2013年08月19日
【敬語】『知らずにまちがえている敬語』井上明美

知らずにまちがえている敬語 (祥伝社新書329) (祥伝社新書 329)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、私も心もとない「敬語」の指南書。著者の井上明美さんの略歴に「敬語講師」「国語学者」に加えて「故金田一春彦氏の元秘書」というのがあって、ちょっとビビりましたw
アマゾンの内容紹介から。
若者言葉を笑いながらも、自分の「敬語力」に自信を持っている人は意外に少ないもの。何気なく使用した言葉が誤用だったり、二重敬語だったりしていませんか?敬語は「基本」を覚えてしまえば、「応用」は比較的やさしいのが特徴です。敬語が苦手な人は、この基本が曖昧なのです。本書は、まず基本を学び、会話・電話・手紙・ビジネス文書など、場面ごとに解説していきます。最終章ではワンランク上の敬語力として、中・上級者にも対応。目指すは、豊かな表現力。心くばりの行き届いた、一目置かれる大人の「敬語力」を身につけましょう!
私も間違えて使っていたものがちらほら……。

【ポイント】
■1.似た言葉でも違う敬語に注意するQ:「お会いになる」と「お会いする」は同じですか?
A:同じ動詞で、同じ「お」がつく言葉でも、違う敬語です。「お〜になる」は尊敬語、「お〜する」は謙譲語になり、意味も違います。×「先生は、伊藤さんとはもうお会いしましたか」この例は、よく耳にします。しかし、「お会いする」は「会う」の謙譲語Iであり、これでは、相手の動作に謙譲語を使っていることになり誤りです。響きの似た尊敬語・謙譲語の使い分けには、十分に注意が必要です。正しくは、次のようになります。○「先生は、伊藤さんとはもうお会いになりましたか?」尊敬語
○「(私は)伊藤さんとは昨日お会いしました」謙譲語I
■2.二重敬語を使わない
×「さきほど、部長がおっしゃられましたが」「言う」の尊敬語は、「おっしゃる」または「言われる」です。このどちらかを使うべきところを、ふたつを重ねて「おっしゃられる」としたまちがいです。これを正しい表現に直すと、次のようになります。○「さきほど、部長がおっしゃいましたが」
○「さきほど、部長が言われましたが」
■3.状況に応じた適切な言葉を選ぶ
重大なおわびの場合、言葉にも気をくばりたいものです。「ミス」や「すみません」という言いかたが、おわびの内容に合わない軽い表現に聞こえてしまうことがあります。状況に合わせた適切な言葉が必要になります。×「私のミスで、すみません」
○「私の不注意でご迷惑をおかけしまして、申しわけございません」
■4.クッション言葉を加える
「お断わり申し上げます」も正しい敬語です。しかし、正しい敬語であっても、自分の都合をストレートに述べるばかりでは、相手も不愉快になります。
相手からの申し出や厚意に対しての、気くばりを忘れることがないようにしたいものです。「せっかくの〜なのに申しわけない」という気持ちを示すことで、心遺いのある断わりの表現になります。・せっかくですが、
・あいにくですが、
・残念ですが、
・こちらの都合で恐縮ですが、(後略)
■5.相手には、「ございます」よりも「いらっしゃる」
会社への電話は誰からかかってくるかわかりませんので、通常は「○○社でございます」とより丁寧な言いかたを用います。相手との親しさの度合いによっては、「です」でもかまいませんが、一般には「ございます」が用いられます。
また、電話をかけてきた人の名前を確認する場合も「佐々木様ですね」「佐々木様でございますね」もまちがいではありませんが、「佐々木様でいらっしゃいますね」のほうがより敬意が高くなります。
■6.「さ入れ言葉」に注意する
まちがいやすいのは、「3時にうかがわさせていただきます」という例です。ひどく失礼というわけでもありませんが、言葉としてはおかしい表現です。「うかがわさせて」の「さ」がよけいなので、「さ入れ言葉」(235ぺージ参照)などと呼ばれます。×「3時にうかがわさせていただきます」
○「3時にうかがわせていただきます」
【感想】
◆上記ポイントの初っ端で「謙譲語I」というフレーズを目ざとく見つけられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?「『I』があるなら『II』もあるの?」と思われるのも当然ですので、先に申しあげておくと「あります」。
というか、私も本書を読むまで知らなかったのですが、現在敬語は「5分類」とされているのだそう。
丁寧、美化語加え5分類敬語の指針
敬語と言えば「尊敬語、謙譲語、丁寧語」の3つだと思っていた漏れ涙目の巻……。
◆上記リンク先にも「行く」の使い分けが収録されていますが、本書では「言う」(普通語)を意味する「おっしゃる」「申す」「申し上げる」を以下のように解説しています。
・おっしゃる……相手側が「言う」ことを指す尊敬語
・申す……自分側が「言う」ことを指す謙譲語II
・申し上げる……自分側が相手側に対して「言う」ことを指す謙譲語I
このうち謙譲語の「I」と「II」の違いが今一つピンとこなかったのですが、どうも「相手側」を示す単語があるかないかの違いのよう。
本書では一覧表形式で解説されていますので、私のように「3分類」しか知らなかった方は、一応チェックしておいた方が良いかもしれません。
◆またポイントの2番目の「二重敬語」について補足しておくと、本来「二重敬語」であるにもかかわらず、現在では習慣として定着しているものもあるとのこと。
例:「明日、部長のお宅におうかがいします」
この文においては「うかがう」自体が「行く」「訪問する」を意味する「謙譲語I」で、さらに「お〜いたす」という敬語表現が加味されていますが、実際に普通に使われています。
同様に「お召し上がりください」という表現も二重敬語ですが、もちろんこちらも問題なし。
個人的には、「おっしゃられる」も疑問を感じず使っていたので、以後注意しなくては……。
◆実は今回抜き出したのは、下記目次の第3章までで、以降の部分については、すべて割愛しております。
と言うのも、第4章の「手紙・ビジネス文書の敬語」においては、図解入りで宛名の書き方が指導されていたり、時候の挨拶の例が表形式になっていたり、と当ブログのスタイルにマッチしていないから。
また、第6章の「若者言葉を言い換える」というのも、当ブログではあまりニーズがないのでは……と言いつつ「〜的には」や「っていうか」を多用しているのは内緒でw
昨今、「ものの言い方」の本がブームですが、さすが「敬語講師」「国語学者」という肩書きは伊達じゃない、と
タイトル通り「知らずに間違えていた」方に!

知らずにまちがえている敬語 (祥伝社新書329) (祥伝社新書 329)
第1章 敬語の基本
第2章 会話の敬語
第3章 電話の敬語
第4章 手紙・ビジネス文書の敬語
第5章 ふたつの敬語表現
第6章 若者言葉を言い換える
第7章 ワンランク上の敬語力
「敬語力」テスト
おじぎの種類
正しい名刺交換
席次のマナー
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【編集後記】
◆ちょっと気になる本。
あんな「お客(クソヤロー)」も神様なんすか? 「クレーマーに潰される! 」と思った時に読む本 (光文社新書)
タイトルが少々過激ですが、果たして中身は!?

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