2013年10月15日
【働き方】『会社の「仕組み」を知っている人だけが、上手くいく』楠木 新
会社の「仕組み」を知っている人だけが、上手くいく ~入社3年目から絶対知るべき人事・評価・人間関係の基本~
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、『人事部は見ている。』で知られる、楠木 新さんの最新刊。ちょっと地味めな装丁が、本田直之さんの『面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則』に似てるなー、と思ったら、同じ大和書房さんでしたw
現時点で、アマゾンにも版元サイトにも情報がないので、本書の帯から一部引用。
「努力は自分には返ってこない」「自己実現は目指せない」「取り換え可能な自分が求められる」「無駄な付き合いが多すぎる」「やりたい仕事ができない」「ちゃんと評価してもらえない」
それでも、会社にしがみつけ!
就職、転職、出世等に関心のある方なら、一読の価値アリです!
【ポイント】
■1.個性的な人が採用されるわけではないかつて人事部の採用担当者だった私の経験から言うと、スティーブ・ジョブズが面接にやって来ても会社は採用できません。
なぜなら、突出した器量や個性を持つ人は、採用担当者の能力を超えているため採用の可否が判断できないからです。(中略)
以前、私鉄の人事課長に話を聞く機会がありました。彼は社員に対して求めることについてこう語っていました。
「鉄道会社は、安全運行第一。電車は、分単位で運行するシステムですから、このシステムをきちんと運営できる人材でなければなりません」
この会社は個性豊かで突出した才能のある人よりも、時間通りにダイヤを運行することに貢献できる人材を求めているのです。
■2.資格やMBAより「人のツテ」
かりにリストラだ、倒産だという憂き目に遭った時、資格やMBAを取得していても、いきなり独立して仕事に結びつくかというと難しいと思います。
それよりも仕事を通して培ってきた会社の先輩や同僚、あるいは、学生時代からの友人、知人の人脈、または一緒に暮らしている家族との関係が自分を救ってくれる確率が高いのです。人のツテほど強力なセーフティネットはありません。
■3.会社は「一緒に働く仲間」を探している
会社は、社員の採用面接の時からメンバーシップを重視しています。
会社のメンバーとしてふさわしい人かどうか、年代や価値観の異なる上司や同僚、顧客とうまくやっていける人かどうかをチェックして合否を判定しています。
「なかなか面接に通らない」という人の多くは、このメンバーシップのことが念頭にありません。
私は人事部に所属して採用担当を務めたことがあります。面接に訪れる学生と話していると、自分の能力の高さをアピールしたりどれだけ努力してきたのかを主張する人が非常に多いのです。
■4.スキルアップが評価されるとは限らない
自分に関心のあることを学び、会社の仕事にも結びつけようとする姿勢は、立派で頭の下がる思いです。個人的にも応援しています。
しかし、そういう努力が会社の評価に直結するとか、その後のキャリアに結びつくとか考えてしまうと見間違ってしまう恐れがあります。(中略)
例えば、ロジカルシンキングを学ぶことは、個人としては十分に意味があると思いますが、上司である課長がロジカルでないケースは少なくありません。ロジカルじゃない上司に、いくらロジカルに話しても暖簾に腕押し。そういう上司の下で働いている以上、評価に結びつくことはありません。
■5.会社は「誰でもできること」をベースに仕事を設計している
もしあなたが突然病気で会社を休んだとしても、誰かがマニュアルを参照したり先輩に教わればなんとか代打を務めることができるようにしておかなければ、仕事は回っていきません。特別な才能のある人に頼らなければならない状態というのは、会社の本来の姿ではないのです。(中略)
取り替え可能と言うと、「誰がやってもできる仕事なんてやりたくない」と言う人がいます。間違えてはいけないのは、誰がやってもできる仕事=どうでもいい仕事ではないのです。むしろ、取り替え可能なように周囲とうまく連携していくこと(協働)にポイントがあるのです。
■6.出世には上司の「ヒキ」が重要
誰だってその人となりを十分に知らない人物を「ヒキ」上げることはできません。その点、「同じ職場に在籍していた」「かつて一緒に働いたことがある」部下で、気心が知れている社員を手元に置きたいのは自然の感情と言えます。
また、自らがマネジメントを行う際に、自分の意図を汲んで動いてくれる部下がいるのは心強いのです。
こうして考えていくと、組織パワーのある部署に所属しているかどうか、会社の中で出世する人と出会い、知り合う機会があるかどうかは、「ヒキ」にとって大きな要素になると言えます。
【感想】
◆冒頭の内容紹介は、当ブログで今までご紹介してきた自己啓発書の内容を「ちゃぶ台返し」しているというか、ビジネス書を読むこと自体を否定しているかのようなw実際、リアル書店で本書の帯を見た時は「オイオイオイw」と思いました。
ただ、楠木さんの著作は、過去2冊読んで、いずれもハズレではなかったので、本書も購入。
これらの提言のベースにあるのは、「メンバーシップ契約」というものにあることが分かりました。
◆この「メンバーシップ契約」とは、簡単に言うと、会社との「雇用契約」以外にある「会社の仲間として一緒に働く」という暗黙のルールのこと。
わかりやすいものとしては、アフターファイブに上司のお酒に付き合うですとか、課内行事の歓迎会や送別会といったところであり、詳しくは本書の第2章、第3章に記されています。
つまり、個人でどんなに秀でた能力を兼ね備えていても、周りと協力し合って働く(これを「協働」と言うそう)ことができないとダメ。
また、例えば「上司が残業していると定時で帰りにくい」というのも、この「メンバーシップ契約」によるものです。
となると、逆に「自分の仕事が終わったらとっとと帰る」ことは、この「契約」に反しているような。
少なくとも、そういう働き方で数字を挙げることはできても、出世できるかと言ったら微妙ではないでしょうか?
……もっとも、このメンバーシップ契約の考え方は、外資系をはじめ、該当しない会社もあるので、その点はご留意を。
◆ところで、本書を読んで思いだしたのが、自分の大学のゼミのゼミ生選考の時のこと。
ウチのゼミでは、代々、4年生のゼミ生(15名ほど)が全員で、新たにゼミに入る3年生を面接して選んでいました。
その際、弁論部に所属するキレ者そうな(成績も優秀でした)学生が受けに来ていて、私は彼を推したのですが、周りの多くのゼミ生に却下されたというw
彼ら曰く「ハナにつく」。
事実私も、そのゼミに入る際、同じ付属高校出身の優秀な学生(ほぼ全優w)と一騎打ちだった(同じ高校から2人は取らないため)のですが、「愛嬌があったため受かった」と後から先輩に聞きました。
落ちた彼には申し訳ないのですが、組織や会社も、同じようなものなのだな、と。
◆なお、特に「出世」に関心のある方は、本書の第4章をご覧頂きたく。
課長未満の場合、それ以上の場合、さらには「出世ルートの発見の仕方」等々が指南されています。
詳細については、ここでは割愛しますが、「具体的な基準」の判別方法については、「目からウロコ」でした。
私が今もし会社員だったら、これは絶対やってみたハズw
会社生活を充実させるために!
会社の「仕組み」を知っている人だけが、上手くいく ~入社3年目から絶対知るべき人事・評価・人間関係の基本~
はじめに――今の会社ではダメですか?
第1章 サラリーマンにありがちな、勘違いの仕組み
第2章 雇用契約にはないメンバーシップの仕組み
第3章 メンバーシップを築く働き方の仕組み
第4章 やっぱり気になる人事評価、異動、出世の仕組み
第5章 組織からの自立の仕組み
おわりに――給料以外に得られるもの
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【編集後記】
◆あの(?)『ネガポ辞典』に続編が!?ネガポ辞典 実践編―ネガティブな言葉をポジティブに変換
当ブログでもニーズがありますでしょうかw?
ご声援ありがとうございました!
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