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2013年09月22日

【オススメ!】『たくさん売りたきゃお願いするな! 「この人から買いたい」と思われる27の鉄則 』佐藤勝人


たくさん売りたきゃお願いするな! 「この人から買いたい」と思われる27の鉄則
たくさん売りたきゃお願いするな! 「この人から買いたい」と思われる27の鉄則


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「来客リピート率80%、利益率40%を叩きだす、伝説のカメラ小売チェーン」である「サトーカメラ」のヒミツを明かした1冊。

本店のある宇都宮には、ヤマダ電機やケーズデンキ、ヨドバシカメラといった大手チェーン店があるにもかかわらず、栃木県のカメラ販売シェアでは15年連続ナンバーワン、県内のデジタル一眼の販売シェアでは50%以上というのですから、これはもう只者ではありませぬ。

アマゾンの内容紹介から。
大企業のトップ営業マンが次々研修に訪れる伝説のカメラ店の「販売の達人」が明かす、お客に"100%好かれる方法"。

販売に関係する方なら、必読です!


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【ポイント】

■1.お客さんの問題を発見する
 そもそも「お願い」とは、こちらの事情を一方的に押し付けることです。普段の人づき合いを思い返してください。あなたは一方的に話す人を信頼しますか? 自分の話を聞いてくれない相手に本心を語りますか?(中略)
 本物の商人がすべきことは、お願いでも、お客さんの抱える問題の解決でもありません。お客さん自身も気づいていない問題を一緒になって発見していく姿勢です。そのために必要なのは、話す力ではなく、聞く力なのです。


■2.自分の感じたことを友だちに話すように話す
 たとえば、手に持ったら「重い」のに、ここで「重い」と言ったら売れなくなるから「軽い」と言って売ろうとしてしまう人がいます。しかし、これではウソつきです。(中略)
 しかし、友だちにウソはつけません。結局は、ウソもお願いの一種。ウソをついてでも買って欲しいので、お願いします。お客さんにとっては迷惑な話です。
 Aという商品を売りたい。でも、「重い」と感じているのなら、お客さんにも「重い」と言えばいい。なぜなら、自分の感じた「重い」には理由があるはずだからです。
 なぜ、そのA商品は「重い」のかを調べればいい。そして、わかった理由をありのままにお話しする。話が上手い下手よりも一番伝わる方法です。


■3.お客はすべてをとりにいく
 栃木県の人口は約200万人。そのうち、カメラの購入客は7%の年間約14万人です。多くの会社は、この7%の買う人だけを狙って、商品を買ってもらおうとする。そして、景気が悪くなってくると、商圏が小さいと嘆く。
 しかし、カメラを買わない186万人の方々だって、家族や大切な人との想い出を残したいと願っているはずです。そう、この人たちも大切なお客さんになるのです。お客さんは14万人じゃない。200万人もいるじゃないですか! 栃木県民200万人のすべての人がサトカメの顧客ターゲットになります。つまり、100%とりにいく。お客さんを選ばず、200万人の商圏ならば200万人を狙ってこそ、プロの商人です。


■4.ケータイの10円プリントで引き寄せた「想定外」のターゲット
まずは中高生がやってきた。みんなでワイワイとソファに腰かけて、何十分と話し込んだあとで、1枚だけプリントして帰る学生がいる。儲けと効率を考えるとたまりません。でも、それでいい。まずはデジカメなし、プリント経験なしのお客さんと出会うことが狙いですから。そのうちプリントすることの魅力に気づき、旅行に行った時の写真は大きなサイズのキャビネ判でプリントしたいと思ってくれるかもしれません。まずは楽しんでくれるのが、一番です。
 そうやって初めてのお客さんと出会ううち、われわれの仮説や予想を上回る動きが出始めました。中高年の女性が、ケータイを手にどっと来店してくれるようになったのです。


■5.普段使いのもの中心に陳列する
 普通のカメラ屋では一等地に陣取っているはずのデジタル一眼レフカメラは、店の一番奥にあります。
 なぜなら、高級品の売れ個数は少ないからです。売れ個数=お客さんの数ですから、プリントや電池といった売れ個数の多いものを前に持ってくる。ひとつひとつの金額は大きいけれども、売れ個数の少ないものは奥へ持っていく。
 売れ個数の多少は、お客さんが普段使う率が高い商品かどうかを示しています。多いものは実用品で、少ないものは耐久品。耐久品はめったに買わないものですから、奥でいい。実用品は、毎日買うものなので目につくところに置く。そうすると、お客さんはあの店には欲しい物がいつもあると感じてくれます。それがサトカメの陳列の原則です。


■6.スマホは敵じゃない
 スマホに高機能のカメラが搭載されていったことにも感謝しています。あれでデジカメが売れなくなると危惧する業界の人もいますが、スマホのカメラ機能のおかげで写真人口がどれだけ増えたことか。以前は、普段カメラを使わない人が何かを撮りたい、残したいと思った時の選択肢は、「写ルンです」を買うくらいしかありませんでした。
 それがいまや1億人がカメラを持っているようなもの。そう考えると、一時的にデジカメが売れなくなっても、スマホのカメラはわれわれの敵じゃない。


■7.「売れる」のではなく「売る」工夫をする
 そこで、彼に「このタウリンがどうのこうのって効能を、わかりやすく他のもので説明してよ」と聞いてみました。すると、意外にも「ああ、簡単ですよ」と返ってきた。
「何なの?」
「このドリンクには牡蠣60個分のタウリンが入っているんです。それに普段はとりにくいミネラルも豊富です」(中略)
「わかりやすくお客さんに伝えるために、牡蠣の殻を料亭に行ってもらってこいよ、60個!」
「わかりました!」
 栄養ドリンクの売場に60個の牡蠣の殻を飾り、「この牡蠣の分量分のタウリンが、このドリンクー本でとれます!」「摂取しづらいミネラルも豊富です!」というポップを出しました。
 すると、月に3本しか売れなかった商品が、一気に動き出しました。


【感想】

◆実は、このサトーカメラに関しては、以前この本で読んで気になっておりました。

一億人に伝えたい働き方 無駄と非効率のなかに宝物がある (PHP新書)
一億人に伝えたい働き方 無駄と非効率のなかに宝物がある (PHP新書)

参考記事:【オススメ】『一億人に伝えたい働き方 無駄と非効率のなかに宝物がある』鶴岡弘之(2012年06月23日)

この本のタイトルにある「無駄と非効率」をまさに地でいくのが、サトーカメラ。

何たって、大手チェーン店では5分、10分の接客時間も、サトーカメラでは1時間、2時間は当たり前。

最長だと「6時間」という記録もあるのだそうです(詳細は本書を)。


◆そうでなくとも、たとえ機種指名買いのお客さんであっても、相手の話をよく聞いて、本当に目的に合っているのかを確認。

その結果、違う機種をオススメして、そちらを買ってもらう事も多々あるそうです。

もっとも、お客さんの「欲しい機種」というのも、その多くがテレビCMで見た、というレベルのモノであり、必ずしも用途に合っているわけではありません。

たとえば宇都宮岩曽店の店長である吉羽さんは、某社のコンパクトデジカメをオススメしまくって、1ヵ月に300台、日本一売りさばいたのだそう。

そのヒミツは、これまた詳細は本書を読んで頂きたいのですが、「お客さんのイメージしている用途」と「某社のカメラのすぐれた機能」を結びつけることで、テレビCM以上のインパクトを与えた、とのことです。


◆さらに本書では、この吉羽さん以外にも、佐藤さんに見出された名物店員(サトーカメラでは「アソシエイト」と呼んでます)が多数登場。

第3章の「お客を見たら友だちと思え!―実践編」の小見出しをいくつか列挙するとこんな感じです。

・趣味に走ったら「女子カメブーム」を巻き起こしちゃった女性店長
・店で次々ナンパして新マーケットを作り出した男
・電池をしゃべらせて、売上を5倍にした女
・日本一レンズを売る「1人ジャパネット」店長
・クレームだらけから一転。地域の人気者となったブローニー坂本


この章は、人材活用のヒントと同時に、販促のアイデアも得られて、一石二鳥の巻w

ちなみに、上記ポイントの7番目は、サトーカメラのお話ではなくて、佐藤さんがあるドラッグストアに指導に行った際のお話なのでご留意をw


◆また、サトーカメラのユニークな経営方針も目からウロコでした。

上記ポイントの5番目の陳列スタイルはもちろんのこと、こんなものが。

・カメラ11年保証(メーカーの部品在庫が10年だから)
・デジカメの30日間無条件交換
・店内のスタジオはカメラ持込みOK
・ケータイ10円プリントも1枚50円のサービスサイズと同じ品質
・セルフプリント機の前にはソファ設置


こういう工夫があってこそ、「地域ナンバーワン」の地位にあるのだな、と。


◆なお、サトーカメラの経営理念は「想い出をキレイに一生残すために」というもの。

この理念のもと、アソシエイトの皆さんは、お客さんの役に立とうとしています。

ケータイプリントを何十枚、何百枚、人によっては何千枚もプリントする中高年の女性に「どうしてそんなにたくさんプリントするんですか?」と聞いたアソシエイトに返ってきた言葉がこれ。

「何を言ってるのよ。ここにある写真は私の人生なんだから、当たり前じゃない」

「スマホは敵じゃない」という佐藤さんのお言葉に深く納得です。


商売の本質を考える上で読んでおきたい1冊!

たくさん売りたきゃお願いするな! 「この人から買いたい」と思われる27の鉄則
たくさん売りたきゃお願いするな! 「この人から買いたい」と思われる27の鉄則
第1章 たくさん売りたきゃ「非効率」な道を選べ
第2章 お客を見たら友だちと思え!
第3章 お客を見たら友だちと思え!―実践編
第4章 売れる営業マン、販売員を育てるリーダーの5つの鉄則


【関連記事】

【オススメ】『一億人に伝えたい働き方 無駄と非効率のなかに宝物がある』鶴岡弘之(2012年06月23日)

『戦略思考トレーニング』が想像以上に凄い件について(2013年04月20日)

【確かにスゴ本】『ローマ法王に米を食べさせた男』高野誠鮮(2012年07月06日)

【スゴ本】『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる』宇野隆史(2011年05月12日)

【スゴ本】『ストーリーとしての競争戦略』楠木 建(2010年10月20日)


【編集後記】

『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる』でお馴染みの宇野隆史さんの新作が登場!

笑う店には客来たる 楽しむ人には福が舞う
笑う店には客来たる 楽しむ人には福が舞う

この本も読んでおきたいですね!


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