スポンサーリンク

       

2013年08月22日

【説明術】『複雑なことでもスッキリ伝わる 〈超入門〉説明術』木山泰嗣


複雑なことでもスッキリ伝わる 〈超入門〉説明術
複雑なことでもスッキリ伝わる 〈超入門〉説明術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた1冊。

弁護士である木山泰嗣さんが、日ごろから駆使されている「わかりやすい説明」の手法を指南してくれています。

アマゾンの内容紹介から。
「教科書の順番をぶちこわす」「相手のツッコミを予想してコメントする」「超重要なものをピックアップして話す」など、意識すればすぐに使える方法が満載。説明の仕方を変えるだけで、グンと伝わりやすくなる!

私も同じ士業として、役に立ちそうなTIPSがいくつもありました!


人気blogランキングいつも応援ありがとうございます!




【ポイント】

■1.相手のニーズにこたえる
 「わかりやすい説明」ができるようになるためには「説明を受ける側」(本書では「受け手」「聞き手」「相手」などといいます)の立場に立って、何を、どのように説明したらよいのかを「意識して考える」ことが重要です。
 「説明」は、あなたが何を伝えたいのかという「説明をする側のニーズ」ではなく、基本的には、相手が何を説明してほしいのかという「説明を受ける側のニーズ」によって存在しているからです。


■2.典型例を1つだけ挙げる
 ある概念を説明するにあたって、具体例を出したい。
 そういう場合には、具体例をたくさん出して、量で勝負するのはよくありません。そうではなく、わかりやすい、だれでも理解できるような、典型例を1つだけ挙げます。そして、その1つの典型例をていねいに解説するのです。


■3.全体像を示す
 いま説明している話は、全体のなかで、どのあたりのことなのか、その話はどの方向に向かっていくのか、そういった「俯瞰」的な視点をもっておくことが、理解には不可欠です。
 それをあなたがていねいに提示してあげるのです。全体像をA4用紙1枚にまとめて、それを配るというのでもよいでしょう。そして、各論的な話をしているときでも、この全体像のなかでいうと、どの話なのか、ということを逐一説明するのです。


■4.たとえ話を入れる
上手な説明をする人は、たとえ話をよく使っています。たとえ話を入れるとよいのは、文章でも話でも同じです。 
 たとえ話のよいところは、イメージがしやすくなることです。むずかしい概念を、正確に伝えようとすると、まじめな人は、どうしてもその定義を、律儀に1つひとつ説明してしまいます。しかしそれは、教科書を読むのと同じです。(中略)
 たとえ話というのは、たとえることですから、正確にはなりません。まじめな人からは「ここが違うんじゃないですか」と言われるかもしれませんが、そのあたりは「あくまで、ざっくりとしたイメージです」と断っておきましょう。


■5.同じことを違う側面からいう
 もう1つ、繰り返すための技術があります。
 それは「同じ言葉ではなく、別の言葉を使って繰り返す」という方法です。「同じことを、違う側面からいう」と言い換えることもできます(この2行が、すでにこの方法を実践しています)。(中略)
 この方法は繰り返しても、同じ言葉で説明するわけではないためうるさく聞こえません。それだけでなく、違う側面からの説明になるため、ある説明では反応しなかった人が反応する、ということも起きてきます。


■6.相手にとって身近な話をする
もしあなたが、専門外の人に専門分野の話をわかりやすくする、となったときには、その人たちにとって「身近な話」から始めることが重要になります。
 自分にとって身近な話ではありません。自分たち専門家にとって身近な話でもありません。自分たちの専門分野を学んでいる人にとっての身近な話でもありません。
 あくまで、あなたの説明を受ける人たちにとっての身近な話をするのです。


■7.「抽象論」→「具体例」の流れで説明する
 抽象的な説明は、最終的には重要です。しかし、最初に何かを理解するためには、じつは「具体論」のほうが入りやすいのです。
「具体例を挙げますと……」
「具体例は、こういうものがあります」
「具体例をいいましょう」
 抽象的な説明をしたあとには、必ずこういうフレーズを口にするクセをつけましよう。そうすると、自然と「抽象論」→「具体例」という流れで説明ができるようになります。


【感想】

◆既に33万部を突破した佐々木圭一さんの『伝え方が9割』を初めとして、昨今「伝える技術」「説明する技術」を論じた本は多いです。

このような状況における「本書の立ち位置」とでもいうべきものが、「まえがき」に記されているのですが、曰く

「むずかしいこと」「複雑なこと」「難解な概念や用語」などを、わかりやすく説明して相手に伝えるための「方法論」

を解説したとのこと。

これは、法律をほとんど知らない人々に、「難解な法律用語や問題点を説明する」弁護士という職に就いているからこそできることかもしれません。

さらに木山さんの場合、ロースクールの「講師」として、難解な租税法の体系や基本を、学生たちにわかりやすく伝える必要があり、そこでのTIPSも本書に収録されている模様。


◆私自身も税理士として、税法に関する説明をする必要が時折あります。

その場合、税理士同士や税務署の職員との間ならツーカーでわかる内容でも、顧問先相手だと、なかなかわかってもらえない事が多々。

それも「経理を全く知らない社長さん」やら「ベテラン経理マン」やら「伝票打つだけのアルバイトの女性」まで相手もさまざまですから、相手に応じて説明の仕方や資料も変える必要があります。

その際、私自身どうしても抵抗があるのが、「ざっくりしすぎた説明」の仕方。

税理士として(一応w)、法律的に間違っていると取られかねない表現はしたくないのですよね。


◆本書ではこの点について、「わかりやすい説明をするためには『正確性』に対するこだわりを捨てることが、どうしても必要になってきます」と言及(上記ポイントでは割愛しましたが)。

要は「極論をする」とのことです。

ただしその際は、「極端な話ですけどね」「大きく2つに分けるとすればですね」等、「極論であることは断っておく」のだとか。

もちろん、もし極論を使うときには私も気を付けていますけど、第三者に伝わったり、文章に残される際に、その「断り」がスコーンと抜けちゃってることがあるんですよ(涙目)。

特に経営者の方は、自分にとって都合のよい話だけ記憶に残っていたりする(ry


◆いずれにせよ本書は、「ある程度知識や情報を持った立場の人が、そうでない人に理解してもらう」という目的には有益だと思います。

具体的には、私のような士業はもちろんのこと、営業の方がお客さんに商品説明をしたり、中堅どころの方が新人やバイトに仕事の説明をする、といった際には、大いに活用できるのではないか、と。

……今の部分、上記ポイントの最後の『「抽象論」→「具体例」』を意識してみたんですが、いかがでしょうか?

他にも

「反応するポイントを見抜きそれに合わせる」

「自分の体験を入れる」

「似て非なるものを解説する」


といった興味深いTIPSがありますが、詳しくは本書にて。


説明上手な人になるために!

複雑なことでもスッキリ伝わる 〈超入門〉説明術
複雑なことでもスッキリ伝わる 〈超入門〉説明術
序 章 「わかりやすい説明」は、なぜ必要なのか?
第1章 話し方の印象を工夫する
第2章 オリジナリティを出し、「ほかとは違う話だな」と思わせる
第3章 たくさんある情報を思いきって厳選する(絞り込む)
第4章 目からウロコが落ちるほどに、内容の解説をわかりやすくする
第5章 相手のレベルに合わせて説明をする
第6章 心を揺さぶるような伝え方をして、インパクト(強い印象)を与える
第7章 アドリブ感・臨場感をかもし出す(いま1回きりの話だと思ってもらう)
第8章 単純にする
第9章 根拠があること、思いつきではないことを示す


【関連記事】

【こんな方法あったんだ】『伝え方が9割』佐々木圭一(2013年03月05日)

社会人なら押さえておきたい『人を動かす伝え方』(2013年02月08日)

【話し方】『言いたいことは1分で! 10倍伝わる話し方』渡辺美紀(2013年01月05日)

【質問力?】『すごい説得力: 論理的に考え、わかりやすく伝える話し方』に学ぶ6つの質問テクニック(2012年07月26日)

【説明スキル】『学校で教えてくれない「分かりやすい説明」のルール』木暮太一(2011年04月19日)

【文章術】『短く伝える技術』山田進一(2010年11月09日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

裏ワザ大全集 (三才ムック vol.631)
裏ワザ大全集 (三才ムック vol.631)

弁護士さんの本を紹介した後でナンですが、アマゾンの内容紹介に列挙されている項目を見る限り、面白そうです(オイコラw)。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「コミュニケーション」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
                               
この記事へのコメント
               
これ買いました。

本屋にいて、たまたまRSSリーダーでこの投稿に関する通知を受けました。

それで、「私も同じ士業として、役に立ちそうなTIPSがいくつもありました!」の一文に興味を惹かれ、同店にて検索をしてみたら在庫あり。

ということで、アフィを経由せずに買ってしまいました。申し訳ない。


士業又は講師業に役立つように本を熟読しつつどう実践するか考えています。


良き本の紹介ありがとうございました。


追伸:
コメントの全選択からコピーして書込ボタンを押し下げました。消されるのはまっぴらですもの!

Posted by 五条 勝 at 2013年08月23日 23:34
               
>五条 勝さん

ご本買われたとのこと。
五条さんにはいつもお買い上げ頂いてますし、アフィリの件はお気になさらず。

お互いこの本を活用して、説明上手になれたらいいですね。

また、コピー&投稿は正しい対策だと思います(笑)。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2013年08月24日 07:02