2013年09月27日
【勉強法】『速読暗記勉強法』牛山恭範

速読暗記勉強法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、当ブログでは何度か著作を取り上げたことのある牛山恭範さんの最新作。今回のテーマは「速読による勉強法」ということで、受験に向けたかなり実戦的な内容となっております。
アマゾンの内容紹介から。
速読なのに理解できるし記憶に残る!「暗記速読」と「理解速読」で、考える力もアップする。難関資格、難関大学合格へ導く実践的な方法を紹介。
勉強本マニアなら読まずにはおられない1冊です!

【ポイント】
■1.破(やぶ)リーディングでファイリング私は本を読んだら、カッターで切り取り、自分にとって重要なページをクリアフォルダに保管します。雑誌やメモも同じです。必要な部分がすぐ目につくように赤ぺンで丸印をしておくといいでしょう。人間は必ず忘れるからです。
そして、そうやってたまっていったファイルを1日に最低1冊は復習します。復習にかかる時間は、せいぜい1分から3分程度です。
■2.より多く記憶した人が合格する
スキルアップのコンサルタントとして、司法試験も含む難関試験受験生をサポートするのが私の仕事ですが、多くのケースで、受験をリアルに脳内の活動成果としてとらえる人は少なく、授業がいいかどうか、なんとなくいいかどうかを基準に学習支援のサービスを選びます。ところが受験のポイントは、いい授業を受けたかどうかではなく、どれだけあなたが頭の中に記憶をつくったかなのです。記憶量が多ければ合格できるし、記憶量が少なければ合格できないだけです。ここを間違わないようにしましょう。
■3.情報機器を活用する
最新のスマートフォンやiPadで、本章の冒頭で紹介した「構造ノート」(無料のクラウドノート)を使えば、頭に記憶を残しやすくすることができます。情報機器は学習の強い味方です。
ポケットにいつも入れているスマートフォンで、移動中のすき間時間を利用して学習することが可能です。「記憶は回数で決まる」と先ほど説明しましたが、移動中のすき間時間を使えば、特に意識せずとも、学習した内容をサクサク復習することができます。
方法よりも、実行率が重要です。方法は非力です。記憶に残るかどうかはあなたの記憶への接触回数で決まるからです。これは脳科学的にわかっていることです。したがって、スマートフォンやタブレットPCでの勉強がきわめて有効なのです。あらゆる場所でノートをサッと見直しましょう。記憶に定着しやすくなります。
■4.最低5回は復習する
読んだ内容を記憶しておくには、復習が大切です。復習といっても、学校でやった勉強の復習のように行なう必要はありません。該当箇所をサラッと一瞬だけ読めばいいのです。
通常、長期的に何かを記憶しておくためには、最低5回の繰り返しが必要だと言われています。少なくとも5回は復習しましょう。もし、通常の速読で5回復習しようと思えば、5回全文を読まなければなりませんが、全文を読むのは非効率です。暗記速読はこのように、繰り返しの復習を仕組み化して、定期的に行なっていくときに威力を発揮します。
■5.文章を階層構造で抜きだす
文章を階層構造で抜き出すとなぜわかりやすくなるのでしょうか? それは、論文のインデントと同じです。一段下げることで論理構造が明白になり、パッと見た瞬間に、大項目が何で何個あるのかがわかります。大項目がわかると、後の細かい項目は重要ではないのか、重要なのかもわかるので、ほとんどの場合、全体を一瞬で確認できてしまうのです。
いつも細かい事項まで復習する必要はないので、ササッと目を通すだけで、1ぺージの内容を把握することが可能です。
■6.どのような意味のつながりがあるかを理解する
いままでの文脈から、次の文脈へと、どのような意味のつながりがあるのかを理解することの連続が「読書の理解」です。
この文脈のつながりを理解する作業では、たった1つのつながりしか見出すことができない人は、深い理解を得ることができません。「いま読んでいる部分は、単に直前の文脈とつながっている」と思ってしまうと、迷子になります。全体像という地図がないためです。(中略)
いま自分が読んでいる部分が、どこの太い道につながっているのかを明確に意識しながら読書をすると、一気に理解力が向上します。
■7.意識の20〜30%を傾けるつもりで速読をする
具体的には、文章のキーになる言葉を押えて、その言葉を中心に内容を理解するようにザッと周辺の文字群を眺めます。そうやって、そのキーワードの意味が文脈の中でどのような位置づけなのか、どのような文章構成、論理構成になっているのかを把握するように読んでいくのですが、文章構成や論理構成、キーワードの意味を考えすぎたり、文章を音読していくと読むのが遅くなりますので、これらについては意識を傾けつつも意識を希薄にしながら、読んでいくことが大事になります。
文章の速読的処理(右脳的処理)に約70%、左脳を働かせるのが約30%という感覚です。
【感想】
◆本書のキモは、冒頭の内容紹介にも出てきた「暗記速読」と「理解速読」の2つになります。ただし、その前提として、通常の速読ができることが必要。
というワケで、まずは通常の速読の解説とそのトレーニング法について、第4章が丸々費やされています。
「識幅拡大トレーニング」や「上下読みトレーニング」等々、速読本ではお馴染みのトレーニングが登場。
この辺は、マスター済みの方は、軽く読み飛ばして問題ないかと。
◆そして第5章で登場するのが「暗記速読」。
今までも速読を活用した勉強本が何冊か出ていますが、基本的には、「速読することによって、同じ時間における読む回数を増やす」「繰り返し読むことで覚える」ことがベースとなっています。
典型的なのがこちらですね。

速読勉強術 (PHP文庫)
参考記事(単行本ですが):「速読勉強術」宇都出雅巳(2007年02月03日)
上記ポイントの4番目でも指摘しているように、最低5回は復習する必要がある、と。
◆ただし、本書の特徴と言えるのが、ポイントの5番目の「階層化」。
文章を階層構造にすることによって、暗記を促進する、というワケです。
その際活用すべきなのが、無料で使えるクラウドノートである「構造ノート」。
テレビで取り上げられた際の動画がこちらになります。
……すいません、登録が必要なんで、私はやってないんですがw
◆一方、「理解速読」は、上記ポイントの6番目にあるように「つながり」を意識して速読します。
ここで言う「つながり」とは、例えばこのようなものですね。
・本の全体の構成とのつながり
・筆者が一番言いたいことと、今読んでいる部分のつながり
・章と節のつながり
・全体のテーマと各テーマの論理的つながり etc...
要は「論理構成を把握する」ということ。
ただし、それ以前の問題として、使われている用語を知らないと理解できないことが当然ありますので、それは「暗記速読」でカバーすることになります。
◆また、「理解速読」で注意すべきは、必要に応じて速度を変えること。
論理構成がわからなければスピードをゆるめ、全体に対しての意味づけや論理構成がわかったら逆にスピードを上げます。
ただ、これはレビューなんで、サラっと書いちゃってますが、論理構成って普通の速度で読んでも分からない時は分からないような……?
ぶっちゃけ、私自身、「速読」と「理解」は、ある意味「トレードオフ」の関係にあると思っていた(いる?)ので、気になる方はやはり本書にてご確認頂きたく。
◆そして忘れてはならないのが、上記ポイントの3番目の「情報機器」で、私が税理士試験の受験生だった頃は、まったく存在しないモノでした。
スマホもiPadもなかったわけですが、それはどの受験生も同じですから条件は一緒。
しかし現在は、「あるのに使わない」ことによる不利があるのではないかと、若干危惧しております。
上記「構造ノート」も、入力の手間があるとは思いますが、その費用対効果を考えて、メリットがあれば活用すべきかと。
……今、私が受験生だったら、IT音痴なんで、勝てる気がしないんですがw
受験生なら押えておきたい1冊!

速読暗記勉強法
第1章 速読があなたの人生を切り開く
第2章 勉強の成果をアップさせる「速読ノート術」
第3章 速読しながら暗記するために
第4章 速読の実践的なトレーニング
第5章 「暗記速読」で記憶量を大きく増やす
第6章 「理解速読」で論理的に情報を読み取る
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【試験仕様】「キャリアが高まる1日15分 速読勉強法」(2008年11月08日)
「速読勉強術」宇都出雅巳(2007年02月03日)
【編集後記】
◆もうすぐ出る勉強本から1冊。
面白いほど詰め込める勉強法 究極の文系脳をつくる (幻冬舎新書)
でも「文系脳」って受験に弱そうなイメージがw

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