2013年11月13日
【超文章術?】『説得する文章力』副島隆彦
説得する文章力 (ベスト新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、評論家・副島隆彦さんが、ご自身の文章術を明かした1冊。実は副島さんのご本は、ジャンルの関係もあって読んだことがなかったのですが、この本のテーマなら当ブログ的にはツボでしょう!
アマゾンの内容紹介から。
ただキレイなだけの美文は要らない。説得こそは文章の命だ。百学の思想家が伝授する「読み手を説得する」技術。
アマゾンの目次ページに具体的なテクニックが列挙されてますけど、そこ見るだけでも読みたくなりそうなw
【ポイント】
■1.最初の一文で魅きつける文章は出だしの一行で読者を魅きつけなければならない。ただ単に魅きつけるのでは足りない。引きつけを起こさせるぐらいの斬れる文にしなければならない。己れの書く文章の冒頭の一行は大切である。スパッと大きな真実(事実)を言い切らなければいけない。日本は、世界政治の現実からみるとアメリカ合衆国の属国である。私はこの冷酷な現実認識からすべての話を始めることにしている。
属国・日本論
■2.「これから大切なことを書く」と宣言する
くだらないレトリックで、自分の書いた文章を読者に印象づけようとしても、どうせ効果はない。そんなことを考えるよりも、自分がどうしても大切をことを書いて伝えたいときは、「これから大切なことを書く」と文字通り宣言する方がいい。だから、私ははっきり書く。お金は体にくっつけて手持ちで持っていきなさい。日本の銀行なんかもう信用できないから、海外送金なんかしてはいけない。
欧米日 やらせの景気回復
■3.重ね言葉を忌避しない
たとえば「一番最初に」とワープロで打つと、奇妙な色付きの波線がこの言葉の下に自動的につく。どうやら「これは重ね言葉ですよ」ということをコンピュータのチェック機能が言いたいらしい。
私は、重ね言葉をある場面では忌避するべきではないと考える。むしろ、積極的に使う。ただの「最初」ではないのだ。最初の最初だから「一番最初」だ。
■4.接続詞は「そして」と「しかし」と「だから」しか使わない
私は、接続詞は「そして」と「しかし」と「だから」以外ほとんど使わない。これ以外は必要ないからだ。「しかし」の代わりに「だが」や「ところが」ぐらいは使うことはある。他の接続詞は極力使わない。きっと英文(英語の文章)をたくさん読んできたのでこうなったのだ。そのために文末の判断語に長ったらしい、余計なことを書く日本文の多くを嫌うようになった。物事はてきぱきと簡潔に処理して判断においても明瞭、明確でありたい。
■5.突然、正直な感想を吐露する
本を書いている著者本人が、突然、率直な感想を吐露すると、読者との距離が一挙に縮まる。私はこの映画(=『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』)を見ているうちに、この映画は、今のアメリカを説明する上で大変重要であることに気づいた。(中略)
アメリカ合衆国は、自分たちは古代ローマ帝国の再来だと、自分たちの国を密かに定義づけてきたのだが、本当に、ついにこの映画をもって「以後アメリカは、共和制(共和国 republic)であることをやめて、これからは、帝政(帝国)になる」と宣言してしまったのである。ああ、びっくりした。
重税国家日本の奈落
■6.言葉を重ねて畳みかける
これでもか、これでもか、という私の文章の偏執狂じみたやり方は決して誉められることではない。(中略)
それでも言葉を重ねることで、私の文章は説得力を増した。次の例も、私の本からで、その帯のキャッチ・コピーである。このコピー文も私が書いた。ルネサンスとは、ローマ・カトリック教会に憎まれ押しつぶされ、暗殺されていったフィレンツェの人文主義者たちの思想運動のことだ。「憎まれ押しつぶされ、暗殺されていった」のところが、私独特の言葉の畳みかけである。
■7.オノマトペを活用する
オノマトぺは、「擬音語・擬態語」と日本語に訳されている言葉である。
私はこのオノマトぺを使うことをイヤがらない。「ギャーギャー騒ぐな」「ブラブラと歩き回る」の類いだから、文章が口語体からさらにスーパー口語体に一気に堕ちてしまう危険性がある。(中略)
しかし少しだけ効果的に使うならばそれなりの有用性を持つ。最近のテレビの経済二ューズでは誰でも普通に「ジャブジャブ・マネー」と使うようになった。この「ジャブジャブ・マネー」も私が自分の金融本で使って日本国内で定着させたものだ。「日本はアメリカの属国だ」と同じ現象である。
【感想】
◆冒頭で「副島さんのご本は読んだことがなかった」と申し上げましたが、今般初めて読んでみて、その独特の文体に少々面喰いました。例えば、上記ポイントの5番目の別の本からの引用部分で「共和制」というところをわざわざ「(共和国 republic)」カッコ書きで説明していますが、万事がこの調子です。
また、それ以上に気になるのが、当ブログでは2段書きができない関係で割愛しているものの、やたらと多いルビ。
それも、漢字にふりがなをふるのではなくて、該当する外来語を当てはめるタイプのものが目立ちます。
例を挙げると「近代人」には「モダンマン」と、「世界基準の知識」には「ワールド・ヴァリューズ」といった感じ。
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) <おっと、それ以上は言うなよ…
. | (__人__)____
| ` ⌒/ ─' 'ー\
. | /( ○) (○)\
. ヽ / ⌒(n_人__)⌒ \
ヽ |、 ( ヨ | 速読者にケンカ売ってんの ムググ…
/ `ー─− 厂 /
| 、 _ __,,/ \
ただしこれも、副島さんによれば、れっきとしたテクニックであり、第1章の「説得力のある文章を書くための20カ条」の中の19番目に挙げられているんですけどねw
◆実は上記7つのポイントは、すべてこの「20カ条」の中から選んだものであり、残りの13カ条の中には、このルビのように「私個人としては」微妙なものもチラホラ。
もちろん、「文章は短文に切る」「断定する」「推敲が大事」といった、類書でも言われているものもありますが、独特と言えば独特なので、自分のキャラクターや、書く内容によって、使用の是非を判断した方が良さそうです。
もっともこれらは、「美文」を書くためではなく「説得力のある文章」を書くためである、と言われると、確かにそうなのかもしれません。
流れるような文章より、多少「ひっかかりのある」文章の方が、心に残ったり、実際の行動につながったりすることもよくあることなので。
◆そういう意味では、上記ポイントの2番目や5番目は、使いどころがハマれば、効果が望めるかと。
特に2番目の「宣言」は、文章を読んでいて一瞬「ドキッ」とすることは間違いないです。
また5番目についても、副島さんのような文章を書いていて、いきなり「感想を吐露」されたら、そのギャップで共感を得られそう。
……逆に当ブログのように、「そもそもが感想だらけ」の場合は、その効果は微妙ですけどねw
同じような「ドッキリ」系のTIPSとしては、割愛した中に「読者や特定の人物に呼びかける」というものがあるので、そちらは本書にてご確認を。
◆ところで、その独特な文体がゆえか、本書における「例文」は、そのほとんどが副島さんご自身の著作からになります。
逆に、副島さん以外の方の本からの引用は、「悪例」であり、石原慎太郎さん、大江健三郎さん、宮台真司さん、浅田彰さんといった有名どころの著者さんの文章が、バッサリと添削されているという……。
なお、こうした「やってはいけない」系のお話については、今回丸ごと割愛した第2章は「やってはいけない書き方10カ条」にてじっくり論じられていますので、そちらをご覧頂きたく。
さらには、第3章の「書く材料をどう取り扱うか」において、村上春樹さんの文体についても言及されていますので、村上さんのファンの方もチェックして頂ければ。
ちなみに副島さんは、村上さんのデビュー当時に『風の歌を聴け』を読んで、「すばらしい作品だと思った」のだそう。
そんな副島さんが、その後の村上さんの作品を読んでどう思ったのかは、これまた本書にて。
力強い文章を書きたいなら要チェックです!
説得する文章力 (ベスト新書)
第1章 説得力のある文章を書くための20カ条
第2章 やってはいけない書き方10カ条
第3章 書く材料をどう取り扱うか
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【編集後記】
◆ちょっと気になる本。「賢く」なりたければまず、1分寝なさい―脳が冴える!魔法の睡眠術
私のような「万年睡眠不足」の人間にはマストなのかも!?
ご声援ありがとうございました!
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