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2013年10月26日

【資料術】『トップ1%の人が実践する「YES」を引き出す資料』永山嘉昭


トップ1%の人が実践する「YES」を引き出す資料
トップ1%の人が実践する「YES」を引き出す資料


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、資料本を多数執筆されている永山嘉昭さんの最新作。

そんな永山さんらしさを最大限に活かすべく、本書は文章と図表の両方の技術を取り上げたものとなっています。

アマゾンの内容紹介から。
わかりやすい資料と、そうではない資料にはどんな違いがあるのだろうか?ビジネスパーソンが作る資料を1万枚以上見てきた著者が、いい資料と悪い資料の実例を示しながら、「伝わる」資料を作るための技術を解説!

この1冊で、「資料作りならお任せ」となることウケアイかも!?




【ポイント】

■1.まず概要を示し、各論へ展開する
 最初に概要を示すという構成は、どんな文書にも当てはまる基本中の基本です。文書の内容によって、「概論」―「各論」―「まとめ」になったり「概論」―「各論」になったりします。
 この基本の構成は、連絡文書、報告書、企画書、提案書など、あらゆる文書に適用できます。


■2.段落を適切に設ける
 段落は、内容の小さなまとまりで文章を区切ったものです。一般に、段落は最初の文字を1字インデント(字下げ)して、段落であることが認識できるようにします。(中略)
 段落のくくり方は文の数で決めるわけではありませんが、あえて文の数でいえば1段落は2〜4文、多くても5文程度にすれば読みやすくなといえます。内容によっては、1段落が1文でできている場合もあります。


■3.「パラレリズム」を常に意識する
 複数の見出しや文章を記述するとき、表現や形式、内容の順序などが統一されていなければなりません。これらの統一を指してパラレリズムといい、パラレリズムにのっとった書き方をしているとか反しているとかいいます。(中略)
 たとえば、章によって構成が大きく異なるのは、パラレリズムに反します。章の初めに、概要を示すリード文が入ったり入らなかったりすることもよくあります。図表の扱いが章によって異なることもあります。このような問題があると、文書のわかりやすさにも大きな影響を及ぼします。


■4.漢字と平仮名を適切に使い分ける
漢字と平仮名の使い分けは、一般に次のような考え方で行います。
・漢字は、原則として常用漢字表の範囲内で使う。
・表意効果が高い用語(主に、名詞、動詞、形容詞)は漢字にする。
・補助的な用語(助詞、助動詞、接続詞、補助動詞、形式名詞、補助形容詞、接頭語など)は平仮名で書く。
 助詞の例:〜ほど、〜くらい、〜まで
 助動詞の例:〜のように、〜らしい
 接続詞の例:また、および、なお、すなわち、あるいは(中略)
・表意効果が高いと思われる副詞は漢字を使う。
 副詞の例:本当に、決して、必ず、次に、非常に、一般に、常に

 
■5.グレーを活用する
 グレーは、色味を持たない無彩色のため目立ちません。グレーのトーンを変えながら使うことで、色数を少なくすることもできます。グレーも色には違いないのですが、実際には黒、白、グレーの無彩色は色という認識はされないので、色数から除外することができます。


■6.棒グラフの基点の「0」を省略しない
棒グラフの縦軸の基点は、必ず「0」にしなければなりません。(中略)
 棒の変化が少ないときは、基点を「0」にしたまま基点の上部をカットして、増減の変化をわかりやすくする方法があります。水平方向に、全体に白線を入れればよいので簡単です。


■7.グラフでの予想は破線で示す
 次の図は、予測を示す棒が他の棒と同じ表現になっているため誤解を招きやすくなっています。年を見れば予測がわかるというものではありません。(中略)
 次の図は、予想の部分の色を変え線も破線に変えています。こうすれば、説明がなくてもその部分が予想であることが伝わります。
 さらに、文字を加えたほうがより確実です。内容によって、「見通し」「見込み」「目標」のように表現を変えます。


【感想】

◆自分で抜き出しておいてアレですが、今回のポイントについては、一部「本意でない」と言いますか。

とにかく本書は、文章にせよ図表にせよ、NG例とGOOD例を全て収録しています。

すると、たとえば上記ポイントの2番目で言えば、「段落が適切に設けられていない」例と「設けられている」例が、本書では両方とも登場しているということ。

同様にポイントの5番目では図表の、6,7番目ではグラフの、それぞれ「NG」と「GOOD」の例があるわけです。

……画像でも使わない限り、それらをここに載せることはできませぬー。

もっともそれ以前に、こうしてテキスト部分だけでも抜き出せるならまだいい方で、実際の具体例がないと、何の話かピンとこないものもちらほらありましたが、それらも当然割愛せざるを得ず。


◆また、他の章は2色刷りなのに対して、第3章の「表現・カラー編」だけは、キチンとカラー刷りとなっており、「色使い」についてもひと目で分かるようになっているのですが、それも表しようがありませんでした。

上記5番目の「グレー」の話は、まだイメージできますが、割愛した中にあった「色を一定のトーンでまとめる」と言ったTIPSは、実際に見てみないと、ホント分からないと思います。

ちなみにこれは、本書に収録された表と同じものを、ググって見つけてきたものなのですが。

トーン別の色相カラーチャート | 色カラー

たとえば、この表の中の「2 Bright tone」の中から色を選んで使う場合、他の色もこの同じ「2 Bright tone」から選ぶということ。

本書では、違うトーンからも選んだNG例が記載されている(「トーンが不ぞろい」)のですが、恐ろしく違和感がありました。

なお、このトーンをキチンと揃えれば、「4色以上使う」(原則は「3色以内」)場合でも「色数が多すぎる」という印象を抑える効果があるとのこと。


◆一方、今回本書を読んで新たに知ったのが、上記ポイントの3番目の「パラレリズム」という概念。

本書では、その問題を含んだNG例が掲載されているのですが、パッと見、何が問題なのかまったくわかりませんでした。

見出しもあるし、段落訳もしているし、箇条書きにもなっている、etc...

しかし、修正後のGOOD例を見ると、なるほど構成が統一されていなかったのだな、と(詳細は本書を)。

私自身、このブログはさておき(?)、本業で作成する文書では意識すべきだと感じました。


◆ところで、本書の「おわりに」には、著者の永山さんが本書で文章と図解の両方を取り上げたきっかけについて触れられています。

曰く、かつて永山さんが勤務していた会社で「文章派を自認している人」と「図解派を自認している人」がいて、あるときこの2人が、「どちらが優れているか」論争を始めたのだそう。

もちろん、こんな論争は無意味であり、お互いの長所を採用して資料を作れば良いだけのこと。

そして、文章と図解、双方に関する著作を数多く書かれてきた永山さんが、その「集大成」を目指したのが本書になるわけです。


文章と図解を、ともに使いこなすために!

トップ1%の人が実践する「YES」を引き出す資料
トップ1%の人が実践する「YES」を引き出す資料
第1章 構成編
第2章 文章編
第3章 表現・カラー編
第4章 図表編
第5章 総合編


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【編集後記】

◆昨日、リアル書店に漁りに行ったものの、未入荷だったのがこちら。

東大生の超勉強法
東大生の超勉強法

値段が値段だけにページ数も少ないのですが、気になっております。


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