2013年10月29日
【仕事術】『なぜか評価されないあなたへ 心に刺さる耳の痛い話』小笹芳央

なぜか評価されないあなたへ 心に刺さる耳の痛い話
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、リンクアンドモチベーション会長、小笹芳央さんの仕事術本。本書は「日経ビジネスアソシエ」連載の「耳の痛い話」の再編集版になります。
アマゾンの内容紹介から。
カリスマ人事コンサルタントが教える「仕事で結果を出し、評価されるための思考法」。
読めば、上から評価される事ウケアイの1冊です!
【ポイント】
■1.仕事の適正を思い悩まない私はよく、こう言います。
「配属はポーカーのカードだ」
中には、初めから「ワンぺア」が揃っている人もいる。仕事でいえば、希望に近い部署に配属されたようなものです。でも多くの人の手には、バラバラのカードしかない。それでも、ディーラーに対して「なぜこのカードが来たのですか」と聞いたりはしないでしょう。(中略)
キャリア形成も同じです。最初の配属は初期設定。それを生かすも殺すも自分次第。その後の役作りで変わっていきます。初めはいいカードが来ていても、気を抜けば「それ以上」は望めなくなる。
■2.約束はあえて口に出す
1つの約束を守り続けていくと評判や信頼が積み上がり、仕事がしやすい環境になっていく。つまり、「約束と実行」は「信頼残高」を高めてくれるものなのです。(中略)
では、日本人の美徳である「不言実行」はどうなのでしょうか。
結論から言うと、これはダメです。言わずに実行することには、価値はありません。周囲にあなたのすることを見てくれている「目利き」のような人がいれば、話は別ですが、そういう人はめったにいません。それよりも「宣言は信頼獲得への絶好の機会だ」と捉えて、約束を口に出してしまいましょう。
■3.自ら「崖っぷち」へ向かう
「火事場のバカ力」という言葉はご存じですよね。人間は、大きなプレッシャーがあると、それをバネに頑張る生き物なのです。(中略)
「最近、仕事が楽だな」と感じることはありませんか? これは実は「黄信号」です。そんな時は自ら、崖っぷちに向かいましよう。1人で商談に行ってみたり、あるいは大きなプロジェクトに立候補してみたり。適度な緊張状態に身を置くことでアドレナリンが出て、結果としてあなたの成長を後押ししてくれることでしょう。
■4.失敗しても前向きに解釈する
仕事とは、すぐに成果の出るものではありません。例えば営業職であれば、電話でのセールスやアポ取りに何度も何度も失敗し、落ち込むこともあると思います。そんな時「今日1日はムダだった」と考えるのでは、あまりにもむなしい。心だって折れてしまうかもしれません。
だから明日への一歩を踏み出すために、背中を押してくれる解釈をすることが大切です。エジソン流に言うと、こんな具合に。
「今日、電話した会社はウチの会社のターゲットではないことが分かった」
つまり、傍から見れば失敗に映るようなことでも、意味づけ次第で失敗ではなくなるのです。
■5.対極の筋力を鍛える
例えば論理力に優れた人は、創造性に欠けていることが多い。ITスキルが高い人は生身のコミュニケーション能力が弱点であることが多い。ここが目のつけどころです。つまり、対極にある2つの能力を持ち合わせている人は、現実にはなかなかいない。例えばITに強い人と対人コミュニケーション能力が高い人がそれぞれ1万人いるとしたら、両方で高い能力を持つ人は10人いるかどうかだと私は思います。
だから「反対側の筋力」を鍛えると、あなたのバリューは「極端なまでに」上がるのです。
■6.印象に残る自己紹介の4つの要素
相手の印象に残る自己紹介に必要な要素は、(1)相手への敬意、(2)相手にとって予想外の話、(3)相手との親和性、(4)適度な笑いの4つです。敬意が欠かせないこと、適度な笑いで場を和ませることが大切というのは分かりますね。
予想外の話とは、例えば、自分は相手の会社の製品を10年来使っている、といった意外性のある話題。親和性とは共通の知人、趣味、同郷や同窓といった話題です。これらをフックに話が膨らめば、相手は自分に興味を持ち、自分を記憶に残せるかもしれません。
■7.「極論思考」で物事の核心をつかむ
ここに、他社の買収を考えている経営者がいます。もし、傘下に収めようと思っている会社の全従業員が「辞めます」と言ったらどうなるか。会社には事業や技術、土地などの資産だけでなく「人」という最大の財産があります。これがすべてなくなってしまうと、買収する意味がなくなります。そう考えると、まず、従業員を後ろ向きな気持ちにさせないことが大切だと分かります。(中略)
このケースのように極端な考え方をすることで、物事の本質が見えてくることがあります。この手法は、後述するようにビジネスプランを提案する時にも役立ちます。ビジネスの基礎技術としてぜひ身につけてください。
【感想】
◆タイトル通り「耳の痛い話」が満載でした。特にアソシエの読者層である「20〜30代ビジネスパーソン」に向けたもの、ということなのか、若手に対する提言が多いこと。
上記ポイントの1番目のように「配属」に始まり、割愛した中にも「ロールモデル探しは時間のムダ」「『やり直せばいい』は甘え」「若手に葛藤などありえない」等々、第1章からエンジンフル回転です。
続く第2章も『成長に効く「ツボ」を押さえよう』というタイトル通り、やはり比較的若手向けのTIPSが中心。
実はこの1,2章の2つの章だけで、今回の記事が終わる所だったので、一部後半の章と差し替えております。
◆そして後半部分のキモとなっているのが、第5章の『仕事の「基礎体力」を鍛える』。
「基礎体力」というくらいですから、やはり若手向けのTIPSが並んでいます。
割愛した中でなるほど、と思ったのが、「会議の議題に優先順位をつける」というもので、そのためには「一歩引いて全体を俯瞰」せよ、とのこと。
コツは「一画面戻る」。
例えば「営業マンの育成方法」という議題であれば、「そもそもどういう営業マンを育成したいのか」というところに戻るワケです(詳細は本書を)。
◆また上記ポイントの5番目の「対極の筋力を鍛える」というのも、意識したいところ。
よく、「複数のスキルを身に付けよ」という話は聞きますが、意図的に「対極」のスキルにする、というのは目からウロコでした。
実際、小笹さんもリクルート入社後最初の2年間は、「気合と根性」で結果を出し続けたものの、「このままでは壁に突き当たる」と「有給&自腹」でロジカルシンキングの講座に通ったとのこと。
その結果「根性があるだけでなく、ロジカルでもあるんだな」と周りの評価も変わったそうです。
◆この濃厚な3つの章に比べると、真ん中の第3章&第4章は、当ブログ的には若干弱いかも。
それでも、普通の本に貼るくらいの量の付箋を貼っていますので、その点はご安心を。
思うに、普通の本であれば、多少薄いパートがあっても許されるところ、雑誌の連載だと1回1回で評価される分、手を抜きようがないのでは?
新入社員から中堅クラスまでのビジネスパーソンなら、一読の価値はあります。
「良薬口に苦し」を地で行く1冊!

なぜか評価されないあなたへ 心に刺さる耳の痛い話
第1章 働くための「心構え」を作り直そう
第2章 成長に効く「ツボ」を押さえよう
第3章 折れない心の作り方
第4章 「組織」とどう向き合うべきか
第5章 仕事の「基礎体力」を鍛える
第6章 「できる」と思わせる対人スキル
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【編集後記】
◆ちょっぴり気になっている本。
カネ遣いという教養 (新潮新書)
うーん、当ブログ的にはどうなのかと……。

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