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2013年11月20日

【弱点?】『外国人社員の証言 日本の会社40の弱点』小平達也


外国人社員の証言 日本の会社40の弱点 (文春新書 945)
外国人社員の証言 日本の会社40の弱点 (文春新書 945)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、外国人社員から見た「ここがヘンだよ、日本企業」という点を明らかにした1冊。

著者の小平達也さんは、外国人社員向け研修の第一人者であり、実際に相談された事例に基づいて本書は構成されています。

アマゾンの内容紹介がビミョウなので、本の帯から。
「CCメールが多すぎる!」
アメリカ、中国、韓国、インドほか17ヵ国の外国人社員から直接聞いた日本型組織の落とし穴

これからのグローバル社会においては、この手の知識が必須な予感!?




【ポイント】

■1.日本の自己紹介の順番は海外と逆
 一般的に日本における自己紹介は、自分の所属の大きいところから入り、最終的に個人の名前にたどり着きます。即ち、所属している会社→部署→肩書→氏名という順番です。アメリカをはじめ海外では先ず、自分の名前、何をしているか(仕事の内容)、所属、そして最後に出身国となります(もっとも、出身国にまでたどり着かず、後で「はて、彼女はどこの国出身のひとだったっけ?」などということも往々にしてありますが)。氏名→仕事内容→部署→会社→出身国という海外の自己紹介が、グローバル・スタンダードなのです。


■2.外資系企業では、自分を正当化するためのBCCメールがある
 なお、外資系企業では、「上司向けBCC」が多いと言われています。自分の正当性を上司に(こっそり)アピールする手法として、自分と同僚のメールのやり取りを、上司にもBCCで入れておくのです。同僚や関係者とのメールのやり取りで、自分に非はなく相手に問題がある、ということを相手に分からない形で上司に訴えるのが目的です。


■3.アイコンタクトは大事!
 質問にあったような「腕を組んで目を閉じて考える」のは、日本ではある年代以上のシニア層の方が「よく聞いて・よく考える」を表わす、典型的なポーズとして知られていますが、海外ではまず、そうとは受け止められないと思っていたほうがよいでしょう。(中略)
 また、目を閉じること以外にも、視線を下に向けたり目をそらしたりしながら喋ると「このひとは(私と)コミュニケーションをする気がないのか」と思われますし、自信が欠如していると取られてしまうことさえあります。ここ一番という大事な発言をするときは、特に相手の目を見て(自分の目はできるだけ大きく開き、まばたきもしないようにすることにより意志の強さを強調できます)発言する等、アイコンタクトを意識するようにしましょう。


■4.日本とアメリカ・中国とでは「できる」の意味が異なる
例えば面接の場面で「あなたは○○ができますか」という面接官の質問に対して、日本人の場合は過去の経験を振り返り、実績があれば「できる」と回答し、なければ、「できない」と回答することが一般的です。タイ人などの場合も日本人に近いものがあるようです。
 一方で異質型社会であるアメリカ人や中国人などの場合は、たとえ今まで未経験であったとしても、自分の将来に期待を込めて「できる」と回答することがあるので注意が必要です。彼らのいう「できる」にはそのあとに、言葉には出しませんが頭の中に、(会社が入社後に十分な研修の機会を与えてくれればできるはずである)や(いまはできないが、これから猛勉強すれば自分はきっと半年後にはできるようになっているはずである)というニュアンスが含まれている可能性が高いのです。


■5.会議の終了時間を守る
(日本企業では)仕事をするにあたって時間厳守が求められる場面は出社時、会議開始時、客先訪問時などいくつもありますが、いずれも5分前には到着している(会議であれば着席した状態でいる)、というのが一般的なビジネスマナーとして認識されています。
 その一方で、終了時間については必ずしも「時間厳守」されていない、というのもまた事実です。退社時間、会議終了時間なども、サービス残業という言葉があるほど時間の感覚が希薄です。


■6.「報連相」を過度に求めない
 報告・連絡・相談……いわゆる"ホウレンソウ"は、日本企業では一般的なビジネス作法として広く浸透しており、常識となっているとも言えます。しかし、海外では特定の職務(ジョブ)に応募するジョブ型雇用が一般的であることもあり、「一度本人に任せた仕事は、完了してから上司に報告するのが常識。逐一相談するのは能力の不足している証拠」と考えられることが多く、また、過度にホウレンソウを求めることはマイクロマネジメントと言われ、嫌われるものでもあります。


■7.外国人社員が嫌う5つの上司の言動
(1)人前で叱る

(2)事情を確認する前に謝らせる(例)「先ずは謝れ」

(3)一方的・高圧的な指示をする(例)「黙ってやれ」「さっきメールしただろ」

(4)細かいことまでいちいち言わなくてもわかって当然、という態度(例)「そんなことは常識だ」

(5)日本(日本人・日本企業)と比較して、○○(国名)は劣っている、という態度(例)「日本(日本人・日本企業)なら……」「だから○○(国名)人は……」

(詳細は本書を)


【感想】

◆日本であれ、諸外国であれ、ロジカルシンキング的な考え方や、問題解決の手法は、本質的にはそれほど変わらないのだとは思います。

ですから、たとえば、業務内容の一部を新興国にアウトソーシングして、メールでやりとりする、といった事業展開も成立するワケで。

その一方で、仕事の本質的な部分以前の「コミュニケーション面」については、日本と諸外国とのギャップは意外と大きかったりします。

その点について論じたのが本書の第1章で、実は上記ポイントの4番目までがすべてこの第1章からでした。

気になったのが、会議中に日本人上司に「喉、渇いたんじゃない?」と聞かれて、それが「飲み物持ってきて」の意だと気が付かなかった外国人部下の話なんですけど、これって日本人でも若い世代だとありえそうな……?


◆それに対して第2章の「ビジネス日本語編」では、タイトル通り外国人にとっての「日本語」の問題点について言及。

「日本語英語」とも言うべき「サラリーマン」や「OL」はもちろんのこと、「スキンシップ」もそのまま英語で言っても通じません(正解は本書をw)。

日本語が分かる外国人に対する指示では、「協調 vs 強調」「意義 vz 異議」といった同音異義語に注意すべきでしょう。

それよりもシャレにならないのが、「空耳」で

「最高!」⇒「psycho」(精神病)

「あー、そう?」⇒「asshole」(肛門。嫌な奴)

「苦い!」⇒「nigger」(ニガー……黒人に対する差別用語)

といったウソのような空耳で、外国人社員に訴えられたりすることもあるのだそう。

そんなん、知らんがなww


◆また、私は知らなかったのですが、あの昔話「ウサギとカメ」の話は世界中にあり、かつ、内容も教訓も少しずつ違うのだとか。

例えばフランスでは、「ゴール近くで格好よく追い抜こうと、カメを先に行かせたウサギが追いつけなかった」というお話で「もう少し早くスタートすべき」という教訓。

インドでは、話の内容は同じであるものの、「寝ているウサギにひと声かけなかったカメが悪い」という解釈で「友情を大切にしなくてはならない」という教訓。

それより謎なのがカメルーンで、「カメは親類を集めて、走る道筋に一定間隔で隠れてもらったところ、ウサギは後ろを確認するたびに必ずカメがいるので、必死に走り続けてゴールで倒れて死んでしまう」というお話で、「大切なものは準備・知恵・連帯」と言う教訓……って、知らんがなww

下手にたとえ話もできませぬ。


◆最近、外国人社員の採用割合も増えてきているようで、今までなら必要なかった「外国の文化」「外国の考え方」も、常識として知っておくことになるのかもしれません。

本書の場合、実際に寄せられた質問を基に書かれているため、今後実際に起こりうる問題を事前に体験しておくことが可能。

相変わらず「超ドメスティック」な職場にいる私にとっては「猫に小判」な気もしましたが、ある程度大きな会社にお勤めの方にとっては、外国人部下ができる可能性もゼロではないでしょう。

もちろん、現在でも海外の子会社や駐在員事務所にいる方にとっては、マストな内容(さすがにご存知でしょうが)。

とりあえず、少しでも外国人社員と働く可能性のある方なら、目を通しておいても良いと思います。


グローバルな時代の常識です!

外国人社員の証言 日本の会社40の弱点 (文春新書 945)
外国人社員の証言 日本の会社40の弱点 (文春新書 945)
第1章 職場のコミュニケーション編
第2章 ビジネス日本語編
第3章 マネジメント・チームワーク編
第4章 悩める上司編
第5章 就職活動・キャリア編


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【編集後記】

◆今日は記事の投稿が遅れて申し訳ありませんでした。

別の部屋で着けておいたテレビでやっていた、サッカー日本代表の対ベルギー戦が気になってしまい、早起きしたのが意味がなかったと言うw

特に今日の前半には「セレッソ出身者」が同時に4人(香川、柿谷、清武、山口)起用されていたのが印象的でした。

というワケで、セレッソギャルはこれを買うといいと思うよw

セレッソ・アイデンティティ 育成型クラブが歩んできた20年
セレッソ・アイデンティティ 育成型クラブが歩んできた20年


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