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2013年09月08日

【大前流】『稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方』大前研一


稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方
稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、お馴染み「元マッキンゼー日本支社長」大前研一さんの新作。

『週刊ポスト』の連載記事と『SAPIO』の掲載記事に、さらに書き下ろし原稿を加えた作りとなっております。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
あなたは自分に"値札"をつけられますか?
「上司や先輩の真似をしていても業績は上がらない。彼らとは違う能力とスキルが必要なのだ。いかに“自立"して稼げるか? それが今、問われている」
就活生も新入社員も中高年社員も必読! 世界的経営コンサルタントによる最新&世代別「サバイバル仕事術」--。

これからの社会を生き抜くためには、要チェックな1冊です!


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【ポイント】

■1.いま「自立」志向の若手が増えている
「自立して生きていく」という意識・志向は、今後の日本のビジネスパーソンの仕事を考える上で、極めて重要なキーワードの1つではないかと思う。
 それは何も、会社から離れて独立・起業するということではない。会社に所属していても、会社に寄りかからずに生きていけるか、ということだ。
「自分は、今の給料や自分にかかるコストに見合った利益を生んでいるか」
「会社全体の業績が低迷している中でも、何か会社に貢献しているか」(中略)
 若い世代を中心に、そういった危機感を持ちながら働いている人が増えているように思う。


■2.間接業務を大幅削減しても支障はない
私が企業の間接業務を簡素化するコンサルティング業務を請け負った時は本社部門の人員の25〜40%削減を目指し、まずはフォーマットの統一からスタートする。そうやって重複する間接業務をどんどん整理していくと、人員を25〜40%削減しても、業務には何の支障もないのである。
 しかも、そこまで間接部門をカットすると、支店や営業所の「内向き(本社向き)」の仕事が減って「外向き(顧客向き)」の仕事ができるようになる。本社部門の人員削減効果は人件費削減にとどまらないメリットがあるのだ。


■3.グローバル人材に必要な2つのスキル
 2030年に生き残れるグローバル人材になるためには、大きく分けて2つのスキルが必要だ。
 1つは「ハードスキル」だ。具体的には会計、財務、マーケティング理論、統計学などビジネスで必要とされる"道具"である。(中略)
 もう1つは「ソフトスキル」だ。前出の3つの問いがまさにそれであり、民族・国籍・文化・言語・宗教の違う人たちとコミュニケーションをとりなら、ビジネスを円滑に進める能力を指し、もちろん英語力が前提となる。

(詳細は本書を)


■4.仕事の定義ができない日本人
 たとえば、コンピューターのプログラムやシステム構築などは、コストの安いインド企業にアウトソーシングすればよいのに、それができない。インド人は「仕事を定義してほしい」と要求してくるが、日本企業は「それはお前たちが考えろ」となるからだ。その結果、インド企業が作ったものに満足できず、修正に次ぐ修正で、もめてしまうケースが非常に多いのだ。システムが出来上がってから、使いながら文句を言い始めるからだ。少なくともアメリカの企業が発注する場合はシステム要件が明確に記述されているので、そのようなケースでは追加料金を請求するのだが、日本はそうはいかない。


■5.自分の「勝負期」「勝負スキル」を考える
 勝負をかける時期によって、磨くべきスキルは異なる。たとえば、勝負期を30歳とするなら、データ分析などの実務的なスキル、40歳とするならリーダーシップ、その間の35歳とするなら両方のバランスだ。30歳であれば入社してから6〜7年、35歳であれば12〜13年、40歳であれば17〜18年の間、次のステップに進むためのトレーニングを重ねるわけだ。
 ただし、転職が当たり前のアメリカなとでも、3回以上転職した人の給料は下がる傾向にある。だから、日本のビジネスパーソンの場合も、2回目か3回目の勝負で最も給料が高くなり、やりがいも最大になるように準備しなければならない。そこまで見据えて20代から勉強を続け、スキルを磨いていれば、転職市場でも評価されるだろう。


■6.国際的なグローバルリーダーの共通パターン
 私が知る限り、国際的にどこに行っても通用するグローバル・リーダーには共通のパターンがある。それは、一番最初によく人の話を聞き、実態を分析して正しい方向性を見つけるまでは謙虚そのもので全く先入観や偏見を持たずに取り組む、ということだ。そして改革案が出てきたら、強いリーダーシップで周囲を説得して断行する。このフェーズの切り替えは3か月でやることが重要で、2年も3年もかけたら意味がない。
 ところが日本人のリーダーは、だいたい最初にそれをやらず、辞める間際になってから「あれをやりたい、これをやりたい」と言い出す。その典型は政治家だ。


■7.偏差値は"従順な国民"をつくるためだった
 結局、日本で導入された偏差値は自分の「分際」「分限」「身のほど」をわきまえさせるためのもの、つまり「あなたの能力は全体から見るとこの程度なんですよ」という指標なのである。そして政府の狙い通り、偏差値によって自分のレべルを上から規定された若者たち(1950年代以降に生まれた人)の多くは、おのずと自分の"限界"を意識して、それ以上のアンビションや気概を持たなくなってしまったのではないか、と考えざるを得ないのである。


【感想】

◆タイトルに「働き方」とありますが、上記ポイントをご覧頂くとお分かりのように、個人のスキルアップに関するお話は少なめ。

代わりに、日本ないしは日本企業の働きぶりや、その問題点について、本書では数多く言及されています。

思うんですけど、たとえばマッキンゼー時代の大前さんにとって、「顧客」と言ったらそれは経営者層であって。

そういう方に適切なテーマと言ったら、会社のかじ取りというか経営ネタだったハズです。

たとえば、本書の第1章のタイトルは「日本企業は今、何に苦しんでいるのか」ということで、こうした経営者層に刺さりそうなお話が多々。

この辺は、先日ご紹介したこの本にある「本がリーチすべき対象者に届いているか?」という点からは正しいと思われ。

コンサルタントのための“キラーコンテンツ
コンサルタントのための“キラーコンテンツ"で稼ぐ法 (DO BOOKS)

参考記事:【スゴ本!】『コンサルタントのための“キラーコンテンツ"で稼ぐ法』五藤万晶(2013年09月05日)


◆ただ、当ブログにおいては、各ビジネスパーソンが「具体的にどうすべきか」というお話が良く響きます。

それに関して密接な関係があるのが、本書の第2章「これからの日本企業に必要な人材とは」と第3章「世代別「稼ぐ力」をどう鍛えるか」。

実は今回一番付箋を貼ったのが、この2つの章でした。

割愛しましたが、「もし私が採用面接官だったら何を質問するか」というお話は、これから就職・転職される方なら、事前にその答えを用意しておきたいところ。

実際、マッキンゼー日本支社長時代に、その問いで採用した540人のうち、「まったく使いものにならなかったのは1人だけ」なのだとか。


◆とはいえ、丁度これまた先日ご紹介したこの本との絡みで言うなら、大前さんの場合、ビジネスパーソンは「グローバル」が前提です。

藤原和博の必ず食える1%の人になる方法
藤原和博の必ず食える1%の人になる方法

参考記事:【キャリア】『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』(2013年09月01日)

この本で藤原さんは「グローバル・スーパーエリート以外の一般ビジネスパーソンが生きる道」を示してくれました。

一方、こちらの本で渡邉正裕さんは、グローバルなキャリア(「無国籍ジャングル」)だけが生きる道ではないことを提言。

10年後に食える仕事、食えない仕事
10年後に食える仕事、食えない仕事

参考記事:【必読!】『10年後に食える仕事、食えない仕事』渡邉正裕(2012年02月04日)

これらの本に比べると、大前さんはさすが「マッキンゼー」出身らしく、モロにグローバルへの対応を主張されている印象を受けました。


◆もっともそれも、大前さんの「BBT大学学長」という今の立場からしたら、ある意味当然のことかもしれないワケでして。



本書内でも、何度か「●●はこういう理由でダメ」「その点BBT大学では〜」みたいな話が出てきました。

ただしそれも、大前さんが現状の問題点を把握しているからのことですし、こちらに通うことで世界に羽ばたけるなら、それはそれで「アリ」だと思います。

また、今後当ブログの読者さんの今いる会社が外国企業に買収されて英語が公用語になったり、仕事のやり方がグローバル化される可能性も否定できませんから、それに備える意味でも本書を読む価値はあるかと。


「グローバル対応」を意識するなら!

稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方
稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方
〈まえがき〉 一人一人の「稼ぐ力」が問われている
第1章 日本企業は今、何に苦しんでいるのか
第2章 これからの日本企業に必要な人材とは
第3章 世代別「稼ぐ力」をどう鍛えるか
第4章 産業“突然死"に備えるケース・スタディ
第5章 求む! 日本と日本企業を強くする新世代人
〈あとがき〉この国をダメにした「偏差値」を廃止せよ
[特別英語講座]大前流プラクティカル・イングリッシュ習得法


【関連記事】

【キャリア】『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』(2013年09月01日)

【必読!】『10年後に食える仕事、食えない仕事』渡邉正裕(2012年02月04日)

【仕事術】『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』戸塚隆将(2013年08月18日)

【問題解決】『マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書』大嶋祥誉(2013年04月30日)

【仕事術】『結果は「行動する前」に8割決まる 世界上位2%だけが知っている「達成思考」仕事術』金田博之(2012年12月05日)


【編集後記】

◆というわけで、高城剛さんの英語本。

21世紀の英会話
21世紀の英会話

これもなかなか面白そうです!


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稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方作者: 大前 研一出版社/メーカー: 小学館発売日: 2013/09/05メディア: 単行本 昨日の「クオリティ国家という戦略 これが日本の生きる道」に続く、大前研一の提言。 「クオリティ国家という戦略 これが日本の生きる道」が国
小さくでもいいから稼げる人にならないと……。:稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方【本読みの記録】at 2014年11月29日 23:52