(?)しっかりした内容だと思いました。


初対面でも好かれたいなら要チェックです!

一瞬で人に好かれる6つの秘密――なぜ、あの人の周りにだけ人が集まるのか?
一瞬で人に好かれる6つの秘密――なぜ、あの人の周りにだけ人が集まるのか?
第1章 魔法のような時間
第2章 人質交渉人の秘密の武器
第3章 親密さを生む原動力
第4章 すべてがカチッとはまる時
第5章 似た者同士が惹かれ合うわけ
第6章 コミュニティの心理学
第7章 「天性の人たらし」の研究
第8章 クリックがもたらす至福の時
最終章 なぜ人生にクリックが必要なのか?


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【編集後記】

◆本書の著者であるブラフマン兄弟の著作から。

あなたはなぜ値札にダマされるのか?―不合理な意思決定にひそむスウェイの法則
あなたはなぜ値札にダマされるのか?―不合理な意思決定にひそむスウェイの法則

テーマが私の好きな行動経済学らしいので、機会があれば読んでみたいと思います。


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