2013年09月01日
【キャリア】『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』
藤原和博の必ず食える1%の人になる方法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、元リクルートで、杉並区立和田中学校校長を務めたことでも知られる藤原和博さんの新作。今まで藤原さんの作品は、テーマ的に当ブログにマッチしていないと判断してスルーしておりましたが、本書はビジネスパーソンのキャリア論として、要チェックの1冊です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
特別な才能はいらない。たった7つの条件をクリアするだけ。
4つのタイプ【価値観×志向】別に、7つの条件を徹底解説!
あなたはどのタイプで「100人に1人」をめざす?
しかもこの本、渡邉正裕さんの『10年後に食える仕事、食えない仕事』の藤原さんなりの「続編」なのだそう!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.3つの分野で「100人に1人」をめざすもし20代のうちに、ある分野で「100人に1人」になれたなら、30代でもうひとつの分野に挑戦して、2つの分野で「100人に1人」をめざしましょう。
それができたら、40代でまた別の分野に挑戦して、3つの分野で「100人に1人」をめざします。
ひとつの分野でプロになったら、そのままその分野を極めていくより、別の分野にスライドして、複数の分野でプロになる――。
それこそが、グローバル・スーパーエリート以外の一般ビジネスパーソンが生きる道だと私は思います。
なぜなら、あるひとつの分野で「100人に1人」になったあと、さらに「1万人に1人」「100万人に1人」をめざすのは非常に厳しい道のりだからです。
■2.自分がリアリティをもてる分野で会社を選ぶ
たとえば、コンビニやデパート、家電量販店に行って買い物をしたら、その商品はどういう会社がつくっているのか、関心をもってみてはどうでしょうか。犬が好きなら、犬に関する会社ばかりを探してみたりするのです。
世間がいくら財閥系やIT系の大企業を持ち上げていても、自分の心が動かなければ惑わされてはいけません。五感を総動員して、その判断を信じるべきです。
■3.自社株を買って経営者目線を身につける
身銭を切って自分が勤めている会社の株を買えば、自然に会社全体の業績が気になります。自分がいる部署だけでなく、他部署の業績も知りたくなる。
そして、どうしたら会社全体の業績が上がるかを考えるようにもなるでしょう。つまり、経営者目線で物事を見るクセがつくのです。
ですから、もし自社株が公開されているなら、公開されている価格で買いましょう。公開されていなくても、社員持株会制度があれば購入しましょう。
■4.交渉は相手の頭の中にある要素だけで話をする
相手の話を徹底的に聞き、共通点を探して相手に安心感を与え、相手の頭の中にある要素だけで話をする。
もしも私が交渉の時間を1時間与えられたら、55分間は相手の話を聞くことに専念して、相手の頭の中にどんな要素があるのかを探ります。
そして、「A」と「B」と「C」が相手の関心事であることがわかったら、最後の5分間で、さっと「A」と「B」と「C」を使って説明して終わりです。
プレゼンテーション同様、相手の頭の中にある要素で勝負するのが交渉なのです。
■5.自分の履歴書を英文にして暗記する
自分で英作文した原稿を、ネイティブにも通用するようにネイティブにチェックしてもらいましょう。(中略)
完成したA4・3枚の履歴書は、繰り返し読んで丸暗記してしまいます。自分に関する内容だから、自分が誰よりも専門家。暗記するのもあまり苦になりません。経済に関心のない人が経済ニュースの英文を暗記するのとは、まったく違います。
この履歴書は一度、暗記してしまえば、外国人と話すときにいつでも使えます。しかも、自分についての話題ですから、自分の土俵に引き込むことができる。
■6.時間にルーズな人と付き合わない
自分と時間のスピード感が違う人間と仕事をするほど、イライラさせられることはありません。自分のほうが時間の感覚が速く、相手のほうが遅い場合、相手に自分の時間をとられてしまう危険があるので、一緒に仕事をするのは避けたほうがいい。
仕事仲間は、自分と時間感覚が合う人を選びましょう。(中略)
逆に、時間感覚が自分より速い人と一緒に組めば、仕事も速く進みます。仕事の密度が濃くなり、アウトプットの量も増える。
そうして生まれた時間を、自分の1万時間の練習に投じるのです。
■7.名刺はごちゃごちゃ書かない
「プロ志向」の人が増えてきたせいか、最近は会社の名刺のほかにもう1枚、プライベートの名刺を作成して、2枚渡す人も増えています。
しかし、大変申し訳ないのですが、私はひとりの人から2枚もらっても、とっておきません。
名刺が4つ折り、8つ折りになっていて、そこに自分の決意表明を書いている人もいますが、そんなものを渡されても、「なぜわざわざ広げて、あなたの決意を読まなきゃいけないの?」と思ってしまいます。
プライべートの名刺をつくるとき、または独立して名刺をつくるとき、ごちゃごちゃ余計なことを書くのはやめましょう。シンプル・イズ・べストです。
【感想】
◆冒頭の内容紹介で「4つのタイプ」とありましたが、それは下記目次の第1章から第4章までにある通り。タイトルだけ列挙すると、「社長タイプ」「自営業タイプ」「公務員タイプ」「研究者タイプ」の4つになります。
これは「価値観×志向」別に2軸を取った4象限で表され、価値観で見ると、最初の2つが「経済的価値」重視で、後の2つが非重視。
また、志向で見ると、「社長」と「公務員」が「権力志向」で、残り2つが「プロ志向」という位置づけです。
上記ポイントは、どのタイプだか明記せずに抜き出したので、ホントはあまりよろしくないのですが……。
◆とはいえ、基本的に当ブログの読者さんの傾向は、「経済的価値」重視に落ち着くのではないか、と。
と言うのも、こと当ブログにおいては、個人的な活動や社会貢献といった「経済以外の価値」をテーマにした本は、あまり反応がありません。
結果的に付箋を貼ったり、さらには上記ポイントで抜き出したのも、第1章と第2章が中心。
特にポイントの2〜5番目はすべて第1章から……って、ほとんど「社長タイプ」オンリーということですね。
6番目と7番目は第2章の「自営業タイプ」からなので、結局、全タイプに共通の1番目以外は、すべて「経済的価値重視」の内容となってしまいました。
最近の潮流は、むしろ「経済以外の価値」に趣きを置いているようなので、時代に置いていかれているのかもしれませんが。
◆なお、4つのタイプすべてに「7つの条件」があるものの、各章ごとに触れられている条件は、それぞれ4つずつ。
何故なら、残り3つの条件は全タイプ共通だからで、それがこの3つになります。
・パチンコをしない
・ケータイゲームを電車の中で日常的にしない
・本を月1冊以上読む
当ブログの読者さんからしてみたら、アタリマエすぎて「条件」というほどのものでもないかもしれませんがw
◆この3つ以外については、各タイプごとに違いがあって、場合によっては、タイプごとに相反することもあります。
典型的なのが、藤原さん言うところの「SSK」(接待、査定、会議)についてで、「自営業タイプ」であれば「減らす」ところ、「公務員タイプ」であれば、「組織にいるための"税金"だと思ってたえよ」とのこと。
ここまで真逆だと、注釈なしで引用とかできません罠。
いずれにせよ、重要なのは、自分がどのタイプなのか見極めることではないか、と。
◆ちなみに、冒頭で触れたように、本書は藤原さんとしては『10年後に食える仕事、食えない仕事』の「続編」と位置づけられているのだそう。
そしてそのきっかけと言うのが、『10年後〜』の著者である渡邉正裕さんとの対談でした。
特に、この第5回については、アクセス数が約194万になり、多くの反響があったとのこと。
年収200〜400万円の"新中間層"が生きる道 | 10年後に何が食えるのか? プロと考える仕事の未来 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
ただ、渡邉さんはマトリックスを作るのに「知識集約的⇔技能集約的」「日本人メリット大⇔小」の2軸を用いてらしたので、純粋な続編というよりは、藤原さん流のキャリア論と言えそうな。
変化の時代を生き延びるために!
藤原和博の必ず食える1%の人になる方法
序章 すべての人に共通する3つの条件――まずは3条件をクリアして「12.5人に1人」の人になれ!
第1章 A「経済的価値×権力志向」(社長タイプ)――「力」を求める人の4つの条件
第2章 B「経済的価値×プロ志向」(自営業タイプ)――「技」を求める人の4つの条件
第3章 C「経済以外の価値×権力志向」(公務員タイプ)――「つながり」を求める人の4つの条件
第4章 D「経済以外の価値×プロ志向」(研究者タイプ)――「好き」を求める人の4つの条件
【関連記事】
【必読!】『10年後に食える仕事、食えない仕事』渡邉正裕(2012年02月04日)【2軸で考える!】『「キャリア未来地図」の描き方』原尻淳一,千葉智之(2013年01月22日)
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【一石多鳥?】『25歳からのひとりコングロマリットという働き方』おち まさと,本田 直之(2012年01月25日)
【"かなめ"になる】『「新しい働き方」ができる人の時代』セス・ゴーディン(著)神田昌典(監訳)(2011年07月01日)
【オススメ】『35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書』渡邉正裕(2010年10月14日)
【編集後記】
◆未読の方もいらっしゃるかもしれないので、一応この本もご紹介。10年後に食える仕事、食えない仕事
レビューは上記関連記事トップにあります。
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