2013年12月08日
【就活】『リクルートを辞めたから話せる、本当の「就活」の話 無名大学から大手企業へ』太田芳徳
リクルートを辞めたから話せる、本当の「就活」の話 無名大学から大手企業へ (PHPビジネス新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、リクルートで採用広報の営業・商品企画や人事組織コンサルティングをされていた太田芳徳さんの「就活本」。本の帯にあるように「カリスマ就職請負人」である太田さんが、「学生、大学のイタすぎる就活を一刀両断」しております。
アマゾンの内容紹介から。
本書で述べる「内定の取り方」とは、内定獲得ゲームの攻略法ではなく、企業の求める人材に近づくための「自分を変革する」方法である。就活セミナーでは教えられていないけれど必要なこと、教えられているけれど不要なことを理解してもらいたい。就活がよりよいものになるために、企業、大学、学生それぞれの立場の方々に、読んでもらいたい。
学生さんのみならず、ご家族の方で就活生がいらっしゃる方なら、必読かも。
【ポイント】
■1.就活生に求められる3つの力今求められていることをまとめると、「現場で起こっていることに対峙できる問題解決力」となる。この本の冒頭で述べた「突き抜ける経験をせよ」というのは、問題解決をしながら、諦めずに成果を出すまで自律的に行動し続けることを指しており、「論理的・構造的に書く・話せるようになれ」というのは、その問題解決をしていくための論理を磨くことの必要性を説いているのだ。
「問題解決を支える論理力」
「実際に行動に移せる自律行動力」
■2.自己分析より、まずたくさんの企業を見る
働いたことのない学生が就職活動をするのであれば、自己分析よりも、まずたくさんの企業を見ること、たくさんの仕事を見ることから始めるべきである。その中で「この仕事は自分も楽しくできそうだ」とか、「この会社で働いている人は素敵だな」とか、「この部分は自分には大変そうだけれど、まあ我慢できる」といったことを探していくアプローチが重要だ。
本当はこのことがわかっている講師や職員もいる。それでも自己分析から始めさせるのは、教える側としてもそのほうが楽だからだ。
■3.「上から評価目線」にならない
志望理由としてはいかにも真っ当に聞こえる「御社の事業には将来性がある」。しかしそれをまともだと思っているのは学生の側だけだ。企業の人間の心の内を代弁するとこうなる。
「はあ? なんで学生なんかに将来性がある、なんて言われなきやいけないんだよ!」
よくよく考えてみてほしい。「御社の事業には将来性がある」という言葉は、言葉遺いこそ丁寧だが「上から評価目線」だ。そもそも将来のことなんて、誰にもわからない。もしその会社の将来が本当にわかっているのであれば、働かなくてもそこの株を買いまくればいい。
■4.積極性は、相手から見える行動で示す
講義や説明会、会議に参加する時は、少しでも前のほうに座って話を聞く。これが「積極的に関わろうとしている」という態度を示す行動だ。
よく「もっと積極的になれ」と言われることがあると思うが、これは相手に「私はあなたの話が聞きたいんだ」という気持ちを「行動」で見せろ、ということなのだ。
前のほうの席に座る。話にはうなずき、メモを取る。質問を必ずする。
これが社会で求められている姿だ。(中略)
今一度、「他人の話を聞く」自分の態度を見直してほしい。会社説明会や、OB訪間では、そこも見られている。
■5.学生時代に時間をかけたことが頑張ったことではない
頑張るということは、成果のはっきりしないことをやみくもに継続することではない。自分でこうしたいと思わないことをやり続けることでもない。
成果の目標を自分で決めて、その成果な出すために障害を乗り越え続け、成果にたどり着くことを「頑張ったこと」として問われているのである。
なんとなく数年間部活やサークルを続けてきたことは、頑張ったことではない。
学校で取れと言われた資格の勉強に夏休みを通して取り組んだことは、頑張ったことではない。
■6.「熱意」はアピールすることではなく、過程でみせること
ここで述べておきたいのは、「御社に入りたい!」と叫ぶ熱意は大したアピール材料にならない、ということだ。
熱意とはその会社のことをよく知っている、研究しているという姿、過程で伝わるものだ。似たような企業をたくさん比較すれば、どうしてこの会社はこうなんだろうと疑問がわく。それを調べたり、聞いたりすることで、情報が増える。
店舗や商品・サービスを実際に見ることができるなら、見てみればいい。社員にもたくさん会ってみればいい。その情報の多さ、「研究の熱心さ」が熱意として伝わるのだ。志望した理由や、入社して取り組んでみたい仕事を質問すれば、その熱意はすぐに伝わる。
■7.志望理由では「自分に合う会社だから」と答えない
ここ10年くらい面接に入っていて、学生の気になる志望理由の答え方がある。
「御社の○○な仕事や、○○の事業に興味を持った」ではなく、「私はもともと、○○な人間である。そして御社にはそれにぴったりな仕事や事業がある」という答え方だ。(中略)
「私はこういう人間だから、御社にした」と志望理由を話すのは、究極をいえば「私の社会人人生にとって、御社は都合がいい」と伝えてしまっているのだ。
だから「え? 当社じゃなくてもよくない?」とツッコミたくなるのも当然だ。 その会社に魅力的だと思った仕事、事業、風土・文化があり、それがいいと思った。このような順序で考えて話さないと、せっかく集めた情報や分析も無駄になってしまう。
【感想】
◆新卒時の就職活動なんぞはるか昔の私にとっては、大学の「就職課」が「キャリアセンター」と呼ばれていることを、本書を読んで初めて(多分w)知りました。それ以前に「就職課」で何か指導を受けたという記憶がないのですが、最近の
そもそも新卒時にはマスコミ志望だった私には結局縁遠い話なんですがw
ただし、そのキャリアセンターでの指導も問題アリ、というのが太田さんのお考え。
その辺りをまとめたのが、本書の2時間目、「大学のキャリアセンターの間違い」になります。
◆ちなみに、そこに書かれたことの多くは、当時リクルートにいた太田さんが、企業側から「リクルートさんが大学側にそういうこと伝えてよ」と言われたモノ。
とはいえリクルートとしても大学や大学生にリクナビを紹介することもしているので、「大学で教えていることはおかしいですよ」とは言いづらかったのだそう。
ただ、たとえ言えたとしても今度は「それはどこの企業が言っているのですか」と問われた場合、やはり顧客である企業名を答えられるワケもありません。
リクルートを退職したことにより、こうしたしがらみから逃れることができ、初めて書くことができたのが本書ということ。
要は「本音言いまくり」なワケです。
◆そんな本書の大きな読みどころが、4時間目の「大手企業に受かった本当の話―中堅下位大生の大逆転ストーリー」。
ここでは太田さんが講師を務める「特別就職講座」を受講した女子大生4名が、企業の内定を勝ち取るまでの経緯が語られています。
彼女らは4名とも「中堅下位大学」の学生であり、内定を得られた企業の大きさ・知名度から考えると快挙と言えるでしょう(「所属大学のキャリアセンターの職員にも驚かれた」という記述あり)。
ただし、書かれている内容を読む限り、「内定もらえても当然」な事をやられています。
詳細は本書を読んで頂くとして、簡単に言うと、アルバイト先で「突き抜ける経験」をし、「PDCAサイクルを回す」というモノ。
一流大学の学生だって、ここまでできるのかという……。
◆なお、太田さんのこの考え方に則って内定を勝ち取るには、1年は必要なのだそう。
「4年生の春に内定を取る」という前提なら、3年生の6月から準備開始。
そして従事するアルバイトも何でもよいわけではなく、望ましいジャンルがあります(ネタバレ自重)。
確かにサークル活動や趣味に比べて、アルバイトはお金が絡む分、シビアですし実際に就職してからも役立ちそうな。
当ブログの読者さんに、大学生の方は少ないと思いますが、もしいらっしゃるなら一読をオススメ。
無名大学から大手企業へも入れるんです!
リクルートを辞めたから話せる、本当の「就活」の話 無名大学から大手企業へ (PHPビジネス新書)
1時間目 企業の「採用活動」という観点で「就職活動」を見てみる
2時間目 大学のキャリアセンターの間違い
3時間目 何も知らない学生たち
4時間目 大手企業に受かった本当の話―中堅下位大生の大逆転ストーリー
5時間目 突き抜ける就活トレーニング
課外授業 就活以後のキャリアプラン
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【編集後記】
◆ちょっと気になる本。バカに見えるビジネス語 (青春新書インテリジェンス)
……身に覚えがなくもなくw
ご声援ありがとうございました!
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