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2013年10月04日

【成長法則】『勝負論 ウメハラの流儀』梅原大吾


勝負論 ウメハラの流儀 (小学館新書)
勝負論 ウメハラの流儀 (小学館新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「プロ・ゲーマー」梅原大吾さんの自己啓発本。

前作にあたる『勝ち続ける意志力』は、私が読む前に土井英司さんにメルマガで激賞されたため、戦意喪失したのはヒミツです(言いまくりw)。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「勝ち続けることと単発の勝ちはどう違うのか」 「どうして僕は勝ち続けられるのか。そして読者がそれぞれの世界で勝ち続けるにはどうすればいいのか」。
日々成長を続け、変化し続けることで「勝ち続ける自分」を築き上げてきた「世界のウメハラ」。本書には、前作『勝ち続ける意志力』刊行後も成長を続け、さらにブラッシュアップされた著者の「実践的勝負哲学」が凝縮されている。

目先の結果うんぬんではなく、長期的な成長を目指す方にこそ読んで頂きたい1冊です!


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【ポイント】

■1.成長することに基準をおく
 あるゲームに僕が負けたとする。それは文字通り「負け」だし、僕も「ああ、負けてしまった」と思う。失敗やへマをすることもある。
 でも、そのことによって僕が「勝ち続けていること」が終わったとはまったく思わない。その基準は、自分が変化しているかどうか、つまり、成長しているかどうかだからだ。
 あるゲームに負け、反省をし、自分の中に良い変化、つまり成長があれば、それは勝ち続けられている状態にある。反対に、負けたことで腐り、ふてくされたり、たまたま運が味方して勝ったことで浮かれ、そこから何も受け取らずに成長しなかったりすれば、変化がない以上「負け」なのだ。


■2.効率を最優先しない
 基礎固めの段階こそ、たとえ最初のうちはボロボロに負けようと、人から笑われようと、納得できるまでじっくり時間をかけて回り道して考え、あえて定石やセオリーとされるものを疑い、時には崩してみる。自分で体験し、体験を通して学んでみる。そして、セオリーの意味を自分で再発見する。(中略)
僕のような不器用な人間はもともとこうするしかなかったけれど、なまじ才能を持っていたばかりに基礎をあっという間にスルーしてしまい、後で自分を見失っていった人を、僕はたくさん見てきた。


■3.基礎を習得するには、いったん分解する
 ゲームだとわかりにくいから、バスケットボールでのドリブルからシュートの流れを例にしてみよう。ドリブルをしながら敵をすり抜け、踏み切ってジャンプしてシュートを放ち、点を取る。この一連の動作ができないという状況において、できない人ほど一連の動作として練習してしまう。
 僕なら、すべてをいったん分解する。ドリブル。ドリブルしながらの敵のかわし方。踏み切りのタイミングや体勢。ジャンプ力。シュートの正確さ。
 こうして、複雑に見える一連の動作を一度分解するのだ。


■4.個性を出そうとしない
 僕の見てきた経験からは、早いうちから個性を出したがる人ほど、成長が遅くなってしまう傾向があるように思う。何を隠そう、僕自身も初めはそうだった。
 自分の経験からいえば、基礎を固めているとは、基本的にぶれてはいけないことを意味する。もちろんいちいち基礎の基礎たることを疑うことが大切なのだが、それと自分の個性を出すことは大きく違う。
 個性を発揮できるのは、あくまでレべルの高い、広い世界に出た後の話だ。それまでは、自分自身でぶれない基礎をつかみ取る、地味な作業を頑張る必要がある。


■5.小さな変化を記録する
 僕は、自分自身が成長し続けることと同時に、成長し続けている事実を自分で把握することも大切な能力だと考えている。特に、レべルが上がってくれば来るほど重要度が増す。同じレべルかそれ以上のライバルにしかわからないし、彼らは普通励ましてくれたりはしない。だから自分でしっかリモニターをすることが大切になる。
 そのために大切なのは、実は普段から小さな変化を見逃さないようにする観察力。そしてそれを記録にとどめることだ。(中略)
 僕は、少しでも変化を感じたら、見逃さずにその場ですべてメモに残すようにしている。携帯を取り出して、メモ帳に記録していくのだ。


■6.幸運で勝ってもおごらない
 人間は不思議で、不運で負けた時には比較的運を意識しやすいのに対して、幸運に恵まれて勝ったときは、自分の実力だと過信しやすい。(中略)
 だから僕は、勝った時、特に幸運で勝利を手に入れた時ほど、意識して自分を戒める。自分の実力で勝ったと思い込んでいる要素も、実は運が向いただけなのではないかという視点で検証する。おごりを抑え、本当は反省しなければいけない要素を見逃さず、確実に成長につなげていくためのテクニックだ。


■7.成長のためには孤独を恐れない
 群れていることそのものには、成長の持続、勝ち続けることに対しての価値がない。その場の安心はむしろ成長を鈍化させ、しまいには成長することをためらわせる。
 仲間の中でひとりだけ成長すれば、もう仲間ではいられないからだ。その恐怖を感じるからこそ、孤独を恐れると自分で成長することをやめてしまうのだ。
 その場の孤独を埋めるために群れるか、自分の成長の持続を大切にするか。この2つの選択肢は、同時には満たせない。だから孤独と感じていることは、成長している限り正しい。同時に、ある集団で仲間で居続けることを優先し、成長をやめることは、結局全員揃ってゆるやかに自分たちの価値を落とし続けていることにほかならない。


【感想】

◆今回、梅原さんのご本を初めて読みましたが、「ゲーマー」というイメージからは、かなりかけ離れた印象を受けました。

しいて言うなら囲碁や将棋のトップの方のような感じ。

私が著作を読んだ中では、将棋の羽生善治さんに近いような。

直感力 (PHP新書)
直感力 (PHP新書)

参考記事:【棋士の思考法?】『直感力』羽生善治:マインドマップ的読書感想文(2012年11月07日)

ググったら、比較されてる人もいらしゃいましたww

ウメハラ vs 羽生善治 10本勝負 | FMいまりの憂鬱


◆それにしても、この梅原さん、自分なりの「哲学」を確立されているのがスゴイと思ったら、実は子供の頃から自分の考えを「言語化」されていたそう。

というのも、野球やサッカーのスターには多くの人が興味を持ち、マスコミが取材に来るのに対して、ゲーマーである自分がそうではないことに憤りを感じ、何とかしようとしていたから。

ただ、目の前の敵を倒すだけでは不十分だと悟った梅原さんは、「いつか自分が高校球児のようにインタビューされたら、自分のプレーや練習方法、そこにかける思いをどう答えるか」をいつも頭の中で考えていたのだとか。

「自分の感じたこと、考えたことを日常生活に置き換える作業を、人知れず繰り返していた」というのですから、前作が広い層に受け入れられたのも納得です。


◆本書でも、例えば「練習における最適な負荷の設定条件」として、「意識すればできるが、意識しないとできないこと」と言われているのですが、これだけではあまりピンときません。

そこで挙げられている例が、「左手の中指と薬指をピッタリくっつけながらテレビを見る」というもの。

これぞまさに「意識すればできるが、意識しないとできないこと」であり、ちょっと意識がほかにいってしまうと、確かに指はあっという間に離れてしまいます。

なるほど、確かに「日常生活」に置き換えられていますよね。

上記ポイントの3番目のバスケットボールの例もそうですが、このように「ゲーム好きだけが楽しめる」のではなく、幅広い層に受け入れられる仕様になっているわけです。


◆私自身、前作を読むのを躊躇したように、一般的なビジネス書をお読みの方にとって本書は、まず「著者を知らない」、さらに著者の肩書きが「格闘技ゲームの達人」、ということで、食指は伸びにくいタイプかもしれません。

ただ逆に、著者が誰かを知らずに上記ポイントだけ読んだら、「何かしらを成し遂げた人の本」として、きっとすんなり受け入れられるはず。

また、本書はタイトルこそ「勝負論」ではありますが、私が記事の最初に付けたように、むしろ「成長」がテーマになっているかと。

そういう意味では、普通に自己啓発書がお好きな方にとっては、きっと気に入っていただけると思います。


「前作を土井さんが激賞したのも納得」の1冊!

勝負論 ウメハラの流儀 (小学館新書)
勝負論 ウメハラの流儀 (小学館新書)
第1章 なぜ勝ち続けることが大切なのか?
第2章 勝ち続ける自分を設定する
第3章 勝ち続ける基礎を固める
第4章 勝ち続ける知識と思考
第5章 勝ち続けるメンタルの構築法


【関連記事】

【棋士の思考法?】『直感力』羽生善治:マインドマップ的読書感想文(2012年11月07日)

【スゴ本!】『やってのける 〜意志力を使わずに自分を動かす〜』ハイディ・グラント・ハルバーソン(2013年09月24日)

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【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)

一流職人もびっくり 驚愕の『究極の鍛錬』(2012年06月13日)

これは凄い!『上達の技術』を便利にする7つのツール(2011年04月24日)


【編集後記】

◆というわけで、今さらながら、その梅原さんの前作を。

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)
勝ち続ける意志力 (小学館101新書)

アマゾンで見ても評価が高いですし、中古でもほとんど値崩れしていないという。

というか、トップレビューが酒井 穣さんなんですがw


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この記事へのコメント
               
梅村さんになってて笑ってしまった。

Posted by az at 2013年10月04日 11:44
               
>azさん

ご指摘ありがとうございます!
さっそく修正させて頂きました。
ありがとうございました!

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2013年10月04日 11:58
               
背水の逆転劇、ウメハラの奇跡、ゴッズでのモチダルシム戦は必見ですね

Posted by ときど at 2013年10月04日 22:36
               
“ゲーム”という誘惑要素の多そうなジャンルで、結果よりも成長にこだわっている姿には脱帽です!

Posted by ask at 2013年10月05日 20:11
               
>ときどさん

レス遅くなって申し訳ございません(汗)。
コメントにあったもの、何1つ知らないのですが〜(汗)。まったくもって面目ございません(涙)。


>askさん

ご紹介ありがとうございました。
私自身は「ゲームプレイヤー」ということで、梅原さんにちょっと偏見があったのですが、またくもって誤りでした。
勉強になりました!

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2013年10月06日 00:34