2013年10月20日
【仕事術】『考えながら走る―グローバル・キャリアを磨く「五つの力」―』秋山ゆかり
考えながら走る―グローバル・キャリアを磨く「五つの力」― (ハヤカワ・ノンフィクション)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「元祖ミリオネーゼ」秋山ゆかりさんの仕事術本。私も名前だけは存じておりましたが、女性とは思えない(いい意味でw)キャリアと働き方には圧倒されました。
アマゾンの内容紹介から。
日本人女性で唯一、なぜ、IBM全社員400万人の中から40人しか選ばれないリーダーになれたのか?失敗、挫折、自信喪失―何があっても自分を見つめ、地道な努力の積み重ねが、世界級キャリアへの道。日本でも、海外でも、企業内で昇進を目指す場合でも、転職でも、独立でも、どこでも通用する力の身に付け方を紹介。
タイトルにある「5つの力」の内訳は、アマゾンの方に記載されていますが、今回はそれにこだわらず、私たちが実践できそうなTIPSを選んでみました!
【ポイント】
■1.メールの返信をわざと遅らせて余裕を作るメールのレスポンスを微妙に遅らせていくことからスタート。重要なものだけキーワード設定しておき、そのキーワードが入ったメールをフォルダーに振り分けます。フォルダーにメールが入ると、アラームが鳴るようにしておき、そのメールだけは速攻返答。それ以外のメールは、2時間以内に返答せずに、3時間で返答する。3時問を今度は4時間にしてみる。
そうやって徐々に返答時間を延ばしていくと、返事が遅いので、急ぎのものは電話がかかってくる。急ぎでなければメールが来ない。
ちょっと出世街道からは降りるけれど、大幅に降りるわけではない。そして、会社に縛られない状態を創り出すことで、余裕を作りました。
■2.自分の異動先は「創ってもらう」
たとえば、私が経営企画部を創ってもらいたいと思ったときには、設立の1年以上前から、全社予算のたたき台となるテンプレートを作成し、配布し始めました。
もちろん上司の許可を取り、自分の部門の仕事をスムーズにするために、自分たちがテンプレートを作ろうと働きかけたのです。本来であれば、経営企画部が取りまとめをするであろう役割を、自分の部門に取り込みました。そうすることで、「こいつには経営企画部の仕事を任せられる」と思ってもらえる機会を作っていったのです。
■3.語学を学ぶ際にしなければいけない3つのこと
今ままでの語学習得でうまくいった方法の棚卸しと、複数言語を自由に操る友人たちにインタビューを実施し、「最も確実に勉強する方法」を割り出しました。
語学を学ぶときにしなければいけないポイントは3つ。(1)言語構造(詳細は本書を)
文型をべースに、言語構造を理解し、例文の文章を暗記する
(2)単語力
高頻出単語を徹底的に覚える
マイナー単語は、「いずれ覚えればいいや」と割り切る
(3)外国語理解の「自動化」
日本語に翻訳しなくても、外国語の処理ができるようになる能力を磨く
■4.通勤の電車内ではMP3でのシャドーイングを
混んでいる時間は、場所を取らないことしかできないのですが、語学の単語を覚える等の暗記モノ、MP3でのシャドーイングなどをします。
シャドーイングによく使うのは、映画や海外ドラマや著名リーダーのスピーチです。ビジネスに使いたいのか、会話力をアップしたいのかによって、素材を変えています。(中略)
シャドーイングをするときは、マスクをつけるのを忘れずに! 独り言をブツブツ言っている頭の変な人だと思われない、一工夫です。
■5.部屋を掃除して、心の余裕を作る
忙しさや、時間のなさを言い訳にしていると、どんどん部屋が汚れるだけでなく、心にも余裕がなくなってしまいます。その結果、いい仕事ができなくなり、効率的に時間が使えないため、ますます時間が取られ、さらに忙しくなってしまう。そんな悪循環にはまるのです。
それを物理的にまずは断ち切り、自分の心の余裕を作り出す。それが、私にとっての部屋を片付けるという作業。
ここを片付けると決めたら、黙々と片付ける。いらないものはどんどん処分する。終わったプロジェクト関連の紙は、シュレッダーにかけていく。
■6.仕事を頼まれたら、アウトプット・イメージをまず作る
仕事を頼まれたその日に、まず、アウトプット・イメージを作ります。イメージですから、細かく中身が分かっていなくても構いません。
たとえば、お客様への調査報告書を作成する仕事を頼まれた場合、ワードで作るのか、パワーポイントで作るのか、どういう項目が必要なのかは、仕事を頼まれた際に聞くことでしょう。しかし、それ以上細かく聞いていないケースも多いと思います。
そこで、席に戻ったらすぐに、手書きで、こういう感じのアウトプットだと、1ページごとに、入れる項目だけでなく、どういう内容を入れなくてはいけないか、どういう表や分析を入れるのかを書きだします。分析は、縦軸・横軸まで決めてしまうのです。
そして、そのアウトプット・イメージが出来たタイミングで、再度上司に内容を見てもらいます。これによって、上司が考えているものと違うと言われることが激減しました。
■7.キャリアのストーリーを作る
今までに1000人以上の採用に関わってきましたが、即決で採用する人材に共通しているのが、「自分のキャリアのストーリーを持っていること」。
自分のキャリアを1つの物語として語り、そこにどんな意味があり、そこから何を学んだのか、そしてこれからどうしていきたいのかが、明確になっていることです。
特に大切なことは、成功したことだけでなく、修羅場をどう乗り越えたのか、それが自分のキャリアにどう影響し、今の自分を作り上げてきたのか、です。
【感想】
◆以上、冒頭で申しあげたように、今回は、ひたすらTIPSだけを抽出してみました。もちろん、これらはこれらで有益ですし、必要なもの、ないしは取り入れられるものを実践すればよいのですが、ここに至るまでの秋山さんの歩みが、実は非常に興味深いものでして。
例えば、石倉洋子さんの『グローバルキャリア〜ユニークな自分の見つけ方』に秋山さんが登場しているのですが、そこで紹介されているのが、その「華麗なる転職の軌跡」。
「インテル→ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)→SAPジャパン→GE→日本IBM」と、錚々たる名前が並びます。
グローバルキャリア ―ユニークな自分のみつけ方
◆そう書くと、さぞ「エリートな人」だと思われそうですが、これがまた、新卒時から波乱万丈。
理系の奈良先端科学技術大学院大学を卒業した際には、200社以上に入社説明会応募のはがきを出すものの、呼んでもらえたのは1社だけだったのだそう。
そこで学生でありながら、「エンジニアの中途採用試験を受ける」という荒業を使って、見事ゴールデンウィーク明けの時点で、インテルの正社員のポジションを獲得します。
ところが学生結婚していた旦那さんと離婚したことにより生活が急直下。
その数ヵ月後、会社の先輩とトラブルが起きたこともあって、退職を勧められてしまうという……。
その後も契約社員であるにもかかわらず、月400時間以上働き、部長職まで登りつめた某会社では、派閥争い(?)のため追い出されたりと、まるでテレビドラマのような展開が。
こういったお話は、本書に収録されたTIPSとは直接関係ないので詳細は割愛しますが、気になる方は、本書の序章にてご確認を。
◆一方で秋山さんは、歌の世界でもその力が認められています。
イタリアへ声楽留学し、国内外でコンサート活動をしてらっしゃる、というので、YouTubeで検索かけたら、こんな動画が。
……これ、初っ端にお歌いになってるの、秋山さんですよ(字幕で確認済み)。
こんなに歌える会社の部長がいたら、ビビルわww
◆そもそも、ディスカヴァーの干場社長が秋山さんに目を付けて出されたのが、下記の本でした。
ミリオネーゼの仕事術〈入門〉―8ケタ稼ぐ女性が実践している4つのビジネススキル
その過程で見出されたのが、勝間和代さんだと、どこかで読んだ記憶が(違ってたらスイマセン)。
本書は、この本の続編的な位置づけであり、20〜30代の会社員の方に向けて書かれたものであるとのこと。
女性でありながら、常時1000万円超プレーヤーだった秋山さんが実践してきたワケですから、本書のTIPSも、その効果が期待できそうです(個人的には、上記ポイントの1番目のメールテクニックは結構「目からウロコ」でした)。
会社で活躍したい方は、要チェックで!
考えながら走る―グローバル・キャリアを磨く「五つの力」― (ハヤカワ・ノンフィクション)
序章:私のキャリア奮闘の軌跡
第一章:選択肢を生み出す力
第二章:成果が出る勉強力
第三章:危機からリカバる力
第四章:結果が出せる現場力
第五章:未来を創る進化力
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【編集後記】
◆昨日ご紹介できなかった、気になる本を。起業家のように企業で働く
うーん、面白そう……。
ご声援ありがとうございました!
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