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2013年10月21日

【オススメ】『ビジネスをつくる仕事』小林敬幸


ビジネスをつくる仕事 (講談社現代新書 2229)
ビジネスをつくる仕事 (講談社現代新書 2229)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事で取り上げた1冊。

タイトルはちょっと抽象的ですし、新書で装丁も地味ということで、正直それほど期待していなかったのですが、書店で最初の方を読んだだけで「こいつぁーすげー」と即買いしました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「ビジネスをつくる」仕事とは、起業や新規ビジネスの立ち上げ、だけではなく、新しい顧客の開拓、新しいシステムの開発・運用、新しい組織のつくりかた、プロジェクト立ち上げ、新規提携先との事業 などのすべてを含む。
いまのビジネスマンに必要な基本から実践を網羅。

ビジネスモデルや起業に興味のある方なら「マスト」です!




【ポイント】

■1.現場で見てアウトプットする
 新しいビジネスをつくるのにいちばん大切なのは、一言で言うと、よく見て、いろいろやることである。
 野球にたとえるなら、バットをよく振ることと、よく球を見ることである。素振りで振り、ネクストバッターズサークルで振り、バッターボックスでも振る。そして、人のプレーに野次を叫んだり、バッティング理論を暗記したりするよりも球をよく見ることが大事である。ましてや、監督のほうばかり見ていては、ボールにかすりもしない。さらに、球を見るのとバットを振るのを同時にしないと向上しない。大リーグの偉大なプレーを見てばかりいるよりも、街中のバッティングセンターで球をたくさん打つほうが上達する。


■2.「川の真ん中・船の端」を狙う
 どの業界、分野においても、独自の特殊な視点や商習慣があるものだ。長年その業界にいるとそれが当たり前になってしまうが、世の中全体から見ると、なんとも特殊で非合理的なものがある。そういうものを新しいビジネスの機会と捉える。その業界の中では、端っこだけれども、社会全体で見ると実は、むしろ真ん中にあるビジネスをやってみる。自分の周囲からは「変」に見られるが、外から見ると「普通」のものをする。たとえると、船の端っこだけれども、実は、その船が浮かぶ川の真ん中のような場所、つまり「川の真ん中・船の端」を狙うのである。


■3.社会のひずみを狙う
 新しいビジネスの一番有望なタネを得やすいのは、日頃自分が仕事をしていて気付いた社会のひずみを狙うものだ。規制、規制緩和、技術革新、情報の非対称性に伴う市場のゆがみにより不当に高い利益を享受しているかに見える業界・商品などがあれば、それを適正にもっていこうとする商売は、成り立ちやすい。社会の嫌な面を見たと思って目をそむけるよりもむしろ身を乗り出して調べたほうがいい。ビジネスをつくる人にとっては、社会のゆがみは、飯のタネである。この点は、へッジファンドも、紀伊国屋文左衛門も一緒だ。ライフネット生命も、生命保険市場のゆがみから生まれたともいえる。


■4.セクシーな企画書の書き方(抜粋)
●一文の平均文節数をできるだけ少なくする。修飾語をできるだけ使わない。
●情五分、利三分、理二分と心得る。
●みんなが飛ばし読みするであろう文章も、適切な量を入れておく。梱包材のようなものだ。たいした意味はないが、なくなると、大切な中心のものが危険にさらされ、壊れてしまう。
●結局、一言で言うと、「におうような文章」をよしとする。「かおるような名文」や「透明無臭で美しい論理」は、願い下げだ。


■5.さらに悪い事態に進むのを食い止める方法をあらかじめ準備しておく
 損失の最小化という点でいうと、どういうわけか、日本の社会は、水際防御に固執し、縦深防御が苦手である。かつての日本軍も原発も、困ったことが起こる手前で完璧に防ごうと全力を注ぐが、一度そこを破られると、抵抗する手立てを準備していない。(中略)
 想定を超える悪い事態が起こっても、さらに悪い事態に進むのを食い止める方法を、あらかじめ準備しておくということが大切だと思う。潔く散る美しい作戦よりも、奥行の深い泥臭い作戦のほうが、現実にはより有益だ。これもまた、想定を超える偶発災害のダメージを最小化するという点で、偶然を取り込む1つの発想と言えるだろう。


■6.お金を得るところと、客を集めるところを見誤らない
集客装置は、それこそお客を集めるために積極的に目立つようにしているので、ビジネスをその集客装置だけで分類しがちだ。一方で集金装置は、目立たぬようにしずしずと動いているので、気がつきにくい。だからと言って集金装置を見なくては、ビジネスの表面を見ているだけだ。
 多くのビジネスでは、集金と集客は別であり、いいビジネスは、それがうまく組み合わされている。実際、人は集まるけれど儲からないビジネスというのもよく起こる。


■7.成長率が低い業界でもビジネスの可能性はある
「規模が違うと全く別のビジネスである」という視点からいうと、業界全体の成長率が低いからといって、そのビジネスの可能性をすぐに否定するのは間違っている。
 業界の80%のシェアを持っている会社なら、毎年10%ずつ縮小している業界規模の影響をもろに受けるだろう。しかし、数%程度滅少している業界で、シェアが40%に満たない事業者が、自らの不調を業界規模の縮小のせいにするのはおかしい。


【感想】

◆ひたすら面白い本でした。

単に「面白い」というと抽象的ですが、本書の「おわりに」で著者の小林さん曰く「居酒屋でうけたネタを優先的に入れた」とのこと。

つまり、内容というかネタ的に「ウケる」要素があったわけです。

『アイデアのちから』でいうところの「粘り」があったと言うことかと。

そりゃ、付箋だって貼りまくります罠……。


◆また、小林さんの特長として、比喩がお上手というのも挙げられます。

例えば、上記ポイントの2番目の「川の真ん中・船の端」という表現はかなり秀逸。

他にも囲碁も戦略を援用した「『厚み』戦略」という表現も腑に落ちました。

さすがに「ホンイツ戦略」「メンタンピン戦略」というクダリは、いかがなものかと思いましたがw


◆本書には他にもこうした「キラー・フレーズ」が多々。

割愛した中からいくつか拾ってみると……

●失敗の隣に成功がある/「成功の隣に成功はない

●起業しない勇気と、起業する勇気を同時にしかも強く持つ

●現実の認識はアナログに、現実の行動はデジタルに

●別れの理由は、出会いのときに気付いているもの
etc etc……

申し訳ございませんが、詳細は本書にてご確認を。


◆本書は、冒頭の「未読本・気になる本」の記事で取り上げた時点で在庫切れでしたが、それも大いに納得。

新書で出しちゃうのがもったいない位の充実ぶりに、思わず付箋を貼りまくりました(画像は割愛しますが)。

上記ポイントの4番目や、すぐ上の「別れの理由」のほか、なぜかやたらと恋愛ネタと絡めているのも、個人的に評価高しw

起業を目指す人だけでなく、多くのビジネスパーソンが読んでおくべき1冊だと思います。


これは、オススメせざるを得ません!

ビジネスをつくる仕事 (講談社現代新書 2229)
ビジネスをつくる仕事 (講談社現代新書 2229)
第1部 基礎編
 第1章 心──ビジネスをつくる喜び
 第2章 姿勢──よく見て、どこでもやる
 第3章 手順──育ち方を見る
第2部 応用編
 第4章 運──機会を見て、偶然を取り込む
 第5章 お金──お金の流れを見て位置取りする
 第6章 お客──お客を見て、価値を提供する
第3部 実践編
 第7章 人──人を見て組織を動かす
 第8章 時──時代を見て、時代を超える


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【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

カネ遣いという教養 (新潮新書)
カネ遣いという教養 (新潮新書)

アマゾンの内容紹介によると、道楽に「億単位」のお金をつかったのだとか(スゲーw)!?


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「ビジネスをつくる仕事」書評【らくちんのつれづれ暮らし】at 2013年11月10日 20:56