2013年10月30日
【男の城?】『ミニ書斎をつくろう』杉浦伝宗

ミニ書斎をつくろう (メディアファクトリー新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、当ブログの読者さんなら見逃せない(?)1冊。テレビ・雑誌等でも「ちっちゃな家シリーズ」が好評な杉浦伝宗さんによる「小さな書斎」指南本です。
アマゾンの内容紹介から。
書斎がほしいが、自宅には空いている部屋がない。それなら、「ミニ書斎」をつくってみてはいかがだろうか。独立した書斎を持つことは難しくても、廊下やリビングの一角、階段下などの空きスペースを読書や趣味の世界に浸れる空間に変えることは可能だ。数々の狭小住宅を手がけ、居心地のいい空間づくりに定評のある建築家が、男の夢を現実にする福音の書!
自分の部屋がなくとも「書斎」は持てるんです!
【ポイント】
■1.ミニ書斎の定義「ミニ書斎」を私なりに定義すれば、次のようになります。ミニ書斎とは、寝室・リビング・廊下・階段などの一角に設けられた、広さ3畳以下の、世帯主の男性専用のスぺース。男性はここで一人だけの自由な時間を過ごすことができる。
■2.ミニ書斎の「3種の神器」
私は、ミニ書斎に最低限必要な家具調度品として、またミニ書斎の空間を形づくるアイテムとして、「机」「椅子」「書棚」が重要だと考えています。いわばこの3つがミ二書斎の「三種の神器」です。
ミニ書斎の場合、もともと屋内の一角を利用するものなので、空間の3要素のうちの「床」と「天井」は最初から確保できています。問題は「壁」ですが、ミニ書斎用に新たに壁を増設するのは難しいでしょう。
ではどうするかというと、いま登場してもらったばかりのミニ書斎の三種の神器、「机」「椅子」「書棚」のうちの「書棚」に活躍してもらうのです。
■3.「こもり感」の必要度を読書で確かめる
そこで、提案です。週末や休日の夜など、家族が最も集まる時間帯に、リビングで少し難しめの本(自然科学・先端技術・哲学・経済の専門書など)を読んでみましょう。一度読むだけで、書いている内容がすっと頭に入ってくれば、あなたは外界のノイズを気にせずに集中できるタイプ。すなわち、こもり感をあまり必要としない派です。同じぺージの同じ行を何度読んでも意味がつかめないのであれば、静かな環境でないと集中できないタイプ。すなわち、こもり感重視派になります。
■4.お互いの目と目が合わないよう、目線の高さを変える
たとえば、家族が普段リビングのソファーに座っている場合や、テーブルを使っている場合は、ミニ書斎はわざと座卓でつくるのがいいでしょう。逆に、家族が普段リビングの床に直に座っているなら、ミニ書斎はこれまでの記述どおり、机と椅子で構成するといいのです。(中略)
もちろん、お互いの存在は視界には入っているので、完全に無視するのは不可能でしょう。とはいえ、目線にいくらかの高低差があれば、お互いを意識する心理は薄らぎ、それぞれが自分だけの世界に没入しやすくなります。
■5.間仕切りは書棚で兼ねる
ミニ書斎をつくるときに、私が特に重視しているのが「こもり感」です。こもり感とは、「家族から一人離れて書斎にこもっている感覚」のこと。そこで問題になるのが、自分一人だけを家族からどう分離するか。書斎のように独立した一室を持たないミニ書斎の場合、自分と家族とのあいだでスぺースをどう仕切るかが大きなテーマになります。(中略)
より強固で確実なこもり感を得るためには、やはり書棚を活用するのがべスト。なぜなら、最低でも20cm程度の厚み(奥行き)がある書棚は、一般的な衝立やパーティションに比べて、感覚的にはより「壁」に近いからです。
■6.低い書棚で部屋を広く見せる
欧米の住宅を視察して感心するのは、あえて背の低い家具を配置することで、室内をゆったりと気持ちのいい空間に仕立てていることです。欧米の住宅は実際の延べ床面積も広いのですが、視覚を抜く効果で、さらに広く見せることに成功しています。
この効果をミニ書斎にもぜひ応用したいところ。視線を書棚で遮断するのではなく、書棚の上に抜いてやる。すると視覚効果で、そこは実際の面積以上に広い空間に感じられるようになります。
■7.無垢の一枚板とカラーボックスで自作の机を
もっと簡単につくりたい、という人には、市販のカラーボックスを使う方法もあります。
カラーボックスの基本サイズはほぼ決まっています。幅約40cm、奥行き約30cm。高さは1段が約30cmですから、2段のもの(中板1枚)で約60cm、3段のもの(中板2枚)で約90cm。ミニ書斎の机は高さを約70cmにしたいので、2段のカラーボックスを4個、左右2個ずつ使います(カラーボックスは1個1000〜2000円)。
カラーボックスの置き方は、開口部が1つは手前に向くように、1つは外側を向くように。このままだと高さが60cmで、目安となる70cmに10cm足りません。そこで、厚さ10cm分の板材数枚を、カラーボックスの幅と奥行きの長さに揃えてお店でカットしてもらい、それらを「ゲタ」としてかませる形で、その上に天板を載せてしまいます。
【感想】
◆「書斎」というと、丁度1年ちょっと前に、いしたにまさきさんのこの本をご紹介したことがありました。
あたらしい書斎
参考記事:【読書ネタ?】『あたらしい書斎』いしたにまさき(2012年09月22日)
詳しくは上記参考記事をお読み頂きたいのですが、「デジタル書斎」としてEvernoteを推奨されたり、「アカデミーヒルズ 平河町ライブラリー」が登場したりと、「本」との関連性が高いです。
それに比べると、本書はやや「非読書用途」として「書斎」を捉えている感じ。
実際、著者の杉浦さんも趣味の「木工」作業を主に行ってらっしゃるようですし、「書斎」を「趣味の拠点になると考えている」とのことです。
◆ですから、「三種の神器」の1つである「書棚」は、本を収納する機能もさることながら、「壁」としての役割も需要に。
ある程度奥行きがあれば、自分のいる内側だけでなく、家族が外側からも本を並べることができれば、「ミニ書斎」を設置することの家族の同意も得やすいでしょう。
さすがに、リビングの一角に背の高い書棚を並べて「要塞」のようにするのは、いかがなものかと。
また、完全に遮断されていない分、ゆるやかに家族と接触できますし、完全に独立した別室の「書斎」とは違ったコミュニケーションが持てるのも、ミニ書斎の魅力です。
◆というわけで、本書の第3章以降は、実際の「ミニ書斎」作りのノウハウがぎっしりw
まず第3章では、「自宅にミニ書斎をつくる9のアイデア」と題して、さまざまな「ミニ書斎」のスタイルを紹介しています。
「押入れの中断を机にする」というのは、目からウロコでしたし、「押入れの中断を取り外して椅子、机、書棚を格納する」なんて、そのまま「秘密基地」杉ワロタ(賃貸だと難しいですがw)。
他にも「階段まわり」やら「廊下」も活用しているのは、さすが数々の狭小住宅を手掛けてきた杉浦さんならではでしょう。
続く第4章では、もうちょっと細かいTIPS(机や椅子の高さ、照明、etc...)が。
さらに第5章では、上記ポイントの7番目にあるように「DIY」で「三種の神器」を自作しています……って、私のような素人にはちょっとハードル高かったですがw
◆さすがに家具等を自作するのは、少々コストパフォーマンスが悪い(特に椅子は本書でも薦めていません)ですが、それ以外の章については、本書はなかなか役に立つと思われ。
特に、今現在、自分のスペースをお持ちでない方は、本書から「独立」のヒントを得て頂きたいところです。
逆に、独身だったり、まだ親元にいらっしゃる方にとっては、「自分の家」や「自分の部屋」そのものが、「ミニ書斎」の機能をカバーしているので、本書の意義は薄いでしょう。
ちなみに、私は今現在、納戸に置かれた机でこの記事を書いていますが、いずれこの部屋もムスコに解放するので、その後は「自室」はなくなりそうでして。
そうなったら、いよいよ本書に従って、リビングにでも「ミニ書斎」を作るつもりでおります。
自分のスペースが持ちたい方ならマスト!

ミニ書斎をつくろう (メディアファクトリー新書)
第1章 書斎とは何か
第2章 ミニ書斎づくりの考え方
第3章 自宅にミニ書斎をつくる9のアイデア
第4章 快適なミニ書斎をつくるために
第5章 DIYでつくる三種の神器
第6章 ミニ書斎から独立した書斎へ
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【編集後記】
◆以前『150字からはじめる「うまい」と言われる文章の書き方』をご紹介して、「何で140字じゃないんだYO!」と散々言われた(?)高橋フミアキさんの新刊。
一瞬で心をつかむ 77の文章テクニック
この本も面白そうですね。

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